2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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宮本淳氏(以下、宮本):赤星さん、すみません。ここでちょっとぶっこませていただくんですが(笑)。みなさんに2択で質問で、手を挙げていただきたいんですけれども。ヤフーさんというメディアのイメージについてお聞きします。若年層に強いメディアなのか? 弱いメディアなのか?
こちらにGoogleさん、YouTubeさん、LINEさんとか、インスタさんとか載ってますよね。こんな人たちと比較してみたりしながら、強いと思うのか弱いと思うのか、みなさんのヤフーさんに対してのイメージをお聞きしたいんですけれども。まずヤフーは若年層に強いメディアだというふうに思う方?
(会場挙手)
いらっしゃいますね。
赤星大偉氏(以下、赤星):ありがとうございます。
宮本:弱いメディアというふうに思う方?
(会場挙手)
ですね。すみません、赤星さん(笑)。
赤星:いえいえ(笑)。
宮本:これがイメージというものです。イメージじゃなくて、事実はどうなのかというのをお見せしたいと思います。
これがヤフーさん、YouTubeさん、LINEさんを年齢層別に切ったものです。18歳から34歳、この中で言うと若年のほうですね。実は、ヤフーさんもYouTubeさんもLINEさんも2,000万人弱のリーチを持っていて、変わらないんです。これがイメージじゃなくて事実です。
宮本:この事実をわかったうえで、メディアさんを使うかどうかというのが非常に重要なことです。さっき赤星さんが「『オラオラでうちは偉い』というふうに言うことをやめる」と言ってましたけれども。
やっぱり、ニュートラルな指標として、きちんと横並びで比較できる環境の中でこうやって見ていくと、ちゃんと事実がわかるわけです。これをわかったうえでメディアプランを考える。それもわからないでイメージだけで考えちゃうと、たぶん広告効果って大きく変わってきます。
この性別・年齢といったところで、基本的な指標が揃っているといったところがまず大前提にあるわけですけれども。そのうえでたぶん広告主のみなさんからすると、「いやいや、もっと趣味嗜好を狙ったり、購買への影響だったりとか、いろんなことを見てみたいよ」ということをおっしゃられると思うので。
先に、実はどんなことができるのかということの1つの例を赤星さんにご紹介していただきたいなと思います。
赤星:ありがとうございます。ヤフーというのは本当に、20代とかああいった多くのユーザーが使うメディアサイトであることは、結果として事実であると分かっていただけたかなと思います。
クライアントのみなさまには、そういうユーザー層がいることを認識していただいたうえで、メディアプランの中に含むか含まないかを考えていただきたいなと思います。
加えて、性別・年代だけでメディアプランが全部組めるわけではないと思います。そこから一歩踏み込んだディープなインサイトを1つ紹介させていただきたいなと思っていまして。これは、我々ではなくて第三者機関の調査会社さんを使わせていただいたんですけれども。某飲料メーカーのお客さんと一緒に調査したものになります。
やっぱり飲料メーカーさんは、若年層にどうやってアプローチするか、若年層にどうやって売るかということをすごくファーストプライオリティとして捉えられています。それは、未来を作るすごく重要なアクションだなというふうに思うんですけれども。
一方で、ちゃんとした事実として本当に飲料を購入している層、その中でもとくにアルコールを購入している層がどこにいるのかというのを、一歩踏み込んで考える必要があるかなと思います。
赤星:これを見てみると一目瞭然のとおり、例えば男性の部分ですけど、実は20代の半分くらいしかアルコールの購入経験がない。赤いほうのグラフですね。30代・40代・50代・60代となると、どんどんその割合が増えていく。60代以上に関しては、80パーセント以上が買ったことがあるというデータが出ています。
加えて、その隣の青が1人あたり月間でどれくらいの金額を使うのか。これもまた年代を重ねるにつれて、どんどん月間の購入額が増えて。クライアントさんからすると、この赤×青のボリュームが、その年代層における売上インパクトになると思うんですけれども。
これを見たときに、若年を狙うことも重要だと思うんですけれども、しっかりとアルコールの売上を上げていくという意味では、40代、50代、ひいては60代にどうやって訴求するかというところも非常に重要になってくることがインサイトとして得られると思っています。
