平時にも有効な映像活用

布井雄一郎氏(以下、布井):今のユースケースのご紹介で、有事の際や災害時のご利用のイメージが湧いてきたかなと、僕自身も思うんですけれども。映像活用は平時においてもすごく有効だと思っております。

その流れで、3つめのパネルに移らせていただきます。「平時利用と今後気をつけていく点」ということで、キヤノンマーケティングジャパンさんがご提供されている自治体さまで、平時の映像活用での「こういうユースケースはおもしろいな」とか、「すごく有効だな」というなところはありますか? 

寺久保朝昭氏(以下、寺久保):先ほど少し申し上げた以外では、実は道路使用許可が必要な業務の記録を取ってないとか。

布井:道路使用許可? 

寺久保:例えば、道路を工事してしまうとかですね。相楽さんとも話していて、こういうケースもあるのだろうなと思ったんですけれど。コロナ禍ですので、例えば居酒屋はお酒の提供を20時までに終わらせなければいけない。それがちゃんと終わっているのかとか。あとは客引きですね。

布井:おぉ、なるほど。

寺久保:相楽さんと話していておもしろいなと思ったんですけれども、要するに道路使用許可を得ないでやってしまうような業務を、パトロールする。そういった業務は場所が動いてしまい、なかなか普通の定点カメラをつけるわけにもいかないので、このウェアラブルカメラが使えるのではないかとお話しされていて。

実際に会社で聞いてみると、他にもそういうニーズやリクエストをもらったことがあることも確認できました。今時は、やはりあるんだなぁと。そのあたりは平時でも利用できるのではないかなと、非常に可能性を感じているところです。

市民の安全を守る、平時の「河川監視」にも採用されている

布井:ありがとうございます。さっき寺久保さんからご紹介いただいた、平時の河川監視のようなところも、やはりありますか?

寺久保:そうですね、河川は非常に多いです。今回のウェアラブルカメラではないのですけれども、ネットワークがなくても電源だけあれば、今の状況をリアルタイムで把握して、例えばYouTubeでもライブ配信できる。そういった我々のソリューションは、非常に多く引き合いをいただいています。

具体的な市町村の名前は言えないんですけれども(笑)、市町村のホームページに「なんとか河川のなんとか状況は……」とあるのを見たことがある方は、たぶんいらっしゃると思います。実はそうしたところで多く採用されています。

例えば、河川の映像に線を引くことができて、「ここは上から1メートル」とか「3メートル」とか、「このへんに行ったら危ないよ」とサジェスチョン(提案)してくれるような使い方もあります。「工夫されているな」「市民のみなさまの安全を守ることに使われてるな」というのはよく見かけます。

防災だけでなく、建設の現場にも使い道がある

布井:ありがとうございます。具体的な自治体さまの例を1つ。茨城県の美浦村でも、まさにズバリ、今寺久保さんにおっしゃっていただいたような平時の河川監視で使っていただいています。

実際に河川の水位をちゃんと見て、その映像をYouTubeと連携させて、村民のみなさまにしっかり発信をして、「今このぐらいまで危険値にきているよ」とか「まだ大丈夫だよ」ということを、しっかりと見える化する。すでにこういった使い方をしてくださっている自治体さんもあります。

このあたりは、梅雨に入ったり台風のシーズンになってくると、関心度の高くなる使い方かなと思います。すごくクラウドカメラがマッチするのではないかなと、我ながら思っているところです。それ以外になにか、平時の使い方があったりしますか。

相楽俊洋氏(以下、相楽):千葉市の場合は防災部門だけでなく、建築部門の建設局でも、カメラの導入を検討してる部分があります。せっかくですので「1回どう?」って使っていただいた時は、道路の点検に実際に使っていただきました。

いわゆる緊急点検と呼んでいますけども、市民の方から「ここの道路に穴があいてますよ」という通報があった時に、現場に駆けつけて状況を確認して、それで今後の対応をどうするかと。

ただ、状況によってある程度なら土木事務所の市の職員直営で修復できる場合もあれば、規模が大きくなってくると、やはり外注して、外部の事業者さん、専門技術者さんにお願いしなきゃいけないところもあります。

