2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
東大生のノートから学ぶ 天才の思考回路をコピーする方法~「そこまでやるか!?」結果を出すために考え抜かれた驚きの【情報整理・記憶定着・理解定着・進捗管理・勉強法】(全6記事)
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西岡壱誠氏(以下、西岡):次は「記憶定着」。いやー、覚えらんないすよ、片山さん。僕はもともと偏差値が35だから、記憶力がまじでないんです。片山さん、記憶定着に関してはどうしたらいいですか。
片山湧斗氏(以下、片山):ぶっちゃけた話をしますと、東大生だからといって記憶力がいい人がたくさんいるわけじゃないんですね。
西岡:なるほど! 新説ですけど、ちょっと詳しくうかがってもいいですか。
片山:みなさんが東大生にどういったイメージを持たれているか、わからないんですけど。例えば、見た瞬間に単語を100個くらい覚えちゃうとか、一度聞いたことは忘れないとか、確かにそのくらい「超人的な東大生」も、中にはいらっしゃいます。
ですけど、やっぱりそういった東大生は本当にごく一部でありまして、みんながみんなそうではない。「普通の東大生」って言い方も、ちょっとおかしいかもしれないですが(笑)。
西岡:一般的なというか、8割方の東大生はってことかな。
片山:そうですね。暗記が得意ってわけじゃないんですね。むしろ理系だと、どちらかというと暗記が苦手な方が多いくらいなんです。
片山:実は東大生であろうが他の大学生であろうが同じことでして、「暗記の工夫」をしているか否かによって、暗記の定着度合いが変わってきてるんですね。
西岡:それはどんな工夫ですか。
片山:例えば、工夫と言えるかわかんないですけど、根本的な反復練習ですよね。
西岡:なるほどね! みんな忘れるは忘れるんですよね。忘れるのは仕方ないと考えながら練習してかなきゃならないということですね。
片山:ただ、やみくもに反復するのではなくて。例えば、英単語を覚える時に、単語帳の一番前からずっと覚えていこうという方が多いと思うんですけど。1から10までやって、また忘れたから1から10までやって、って同じことを繰り返してると、最初のほうばっかりを覚えちゃうけど、結局苦手な単語とか、後ろのほうとかは覚えない。そういう経験があると思うんですね。
西岡:めちゃくちゃあるわ。英単語帳ってちょっといやらしいというか、最後のほうに難しいのを持ってくるじゃない。最初のほうは覚えているから、なんかできた気になるんだけど、最後のほうが覚えられてないから「うええ」ってなることがけっこうあるんですよね。僕の個人的な経験を述べてしまったんですけど、続きをお願いします。
片山:やっぱり暗記は、ただやみくもに繰り返すのではなくて、自分が覚えられていないものをピックアップして繰り返す必要があるんですね。
今、1から10までって話をしたと思うんですけど、1から10のうち、1から5まではしっかり覚えられているってなった場合、1から5までをそこまで反復練習する必要がないじゃないですか。そうなったら、6から10をしっかりと、もっとたくさん練習することによって、より定着させていくことが大事になってくる。結局、自分が覚えられていないものを抽出することが、暗記の作業ですごく大事なんですね。
片山:この本の2章にあるのがそのようなノートで、英単語の例で載せたと思うんですけど。自分が間違えた回数を記録するノートがあるんですね。
西岡:間違えたら「正」の字を書いていくってことですね。
片山:そうですね。そうすることによって、自分はどこが覚えられてないかを可視化できるんですね。例えば、単語帳だけで暗記されている方もけっこう多いと思うんですけど、「なんか前もこれを間違えたな」とか、「これは覚えられているな」って、なんとなく頭の中でイメージはあると思うんです。じゃあ実際に何回間違えたのって、具体的な数は覚えていないですよね。
