Instagramは行動を促すプラットフォームである

大谷直史氏(以下、大谷):みなさん、こんにちは。私、Facebookの大谷と申します。よろしくお願いいたします。

お昼に差し掛かっておりまして、かつ、「お尻も背中も痛い」という時間帯にはなるんですけれども、長尺のセッションは私のセッションで終わりになります。どうか最後までお付き合いのほど、よろしくお願いします。

ここからは「Instagramのダイレクトレスポンス目的の活用方法」と題し、前半は私からプレゼンテーションをさせていただき、後半はゲストをお招きし、パネルディスカッション形式で広告主様、そして代理店様の生の声をお伝えしていきたいと考えております。

さて、前半のセッションでは竹林からInstagramを効果的に使うためのヒントについてご説明を差し上げました。ブランドを作り、ファンとの距離を縮め、そしてリーチを広げるという3つの切り口があったと思います。

私からは「Instagram広告を使って具体的に行動を促して、ビジネスの成果につなげていくにはどうしたらいいのか」という視点で話を展開していきたいと思っています。

「Instagramは行動を促すプラットフォームである」ということが、徐々に認知されてきております。

調査会社様と行った調査によると、約8割の方が「Instagram上の投稿がきっかけで行動を起こしたことがある」と回答し、またそのうち4割の方が「後日ブランドサイトやECサイトを訪れ、Instagram上で見た商品を発見したり、また購入したりしている」と回答しております。

そしてこの「Instagramが行動を促す」という特性を十分に活かして広告を展開し、成功している企業様もたくさん出てきています。

ストーリーズ広告で新規会員獲得率“3倍以上増加”の事例も

1つ目は、楽天様の事例です。「楽天学割」という学生向けの会員制度の会員獲得プロモーションでInstagramストーリーズをご利用いただいたところ、新規会員獲得の獲得率が3倍以上増加して、かつ、クリック単価に至っては約半分になったという成果を達成しています。会員獲得という具体的な行動を促す上で、Instagramストーリーズが非常に効果的であった、という事例になります。

2つ目の事例は、株式会社アトラエ様のIT・Web業界に強い転職サイト「Green」の事例になります。こちらは、先ほどもちょっと話に出ていましたけれど、Instagramストーリーズ広告で使える「アンケート機能」を使いました。

広告でインタラクティブな体験を提供することで新規会員の獲得のコンバージョン率が21パーセント上昇し、かつ、CPA、(顧客)獲得単価においては8割も削減できた事例になっております。

ご覧いただいた2つの事例からも、Instagram広告が非常に行動を促すのに向いているということが、ご理解いただけたのではないかと思います。

ビジネス成果につなげるためのツール「Facebookピクセル」

そしてこのような広告展開をする際、必ず使っていただきたいツールが1つございます。

「Instagramをビジネス成果につなげるための最も重要なツール」と言っているんですけれども、「Facebookピクセル」というものです。ご来場いただいているみなさまの中にも、すでにFacebookピクセルを使っていただいているという方もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。

広告キャンペーンを展開するときにFacebookピクセルをご利用いただかないと、非常に限られたインサイトしか得ることができません。利用者が広告に接触し、「いいね」やコメントをする、また、広告をタップしてWebサイトに行くといった行動があると思います。

ここまではFacebookピクセルがなくても把握することができますが、広告主様が知りたいのは、「実際に広告に触れたあと商品が買われたのか」「申し込まれたのか」「Webサイト上で検索されたのか」といった具体的なアクションであるはずです。

しかしFacebookピクセルをご利用いただかないと、これらの数値というのは把握することができません。一方でその逆に、Facebookピクセルをご利用いただければ、こういった広告と接触したあとの行動というのが計測可能になります。

ではここから、Facebookピクセルについてもう少し詳しいご説明をしたいと思います。

カスタマージャーニー全体でのユーザーアクションを計測

Facebookピクセルには、主に3つの機能があります。

1つ目は、計測という機能です。先ほどの説明と重複する部分もございますが、通常Webサイト上ではページの閲覧や、商品の購入といったサービスの申し込み、検索といったようなさまざまな行動が起こっています。

