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ミーガン・ラピノー氏「私たちにはこの世界をより良くする責任がある」ーーチームを4度目のW杯優勝に導いた、女子サッカー得点王の想い

2019年7月10日、女子サッカー史上最多となる4度目のワールドカップ優勝を遂げたアメリカチームが、ニューヨーク市庁舎前で凱旋パレードを行いました。セレモニーのスピーチには、レズビアンであることをカミングアウトし、トランプ政権を激しく批判していることでも有名な、得点王&MVPのミーガン・ラピノー選手が登壇。チームを応援してくれた人たちへの感謝からはじまったこのスピーチでは、今こそが歩み寄りの必要な時代だと告げ、セレモニーに集まった人たちへ「私たちにはこの世界をより良くする責任がある」と語りかけました。

女子W杯の得点王&MVP ミーガン・ラピノー選手のスピーチ

ミーガン・ラピノー氏:ニューヨーク市のみなさん、いきますよ! 目の前に大勢いらっしゃいます、遠くの方にまで大勢見えますよ。向こう側のみなさん、こんにちは!

これは素晴らしいですね、本当に素晴らしいことです。言葉に詰まってしまいます。でもちゃんとスピーチしますから、ご心配なく。これは冗談ですよ。

何よりもまず、私のチームメイトでしょう。チームメイトを讃えてください。みなさん全員でお願いします。

(会場拍手)

このグループは、立ち直りが早く、タフで、ユーモアのセンスに溢れています。何者にも圧倒されることのない、イケてる集団です。

私たちは冷静ですし、紅茶を飲んだり(注:対イングランド戦で、モーガン選手が行って物議を醸した、紅茶を飲むゴールパフォーマンスを指す)、ゴールパフォーマンスを行ったりします。

チームには、ピンクの髪の人、紫の髪の人がいます。タトゥーのある人、ドレッドロックヘアの人もいます。白人の娘、黒人の娘もいます。そういったものの、中間にある全ての人がいます。ストレートの娘、ゲイの娘もいます。ヘイ!

(会場拍手)

カーリー(カーリー・ロイド)とアレックス(アレックス・モーガン)と共に、このチームの副キャプテンであることを、これ以上なく光栄に思います。フィールドでこのチームの指揮を執ることができるのは、この上ない名誉です。

私が居たいと願う場所は、このチーム以外にありえません。大統領選挙などもっての他です。私は多忙ですから。ごめんなさいね。

(会場笑)

スタッフ、コーチング・スタッフ、テクニカル・スタッフ、医療スタッフ、サポート・スタッフ、マッサージセラピスト、ビデオグラファーのみなさんに感謝を捧げます。

チームの面々:シェフを忘れないで!

ミーガン:シェフですよね! このゴージャスなチームのシェフにも感謝します。警備担当のみなさんもそうですね。全員が素晴らしい人たちです。心から感謝します。みなさんのおかげで、私たちは自分の仕事を容易に全うできました。フィールド上だけに集中できたのです。ありがとうございました。

チームを見守ってくれた人たちへの感謝の想い

アメリカ合衆国サッカー連盟にも感謝します。カルロス(米国サッカー連盟 カルロス・コルディロ会長)、ありがとうございます。ワールドカップにおいて、あなたは素晴らしかったです。この会場に来るまでに、ひと悶着あったことは知っていますよ。ふた悶着だったかしら?(男女間の賃金是正についての発言を指す)。

でもまあ、これは一種の愛情表現ですよね。みんな、何らかのダメ出しをされるんです。権力の座にある人はいつもそうです。このことについては、もう少し掘り下げてお話ししたいと思います。

私は、カルロスを支持します。彼は私たちの味方です。正しい側にいる、物事を正してくれると私は思っています。そして彼の正しさは立証されました。彼が、私たちのための職務に就いてからずっとです。彼は、私たちと共にいてくれました。ワールドカップ開催中は毎日ずっと、私たちの傍にいてくれました。