その判断をするには、やっぱり現場にわかる人間が行かなきゃいけない。その中でこのカメラを使って、現場にわかる人がいなくても、遠隔で映像を見ながら「ここはどうだ」という使い方がされたと聞いています。そういった使い道も1つあるのかなと思いました。

業務で発生する“密”を避けるような使い方も

寺久保:先ほどの「道路使用許可を得ない」ことで言うと、先ほど相楽さんがおっしゃっていましたけど、自治体によっては道路を監視するというか、幹線道路もくまなく見るという業務があります。私は知らなかったのですが、実は道路使用許可を得ないで工事をしてることがあるんですってね。

例えば今まで2人でやっていた業務を、コロナ禍ですので、同じ車に2人乗るよりも1人に乗ってもらって、もう1人が本部にいて会話をしながら業務をするのに使えないか、ということは具体的にありました。

言い方は良くないんでしょうけど、「人と同じ空間にいたくない」というニーズに対して、そういう使い方もあるということに、「なるほどな」と思いました。相楽さんたちと会話して、そんな利用の仕方でも、ぜひ取り組んでもらうといいのかなと思います。

布井:ありがとうございます。千葉市さまでは、建設局さまに使っていただいたんですか。

相楽:はい。

布井:その時の現場の方のコメントが何かあったら教えていただけますか。

相楽:非常に使いやすかったことと、もう1つは確か使わせていただいている最中に、やはり手で持たないといけないところがあって。もっとヘッドセットのようなものがあったらいいな、というリクエストをしたところ、すぐに用意していただけました(笑)。「オプションができましたよ」と、追いかけで利用させていただいて、使い勝手も非常に良かったと聞いております。

布井:ありがとうございます。いろいろなところに取り付けるアタッチメントも、常に充実させるように努力しています。やはり現場の方は、手が空かないとすごく不便だと思いますので、そこは引き続き拡充していきたいと思います。

コロナ患者と医療従事者の接触を減らす、医療現場での活用法

布井:あとは、さっき相楽さまもおっしゃっていましたけれども、コロナ禍のユースケースも増えるのではないかなと思っています。実際に、もうすでに医療の現場で弊社のクラウドカメラを使っていただいている例があるので、簡単にご紹介します。

聖マリアンナ医科大学病院さまで、実際に使っていただいている例です。ここはダイヤモンド・プリンセス号で一番最初の集団感染が発生した時に、重症患者さんを受け入れていただいた病院です。

そこでどんな感じで使っていただいたかというと、実際に患者さまと医療従事者さまが接触する機会をできるだけ減らして、医療従事者さまの安全を確保するところ。患者さまの容態やバイタルをカメラで見て、医療従事者さまが遠隔でその状況を確認するかたちで、医療業界でもクラウドカメラを活用いただいている状況です。

今後自治体さまでも、ワクチンの接種などでこのあたりのポイントはニーズがいろいろと出てくると思いますので、ぜひ活用いただける事例なのではないかなと思っています。

行政・自治体は気を付けたい、ネットワークの問題

布井:以上が、平時も含めた利用のイメージだと思うんですけれども。自治体さまでクラウドカメラ・クラウド映像サービス問わず、クラウドサービス全般を使う時の注意点として、実際に実験されてみてなにか気づいたことはありますか。

相楽:実際にありましたのは、ネットワークですね。全部の自治体ではないとは思うんですけれども、今、特に行政・自治体などですと、インターネットのネットワークと庁内のネットワークを、完全に分離するかたちになっています。こういったクラウドサービスを活用するにあたって、インターネット側のサービスを使うとなると、そこにかなりの制約がかかってきています。

実際に使ってみて、通常我々が使っているパソコンからインターネットを介して「Safie Pocket2」のクラウドにつなげた時に、音声が使えなかったことがありました。なぜかというと、やはりインターネット側のサービスですね。我々が使っているインターネットサービスでは、音声機能やマイク機能が使えないようになっていると。

映像で音は聞こえるけれども、こちらが発信する言葉が使えない。だから「Safie Pocket2」のヘッドセットやカメラ側からの声はこちら側で聞こえるんだけれども、市役所側でしゃべった声はカメラには届かないことがありました。原因を調べたら、やっぱりインターネット側の環境の問題ということがありました。