20代で先ほどああいったグラフがありましたけれども、ヤフーは30代・40代・50代にも非常に認知を持っていますので。そこをどうやって使っていただくかという、非常にメディアプランのいいインサイトの事例をご紹介させていただきました。
宮本:やっぱり、このあたりのキーワードはPeople Basedということになってくるわけですけれども。実は、People Basedになっていないものがデジタルメディアなんですね。こちらにありますように、例えばある媒体社さんはオラオラで「うちは1,000万ダウンロードありますよ」とか、ある違う媒体社さんはオラオラで「うちは1億PVありますよ」というようなことがあったりします。
なので、People Basedになっていなくて、かつ物差しも全部揃ってないというのが今のデジタルメディアのちょっとカオスな状況ですね。これがみなさまの前に出たときにどんなふうに表現されるのかと言うと、こちらなんですけれども。
例えば、動画媒体Aさんは自社のメディアシートの中で月間リーチ3,400万人、それがどこのデータかというソースの記載がありません。18~24歳、25~34歳というような年齢区切りがあって、このへんのデモグラの内訳はGoogleアナリティクスで分析してます、というようなことを言います。
ところが、媒体B社さんは、媒体調査です、自社調査です、と言いながら、うちは月間訪問数は1,700万人で10代・20代・30代・40代の割合はこんな感じで、やっぱり自社調査です、というようなものが横に並んだりします。
宮本:調査の仕方も違えば年齢の刻みも違いますし、何をもとにやっているのかもぜんぜん違います。例えば、ここでは20代女性にリーチしたいメディアを選ぼうと思ってもわからないわけですよね。
この指標が揃うのはどういうことかと言うと、このように同じソース、ここでは手前味噌ですけれども、弊社のPeople BasedのDCR(デジタルコンテンツ視聴率)を使わせていただいていますが。DCRのデータをもとにDAUがいくつあって、MAUがいくつあって年齢刻みはこうなって、というのが横並びでちゃんと比較できる。
ここがベースとしてあったうえで、それぞれの媒体社さんが一番下のところなんですけれども、「うちはファッション好きが多いんですよ」とか「インフルエンサーが多いんですよ」とか、あるいは「うちは世帯年収が高い人が多いんですよ」というような味付けをしていくことで、比較と差別化ができる。
当たり前ですけれども、だいたい媒体社さんは差別化をしたいわけです。けれども、比較ができていなければ、基本的に差別化というのはできません。比較ができるという状況がまず整う。そのうえで味付けをしていくということがおそらく非常に重要なことで。
これがわかってくると、広告主さんもどの媒体を選ぶと自分たちのキャペーンの目的に合うのだろうかということが、必然的に情報として分かって使っていただけるようになる。今までのように土俵に乗らなかったというようなことがなくなって、ちゃんと媒体として選択肢の中に入ってくる。そういうことが起きてくるのがDCRのところです。
宮本:それから、もう1つ問題提起なんですけれども。実は、People Basedの反対側に、もう1つ識別子Basedというのがあります。識別子Basedというのは何を言っているのかと言いますと、今から私の場合を例えに、「識別子って何?」ということをお話しますので、みなさん頭の中で自分のことに置き換えて考えてみてください。
例えば、僕は会社でPCを使っているわけですけれども、ブラウザでいうとChromeを使ってFirefoxを使って、あとアプリケーションの絡みでIEを使っています。ここでcookie3つですよね。自宅のパソコンでもChromeとFirefoxを使ってます。ここで合計5個ですね。みなさんも考えてくださいね。
それから、仕事用にタブレットを使っています。iPadを使っていて、ブラウザでいうとSafariとChromeを使っています。それからモバイル端末の広告はIDなんです。これで合計8つ。それからスマホ。スマホはAndroidを使っているんですけれども、デフォルトのブラウザと、それからChromeです。ここにもまた別の広告IDがあります。
そう考えると、私は実はデジタル上の識別子を11個持っているんですよね。みなさんの中にも2桁の方はいらっしゃるんじゃないかなと思います。実は5つ以上の方は全然珍しくなくて、たくさんいらっしゃいます。これが識別子Basedの世界で、People Basedじゃないということなんですね。これが非常に大きな問題です。