西岡:覚えてない。
片山:なんとなく単語帳だけをやっていると、前のほうだけ繰り返しやったまま終わってしまって、「なんかまだ覚えられていない」ってモヤモヤがクリアにならずに、結局効率が悪くなってしまうんですね。ちゃんと「自分はどこを間違えたのか」も随時記録していくことによって、「自分はここが弱いから、ここを重点的に暗記しよう」って、絞って暗記ができるんですね。
西岡:ポイントで絞ってやってくということですね。確かに、その正の字のアイデアはなかなかなかったですし、これはみなさんもすぐに使ってみてもいいかもしれないですね。
西岡:あとは、反復練習以外にも、覚え方の工夫ってけっこうあると思うんですよね。「メモリーツリー」みたいなこともやってましたよね。
片山:そうですね。この「メモリーツリーノート」は、実際の本を見ていただいたほうが一番わかりやすいと思うんですけど(笑)。実はこれ、西岡さんが今監修されている『ドラゴン桜』でも紹介されたノートなんですね。
西岡:そうでした! 『ドラゴン桜』の7巻で出てきたやつでございますね。ちょうどあれも「東大医学部の人がこういうノート作ってますよ」って、1枚絵でバンッと出させていただいて。「こんなノートなんです」「どういうこと?」ってなっているシーンがありましたね。
片山:そのシーン、僕も読ませていただいたんですけど。
西岡:ありがとうございます。
片山:僕自身、もうすぐ医学の勉強が本格的に始まるんですけど、どうしても覚えることがたくさんあるじゃないですか。それをただやみくもに覚えてしまうと大変なんですね。そこで「知識の関連付け」をすることが非常に大事だと思うんですね。
西岡:知識の関連付け。
片山:例えば、体の部位を覚える時に、神経だったら神経のカテゴリ、筋肉だったら筋肉のカテゴリ、骨だったら骨のカテゴリと覚えていくことによって、ただ漠然と「ここに何があったっけ?」って覚えるのではなくて、自分で連想して「あっ、あそこにあの筋肉があったから、この筋肉も近くにあるな」というように、記憶の関連付けを作っていく。それがこのメモリーツリーノートなんですね。
西岡:これに関しては、僕もいろいろと言いたいことがありまして。『ドラゴン桜』のドラマを見ていただいている方がどれくらいいらっしゃるかわかんないんですけど、3話でやらせていただいてることがありまして。
「ユニオンとかユニゾンとか、いろんな『ユニ』ってついている英単語を覚えてきなさい」って言って。それに対して、生徒が「覚えらんねーよ!」とかいろいろ言ってるんですけど、桜木先生が「お前らは、なんでこの英単語がこういう意味なのか、考えたことがあるか?」って聞いて。
生徒は「ええ? そんなこと考えてねーよ。そうだって決まってんだろ!」って言うんですけど、桜木先生が「その思考がだめなんだ」と。「ちゃんと自分で考えて、なんでこの単語がこうなっているのか考えて、そうすると関連付けができるようになるんだよ」って言うシーンがございまして。
今のメモリーツリーのノートと、まったく同じなんですよね。例えば「ユニ」ってつく英単語だとしたら、「ユニオン」「ユニオン」って、「2つのものが1つになっている」みたいな意味になっている。「ユニット」もそうですね。あとは「ユニバーサル」も、いろんな学部が1つになっているところだったり。
こんな感じで、「1つ」という意味が最終的にあったうえで、そこから派生してこうなっているんだということさえわかってしまえば、「ユニ」とつく英単語は、全部このカテゴリで関連付けて考えることができるようになると。こうして1個1個、全部でいろんなことを覚えていこうという。
「ユニオン」はこういう意味で……じゃなくて、「ユニ」は「1つ」、カテゴリの中だとこう、みたいに覚えていくほうが、絶対的に頭がよくなっていくんだぜっていうことを、『ドラゴン桜』でも語っていただいたんです。でも、片山さんのほうが先だったということで(笑)。
片山:(笑)。
西岡:やっぱりすごく重要だと思うんすよね。僕は文系だから、そういう関連付けの経験があるんですけど、理系でも重要なんですよね。
