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kintone hive tokyo vol.12 / kintone AWARD 関西地区代表:神戸市役所 藤原 慎之輔 氏(全1記事)

2021.01.18

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「公務員だって自力で改革したい」 市役所の紙文化にkintoneで挑んだ平職員の奮闘

提供:サイボウズ株式会社

kintoneの活用アイデアをユーザー同士で共有するライブイベント「kintone hive 2020」が名古屋・仙台・福岡・大阪・松山・東京の6会場で開催されました。本セッションでは、各会場で地域代表として選出されたファイナリスト6社にその活用事例を発表いただき、2020年最も共感を得た活用事例「kintone AWARD グランプリ」を決定します。本記事では、神戸市役所の藤原慎之輔氏に、どのようにkintoneを使っているのか? そしてkintoneを使うことでチームがどう変わったのか? についてお話いただきました。

圧倒的な紙文化だった職場がkintoneに出会うまで

藤原慎之輔氏(以下、藤原):みなさん、こんにちは。私は神戸市役所の藤原と申します。本日は「公務員だって自力で改革したい! ~そんな武器で戦えますか?~」というタイトルでお話をさせていただきます。

内容としては、私が神戸市役所でどうやって業務改革をしたのか。どう仲間を見つけて、実現まで漕ぎ着けたのか。そのようなお話ができればと思います。

それではまず自己紹介からさせていただきます。私は藤原慎之輔と申します。役職は特になくて、今は神戸市西区役所の総務課に所属しております。主な業務としては、選挙などを担当しています。18歳の時に入庁して5年目なので、今年で23歳になります。

実は、私自身は神戸の出身ではなくて、兵庫県の加古川市の出身です。とにかくお酒が大好きなので、近畿でも関東でもいいのですが、素敵な飲み屋さんがあったら教えていただけたらなと思います。さて、それではkintoneの活用事例をお話ししていこうと思います。

まず私は今、神戸市西区役所の総務課に配属されているんですが、5月21日に開催されたkintone hive osakaの時には、建設局に所属していました。主に道路や公園や河川の管理をしている事務所になります。

みなさん、こういう黄色い車を見たことがありませんか。「あるよ」という方、いらっしゃいますか? 道路をよく走ってますので、けっこう見られていると思うんですけども。

(会場から手が上がる)

ありがとうございます。私の所属していた建設局では、こういった道路維持作業車を30台ほど所有しておりまして。インフラの維持管理を行っている事務所に、今年の5月まで配属していたんですね。

それでまず課題になったのは、車検証などの紙の使用を削減することでした。おそらく民間企業でも同じだと思うのですが、公用車を運転する際には、車検証の写しや日報等を紙で管理することが多いんですね。

実際に、30台の公用車に使用していた紙の枚数を数えてみると、毎年5,000枚以上の紙を使用していました。このファイルにすべてが入っているのですが、車検証とか自賠責の写しをずっとファイリングしていました。

一応Excelの台帳も作っていたんですが、点検が1つ終わるたびにもう一度打ち直して、それをホワイトボードに貼り直して。要するに、結局Excelにしたんですけど、依然として運用は紙で行われていて、非常に非効率でした。

そもそも、紙とExcelで管理することが無駄じゃないかと私はずっと懸念していました。あとは単純に、日報に紙を使いすぎですよね。

手薄だった装備にkintoneが加わって起きたこと

課題は紙以外にもありました。公用車を管理するためには車検が必要なのですが、これを逃したり漏れてしまうと、「忘れてました」では済まない問題に発展してしまいます。

車検を忘れると、まず刑事処分が下されます。加えて、自治体職員が公用車の車検を忘れて業務を行っていたと報道もされてしまう可能性だってあります。

そんな状況から、いかにしてkintoneを導入して改革していったのか? という話をさせていただくのですが、RPGの装備に例えてお話しさせていただこうと思います。

今の現状は、Excelと紙を使って業務を行っていました。装備がほとんどない状態、こん棒と腹巻きだけで戦っていたようなものですね。さて、ここからkintoneを導入していきます。