Facebookピクセルでこれらのアクションの発生回数を計測することで、広告の成果を正確に把握することが可能になります。

また計測を適切に行うことで、Facebookの広告配信システムが機械学習を行い、どのような人がどのようなアクションをとりそうか、精度の高い予測を立てることができるようになります。

これがFacebookピクセルを使う上で非常に重要なポイントであり、適切に計測していただければ、それが広告パフォーマンスの向上につながってくるということです。

では「適切な計測」とはどういうことかというと、最終コンバージョン地点だけではなくファネルの上位、つまりカスタマージャーニーの始めから終わりまでの全段階を計測していただく、ということを推奨しています。

例えばEコマースのサイトであれば、商品を閲覧し、そしてカートに追加して、支払い方法の登録を行い、最終的に購入に至るというカスタマージャーニーがあるかと思います。また別の例として、求人サイトでは、サイトを訪問し、会員登録をし、求人検索をし、応募に至るというようなカスタマージャーニーが一般的ではないでしょうか。

広告を展開する目的が最終的な購入とか応募といった、ファネル下位のアクションを促すことであったとしても、そこだけを計測するのではなく、Facebookピクセルを使い、全段階を計測していただくということです。

そうすることで広告配信システムは、より見込みの高いオーディエンスを狙って広告配信ができるようになります。

例えば「商品を閲覧しているのはこういう属性のオーディエンスだな」「一方で購買につながるのはもっと違った属性だぞ」というようなことを、Facebookピクセルを通じて広告配信システムが学んでいく、ということになっています。

「オーディエンス」で顧客層のグルーピング&類似客の抽出が可能

続いてFacebookピクセルの、2つ目の機能です。「オーディエンス」についてご説明いたします。このオーディエンスという機能ですが、みなさまの既存の顧客や、ビジネスに関心を示したオーディエンス、また、それに類似するオーディエンスにリーチできるというものになっています。

例えばFacebookピクセルで「商品を閲覧した」というアクションを計測していたとすると、「特定の商品を見た」というオーディエンスを作成することができ、このオーディエンスを広告配信対象として設定することができるようになります。これを「カスタムオーディエンス」と呼んでいます。

また、何かしらの商品を購入したというカスタムオーディエンスに対しては、リピート購入を促すようなメッセージで広告を展開するといったことも可能です。

そしてもう1つ、オーディエンスの大事な活用方法があります。それは「類似オーディエンス」と呼んでいるものです。こちらはちょっとややこしいんですけれども、カスタムオーディエンスをベースに、そのカスタムオーディエンスに含まれるオーディエンスに似ている人をグルーピングできるというものです。

(スライドを指しながら)このスライドにあるように「商品を購入した人」というカスタムオーディエンスがあり、類似オーディエンスで「それに似ている人」を抽出できるとなると、当然、商品を買ってくれる期待値が非常に高いオーディエンスを、この類似オーディエンスによって作れるということになります。

なので、みなさまにおかれましては、ぜひこのFacebookピクセルを使っていただいて、カスタムオーディエンスと類似オーディエンスを積極的に使っていただきたいと考えています。

1日15件以上のコンバージョン獲得データで、広告配信を最適化

ではFacebookピクセルの3つの機能のうち、最後の「最適化」についてご説明したいと思います。こちらも少しややこしいので、ゆっくりお話をするようにしたいと思います。

最適化というのは実体があるようなもの、目に見えるようなものではなくて、広告パフォーマンスを最大化していくはたらき、プロセスであるとお考えください。

1つ目の機能の「計測」のところで、「適切な広告は広告配信の精度を向上させる」というお話をしました。計測が正しくできていれば、有用なデータがFacebookピクセルを通じて広告配信システムへフィードバックされます。

その繰り返しによって、広告がランダムに配信されるのではなく、より期待値の高いオーディエンスに、どんどん狙いを定めて配信されていきます。このプロセス自体を「最適化」と呼んでいます。

この最適化は、1つの機能ですけれども、うまくはたらくためには1つの条件があります。それは「『広告セット』あたり、1日15件以上のコンバージョン数を獲得していただく」という条件です。

