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サイボウズなのに帰れない!? 激務の営業チームが自分たちで働き方改革してみた(全2記事)

2020.01.14

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消える有給、夜中の電話対応からの脱却 “サイボウズなのに激務”の営業チームの業務改善

提供:サイボウズ株式会社

2019年11月7~8日、サイボウズ株式会社が主催する「Cybozu Days 2019」が開催されました。本イベントは、サイボウズの商品やサービスを紹介する総合イベントで、東京・大阪・名古屋の3都市で開催されました。テーマは「モンスターへの挑戦状」で、実体はないのに支配されているさまざまな“思い込み”に立ち向かうというメッセージが込められています。本パートでは、東京会場で2日間にわたって開催された講演のなかから、「サイボウズなのに帰れない!? 激務の営業チームが自分たちで働き方改革をしてみた」の模様をお届けします。いち早く働き方改革を推進してきたサイボウズの一員でありながら、ブラックな働き方をしてきた社員たちが、自らの部署の業務改善に立ち上がりました。

激務の営業がボトムアップの業務改善に挑戦

酒本健太郎氏:本セッションを担当させていただきます。サイボウズの酒本と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

(会場拍手)

ありがとうございます。本セッションは、「サイボウズなのに帰れない!? 激務の営業チームが自分たちで働き方改革をしてみた」と題しまして、お時間を40分いただきます。みなさまは昨日今日と、いろいろな働き方改革のセミナーに参加されていると思います。

(このセッションは)営業にフォーカスをして、あと今日の基調講演で弊社の青野から「トップの覚悟だ」という話もありましたけど、どちらかというと逆ですね。ボトムアップで私が実践したことをみなさんにすべてお伝えできればと思いますので、よろしくお願いします。

ちなみに今日は、営業の方ってどれくらいいらっしゃいますか。営業部の方や営業に関わっている方は、どれくらいでしょう? 全体の3割ぐらいですかね。そのみなさまは自分の営業のチームをイメージして、それ以外の方は自社の営業メンバーを思い浮かべながらぜひ聞いていただければと思います。

簡単に自己紹介だけさせていただきます。私は酒本健太郎と申しまして、32歳ですね。新卒でサイボウズに入っていますので、ちょうど今入社10年目になります。ずっと営業で、中でも代理店営業、いわゆるパートナー営業一筋です。実は去年の1月から東南アジア担当をやっているんですけれども、それまではずっと国内の営業でした。

とくに中小企業のお客様に、パートナーさんと一緒にサイボウズ製品を販売するような営業をずっとやっておりました。ぜんぜん仕事と関係ないんですけど、釣り好きの関西人です。よろしくお願いします。

ちなみに、これがなんの魚かわかりますか? これはシイラという魚で、ハワイで言うとマヒマヒという高級魚です。実は東京湾、厳密に言うと相模湾なんですけど、そこで夏になったら釣れるんですね。今日はそれだけでも持ち帰っていただければと思いますと(笑)。

売上が一番大きいパートナー企業を担当

冗談はさておき、サイボウズの営業について、2点ほどお伝えさせてください。まず1つ目は代理店営業。私たちはパートナー営業と呼んでいます。

営業というと、お客さんに直接営業するというイメージをされるかもしれませんが、パートナー営業は、間にサイボウズ製品を売ってくれるパートナーさんがいらっしゃって、そこに営業するスタイルになります。メーカーと商社とお客様という関係ですね。

イメージがわかない方は、例えば家電製品などをイメージしていただくと、パナソニックの洗濯機を売る営業さん。ピンポンと(インターホンを)押して、直接戸別訪問するわけではなく、代わりに売ってくださる家電量販店に営業するかたちです。そのIT版だと思ってください。

サイボウズは、どちらかと言うとソフトウェアメーカーという立場で、パートナー営業をしております。もう1点が、担当にもよるんですけれども、基本的には1パートナー様に対して、複数人の営業でやっております。直接営業ですとけっこう1人(でやっていらっしゃるところ)が多いかもしれませんが、複数人のチーム営業でやっております。

私は、当時なんと売上が一番大きいパートナー様を担当しました。これは別に私がエースというわけではなくて、みなさんもたぶんよくあると思うんですけど、いわゆる玉突き人事という感じです。入社したときに、当時担当していた一人は大阪に異動、もう一人は子どもができて育児休暇を取ったところで、その時に入社した私と上司の二人がここの担当になるということですね。