市役所の情報システム部門から、「kintoneの勉強会をするから職員の人はみんな来てね」と案内がありました。私は「よくわからないけどおもしろそうだな」と思って参加をしたんですね。

勉強会に参加して、これは何かに使えるのではないか……と漠然とした発想に至りました。それを情報システム部門の方々に伝えると、アカウントをいただくことになって。「じゃあ少し試してみようか!」という流れでkintoneと出会いました。

最初に取り組もうと決めたのは、Excelで管理していた資料を、そのままkintoneに取り込んで、台帳をkintone化することです。車検証や自賠責のやり方をアップロードして、紙がゼロになるように持って行きました。

さらに、車検の前になるとメールで、「この車はあと何日後に車検ですよ」と通知が届く設定にしました。紙の使いすぎ問題と車検漏れの問題を、kintoneが即座に解決してしまいました。

これが詳細なんですけど、kintoneにはリマインダー通知機能があります。ある一定日に、通知をしてくれる機能なのですが、車検の30日前に「1ヶ月後に車検が迫っていますよ」と通知が行くような設定をしています。これが実際に届いたメールです。このリマインドが車検漏れ防止になりました。

kintoneにプラグインを連携すれば簡単に強くなれる

これが今の装備です。kintoneを装備したことによって、武器や防具が進化しまして、非常に戦いやすい格好になった。でもまだまだです。

次に取り組んだのは、プラグインという機能です。これを使えば、運転日報の問題も解決できると思いつきました。

この写真が公用車の運転日報です。段ボール箱2箱分です。これが毎年発生します。こんな無駄なことはないだろうと。さらに紙が発生するだけではなく、紙1枚に対して、担当と係長と課長が判子を押す作業があります。加えて、紙に書かれた内容をExcelに打ち直して集計する作業で、丸1日以上が潰れていたんです。これはもう無駄ですよね。じゃあプラグインを使ってみようと。

加えて、kintoneに、「フォームブリッジ」(注:kintoneに接続できる高機能なwebフォーム)と、「kViewer」(注:ノンプログラミングで一覧表やグラフを作成できる機能)と、「プリントクリエイター」(注:ノンプログラミングできれいな帳票印刷ができる機能)を連携させました。トヨクモ株式会社の販売しているkintoneの3種の神器を使うようになりました。

まず、職員がフォームブリッジで入力することで、kintoneのアカウントを職員全員が持たなくてもよくなりました。入ったデータをプリントクリエイターで帳票化して出力して、それを電子決済に添付すれば、紙はすぐにゼロになるだろうと。

それを実現するために、まずアプリとフォームを作成しました。アプリを作った上で、そのままフォームブリッジに取り込めばフォームも作成できます。これで運転日報もkintone化に成功することができました。

もちろん自席のパソコンでも入力できますし、自分のスマートフォンを使って運転日報を入力することもできる。なので、職員がわざわざ紙に書く必要がなくなりました。もちろん異常のある走行距離があれば、管理者に通知もいきます。

これが今の装備です。非常に強くなったように見えませんか。新しい武器も防具、マントまで付いちゃってますね。kintoneとプラグインを連携すれば、ノンプログラミングでここまでできるわけです。

そして、この進化は4ヶ月で行われました。6月からkintoneを使い始めて、仮運用期間、現場の人に実際使ってもらってフィードバックを反映させて、10月から本格施行を開始することができました。具体的なかたちになるまでわずか4ヶ月でした。

公務員でもわずかな期間で実施できる。まず最初に、その使いやすさをアピールさせていただきたいと思います。そして、実はこの取り組みが、市役所の表彰制度で大賞に選ばれまして。市長の公用車も含めて、市役所内30以上の部署に展開することになっています。市長の公用車でも、すでに同じような取り組みが始まっております。