「広告セット」の階層で1日15件以上のコンバージョンが獲得できれば、広告配信システムは十分に広告を最適化できるようになっています。

では「広告セット」とは何か。Instagram広告を作成する際の、1つの階層になります。

Instagram広告を作成する際は、まず「キャンペーン」という階層で広告の目的を設定し、次にこの「広告セット」という階層で、ターゲットオーディエンスや、どこに広告を配信するかという配置や予算、最適化対象というものを選んでいきます。

繰り返しになりますが、それでこの「広告セット」の階層で1日15件以上のコンバージョンが取れれば、広告配信システムはどんどん精度を上げて、より期待値の高いオーディエンスに対して優先的に広告インプレッションを届けていくことができるということになります。

ダイナミック広告で自動的に購買を後押し

Facebookピクセルの3つの機能についてご説明してきましたけれども、広告を展開する際に「いいね」やコメントといった指標だけではなく、ぜひ実際のビジネスにつながるようなアクションというものをしっかりと計測して、具体的なビジネスの成果につなげていただきたいというのが、我々からのメッセージになります。

Facebookピクセルが使いこなせるようになりますと、広告の活用方法というのはどんどん広がっていきます。

例えば、「ダイナミック広告」というプロダクトがあります。

「Eコマースのサイトを訪れて、商品を見たけど購入に至らなかった」というオーディエンスに対し、最適な商品をフィーチャーした広告を自動的に配信するというのが、このダイナミック広告というプロダクトです。

(スライドを切り替えながら)もう少し詳しく、ちょっと次のページにまた、図があるんですけれども……。例えば、とあるユーザーがWebサイトに行って黒いジャケットをチェックした、もしくはカートに入れたとします。

そうすると広告配信システムはFacebookピクセルを通じ、「商品が閲覧されました」とか「商品がカートに入れられました」というシグナルを受け取ります。

そのシグナルをベースに、この黒いジャケットを見たユーザーに対して、しっかりと「この黒いジャケットを買い忘れてないですか?」という広告を、自動で当てていくことができます。

これはクリエイティブをヤマ勘で入れて当てにいっているのではなくて、もともと取り扱っている商品を全部Facebookに情報としてアップロードしていただいて、自動的に配信されているんです。このダイナミック広告は、購買を後押しするという目的においては、最適な広告プロダクトになっています。

また、今年からダイナミック広告はInstagramストーリーズ面にも配信できるようになりました。活用いただいている企業様も増えております。このダイレクトレスポンスに効果的なのが、ダイナミック広告です。こちらをInstagramストーリーズ面に配信して、効果を試していただきたいと思っています。

EコマースだけでなくアプリDLの促進にもつながる

ダイナミック広告について1つ追加でお伝えしたいことがあります。ダイナミック広告というのはこれまでの図で「Eコマースのお客様専用じゃないか」という印象を受けた方もいらっしゃると思いますが、実はそうではないです。

(スライドを指しながら)こちらはグリー様が運営しているライフスタイル系のメディアで「LIMIA」というサービスです。

ダイナミック広告を使うことによってアプリインストールを促進したところ、インストール単価が3割ぐらい安くなり、かつ、広告のクリック率も非常に高かったとのことでした。

このようにダイナミック広告は、いろいろな業界に転用できるものになっております。

今日のイベントが終わったらぜひ、みなさまが運用されているアプリやWebサイトにおいてダイナミック広告が実施できるのかどうか、ふさわしいのかどうか、確認していただければと思います。もしくは、お付き合いのある広告代理店様にご相談いただければ幸いです。

また別の活用方法としては、Instagramのショッピング機能がございます。

Instagramの投稿から直接ECサイトにユーザーを誘導できるという、画期的なプロダクトです。現在は広告の機能はなくオーガニック(マーケティング)限定ですけれども、今後、広告としても使えるようになる予定です。(注:本機能は2019年10月31日にリリースされました。)こちらもぜひ、ご利用ください。また、広告展開にご期待いただければと思います。

さて、駆け足で内容を詰め込んできましたが、Facebookピクセルの利用によって広告主様はInstagram広告をフルファネルでご利用いただけるようになります。また、そうすることによってInstagram広告のフルポテンシャルを引き出せるということになります。

ですので、ぜひFacebookピクセルをフル活用していただくよう、お願いしたいと思っています。

私のプレゼンテーションはここまでで一旦終わりです。