これは私個人の立場から見ても、チームにとって計り知れないほどの意味を持っていますが、外部から見ても、他の誰の目から見ても、彼は文字通りずっと側にいてくれたのです。彼は全ての試合中、地下通路で見守ってくれていました。全ての試合を祝福してくれました。深く感謝します。ありがとうございました。後日、圧力をかけることを楽しみにしています。

(会場笑)

お次はニューヨーク市長です。ビル・ブラジオ。こうしてお会いするのは2回目ですよね。そして、お美しい奥様。私たちを暖かく迎えていただきありがとうございます。さらに、アンドリュー・クオモ、ニューヨーク州知事です。お名前の発音はこれで合っていますか? 私たちを歓待いただきありがとうございます。

ニューヨーク市警察、ニューヨーク市消防署のみなさま、そしてこの祝賀会を実現に運んでくださったすべてのみなさま。本当にありがとうございます。みなさんなくして、実現は不可能でした。世界一の素晴らしい大都市を、封鎖してくださった労に深く感謝します。それも、世界一偉大で素晴らしいチームのために!

(会場拍手)

ありがとうございます。この歓声は、私たちにとって、たいへん大きな喜びです。

私たちにはこの世界をより良くする責任がある

最後にはこう締めくくろうと思います。

私から、みなさんにぜひしてもらいたいことがあります。私たちは、より良くなる必要があります。もっと愛すべきであり、憎しみを減らすべきです。より他者に耳を傾けるべきであり、喋り立てることを控えるべきです。これは、全ての人が負う責務です。

ここにいる全ての人、ここにいない全ての人、ここにいたくない全ての人。賛成する全ての人、もしくは反対する全ての人。私たち全員に、この世界をより良くする責任があるのです。

このチームは、そういった責任をしっかりと担い、自分たちのポジションと世界での影響力をきちんと自覚しています。

そうです、私たちはスポーツ選手です。そうです、私たちはサッカー選手です。そうです、私たちは女性アスリートです。しかし、私たちはそれ以上の存在です。

みなさんも、それ以上の存在です。みなさんはファン以上の存在です。スポーツを応援するだけの人々でもなく、4年に一度、テレビを視聴するだけの人々でもありません。みなさんは日々、街の往来を歩き、日々、自分たちの暮らすコミュニティと関わっています。

自分たちのコミュニティを、いかに良くしていくべきでしょうか。身の周りの人たちにとって、いかに物事を良くしていくべきでしょうか。家族や近しい友人たち、身近な10人、20人、100人にとって、物事をより良くしていくにはどうしたらよいのでしょうか。それはみなさん一人ひとりが担う責任なのです。

今こそが、歩み寄り、対話し、協働すべき時

近年、あまりにも多くの争い事が起きました。私は、その被害者の一人であり、加害者でもあります。アメリカ合衆国サッカー連盟との論争について、私の発言の一部については反省していますが、全てについてそうというわけではありません。

しかし、今こそ歩み寄るべき時です。この対話が、次のステップへとつながるのです。私たちは、協働するべきです。全ての人が関わるべきです。私からみなさんにしてもらいたいことは、以下のとおりです。

自分ができる限りのことをやってください。やるべきことをやってください。自分の殻から外へ足を踏み出してください。より大いなる、より良い存在であってください。これまでなかったほど、大きな存在であってください。

私たちのチームが、みなさんがこれから成り得る存在の代表であるならば、ぜひ実践の参考にしてください。

このチームは素晴らしいです。今日この場に出席し、みなさんと共に祝賀できるまでには、私たちは多くの重荷を肩に担ってきました。しかし私たちはずっと笑顔でした。ですからみなさんも、どうか私たちに笑顔を見せてください。ぜひお願いいたします。

ニューヨーク市のみなさん、あなたたちはクソったれで素晴らしいです(注:公共生放送で” fucking”という語を口にして物議を醸した)。

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