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編集力で磨き上げる自社の採用ブランディング(全2記事)

2020.12.09

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DeNAメディア元プロデューサーとブランド・エディターが語る “編集力で磨き上げる”自社の採用ブランディング

提供:Indeed Japan 株式会社

2018年より始まったIndeed Japan主催のイベント「Owned Media Recruiting SUMMIT」。3年目となる今年は初のオンライン開催となりましたが、そのサブタイトルは「ニューノーマル時代の採用のあり方」。新型コロナウイルス感染症の影響により激動の時代となった昨今において、今一度、全体の戦略設計から採用サイト制作、コンテンツ制作に至るまで、オウンドメディアリクルーティングの全体像を理解できるようなセッションが、数多く設けられました。本パートでは、Day2 セッション5の模様をお届け。DeNAオウンドメディア「フルスイング」元プロデューサー 現DeSCヘルスケア株式会社 事業開発部ビジネスプロデュース部 榮田佳織氏、ブランド・エディター井手桂司氏をスピーカーに迎え、株式会社インクワイア代表モリジュンヤ氏が「編集力で磨き上げる自社の採用ブランディング」について話を伺います。

編集力で磨き上げる自社の採用ブランディング

モリジュンヤ氏(以下、モリ):よろしくお願いします。インクワイアのモリと申します。ここから50分ほど『編集力で磨き上げる自社の採用ブランディング』というセッションのモデレーターを務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

このセッションから参加される方もいらっしゃるかもしれないので、まずは「オウンドメディアリクルーティング」の定義の確認からさせていただければと思います。オウンドメディアリクルーティングとは、自社の運営するメディアを軸に高付加価値人材に自社の主体的なメッセージを直接届けていって、共感を喚起することで人材獲得につなげていくという、能動的なリクルーティングのことを指しています。

その中でも今回は『編集力で磨き上げる自社の採用ブランディング』というテーマでお送りできたらと思います。直前の枌谷(力)さんのセッションが「採用サイトをどのように作っていくか」というお話でしたが、その中でもちょっと触れられていたように、コンテンツだったりをどう作っていくかとか、その中で会社の魅力をどう伝えていくかみたいなことを、経験者のお二人と一緒にお話していけたらと思います。

改めてですが、スピーカーが榮田さんと井手さんで、私がモデレーターを務めさせていただければと思っています。経験してきていることが違う三人で、いろいろとお話をしていけたらなと思っています。

榮田佳織氏の経歴

モリ:まずは榮田さんから自己紹介をいただけたらなと思います。よろしくお願いします。

榮田佳織氏(以下、榮田):よろしくお願いします。榮田佳織と申します。今ご紹介いただきましたように、DeNAの採用オウンドメディア『フルスイング』のプロデューサーを務めておりました。現在は異動しまして、DeSCヘルスケア株式会社というところに出向して、まったく違う業務に就いています。

簡単な経歴なんですけれども、一言で言うと編集未経験で中途入社でこの業務を担当させていただいたということになります。もしかしたら、そのあたりで共感していただける方がいらっしゃるかなと思っています。けっこういろんなキャリアを歩んでいまして、最初は鉄道会社に入って5年ほど経理とかをやっていました。

そのあとベンチャーに行きたいなと思いまして。ベンチャーの会社に入りまして3年くらい勤めたあとに、DeNAに2017年に入っています。そのあともいろんな事業をやっている会社ですので、さまざまなことに携わっています。ゲームプラットフォームの営業などを行いましたあとに、2017年12月からオウンドメディア『フルスイング』を担当しました。

入ったころは、メディアが立ち上がったばっかりというときですね。その前月に、当時の私の上司が立ち上げてまして「メディアをまるっと任せられる人」ということで社内外から募集をかけていたところ、私がメディアをやりたいという話を上司に話していたら、異動の話をつけてくれて、やることになったという感じです。今日はよろしくお願いします。

モリ:ありがとうございます。自己紹介資料でタグでつけていただいてるのは、こういった属性と言いますか、経験がありますよということの参考ですよね。

榮田:はい、おっしゃるとおりです。

モリ:ありがとうございます。

井手桂司氏の経歴

モリ:では続いて、井手さんの自己紹介をお願いします。

井手桂司氏(以下、井手):よろしくお願いします。改めまして、井手桂司と申します。僕は今フリーランスで、ブランド・エディターという肩書きで仕事をさせてもらっていますが、簡単にブランド・エディターとは何かを紹介させてください。