それでどういったことが起きるのかと言うと、例えば1人あたり平均3回のフリークエンシーで広告を当てたつもりが、実は識別子Basedのキャップでしかないので、1人に対して18回当たってました、というようなもの。過剰フリークエンシーのリスクというものが起きてきます。これが、People Basedでなければならない非常に大きな理由になります。
ヤフーさんにも先ほどは「アドベリの対応どうしてますか?」ということを伺いましたけれども、せっかくですから、ここで「People Based」というキーワードに対して、どのように対応されているかを伺ってみたいなと思います。
赤星:冒頭に宮本さんからお話のあった、DCR(デジタルコンテンツ視聴率)の導入や、あとはキャンペーンベースで使うDAR(デジタル広告視聴率)は、もうすでに我々は利用させていただいておりまして。いわゆるマーケティングに使う分においては、ニールセンさんのツールを使っていただければ、非常にPeople Basedな計測ができる状態だと思います。
ただ、決してすべての広告主さんなどがそれを使うわけではないと思いますので、我々は1媒体として、取り組みとしてはぜひ強化していきたいなと思っております。
これは何度も話として出てきていますが、枠から人へのパラダイムシフトというのはもうすでに劇的に増えてきているのかなと思います。我々ヤフーの媒体の中でも、20何年間のロングセラーとなっているブランドパネルというものがありますが、あれも枠という概念だと思います。
そこから会社としては、人(ベース)にどうやって変えていくかということに、どんどん取り組んでまいりたいなと思っています。我々はいま、広告事業においては、例えば先ほど申し上げたブランドパネルにしても、あとYahoo! JAPANのトップ以外のニュースの面などに出てくるプライムディスプレイという右上の枠があるんですね。
実はああいった枠に、現状こういった複数のディスプレイの広告プラットフォームを配信して使わせていただいております。例えばプレミアム広告も、DSPがあって、YDNがあってと、本当にいろいろなプラットフォームが入り乱れている状況にあります。
枠から人へというパラダイムシフトが起きている中で、我々は枠をさらに細分化していってしまっているという状態が非常に問題だなと。クライアントファーストじゃないと思っています。
こういったプラットフォームは、メディアプランが作りにくいということもさることながら、結局は先ほど宮本さんがおっしゃられたように、複数の識別子を有している、全部計測しているわけですから、レポートも分断されていて。結局、このキャンペーンは何人にリーチして、どれくらいの効果があったのかということが非常に見えにくい状態になってしまっています。
赤星:これは非常に問題なので、おそらくプラットフォームの統合にはそれなりの時間はかかるんですけれども、我々としては、しっかりとプラットフォームを1つに統合していってですね。ヤフーで特別な枠というのは、我々が決めるのではなくて、例えば広告主さんがDCRやDARを使って、「確かにたくさんのユーザーがいるし、フリークエンシーも非常に取れるし、本当にビューアビリティも高いし、価値の高い枠だよね」と。それによって、結果的に媒体が儲かる。そういうサイクルで回していきたいなと思います。
新体制以降は、こういったプラットフォームをどんどん統合していって、1つのプラットフォームでメディアバインドできるような世界観を早く実現したいなと思っています。そんなことを社内の開発チームで鋭意やらせていただいておりますので、みなさんにもどんどん情報をシェアしていきたいなと。
本日は具体的なロードマップまでお見せできると非常によかったかなと思いますけれども、我々の考えていることを少しお伝えさせていただければと思っています。実際に、先ほど申し上げたブランドパネルにYDNというプラットフォームでの掲載を開始しております。こういった手前でもできることをどんどん実施していきたいなと思います。
すごく細かいことなんですけれども、実はブランドパネルって、それこそiAdやJIAAがある前から、我々はバナーを掲載させていただいて。それこそ、オレオレフォーマットですね(笑)。縦横のフォーマットも非常に独特なものがあって、ヤフーのブランドパネルのオリジナルでクリエイティブを作らなきゃいけないところが非常によろしくないなということで。
ここに掲載されているYDNは1:1ですとか、16:9という本当にスタンダードなサイズになっています。すごく細かいことではあるんですけれども、どんどん我々はフォーマットを統一化していきますし、そういう世界観を目指していきたいと思います。
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