2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
リンクをコピー
記事をブックマーク
橋口幸生氏:『ビジネスマンの企画書術』というタイトルでお話しいたします。橋口です。軽く自己紹介いたしますと、コピーライターとしてやっています。代表作は、堺雅人さんが出ている「スカパー!」のキャンペーンや『鬼平犯科帳』のポスターのほか、ANA、プリッツ、FRISKなどを担当しています。このあともいくつか紹介します。
ここでいくつか自分の担当した仕事を紹介させてください。映像を流します。もし音声や映像に不具合があったら教えてください。
(映像再生)
たぶん僕がこれまで担当した中で一番長いのは、堺雅人さんの「スカパー!」のキャンペーンで、もう7年くらいやっています。長いキャンペーンなのでいくつか設定が変わっていて、今は堺さんが家族と一緒に「スカパー!」を観るという仕組みでやっています。
グラフィックはこんな感じですね。「家を楽しくするのはテレビだ。」というコピーでやっています。「家族でスカパーを観て楽しいよね」というメッセージをずっとやっています。
これはFRISKのポスターで、2年くらい前に作ったものです。「集中には、きっかけがいる。」というコピーや、「見たことのない景色は、一歩ふみ出した先にある。」というFRISKのキャンペーンをやっていました。
これはANAです。ANAって『スター・ウォーズ』とコラボしていて、スター・ウォーズ・ジェットとか飛ばしているのをみなさんもご存知だと思います。新3部作が公開されるたびにコラボの広告を出していて、それを2、3年ずっと作っていました。これはスターウォーズの新3部作の1作目(『フォースの覚醒』)が公開したときに作ったものですね。
これは5年くらい前に作ったCMです。映像を流します。
(映像再生)
5年くらい前には、のどごし<生>の、のどごし夢のキャンペーンというものです。いくつかCMを作りました。第1弾の長州力さんとやったものですね。
これはG・U・M PLAYというスマホにつなげて歯を磨くガジェットですね。今でもAmazonなどで販売されています。ネーミングやコンセプト作りなど、この映像の企画をひと通りやりました。
コピーライターというと、キャッチフレーズを書くというイメージがすごく強いと思うんですけど、今のコピーライターってCMやポスターも作りながら、こういう仕事もたまにやるというスタンスの方が多いんじゃないかと思います。
最後が、僕が去年の末に出した本です。『言葉ダイエット』という企画書や仕事における文章をどう上手に書くかという本も書いたりしました。ここでまとめた内容をもとに、今日は『ビジネスマンの企画書術』というタイトルでお話ししたいなと思っています。よろしくお願いします。
ここからが本チャンですね。『ビジネスマンの企画書術』。企画書術というタイトルがちょっとおもしろいなと思いました。
企画書術ってなぜか誰も教えてくれないと思うんですよね。どの会社も新人研修で名刺の渡し方とか電話の取り方とか、わりとどうでもいいことは教えてくれるんですけれども(笑)、肝心の企画書とかメールの文章をどうやって書くかというのは意外と誰も教えてくれないなと、僕はずっと思っていました。
なので、教えてくれないから結果として、みんな現場で学んでいると思うんですよね。たまたま付いた先輩とか上司がどういう文章を書いているのかを観察して、その通りにやるという人が多いと思いますし、僕もそうしていました。
これってたまたま、まわりに企画書を書く人がいればラッキーで自分も上手になれるんですけれども、やはりそんなに上手な人っていません。ほとんどの人が、ダメな企画書をお手本に書いているんじゃないかと思います。
例えばどんな感じかというと……。(スライドを見せながら)企画書ってこういう感じのものが多いと思うんですよね。これは僕が仮で作った、よくある見にくい企画書の例です。
(企画書の文言を読み上げる)「既存の調味料ユーザーにとどまらず、まだ、若くて自炊の習慣がない若い人たちに対して効果的なアプローチでメッセージを伝えて、今後、ABCソースを自分事ととらえる将来的なヘビー・ユーザー(SNSで発信)となっていただくことを狙います」。
それで、よくわからないパワポっぽいイラストとか矢印が貼ってある。