売上が一番大きいということは、やっぱり業務はかなり多くて、なかなか激務な感じになっておりました。みなさんもたぶん社内であると思います。いろんな営業チームの中で、「あのエリアの営業、けっこう忙しそうだな」とか、「あの担当のお客さんのところだけ、けっこう死んでる」というような営業チームになっていました。

「サイボウズで最もブラックな働き方」をしていた

サイボウズと聞くと、けっこうホワイトというイメージがあるかもしれませんが、ホワイト企業のサイボウズで、自称“最もブラックな働き方”をしていました。たぶん、みなさんは「ほんまか」と。「とはいえサイボウズだから、所詮そんなに激務じゃないんじゃないの?」という、心の声が聞こえてくるんですけど。

ここは胸を張って「ブラックでした」とお伝えしたいと思います(笑)。たぶんみなさんも、居酒屋などで「自分がどれだけブラックに働いているか」という自慢をしちゃったことはないでしょうか。

せっかくなので、どれだけブラックだったかというのをご紹介したいと思います。ブラックその1ですね。全社売上の15パーセントを、なんと2人でやっていました。もうわけがわからないですよね。私が入った時は、だいたい(社員は)300人弱ぐらいで、その中で営業は30人とか40人いたんですけど、なぜか2人で担当していたんです。

しかもサイボウズ(の商品は)、オンラインでも買えますので、オンラインの売上が約半分とすれば、パートナー経営の売上は(残りの)半分ですので、30パーセントをなぜか2人でやるという。

もうわけわからんぐらい、忙しかったんですね。あともう1つはこちらですね。「夜中に電話取ってナンボ」。21時に電話がかかってきた瞬間にワンコールで取るみたいな。パートナーさんも「あぁ、さすが酒本君。わかってるね」みたいな感じですね。

これは別に私も積極的に(電話を)取りたかったわけではないんですが、ここで電話に出ないと翌日折り返しをして、また繋がらなくて、向こうがまたかけ直して、また繋がらない……となると、実は業務がけっこう増えていく。やっぱりパツパツだったので、そこで(電話を)取るのが一番の業務改善だなと思って、電話を取っていました。

3つ目はこちらです。ルーチンの業務がなかなか終わらなくて、土曜日でようやく終わるような感じですね。みなさんも毎週やる業務、毎日やる業務、毎月やる業務があると思うんですけれども、私もサイボウズの場合だと、例えば当時はクラウドサービスがなかったので、オンプレミスというかたちで、1年間とか2年間の契約で更新が切れるお客様があるんですね。

そこに対して毎月「更新が終わりますよ」というのを担当のパートナーの営業さんに送ると。私のパートナーは一番大きいので、私だけ異常に件数があるような感じでした。ただ、それだけで終わりたくないので、クリエイティブな仕事であるセミナー企画を日曜日にカフェでやるような。そのぐらい忙しかったかなと思います。

サイボウズなのに働き方が選べない、休めない

あとは働き方の選択。サイボウズではいろいろ選べます。当時は3パターンですね。ニンテンドーDS、PlayStationのPS、あとPlayStationの2という、DS・PS・PS2という働き方を選べました。がっつりやるか、そこそこやるか、ゆっくりやるかという選択があったんですが、私は営業だったので「いやもうがっつり一択でしょ」という感じです。

たぶんみなさんも「サイボウズいいなぁ、働き方が選べて」と思われるのと同じような感じでですね(笑)。「社内なんですけど」と思っておりました。

あとはこれもみなさん(ご経験は)ないですかね。気づけばもう有給がどんどん消えていくみたいなことですね。私も気付けば有給が溜まって、上限がありますので、「これは売れないのか」という提案をしたこともあるぐらい、こういう現象も起こっていました。

あとは、今まで“ブラックあるある”でしたが、一方で実はこんな自分もいました。「ワーカホリックでカッコいい」みたいな。みなさんもちょっとわかりませんかね。

とくに私の場合、就職で上京しておりますので、東京で成り上がるぞというような気持ちもあったので、がつがつと働いてる自分はけっこうカッコいいなと。大企業で働いている友達が腐っていたりしたので、それやったら「俺のほうがカッコいいやろ」みたいな思いもあったりとかですね。