コンテンツを制作する人は、ライターと言われると思うんですけど、ライティング業もやるし、編集業もやる。採用や広報、ブランディングとかの戦略も一緒に考えていく。そういったものを1セットでやっていきたいという意味を込めて、ブランド・エディターと勝手に名乗っています。

もうすぐフリーランスになって丸2年くらいなんですけれども、その前までは会社に勤めていて、広告の制作だとか、SNSを軸にした企業のマーケティング支援とかコミュニケーション支援をしている会社で働いていました。

今はブランド・エディターという肩書きを背負って、主にオウンドメディアでの発信を通じて企業だとかブランドの認知を高めたり、価値を伝えたり。あとはファンと言いますか、応援してくれる人を増やすところを目的に、いろいろな支援をしています。

僕は採用に特化しているわけではありませんが、人数が少ない会社になると、一人の人が広報も採用もブランド作りも考えなきゃいけない、みたいなところもあるあります。仕事をしていく中で「どうやって人を採っていくのか」も、発信をする上でのアジェンダで上がってきたりするんですよね。

オウンドメディアの編集を手伝ってたら、結果的に採用・広報にもつながってたみたいなこともあったりして。そういった感じの働き方をしている者です。今日は、自分が経験してきたことをうまくみなさんにお裾分けができればと思っているので、よろしくお願いします。

モリ:お願いします。先ほど採用に特化したわけではないというお話でしたけれども、サイズはいろいろあれど会社のブランディングと言いますか。どういうふうに発信してファンを作っていくかということを、いろんな会社さんに対してやってこられているということですね。

井手:そうですね。

モリ:わかりました。よろしくお願いします。

モリジュンヤ氏の経歴&イベントの流れ

モリ:モデレーターを務めるインクワイアのモリと申します。もともと、フリーランスでライターや編集者として仕事をしてきました。今は会社を立ち上げて、いろんな会社の情報発信のお手伝いをさせていただいています。

今日はお二人の話を聞きながら、どうやったら採用ブランディングにおいて編集が力を発揮できるのかを、一緒に考えていけたらなと思っています。

今、自己紹介いただいたとおり、榮田さんは社内でどう情報を発信していくか? ということに取り組まれてきていて。井手さんはどちらかと言うと、社外の立場からどうやったらその会社の魅力が伝わるか? ということに、ずっと取り組まれてきている。

社内から社外、両面から、どう会社のブランドを編集していけるのか? についての解像度を高めるような時間にできたらいいなと思っています。

会社の“らしさ”を、コンテンツでどう伝える?

モリ:榮田さんは『フルスイング』でどういったコンテンツを作ってきたのかを、もう少しシェアいただいてもよいでしょうか?

榮田:『フルスイング』をどんな感じで作ってきたか、ご紹介させていただきます。『フルスイング』はDeNAの「人とカルチャーを伝えるオウンドメディア」という感じでやっています。最初に私が来たときには、とりあえずバンッ! と立ち上がったところだったんですけれども。ここから何を伝えていくかっていうのは「(自分で)決めていいよ」みたいな感じだったんですね。

ただ私自身も中途入社で入って1年くらい、それも現場にいたので。DeNAで共通して伝えていくべきカルチャーとか人って何だろう? というのを掘り出すところから始まりました。

採用に紐付いているメディアなので、まずは採用チームにどんな人が採用の理想像かをヒアリングしたりしました。採用する際に、職種ごとに違うスキルセットとかもあると思うんですけれども。おそらくそれぞれの会社さんの中で共通する、採用したい人柄像とか、コンピテンシーのようなものがあるのかなと思っています。

DeNAにおきましても、やはりヒアリングする中でもいろいろとそれが見えてきました。弊社の場合ですと「DeNA Quality」という行動指針があるんですけれども。「『こと』に向かう」とか、いくつか設定されていまして。そういった言葉たちが(社内に)浸透しているんですね。

どんな人を採用したいですか? ということを採用担当だったり各部の部長に聞く中でも「しっかり『こと』に向かう人である」とか。あとは明言して外には出していなかったんだけれども、実は泥臭くがんばる人がうちに合うとか。いくつか見えてきまして。