各自治体によって、もしかしたら設定が違うのでなんとも言えないんですが。そのあと実際に調べてみたら、そのマイクを使うためには、けっこうな費用がかかるということがありまして(笑)。これはちょっとそのまま使えないなぁというのが、1つ解決しなければいけない課題です。

実証試験は、現場の生の声が聞けるチャンス

相楽:ただ、これはうちの自治体だけではないと思います。全国的にリモートワークも進んでいたり、こういったウェビナーも自治体で当然使うようになってきています。たぶんその環境が使えるようなパソコンを自治体独自に入れていると思います。うちもZoomを使うとか遠隔で会議をするような専用の端末があります。

そういった端末を使えば、この「Safie Pocket2」のクラウドサービスも普通に使えて、マイクも使えたということでしたので、その辺をうまく使えれば。世の中の環境がそっち(オンライン)に近づいているのかなと、この1年ぐらいで非常に感じています。

布井:寺久保さん、これは実証試験をさせていただかなかったら、絶対にわからなかったことなのではないかと思うんですけど(笑)。

寺久保:そうですね。仮説提案は考えられる範囲ではできるんですけども。実際にお使いいただくと、相楽さんのような生の声というか。良いことももちろんあれば、考えていたことがやはり本当に仮説で、もっと違う利用の仕方があると気づかされます。

なので非常にいい機会、チャンスをいただいたと思っております。ほかの自治体のみなさまにも、価値を提供できればと思っています。

布井:わかりました、ありがとうございました。

大規模な停電に備えた、回線の改善余地

布井:それでは4枚目、最後のスライドですね。「今後の展望」ということで、すごく幅広いテーマで恐縮なんですけれども(笑)。千葉市さまで、映像活用に関して今後こういうふうに広げていきたいとか、こういう可能性を感じてますということがございましたら、ぜひお話しいただければ幸いです。

相楽:映像を使うこと、さらにネットワークを通して使うことになるとそれなりに準備が必要だった部分が、かなりハードルが下がっています。個人的には、いろんな活用の仕方があるのではないかなと考えています。自分の中で1つ思っていたのは、市民向けの説明会用に使えないかと。

もうちょっとマニアックに言ってしまうと、携帯電話と置き換えてこの「Safie Pocket2」を入れられないかという検討をした時、実は我々は緊急時に携帯電話を使うので、電話回線が優先回線になっているというハードルがありました。そういったところがSIMの部分の機能として変わって、もっと優先的に使えるような環境が作れれば、災害時の利用はもっと進むという気もしました。

あと、この間の災害の時に1つ困ったのが、大規模停電。ご存知かもしれませんけれども、千葉県ではかなり数のお宅で長期間停電が続いて、一番長いところは20日間も続きました。その中で我々として非常に大きかったのが、電話回線が使えなくなったという状況です。これは残念ながら「Safie Pocket2」さんのLTEも同様に、たぶんその時は使えなかったと思います。

その解決策として、我々は専用の無線を入れましょうということで、新しいMCA無線を入れました。ただMCA無線も、今SIMカードを使ったパケット通信を備えており、SIMが入っているということなので、そのSIMを使って映像を流せたらという話もあります。今後その辺をご検討いただけないかなと。

避難所でのカメラ使用に必要なのは、映される側の状況の理解

相楽:それからもう1つ、避難所での映像活用は、見るだけではなくて。もしそこにもう1つ機能を付けて、入ってくる人たちの温度管理・体調管理がカメラとソフト的に対応できたら、災害時にさらに使いやすいかなと考えたところでした。長々とすいません(笑)。

布井:いえいえ、ありがとうございます。相楽さんは避難所のユースケースをみなさんで議論している当初、けっこうプライバシーのところもおっしゃっていただいてましたよね。その辺りもやはり、ポイントといえばポイントなんでしょうか。

相楽:カメラが鮮明に映しすぎてしまって、避難所が細かに映ってしまうと、いやがられる方もいるので。どういった使い方をするかは、当然プライバシーに配慮して、ただ「必要なものですよ」と理解していただいたうえで導入していかないといけない。映される側の状況もちゃんと理解しないといけないかなとは思います。