公務員の職場環境をたった3ヶ月で変えてくれた

ここからは、私が建設局から西区役所に異動してから行った取り組みを紹介させていただきます。

西区役所に異動した私は、まず国勢調査にkintoneを導入しました。調べてみると、今までは神戸市全域からの問い合わせがあった。その問い合わせを電話で受けていたら、職員の残業時間が5年前に160時間ぐらいになっていたんです。その電話問い合わせを減らせないかと思って、kintoneを活用しました。

結果的に、累計13,000件の国勢調査をkintone上で回答することができました。これに加えてのメリットなんですが、まず職員が電話を受けなくなりました。そして市民の方は、24時間いつでも問い合わせができる環境が実現しました。

そしてこれは、私が西区役所に異動してから3ヶ月の間に実施されました。5月21日に異動して、そこからアプリを作成してホームページに掲載して。たった3ヶ月で実現まで漕ぎ着けることができたのです。

次にご紹介するのは、コミュニティの醸成についてです。神戸市ではITを使った業務改善に興味のある職員を集めたコミュニティが存在しています。そこにはkintoneのルームもあって、市役所の職員が100人以上参加しています。このように、ハンズオンセミナーを開いたりしています。

公務員でも、何の役職もなくても、改革は可能だ!

さて、今日お伝えしたかったことですけれども、みなさんは役所に対してお堅いイメージをお持ちの方がけっこういらっしゃると思うんです。私は実際、何の役職もないただの平職員なのですが、それでもこのように短期間で改革することだって可能な環境なのです。

もちろんそれは、担当者の熱意に左右されると思いますが、ちゃんと業務を変えることができます。例えば上司に何か言われるのが嫌だとか。そういう状況に身を置いている人もいらっしゃると思いますが、それでは何も前に進みません。自分の考えをもっと表に出すことが大事だと思います。

これは、私の個人的な今後に対する想いなのですが、将来はエバンジェリスト的な人材になりたいと考えています。今は神戸市役所だけなんですけれども、みなさんがお住まいの自治体にも、kintoneとかICTのツールが入れば、もっと市民生活が楽になると思ってます。

例えば……来訪しなくて良い市役所とか。そういったものを実現したいと僕は思っています。なので、神戸市にとどまらず、全国の自治体に伝導していけるような人材になりたいと考えています。

それから、私個人の神戸市への想いなんですが、神戸市と言えば何かオシャレなイメージがあると思うんです。そのためには、やっぱりITを活用していく必要があると思うんですね。最先端の都市を目指していくためには、まず職員がITに対してアレルギー反応を持ってはいけないと思っています。

kintoneのようなローコードツールは、その足がかりになると私は思っております。以上で私の発表を終わらせていただきます。みなさん、どうもありがとうございました。

相馬理人氏(以下、相馬):藤原さん、ありがとうございました。それでは藤原さんのZoom応援団もお呼びしたいと思います。Zoom応援団のみなさーん。

相馬:たくさんいらっしゃってます、すごいですね。会場にもたくさん来ていただいてます。

まず、お話を聞いていて、ぜひエバンジェリストになっていただきたいなと思いました。そして、ゼロの状態からkintoneを利用されて、これだけのスピード感で進められたわけですが、これからkintoneを学ぼうという方に、コツがあれば教えて欲しいと思いました。

藤原:そうですね。私の場合はすべてを独学でやったんです。市役所としても、「kintoneを試験的に入れていこう」という話があって。ただ、アカウントはもらったけど、何をどうすればいいかわからなかった。

それを乗り越えるために、私の場合は、情報システム部門の方々に、「これってどうやって使うんですか?」という質問をしてですね。やっぱり自分から行動していくことが大事だと思います。それはkintoneを使う上だけではなく、業務改善全体に対しも言えることだと思うんです。そのくらいの行動力がないと、うまくいかないことってけっこうあるのかなって思います。

相馬:待ってるだけじゃなくて、自分からちゃんと行動するということですね。わかりました。みなさん、藤原さんにもう一度大きな拍手をお願いいたします。

(会場拍手)

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