共通する、そういった「カルチャーとなり得るような要素」をいくつか抜き出して設定していったんですね。それらを体現している社員さんを紹介してもらって、そういう方たちを記事にするようにしていました。

コンテンツ化するうえでも、インタビューして終わるというより「この記事では何を、どの要素を伝えるか」というのを先に設定しておいて。例えば「球の表面積」という言葉とかもあったりするんですけれども、伝わりますかね? 球の表面積とか言って。

これもDeNAのカルチャーの1つではあるんですけれども「ピラミッド型組織じゃなくて球体の組織である」ということなんです。どの社員も、自分が最前線であるという意識を強く持っていることを伝えようとか。

モリ:全員が現場に接しているというのは、ヒエラルキーの構造で管理側が偉くて、現場が下という上下関係ではない、ということでしょうか? 表面積というのは。

榮田:おっしゃるとおりです。

モリ:なるほど。

榮田:カルチャーとかを染み渡らせるように、という感じの作りにはしました。あとは立ち上げてから運用に乗るまでは、いくつかコンテンツ方針を変えてきたというところはあります。

初期はどうしても話題を作りたいなというところもあったりしましたので、はてなブックマークとかTwitterとかで話題にされるような記事って何かな? って研究していた時期とかもありました。初期に作った記事だと「新規事業の立ち上げ何選」とか、そういった感じの記事が多いです。

そのあと変化させていきまして。ちょっとずつ認知度が上がってからは、よりナチュラルに弊社の人柄とかが伝わるように、すごく作り込んだというよりは、もう少し自然体な記事のほうが今は増えてきているかなという感じです。

モリ:なるほど、ありがとうございます。最初は媒体も立ち上がったばかりですし、榮田さんも入ったばっかりで、現場がどうなってるかをまず知りに行くというか。「どういったニーズがあって、どういう人を求めているのか」みたいなことを知ったうえで「誰に届けたいのか」ということと「DeNAのカルチャーって結局何だ?」というところの整理をやっていって。

伝えるための手段として「これがDeNAらしいことだよね」みたいなのを盛り込んだインタビュー記事とかを作っていって。とくに初期は、よりリーチと言いますか、みんなに見てもらえるようにどういう発信をすると関心をもってもらえるか、ということをやっていった。

徐々に知ってもらえて認知が取れたあとは、より自分たちが届けていきたいことを発信するみたいなことで、媒体としても運営も変わってきたということですかね。

榮田:はい、おっしゃるとおりです。

モリ:ありがとうございます。コンテンツで会社のらしさをどう伝えるかみたいなところとかも回答いただけて、ありがとうございます。

最初に行う「会社の課題感とは?」の擦り合わせ

モリ:井手さんが会社のブランディングをコンテンツを通じてお手伝いするときは、どういったことを考えながら取り組んでいらっしゃいますか?

井手:(スライドを指して)ここに表示してもらっているトピックスの左上の「情報発信の目標設定はどのように行う?」と、重なってくると思うんですけど。最初に「今、何を課題感として強く持っているのか」の擦り合わせから始めるようにしてますね。

そもそも採用でいったら、母集団形成みたいなところが弱いのか、それとも選考フローの中での離脱率が高いのか、内定承諾率が高いのか。入社して欲しいと思ってる人が、いつも同じような会社と併願してて、他社に流れていってしまうとか。なにかしら抱えている課題があると思うので、そこをまずしっかり擦り合わせするところが1つありますね。

母集団形成がうまくできないとかであれば、認知の問題なので、広報や広告とかの部署と一緒にやっていかないと、結構厳しい。採用だけで認知を上げるってけっこう難しいので。そこをしっかり巻き込んでやっていったほうがいいですね、っていう話になると思いますし。

選考途中のところに課題があるのであれば、発信も大事ですけど、面接のやり方や内定者フォローみたいなところも、一緒に考えていかないといけないと思います。そういったところをまずしっかり詰めていって。オウンドメディアリクルーティングというか、オウンドメディアでの発信でできること、できないことっていうのもあると思うので。

その中で「オウンドメディアというのはこういう役割を持ってたほうがいい」っていうところを、しっかり詰めていくっていう感じですね。たぶんモリさんも、いつもそんな感じのことをやりながらいろんな会社を支援されているんじゃないかなと思うんですけど。

モリ:ちなみに、井手さんがこれまで取り組まれてきていて「それはたしかにオウンドメディアでコンテンツ作って発信すると相性がいいよね」っていうことと「それはたしかに課題なのはわかるけど、オウンドメディアでやろうとすると難しいんじゃない?」みたいになったことなど、両方パターンがありそうだなと思いました。過去にそういったご経験はありましたか?

