「役に立つ」から「熱狂」への価値転換
YouTuberが生み出した“YouTube経済圏”に学ぶこと

新しい経済圏 #4/4

前田塾5周年記念パーティー
に開催

2018年12月8日、合同会社DMM.comにて「前田塾5周年記念パーティー」が開催されました。大学1年生〜20代前半のメンバーが2,500名以上参加する前田塾が創立5周年を記念して開いたこのイベントには、DMM.comの亀山敬司氏、教育改革実践家の藤原和博氏、Yahoo!アカデミア学長の伊藤羊一氏など多数の豪華なゲストが招かれ、「教育」「働き方」「経済圏」をテーマにトークセッションが行われました。ここでは2つ目のセッション「新しい経済圏」の模様を4回に分けて公開します。ラストとなる今回は、この先の時代を生き抜いていくために必要なことについて語ったパートを中心にお送りします。

「自分はこんなに何もできない人間なんだ」と気付かされた学生時代

平尾丈氏(以下、平尾):こんな感じで、「新しい経済圏」に話を戻していきたいなと思ってはいるんですけれど、前田さんどうですか?

前田恵一氏(以下、前田):新しい経済圏も興味があるんですけれど、僕が興味あるなと思うのは、今回いろんな方々のセッションをご一緒させていただいて、すごく強いリーダーシップを持っている方が多いんです。その源泉はあきらかに自分の原体験というか、志・経験からきていることが多いんですよね。

僕も含めて、それを認識するかどうかみたいな話に近いことで、「ない・ある」という話ではなく、それをどのように認識して、どう繋げているかに焦点を当ててうかがっていたんです。

今田さん、よろしければ、なんでこういうことをされていらっしゃるか、とくに25歳からずっとコミュニティを作り続けたいと思ったところ、feverというプラットフォームを作ってまでやっていらっしゃるその理由はなにかございますか?

今田孝哉氏(以下、今田):そうですね、学生時代にいくつか事業をやっていた中で今の流れがあるんですけれど、コミュニティをやったときに、そのコミュニティで運営している課題を解決したいと思ってやったのが1つあります。

思い出して掘り下げると、学生時代にダンス部を作っていたんです。そのときに僕1人しかいなくて、先輩は1人いたんですけど、3年目に入って先輩が卒業してしまって僕1人になったんです。そのときに、半年間くらい1人で勧誘活動しても誰も入らなかった。

「自分は人を煽って巻き込めるんじゃないか」と思っていたんですけれど、意外と何もできなかったんです。その半年間で「自分はこんなになにもできないんだ」ということに気付いたんですね。

これはもっと変えないといけないということで、勧誘活動を180度変えて、もう「入ってください」じゃなくて「1日無料でダンスを教えるからやってみない?」みたいに変えたところ、「1日だったらいいよ」ということで、友だちが2人入ってくれたんです。

そこから、その2人に1日でも長く続けてもらうために、いかにコミットしてもらうかみたいな勝負がまた始まるんですね。1日でも長く続けてもらって、結局その2人がコミットしてくれて人が徐々に増えて、70人くらいまでいったんです。最大規模までいきました。

「自分1人で誰かに勝つんだ」「1人で一番になる」みたいなことが好きだったんです。でもそういう経験を通して「1人の一番」はちっぽけで、周りを巻き込む過程がものすごくおもしろいと思ったんです。

周りをたくさん巻き込んでいく過程に、「入ってくれてよかった」「入ってくれてありがとう」と思ってもらうために、どのくらいコミットできるのか。人を巻き込んで大きくしていく過程に人生を懸けたいとすごく思えたんですね。それが今にかなり繋がっています。起業原点という感じですね。

そこでいかに大きいサービスを作るかという自分勝負の中で、今はインターネット・ブロックチェーン・仮想通貨とかがものすごく広がってきていると思います。

インターネットの普及と、ブロックチェーンと仮想通貨の普及がリンクするところがコミュニティなんじゃないかと思っていて、ここは大きく変わるんじゃないかということで今やっています。

苦痛のない、楽しいことをやるのが一番

前田:ありがとうございます。余語さんもよろしければ……とくに早めに経営者になりたいとか、今は若い人に遊んで欲しいとか、これは志なのかどうかはわかりませんが、なぜそう思うようになったのかをお聞かせくださいますか。