(引き続き読み上げる)「『自炊するならABCソース』のポジションを設定(自炊初体験のオケージョンをABCソースが提供)、その後もABCソースのロイヤル・ユーザーになってもらう機運を醸成します」というようなことを言っています。
こういうやたらカタカナが多くて、カッコが多くて、矢印貼りまくってて、いろんな色を使っている企画書を書いている人が多いです。みんなそういうものを見て育っているから、こういうものを書くようになっていくと思うんですよ。
僕は正直、企画書の文章は、まわりくどく微妙な企画書文体みたいなもので書かなきゃいけないと思っていたんですね。なので社会人になってから、さっき見たみたいなあんまり読みやすくはない企画書をずっと書いていました。それが当たり前だと。たまにほかの会社から送られてくる企画書も全部そうなので、そういうものなんだと思ってやっていました。
ですが、社会人4年目くらいのときに社内外で一目置かれるクリエイターの下に付く機会があったんです。その人の書く企画書というのが、ものすごくわかりやすかったんですよ。なにより普通の言葉で書いていました。
そのときに「読みやすく書いていいんだ!」と。やっぱり活躍してる人って、普通に読みやすい文章を書いているんだなと。今まで自分が読んでた文章ってへたくそな文章だったんだということに気づいたんですね。今日はその気づきをこのZOOMのお話でも、みなさんと共有したいなと思っています。
よく若手のビジネスマンの方とか学生さんとかに、立場上いろいろ聞かれるんです。「自分は人前でうまくしゃべれないんです」と言う人がすごく多いんですけれども、正直しゃべりって下手でもすごくいいと思うんですね。自分の身の回りを見ても、滑舌が悪くても活躍してる人って別に普通にいると思うんですよ。もちろん上手に越したことはないですけどね。
プレゼンっていわゆるひな壇芸人とかではないので、フリートーク力みたいなのはあんまり必要なくて、スライドとかの文章が読みやすければなんとかなると思うんですね。なので十数年間ひどい企画書を読み続けてきた経験を活かした僕の企画書術を、今日はお伝えできればなと思っています。
例えば僕がさっきの『言葉ダイエット』という本を書くきっかけになったメールがあるんです。みなさんもこんなメールを受け取った経験がないかなと思っていて。
これ、実際のメールを一部改編して貼っています。(スライドを読み上げる)「皆さま 上記、基本的には、〇〇の意見に、クライアントも同じ方向を向かうと思いますが、クライアントは撮影の際も、ここの表情にこだわりを持ってみてました。なので、本編の……」。本編というのはCMの編集のことですね。「編集の際に、変更後の説明も、〇〇からのネガティブがありながらも、いつも通りポジティブな方向で、橋口さんから丁寧に説明いただけると助かります」と書いてありました。
これ、何て書いてあるかまったくわからないじゃないですか。本当に衝撃を受けました。「ネガティブがありながらもポジティブってどういうことなんだ!?」と思ったんですよね。最後の一行で僕に責任を押し付けたいんだなということだけはよくわかりました(笑)。「おまえは何を言ってるんだ?」とか思ったりしました。
さっきの文章を書いた人がダメ人間かというとそんなことはなくて、むしろ僕とかよりすごく空気が読めて、その場への気遣いができる人なんですよ。だけど、そういう人ほどいろんなことを考えすぎた結果、さっきみたいな「ネガティブながらもポジティブにお願いします」みたいになってしまうんじゃないかと思っています。
さっきの文章をもう一度出してます。何が言いたいかというと、「ごめんなさい。僕たちが提案した企画にNGが出ました」というだけのことを言ってるんですよね。こう書けばいいのに、責任を取りたくないとか嫌われたくないとか、いろんな思惑が駆け巡った結果、非常に遠回りなわかりにくい文章になってしまうと。
良いものが良い理由を考えるのはすごく大事なんですけれども、ダメなものがなんでダメなのかというのを考えるのもすごく大切だと思っています。
例えばTOTOウォシュレットのコピーで「おしりだって、洗ってほしい。」という伝説の名コピーがあります。意外と普通っぽいというか、そんなにうまいこと言ったなという感じはないじゃないですか。だけど、これを「おしりを洗おう!」としてしまうと全部台無しになっちゃうと思うんですよね。
