三日坊主防止アプリ「みんチャレ」

大室正志氏(以下、大室):次は長坂さんですね。長坂さんのエーテンラボという会社は、もともと昨年ソニーから独立したスタートアップということです。ソニー出身のエンジニアを中心に、現実世界の行動が変わる「みんチャレ」を開発しているとのことです。「みんチャレ」は、みんなでチャレンジという意味です。

これはGoogleストアのアプリでの評価が非常に高いということで、さっそく今回ご紹介いただきたいと思います。では長坂さん、よろしくお願いします。

長坂剛氏(以下、長坂):ご紹介ありがとうございます。三日坊主防止アプリ「みんチャレ」という、行動変容と習慣化のためのアプリを作っているエーテンラボの長坂です。

私たちのサービスは、5人1組の同じ目標を持つ方同士が励まし合って、ピアサポートで行動変容と習慣化を実現するアプリになってます。デモをご覧ください。

(スライドを指して)例えば、何かを習慣化したい方が、カテゴリから自分が身につけたい、もしくは解決したい課題に関するチームを選びます。糖尿病の患者さんが、糖尿病改善というカテゴリから、運動療法や食事療法に取り組まれている患者さん同士のチームを選びます。もしくは、ユーザーさんが自分でチームを作ることができます。

一番上のチームは、食事制限、運動制限のつらさを励ましあおうと、食事や運動療法をされている方たちのチームだと思います。このチームは現在3人集まっていて、行動変容にチャレンジされているんですけども、じゃあ4人目として参加しようかなということで、チームに入ります。

チームの中で「7キロウォーキングしました」とか「スクワットやりました」という報告をしています。別の方はファミレスで外食しました、みたいなのも報告したりしている。

ここで食事療法や運動療法を報告しあったり、励ましあうチームなので私も参加しよう、ということで、「このチームに参加する」というボタンを押すと、同じ目標、目的の患者さん同士のチームに参加することができます。

みんチャレによる、行動変容連鎖の起こし方

長坂:実際参加すると、どういうことになるかということなんですけれども。(スライドを指して)こちらは実際に私が参加してる「糖尿病アンド予備軍の生活習慣改善」というチームです。LINEのようなグループチャットになっておりまして、5人1組のチャットになってます。

ここで今日やったことを報告しながら、励ましあって、習慣を身につけています。何を食べたとか、どれくらい運動したのか、みたいなことを報告します。今日は、この方は「ゼリーはローカロリーと思ってましたが、糖質がむちゃくちゃあるんですね」ということに気がつきました、ということを告白しつつ、食べたものを紹介しています。

「一応糖質に気をつけているな」ということで私が「OK」ボタンを押してあげると、この方はチャレンジ投稿したことになります。同じ目標の方同士で認め合うことをやってもらう。今日私がやったことを報告するんですけれども、今日撮った写真しか証拠写真として送れません。

例えば、今日ヒカリエのホールの階段で写真を撮らせていただきました。私はいつも階段を歩くようにしていますので、階段の写真を載せて、「いつも階段は駆け上がります」とコメントして、報告します。

私が「いつも階段を駆け上がっているんですよ」って報告すると、チームの他の方が「この人ちゃんと運動しているんだな」ってことで、「OK」ボタンを押して認めてくれるという仕組みです。

他の人がやったことが、自分の行動に対して刺激になるので、フィードバックが行われて、「私も階段を歩いてみよう」ってことであったり、どんどん行動変容の連鎖が起きてくるのが「みんチャレ」であります。

リバウンドしないダイエット

長坂:例えば前の方ですと、「少し頑張りました」ってことで、9,500歩の写真を投稿しているんですけれども。1万歩歩こうという目標にしていたら、500歩足りなかったことを認知しますので、翌日の行動が変わって、行動変容が起こって、じゃあ1万歩をめざそう。ということでもっと歩くようになる。

こういった連鎖が、日々ユーザー同士のピアサポートで行われるので、習慣化がされやすい。取り組む内容は糖尿病の改善だけではなくて、例えば、「白湯を飲もう」や「朝に水分補給をしましょう」、「一日一歩、三日で千歩」というウォーキングチームがあったり。 あとは「早起きをしよう」とか、「朝は5時半までに起きよう」みたいなかたちで、生活習慣のリズムを整えるという目的で多くお使いいただいています。