余語邦彦氏(以下、余語):その質問にストレートに答えられるかどうかわかりませんが、やはり楽しいこと、自分がやりたいなと思うことをするのが一番だと思っているんです。

僕は経営するのが好きで、カネボウも再生局面で1万2千人の社員がいて、そのうちの60パーセントがビューティーカウンセラーの女性、比較的年齢の低い女性だったりします。女性かどうかは関係ないんですけれど、そういう人を引っ張っていくとか、経営が楽しいんですよ。

だから今までそういう会社の経営を何社かやった上で、ベンチャーの経営はやったことがなかったので、今回それに挑戦してみたいということでやっています。そういう意味では、みなさんのほうが先輩なんです。

とにかくあまり難しく考えないで、自分が苦痛じゃない、楽しいことをやるのが一番だと僕は思うんですよね。それはそれぞれの方に適性があって、僕は組織の頂点に立って引っ張っていくのが大好きなんです。

前田:いつぐらいから、どんなご経験でそう思うようになったのか、なにか心当たりはございますか?

余語:これは交通事故みたいなものなんですけれど、僕は最初に入ったのが役所で、科技省、通産省といて、それからMBAで海外留学して取ってきて、マッキンゼーに入ったんです。コンサルタントになって、そのあと独立していくつかシリコンバレーのベンチャーとかそういうところに投資家を紹介するような仕事をしていました。

そういう中で、たまたま光通信関連の仕事をするようになりました。創業者の重田さんは、有名なのでみんな知っていると思います。彼が1999年8月頃に一部上場でガーッと時価総額を上げて、翌年2月に急激にゴーンと落っこちたところにたまたま遭遇して、「手伝ってくれ」と言われて、売り言葉に買い言葉でジョインしたんです。

そのとき、コンサルタントから経営者にたまたまスイッチすることになったんですね。それは嵐のような中にいきなり飛び込んでいくようなものでした。

なんとか解決策を見いだしてどうにかなったのでよかったんですけれど、そこから「経営はおもしろいな」と思うようになりました。そういう経緯ですね。話すと長くなります。

結局のところ、大事なのは「やりたいことをやれ」

前田:ありがとうございます。今田さんはダンス部でのご自身の葛藤みたいなものがすごく強いですよね。おそらくすごく大げさなイベントとかではなくて、ちょっとしたものに対する憤りみたいなところを、すごく強く認識されている印象を持ちました。

さらに言うと、憤りを憤りのままにせずに、「それすら許さん!」みたいな感じのアクションが、足下の小さい火だったものがどんどん現象として変わってきた。その結果、会社を作る話になっていたり、巨額の投資をするということにまでなってきたりする。

根っことしては、単純に「俺は平等でいたいんだ」「いろんな人を巻き込みたいんだ」とか、純粋に「交通事故」とおっしゃっていましたけれど、「経営が楽しい!」ということに気付けて、それをやっているんですね。

余語:そうですね、チャレンジなら迷わず飛び込むことだと思います。

前田:第1部から第3部まで、長い時間、こういう場を持たせていただいていますが、平たく言うと「やりたいことをやれよ」みたいなことしか、みなさんおっしゃっていないんです。

(会場笑)

いろんな文脈でいろんな具体事例がたくさんありながらも、「いいからやれよ」「そう思ったんでしょ。やれば?」みたいな話しかたぶんしていないんですね。それを、どういうふうに今のご自身が形成されたのかという話に紐付けて質問させていただきました。ありがとうございます。

起業するのは簡単、続けるのが難しい

前田:第3部自体はこれにてお開きという時間に近づいてきていますが、どうでしょうか。働き方・教育・経済圏。すべてが新しい文脈でなにが起きるのか、なにが起きているのか。そして、どこが本質層なのかという話をずっとしてきました。

結局はだんだん過去の話になってきて、ご自身の過去やなにを感じたかというものが、たぶんみなさん方を突き動かしているということが、伊藤さんのセッションを含めて感じたことです。

5時間ほどやっているのですが、表を書いていただいたかと思うんです。このお三方を前にしてここで時間を取るのはなかなか勇気がいるんですけれど、改めて1分だけ時間を取っていただいて、今までのお三方のお話を踏まえた上で振り返る時間にしたいんです。

一方で、ご自身の経験の中で憤りを感じていたとか、実際はこういうふうにやりたかったとかを振り返る時間を取らせていただきたいと思っております。よろしければ先ほど書いた表、もしくは表がなくてもけっこうです。振り返っていただいて、そこを認識する時間だけちょっとわがままに取らせてください。