あとは、意識高い系の本を買うと、若い時はやっぱり買ってでも仕事をするべきだという話もありましたので、メンタル的にはそこまで落ちているわけではなくて、楽しく仕事はしておりました。ただ、やっぱりたまにふと振り返るともやもやすることはちょこちょこありました。

同じ営業なのに、担当顧客によって業務量が不平等

例えば、今日の基調講演でPHP研究所の方も言っておりましたけど、そのときは裁量労働制でございますので、残業代が出ないとか、あとはこれはサイボウズ独自かもしれないですが、弊社は個人インテンティブがありません。個人もチームも部署もなしですね。

どういう考え方かというと、全社の目標の売上に対してどれぐらい達成したかという達成率において、全社員に均等に配分するようなかたちですね。なので、私が達成率200パーセントで、隣の方が70パーセントでも一緒のような。

「これ、おかしくない?」というようなもやもやもありました。あとは、担当顧客によって、業務によって、業務量が不平等ですね。「同じ営業なのに、なんで俺だけこんな忙しいねん」みたいなことはあります。みなさん、もしくはみなさんの他のチームの方もそういう方はいらっしゃらないですかね。

まさに「自分たちだけおかしくないか」というところですね。そんな感じでもやもやしながらも、ずっとサイボウズで営業をしていたある年、私が入ったときの業績は横ばいでした。ずっと横ばいだったんですけれども、ある時クラウドサービスが始まって売上がどんどん上がっていって、二桁成長になったんですね。

これはたぶん、会社としてはいい悩みであるんですけれども、一担当としては売上の成長が二桁になるということは商談の数も増えますし、メールの問い合わせの数も増えるし、覚えなきゃいけないことも増えるし、という感じで業務量がさらに雪だるま式に増えていきました。この年、私も成り上がったまでは行かないですけど、4人チームのマネージャー、リーダーになっておりました。

ただ、まさかの2人退職という。サイボウズは離職率が低いのに、うちのチームだけめちゃ高いみたいな。そんな感じで、またまさかの2人きりに戻っちゃうという。(退職の)理由を聞いたら、1人はさらに忙しいベンチャー企業に転職しますという。もう意味がわからないですよね。そんな感じの方とか、もう1人は北海道に彼女がいて東京に行きたくないから私が帰ります、というので帰られました。

「もう無理でしょ」とついにもやもやが爆発

悪い話ばかりではなくて、前任で育児休暇を取ったママさんが1人復帰しました。もちろん時短ではあるんですけれども。1人増えて合計3人になったんですが、売上は二桁成長で人数限定。

「もう無理でしょ」というところで、ついにもやもやが爆発しました。kintoneにピープルという、Facebookみたいな機能があるんですけど、社内でつぶいてしまった内容です。

例えば1つ目。「今は独身だから問題ないけど、これが家族、とくに子どもができたらもう無理やん」。そんなぼやきであったり、あとは復活してくれた先輩ママ社員は、お子さんを迎えに行って寝かしつけたあと、21時以降にまたガッツリ働いてるんですね。「これで2人目が産まれたらちょっと難しくない?」という話も出ていました。

あと、これが一番でかかったですね。当時からサイボウズの働き方改革は、ブイブイ言わしてた感じでした。ある日、夜中の23時ぐらいに、担当パートナーや役員の方に「うちの青野が働き方改革についてセミナーするので、ぜひ来てください」って。これを23時に(メールを)送ってるのは説得力がなさすぎるなと。

青野さんにも申し訳ないし、「俺、何してんねやろ」みたいな感じで、何かがおかしいなと。「このままでいいんかい、サイボウズ」みたいな。「サイボウズ……ん? サイボウズというか、俺か」みたいな。

これ、まさにモンスターですよね。最初「モンスター」と思っていましたけど、ブーメランで結局、自分がモンスターやったという感じで。もう自分でやるしかないということで、このままなにもしなければさらなる激務の道、ちょっと改善すればそのままですね。

「今回は大きく改革をしよう」ということで、ぜんぜん誰かになにかを言われたわけじゃなくて、このままじゃダメだと思ったので、チームメンバー3人で、勝手に働き方改革プロジェクトがスタートしました。

以上が、働き方改革がスタートした経緯になります。

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