多くの方がヘルスケアを目的に使っていただいています。みんチャレで、本当に行動変容が起きるのか?、というところなんですけれども、みんチャレの習慣化成功率は、21日間続いた方の割合が69パーセントということで、1人で習慣化に取り組まれるよりは、8倍の習慣化の効果があるサービスになっております。

習慣化ができると何がいいことがあるか?、ということなんですけども、例えば一つの例として、ダイエットがあります。ダイエットに取り組む方の体重減少の平均値について、みんチャレユーザーは平均15週で約3キログラム減少の効果がございます。

特徴的なのは、その後のリバウンドはしないというところです。何かを急に我慢して、目標体重を達成したのでダイエットをやめてしまってリバウンドする、というのがよくあるパターンなんですけども、みんチャレの場合は行動変容をして、生活習慣を変えていくダイエットができます。それがもう自分の生活習慣として身につくと、標準体重になったあとは維持できる。こういった行動変容と習慣化のサービスを提供しております。デモは以上になります。ありがとうございました。

(会場拍手)

猫語でプログラムされたAIチャット

大室:ありがとうございました。じゃあ、こちらへ。(長坂氏の手元の人形を指して)これは猫なんですね。やっぱりチャットをする時は、猫語じゃないとダメとか決まりがあるんですか?(笑)。

長坂:語尾は「ニャン」ってつけなくても大丈夫です(笑)。

長坂:これは、ユーザー同士の会話が活発になるようにAIのチャットロボットが入っています。チーム便宜をサポートするという機能で、このキャラクターを使っています。

大室:チャットはやっぱり猫語でプログラムされているという……

長坂:はい……猫並みの頭脳です(笑)。

大室:猫語はおじさんから見ると、なかなか習得が難しい言語の気がするんですけど(笑)。なんとなくアプリの雰囲気を見てわかるとおり、長坂さんはどちらかというと、もともとゲーム(業界)の方だったんですよね。

最近の予防医学のトレンドは、ゲームアプリケーションといいまして、ゲームをしているように楽しくやっていただくというところがあって。それがふんだんに取り入れられているアプリじゃないかと思いました。ありがとうございました。

長坂:ありがとうございます。

産業医の手間を減らすサービス「オンライン産業医」

大室:ここで先ほどちょっとご紹介してしまいましたけれども(笑)。メドピアグループということで、医師である石川陽平さんをご紹介させていただきます。よろしくお願いします。

石川陽平氏(以下、石川):よろしくお願いいたします。メドピアグループの石川と申します。今回ご紹介させていただくのは、first callシリーズで企業向けに提供している「オンライン産業医」というサービスになります。

軽く「産業医とはそもそも何か」ということから説明させていただきますと、産業医は50名以上社員さんがいる事業所では、必ず契約しなければならない医師です。どういうことをやっているかというと、例えば、うつなどで会社に出られなくなってしまった社員さんがいるときに、会社の事情などを勘案した上でその方をサポートする、というような医療のプロフェッショナルになります。

しかし今現在、産業医の業務というのは、大きく分けて3つぐらい、面倒くさい手間がかかっている項目があります。まず1つ目が、例えばうつなどで面談が必要になった場合。その社員さんと産業医をつなぐのに、人事の方がメールで何通も何通もやりとりして調整しなければならない、という工程が発生しています。これが何人もいらっしゃると、それだけで手間になってしまうというのがあります。

また2つ目に場所の問題があります。産業医の面談というのは、主に会社で行われることが多いですが、例えばうつの社員さんなどは外に出て会社に行くことが難しいケースも多いため、なかなか面談を実施することが難しい、という課題が存在しました。

3つ目がレポートの管理です。産業医の面談が終わったあと、産業医は会社側にレポートを提出するんですけれども、提出方式が口頭であったり、場合によっては紙であったりというかたちで、レポートの管理がけっこう手間でした。