このいい例をダメにしてみてわかったのは、「おしりを洗おう!」というのはいわゆるメーカーの意見の押し付けだけど、「おしりだって、洗ってほしい。」というのはおしりの視点で書いたコピーだから、みんなが共感できるものになっている。
メーカーの「売らんかな」というのが出ていないから、みんなが共感できるコピーになっていると思うんですね。こうやってダメにすることによって、良いものがなぜ良いのかわかるというのはけっこうあるかなと思っています。
例えば『AKIRA』というアニメがあるじゃないですか。今も東京オリンピックの中止を予言したと話題になっていますよね。『AKIRA』という大人気漫画が仮に『東京エスパー』というタイトルだったら、ぜんぜんおもしろくなさそうじゃないですか。
でも『AKIRA』と『東京エスパー』で、会議室で偉い人がハンコを押しやすいのは『東京エスパー』のほうだと思うんですよね。なぜなら、なにも間違っていないから。実際、東京でエスパーが戦う話だし。むしろ『AKIRA』って主人公の名前でもないしぜんぜんSF感がないので、上に上げるときに偉い人が「これ意味わかんねぇよ」と言ったら終わっちゃうことだと思うんですよ。
けど、『AKIRA』というSFらしくないタイトルが付いてるからちょっと読みたくなるんだなということが、この比較からわかるんじゃないかと思います。
あと『ブッダ』という漫画もあると思います。僕は子どものころ、これを本屋で見てすごくびっくりしたのをよく覚えています。「『ブッダ』って何だよ」と子ども心に思ったんですよね。なんの説明もないし、「ブッダなんて漫画になるの?」とびっくりしたのをよく覚えているんです。
例えばこれが『釈迦伝説~悟りへの長い旅~』とかになってしまうと、やっぱりすべてぶち壊しじゃないですか。これも1つも間違っていないので、上司に上げたら間違いなくハンコは押してもらえると思うんですけど、こういうことじゃないと思うんですよね。『ブッダ』という、なんの説明もなく投げっぱなしのタイトルだからすごく読みたくなるということがわかるんじゃないかと思います。
2025.01.16
社内プレゼンは時間のムダ パワポ資料のプロが重視する、「ペライチ資料」で意見を通すこと
2025.01.15
若手がごろごろ辞める会社で「給料を5万円アップ」するも効果なし… 従業員のモチベーションを上げるために必要なことは何か
2025.01.09
マッキンゼーのマネージャーが「資料を作る前」に準備する すべてのアウトプットを支える論理的なフレームワーク
2025.01.14
コンサルが「理由は3つあります」と前置きする理由 マッキンゼー流、プレゼンの質を向上させる具体的Tips
2025.01.07
1月から始めたい「日記」を書く習慣 ビジネスパーソンにおすすめな3つの理由
2025.01.14
目標がなく悩む若手、育成を放棄する管理職… 社員をやる気にさせる「等級制度」を作るための第一歩
2025.01.10
プレゼンで突っ込まれそうなポイントの事前準備術 マッキンゼー流、顧客や上司の「意思決定」を加速させる工夫
2025.01.07
資料は3日前に完成 「伝え方」で差がつく、マッキンゼー流プレゼン準備術
2017.03.05
地面からつららが伸びる? 氷がもたらす不思議な現象
2025.01.08
職場にいる「嫌われた上司」がたどる末路 よくあるダメな嫌われ方・良い嫌われ方の違いとは
安野たかひろ氏・AIプロジェクト「デジタル民主主義2030」立ち上げ会見
2025.01.16 - 2025.01.16
国際コーチング連盟認定のプロフェッショナルコーチ”あべき光司”先生新刊『リーダーのためのコーチングがイチからわかる本』発売記念【オンラインイベント】
2024.12.09 - 2024.12.09
NEXT Innovation Summit 2024 in Autumn特別提供コンテンツ
2024.12.24 - 2024.12.24
プレゼンが上手くなる!5つのポイント|話し方のプロ・資料のプロが解説【カエカ 千葉様】
2024.08.31 - 2024.08.31
育て方改革第2弾!若手をつぶす等級制度、若手を育てる等級制度~等級設定のポイントから育成計画策定まで~
2024.12.18 - 2024.12.18