布井:寺久保さん、このあたりは技術的にというか、我々もそうなんですけど(笑)、一緒に解決していかなきゃいけないところではありますよね。

寺久保:そうですね。「セーフィーさんと密に連携をして」と冒頭に申し上げましたけども。セーフィーのCEOのみなさまを含めていろんな会話をする中で、やっぱりプライバシーと言うか、特に顔の情報を使った映像のソリューションは、まさに個人情報保護との兼ね合いが非常に高い。

そこをどうやってブレイクスルーしていくのかは、技術的なところもあるでしょうし、実はアナログで解決できるところもあるのかなと思っています。例えば画角を少し変えて、足元だけ映して今の状況を把握してもいいですし。

この「Safie Pocket2」ではなかなか難しいかもしれませんが、わざと少しピントをぼかすようなことも。難しいソリューションではないんですけども、そういうふうにして解決して、個人情報を守ることで導入いただける自治体さんもいます。

全国の自治体をフォローアップできる体制に

寺久保:なにも難しいことだけではなくて、いろんな提案はできるのかなと思っています。ことカメラに関しての機能で言うと、我々は本業ですので。その辺のノウハウも活用して、みなさまにいろんな提案をできればなと思っています。

もちろん技術的に解決できることもたくさんあるんですけども、アナログとデジタルの技術的なものを組み合わせて、提案をしていきたいなと思います。

布井:ありがとうございます。やはりキヤノンマーケティングジャパンさんとしては、自治体さまのフォローアップを今後も手厚く、広くやっていく方針なんでしょうか。

寺久保:そうですね。これまで申し上げてきましたけども、相楽さんも進めているような災害時の利用もそうですし、もちろん平時の利用もそうです。今回キーワードとして出てきた「遠隔でなにかを見たい」とか「遠隔でリアルの状況を見たい、それを保存しておきたい」というようなリクエストは、このコロナ禍において非常に高まっているなと思っております。

ですので、みなさまとの実証実験で得た経験を踏まえて、自治体のみなさまにフィードバックすることで、社会のお役に立てればと思っています。キヤノンという会社は日本全国でアプローチできる体制を整えていますので、全国網羅的に、みなさまに価値を提供していきたい、全力でサポートしていきたいと思います。

実際に使ってみることで、さらなる可能性が見えてくる

布井:ありがとうございます。相楽さんは、キヤノンマーケティングジャパンさんとセーフィーに「こういった機能を期待する」とか「こういった発展を期待する」というところってありますか?

相楽:先ほど言ったとおり、ネットワーク環境や使い道は、やはり使ってみないとわからなかったのが正直なところです。私が言うのもなんですけど、実証実験の環境は幅広くご提供いただけるような状況です。

それからやはり、さらなる可能性ですね。寺久保さんがおっしゃったとおり、映像を使うところは、今の現状からコロナ禍でだいぶ進展しました。一昨年から去年、今年と大きく変わっている状況で、正直自分もついていけているかどうか、悩みながらやっているような状態です。

こういったウェビナーは見ることはあったけども、「こうなってるんだ」とちょっと勉強させていただいたり。これからも勉強していかなきゃいけないですし、それを使って市民にもっともっとサービス提供をしていかなきゃいけないと思っていますので。

そういった意味でも、できるだけ情報を提供していただけるような環境を作っていただければ。千葉市だけでなく、多くの自治体でも、気軽にと言ったら失礼なんですけども、使ってみたいところにはご提供いただけたら、またもっと良い知恵が出てきたりするのかなと。“一致協力”と言ったら変ですけれども、そういったかたちで協力できればいいかなと思っております。

布井:ありがとうございます。お時間になってまいりましたので、パネルディスカッションはこちらにて以上とさせていただきます。お二人とも、どうもありがとうございました。

相楽・寺久保:ありがとうございました。

スマホアプリではなく専用デバイスだからこそのメリット

布井:それではご質問のお時間に移りたいと思います。実際の自治体さまのご意見ということで、相楽さまにもこちらに残っていただいて、ご回答いただければと思いますので、よろしくお願いします。