これらをfirst callの「オンライン産業医」で解決したいと思って、本サービスを開始しております。

会社でしかできなかった面談も、テレビ電話で解決

石川:では実際に見ていきたいと思います。これは法人の管理画面ですね。人事の担当者が見る画面になります。

以前までは、例えば鈴木さんという方がうつになったとして、その方の面談をセッティングしたい場合は、メールで一つひとつ手作業で調整する必要があり、それがけっこう手間だったんです。でも、ここの画面では、この名前とメールアドレス、あとは産業医のコメントなどを書いていただいた上で「依頼する」というボタンを押していただければ、これでセッティングが終了です。これ以上もう人事がやる必要はありません。

その次にこちらで従業員の画面に移ります。こちらも同様に例えば、うつになってしまい、産業医のサポートを受けたいという鈴木さんという方がいらっしゃった場合、通常産業医というのは、主に非常勤がメインで、月に1回とか2回ぐらいしか会社に来れないケースが大半です。

その中で面談の時間をセッティングしなければいけない、という状況だったんですけども、本サービスでは「オンライン」での面談が可能になるので、産業医の方に事前にこの時間だったら面談できるよ、というスケジュールを出していただいて、その中から面談したい時間を選択することで、社員さんにとって都合のいい時間に面談を調整しやすくなります。

次に、その指定した日時になったら面談に移ります。例えば2時半に面談の時間になったとき、このマイページの画面から移っていきます。こういったかたちで面談画面に移るんですけれども。

この場所というのが非常に大事で、今までメインでは会社でしか面談できなかったというのが多かったんですが、オンラインでテレビ電話につなぐことによって、社員さんが自宅でも、会社でも、どこであっても、面談ができるというのが非常に便利な点です。

(テレビ電話の画面を指して)ここに映っているのが弊社の医師の眞鍋医師です。「(テレビ電話から眞鍋医師より)こんにちは」。眞鍋医師の登場は、これでおしまいになってしまうんですが……。このために30分待っていただきました。

(会場笑)

こうして面談が終わると、医師がレポートを書きまして、そのレポートが管理画面に反映されます。例えばこういったかたちで管理画面に反映されて、口頭や紙ベースではなくて、管理画面で一覧で見ることができるので、管理が非常に簡単になります。

ということで、本サービスを利用することによって、産業医の面談日程の調整が非常に楽になる。それから面談の場所も、会社でもいいし、自宅でもよくなる。またレポートの管理が楽になる、というようなサービスを作ってます。

弊社としてはこういったサービスを通して、産業保健とか健康経営、そういったキーワードの中から予防医療を進めていきたいと思っております。以上です。

(会場拍手)

産業医の法律は、工場全盛期から変わっていない

大室:ありがとうございました。このあたりは僕の専門というか、実はこのシステムを作るときも、いろいろヒアリングを受けたりしているんですけれども。産業医の法律では、よくご存知の方もいらっしゃるかもしれないですけど、50人以上の「会社」ではなくて、「事業所」と書いてあるんです。

50人以上の事業所だと産業医と契約しなきゃいけない。ですので事業所って、すごく解釈が難しいんですよね。今って、いろいろな会社の中で、会社は別々だけど同じビルのフロアに入って、仕事は一緒とか。

なんでかというと、この産業医の法律自体が、昔の工場をイメージしているからなんです。そうなってくると、同じ会社のグループだけの、事業所としては20人のところだったら産業医はいらないのかという話になる。

じゃあ、そのグループの人は面談必要はないのか、といったらそうでもなくて、社会的責任は同じぐらい企業として持っている。そういったいろいろなパターンのときに、やっぱり法律と現実が、ちょっと合わなくなってる部分もあって。そういった間を埋めるものとして、非常に画期的なシステムではないかと聞いていました。石川先生、反響はどうですか?

石川:いろんなお問い合わせをいただいていて、我々も手に負えないぐらいの反響をいただいている状況になってます。

大室:ありがとうございました。そうしましたら、みなさん、お揃いになられたということで、ここからセッションに移りたいと思います。まず、みなさん、登壇者のお話を聞いてみてどうですか?

岡崎慎一郎氏(以下、岡崎):そうですね……

大室:猫語でしゃべっていただいていいですか?(笑)

岡崎:ニャですね。ニャ。

(会場笑)