片山:そうですね、僕が先ほど話した生理学ですと、体の部位やパーツでも、同じ筋肉でも名前が似たようなものって、やっぱりそこには意味があるからそのような名前がついているって考えられます。
小学生とか中学生ですと、漢字ですね。漢字の勉強もたくさんすると思うんです。僕自身、塾で生徒さんに漢字を覚えさせる指導を行っているんですけど、漢字って「へん」と「つくり」があるじゃないですか。その「へん」と「つくり」がなぜあるのかを、ちょっと考えてみようかという話をするんですね。
「へん」には、例えば糸へんとかにんべんとかあるんですけど、まず漢字の意味が込められているんですね。「体」という漢字ですと、にんべんになっています。「人間のパーツに関連した意味である」という意味があるんですね。一方で「つくり」には、読み方ですね。音読みのニュアンスが込められているんです。
漢字を覚える時には、まず「へん」と「つくり」を考えてみようと。この漢字の意味はどういった意味だから、この漢字の「へん」はどういった「へん」になるのか。木へんなのかにんべんなのか、糸へんなのか。
そして読み方ですね。音読みの時にはこういう発音だからとか、例えば「『セツ』って読むような漢字にはどういうものがあるか」を連想すれば、この漢字は自ずと出てくるんじゃないかなって、指導しているんですね。
これもやはり、知識を体系化するという、メモリーツリーノートに通じるところがありますね。1つの事柄から複数のものを覚える。まさにこのメモリーツリーノートの本質と言ってもいいのではないかと思います。
西岡:めちゃくちゃわかるなあ。僕は受験の選択科目で生物を使った人間なんですけど、臓器のやつとか、毎回漢字でミスするんですよね。でもよく考えてみたら、そのミスもおかしくて。へんに「月」を使ってないんですよ。
だって「にくづき」じゃないですか。体の部位の漢字だから、だいたいは「にくづき」を使うんだって、わかっていたら絶対にそんなミスしないはずなのに、そういうミスをしてしまっているのは、やっぱり丸暗記していたんだなと。反省することが多いエピソードだなって思いますね。
記憶定着はこんな感じですね。他に記憶定着で語っておくことはありますか?
片山:そうですね、東京大学に入って、実際に東大の先生から「記憶」の授業を受けたりしているんですけど。
西岡:医学部、さすがっすね!
片山:そうなんですけど、身もふたもないことを言うと、やっぱり暗記に必要なのは「反復練習」と「睡眠」だと、その先生もおっしゃっていたんですね。
西岡:やっぱり睡眠は必要なんだ。
片山:そうです、睡眠も大事です。
西岡:受験生とかでも、睡眠時間を削ってどうのこうのって言っている方はいらっしゃいますけど、やっぱり睡眠は必要なんすね。
片山:そうですね、どうしても通説で「徹夜して、一夜漬け」みたいなものもあると思うんですけど。無意味とは言わないまでも、実はしっかり寝て記憶に定着させたほうが効果的だと、科学的に証明されているので。
西岡:みなさん、いいところだけ聞かないでくださいよ。だからといって、「一夜漬けしないで寝てたら成績が上がるんだ」ってことはないですからね。ちゃんと勉強したうえで寝るんですよ! 今、過去の自分に言っているような気分で言っていますけど、これ過去の自分が聞いていたら、「あ、そうなんだ! じゃあ寝よ!」って言って、寝てたような気がするんで。ごめんなさいね、変な漫談をしてしまって(笑)。
片山:まとめますと、結局「記憶」はとりわけ誰でも努力する必要があると。その中の努力の仕方を工夫することによって暗記のしやすさは変わってくるので、本の第2章にある「暗記定着のノート」をうまく活用して、効率的にできたらいいなと思います。
西岡:なるほど、ありがとうございます。なかなか覚えられない人もいらっしゃるので、ぜひみなさん参考にしてみてもらえればと思います。ありがとうございます。
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