すでにいただいている質問を簡単に読ませていただきます。「スマホのアプリでなく、専用デバイスならではのメリットを教えてください」ということです。これは先ほど寺久保さんがおっしゃっていただいたことに、すごく近いかもしれないですけども。

寺久保:そうですね、先ほども確かに申し上げましたが、やっぱりよく聞かれました。社内の営業のメンバーにも聞かれました(笑)。「これはスマホと何が違うのか」と言われまして、うちのメンバーもいろいろ悩みながらですね。

セーフィーさんと一緒に「こういう利用の仕方ができるよね」と言った中で、先ほどの「映像をクラウドに貯めることができる」というのがスマホにはできない機能で、一番の大きな違いだなと思いました。

気軽にその映像を振り返って、みんなで活用できる。クラウドですので自分だけではなくて、いろんな人が見ることができる。特に自治体さまもそうですが、業務の中のエビデンスとして残せるのは非常に大きな違いだなと思いました。

通信したり映像を送ることは、普通にスマホでもできますので。「クラウドで録画できる」というのは当たり前なんですけども、そこが大きな違いかなと今は思っています。

まずは1台でも、とにかく使ってみてほしい

布井:ありがとうございます。実はすごく質問をたくさんいただいていて(笑)。全部お答えしようと思ったんですけども、ちょっとピックアップさせていただければと思います。ご質問をいただいた方、どうもありがとうございます。

2問目は相楽さまへのご質問かなと思うんですけれども。「自治体で利用するにあたって、だいたい何台ぐらいの目安で考えておけばいいでしょうか」という。おそらく「Safie Pocket2」のユースケースにもよるかと思うんですけども。

相楽:そうですね、ユースケースにもよるかと思うんですけど、まずは1台でも。実際に千葉市では1台を借りて、いろんな部署で試して使ってみて、というところでしたので。私は「まず最初は、とにかく使ってみてはどうでしょうか」と言いたいですね。その上で「こんな使い方もあるよ」ということを、できれば庁内で横連携して情報共有していただければと。

その際のユースケースとして「千葉市としてはこんなものがあったよ」とお示しいただければとは思います。そういったかたちで使ってみてはどうでしょうか。

布井:ありがとうございます。もう1問が「もうすでに各避難所に『Safie Pocket2』を配備しているのでしょうか」という質問です(笑)。

相楽:さすがにまだまだ、実証実験の最中ですので(笑)。今後どうするかは、多角的に検討しなければいけないと思っています。ここ(セミナー)に私が出ているからといって、残念ながら導入することには決してなりませんので(笑)。いろんなかたちを検討しながら進めていくのかなと。まだ今のところ、導入はしておりません。

不法投棄や無許可営業の監視などにも広がる、活用のアイデア

布井:もう1問が「千葉市さまでも映像のYouTube配信は検討されていますか」。

相楽:個人的には考えたんですけれども、なかなかハードルが高くて、まだできてないところです。「Safie Pocket2」さんでもできるんでしたっけ。ただ我々もそこまで手が伸びてないところで、そもそもYouTube配信に、私も不慣れな部分があるのでまだできていません。

布井:質問をすごくたくさんいただいて、ありがとうございます。ラスト1問ですね。「その他、自治体さんでの活用のアイデアがもしあったら、アイデアベースで構わないので教えてほしいです」という。これはお二人に伺ってもいいですか。寺久保さんから。

寺久保:弊社のメンバーと会話した中で出てきたのは、ゴミの不法投棄ですね。よく不法投棄されているところにはカメラを設置するんですけども、そうでもないところはけっこうあると聞いています。ゴミを捨てられるところに職員の方が行かれて、事実を確認してくると。

今までは2人で行っていたんだけど1人で行ってもらって、その映像を映して、本部側で相楽さんのような方が見て、「それはどうなんだ」という会話をして業務を行うようなことはきっとあるんだろうね、と。探ってみると、やっぱりそんな引き合いがあったりします。