井手:例えば、今すぐ必要なポストとかってあったりするじゃないですか。この部署で欠員出ちゃったとか、一気に業績伸びちゃったので人採らなきゃまずいみたいな。そういう、今すぐの需要にオウンドメディアでアプローチするってけっこう難しいというか。採りたい人に届けるための手段がないと、いい記事作っても届けられないじゃないですか。

そういうときはやっぱり、スカウティングとかのほうが絶対にいいと思うんですよね。その場のニーズをしっかり満たすというときに。スカウティングとかやって興味を持ってくれた人の、最終的な入社の後押しとなるような記事をオウンドメディアで作ることはできると思いますけど。

オウンドメディアの目標設定・効果測定

モリ:お二人がこれまでオウンドメディアを通じて採用に関わったりしてくる中で、うまくいってるよねっていうのを、どう目標設定して追いかけてきたのかもお伺いしたいと思います。

例えば、榮田さんは『フルスイング』の中で、どういう目標の設定とか効果の測定の仕方をしてきたのでしょうか?

榮田:効果の測定は時期によって変えてきたというか、変遷があります。最初は運営の継続的な体制を作ることが大事かなというところで、月間の本数とかで定めていたんですけれども。そのあとに認知をより広げようという感じで、PVとかはてなブックマークの数みたいなところを見てました。

ただそれでちょっと話題が取れてきたりすると、応援の声とともに良くも悪くもというか、社内から「これ、何でやってるんだっけ?」みたいな声はもちろんあったりもしましたし。

実際に入社してくれた人は見てるのかなっていうところとか、後押しになってるのかなっていうのはたしかに置いてなかったので、入社者にアンケートを取り始めまして。『フルスイング』って読んでますか? とか。その中で心に残っているような記事があれば(教えてください)とか。あなたの意思決定に寄与したような記事を覚えていたら教えてください、というようなフリー回答とかも用意して測り始めたんですね。

そしたら、はてなブックマークとかに載るようになってPVはすごく上がるようになったんですけど、本当に届けたい入社者への認知度がすごく低かったということがわかりまして。30パーセントくらいしかなかったんですね。

このときにちょっと迷って、いろいろと探したんですけれども。入社しなかった人にもどれだけ届いているのかとかも見れないかな? っていうのはちょっと探してたりしたんですが、結論的にはそのときはそこまで至らなくて。最も届けたい人たちである入社者に対してどれくらい届いているかということで、入社者に対する『フルスイング』の認知度とか理解度を、そこから追うようになりました。

そこから半年とか1年くらいでだんだん上がってきて、最終的にはそこが90パーセントとか100パーセント近くになっていったという感じですね。ただ運用上のKPIとは別に、社内からも定期的にいくらくらいの効果があるの? みたいな話とかももちろん上がったりするので。ちょっと試算して、社内を納得させるために出したりとかはしてました。

モリ:社内の理解を得るために、試算する動きは実施しているということですよね。

榮田:そうですね。一応の試算はしますし、大事なことかなとは思いますけど。そこばっかり追っていても「なんでオウンドメディアやってるんだっけ?」ってなるかなと、個人的には思います。

モリ:今のお話だと、最初からある程度マイルストーンが見えてて「こう作っていきましょう」という流れではなく、一旦、各フェーズごとに「ここまでやりきりましょう」みたいなかたちでセットして。その状態を作れたら「じゃあ次、どういう状態に持っていけるといいんだろうね」っていうことをセットして。それがうまくやれてるかどうかを測るための目標設定というか、効果測定のための試行錯誤を重ねていったという。

榮田:そうです。今振り返って後から言うと、まるで計画的に時期によって変えてきたように聞こえる方もいらっしゃるかもしれないですけど。実態としては1回立てて、それでなんとなく運用体制できた。次の壁が現れた。あ、届いてなかった。みたいな繰り返しで、結果的にこうなったっていう感じですね。

モリ:なるほど。ありがとうございます。

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