あとはキッチンカーは道路使用許可を得なきゃいけないのに、許可を得ないで道路で業務をしていることが一般的にあると。あと、たぶん靴磨きも道路許可がいる。

例えば千葉駅などにはあるかもしれないですけれども。確か品川でも、有名な靴磨きの方が出てくると警察が必ず来て(笑)。イタチごっこではないですが、要するに道路使用許可を得ないで営業しているところは、比較的多いんだろうなと感じてます。

なので“おもしろい”ではないですけど、使うことはできるのかなと思ったりします。映像で撮って今のリアルを発信する、エビデンスにするのはあると思います。

コロナ禍の飲食店支援に役立つアイデアも

布井:ありがとうございます。相楽さん、ジャストアイデアでもけっこうですが防災以外のアイデアはなにかありますか。

相楽:個人的なアイデアですけど、1つ、実際に使ったのは市民向け説明会です。実際に自分が説明しているところを映像で撮ってもらって。カメラレンズが広角だったので本当にポンと置いて、実際にこういう話をしてきたよと、フィードバックするための記録として撮っておくのに非常に役に立っています。自分の事業を撮るという使い道もあるかなと。

これは最近の話なんですけども、今現在、飲食店さんは非常に営業が厳しい状況です。そこで、一部認証制度を設けて、緊急事態宣言においても飲食店の営業ができるように、時短営業を少し解除するような動きがあります。実は、千葉県千葉市でも取り組むことを先週発表したばかりなんです。

そういったところは、お店を点検しに行かなきゃいけないですね。その作業でも、実際に見に行くのに映像を使ったりします。このコロナは、たぶんしばらくは収束しない。先ほどの客引きの話もありましたけど、そういった街の中の監視的な使い方は、またニーズが出てくるような気もします。そういった意味でパッと使えるのは、可能性があるんじゃないかなと思いました。

自治体の業務や住民の安心安全を守る、有効なデバイスになり得る

布井:ありがとうございます。お時間の関係で、ご質問は以上とさせていただきます。ご質問いただいた方、どうもありがとうございました。最後にお二人のほうからの、締めのお言葉をいただいて(笑)。まず寺久保さんから。

寺久保:今日はどうもありがとうございました。相楽さまの活用の事例であったり、私どものほかの自治体さまとの引き合いなどは、自治体における業務や、住まれる方の安心安全を守るという意味で、非常に有効なデバイスになり得るのではないかと思っております。スマホと違う活用の仕方は必ずあるはずです。

今日お話しした以外にも、きっといろんな使い方・可能性があるデバイスだと我々は思っています。セーフィーさんと一緒に機能性をアップをしたり、使い方の例示をしたりして、お役に立てればなと思っています。

キヤノンという会社は、今日の場をつくっていただいたCDC情報システムさんのようなビジネスパートナーのみなさんもたくさんございますので。ぜひキヤノンの取扱店にご連絡いただければ、今言ったような情報をみなさまにくまなく提供できるのではないかと思います。相楽さまともぜひ、またいろんなディスカッションをさせていただいて、関係性を保てればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

画期的なのは、いろいろな調整不要でカメラ1台だけで済むこと

布井:相楽さん、お願いします。

相楽:私としてはとにかく「使ってみてはどうですか」という、その一言に尽きると思います。私どもは使わせていただいて、「これは可能性があるんじゃないのかな」と思っています。あとはそれぞれの行政・自治体さんの条件などを踏まえながら。

災害時のようなパッと使いたいところは、一考に値するのではないかと思っております。それぞれの自治体さんのお考えになると思いますけれども、ぜひご検討いただければと。

とにかく今までだと、システムを1つ入れるだけでも「電線はどうする」「電源はどうする」「回線契約はどうする」といった、面倒くさいと言ったらいけないんでしょうけども、いろいろと付帯することがありました。でも、これは本当に機械1台だけ。そこだけでも、非常に画期的だなと思った次第です。

そういった面を含めて、ご検討いただいて使ってみてはどうでしょうかと。私が言うのも変ですけどもね(笑)。使ってみた感想としてはそう思いました。

布井:ありがとうございました。それでは以上をもちまして「自治体によるクラウドウェアラブルカメラ活用の可能性~千葉市での実証実験共有セミナー~」を終了とさせていただきます。みなさま、ご清聴ありがとうございました。そしてお二方、どうもありがとうございました。