平尾:さっき余語さんもおっしゃられたけれど、感情が変わるタイミングはわかりやすいモチベーションの起点になりえるんです。 モチベーションスイッチです。スイッチにはなるんだけれど、どちらかというと難しいのは継続なんですよね。僕は若い頃から起業家を子役みたいにずっとやってきているので、年はまだ青二才ですけれど、だんだん慣れみたいなものが出てきます。これはよくないですけれど、やはり楽しいから続くんです。

起業は続けることが難しいとよく聞きますよね。本当に続けるにはポジティブフィードバックが続くかどうかが大事。やはり楽しいから続くんでしょうね。

でも起業家は大変なんですよ。ものすごく大変です。みなさんの中にも起業されたい方がいらっしゃるかもしれない。慎重に起業してください(笑) 。

生まれ変わっても起業家でありたい

平尾:今日はワークライフバランスの話ではなかったんですが、自分は本当に仕事と人生の境界線がないまま、ワーク・ライフ・インテグレーテッドできてしまったタイプです。でも、やはり楽しいから継続してきて、本当に生まれ変わっても自分は起業家でいたいと思うくらい天職に出会えたなと思っています。それはラッキーだったんですが、自分で……締めの言葉みたいになってしまっていますけど(大丈夫ですか)。

前田:どうぞ。

平尾:好きだから続くこともそうですし、継続していくことの難しさもあります。たまたま自分はそれに出会えたからいいですけれど、皆さん今日なにかに出会えたらいいなとも思います。

本当に学生時代から前ちゃんは、たぶんコネクターというのかな、ソーシャルキャピタルを体現している方です。今日も若い方が多いので過去に振り返っていただいたんだろうなというふうに、勝手に解釈しています。やはりコネクターみたいな人は希有な方だと思います。

今日はみんなおとなしいけれど、交流会も含めて今田さんや余語さんを囲むくらいの感じでバーンと行くんですよ。

それぐらいそういうところがチャンスなんです。自分も学生時代にそうやっていました。

できれば、「好き」をちゃんと見つけてそれを仕事にできてくると、最後はロボットに取られるかもしれないけれど、人間があがいて新しい経済圏ができる。それを作るほうもすごく素敵だと思う。でも、その中で人間ができることを本当に真剣に考えながら、自分はやっていきたいなと思いました。

これからの時代を生き抜くための、3つのカギ

余語:せっかくだから、大学の先生的に今日の1日を振り返って。これからのことは、みなさんの年齢からいうと、やはりいろんなスキル付けて欲しいんだけど、これは共通のテーマだったでしょう? 

1つは今朝の第1セッションでやった「構想力」ですよね。0から1作り上げるもの、クリエイティビティ、企画力というかデザイン力。こういう能力は日本の教育では欠けていて、みんながそれを身に付けないと、こういう起業家にはなれないと思うんです。

もう1つは、やはりグローバルな中で生きていかなければいけない。僕の若いころと違って日本市場がシュリンクしているのは、みなさんにとってはアンラッキーなんだけれど、逆に中国とかインドとか、東南アジアというものすごく人口の多いところが消費力を持って伸びているわけです。

そうすると、日本だけの市場を見てちゃダメなんです。とにかくそのあたり、語学力も含めて日本から外を見る習慣をキチッとつけておく。そういうところで外国の人と語り合える、説得できる能力をちゃんと付けなきゃいけないよ、ということが2つめ。

それからもう1つ。今の世の中を変えているのはやはりITなんですよね。ITがすべてのいろんなことを変革している原動力になっている。その中でプログラミングが重要だよ、とみんなよく言うんだけれど、それはちょっと違っていて、「プログラミングができる」(というなら)、もちろんできて欲しいんだけど、それだけじゃダメです。

実はプログラミング、ITの世界の怖いところは、プログラムにしろソフトにしろゲームにしろ、あとからできたもののほうが絶対に優れているわけ。プログラミングはどんどん陳腐化していくんです。新しいものがどんどんできて簡単になっていきます。そうすると、1つの言語ができたとしても、それは絶対に陳腐化するんです。

じゃあ、そこで勝ち残るためのITリテラシーはなにかというと、僕は明確には答えられないんだけど、例えば論理力、あるいは新しい物理の世界とか。物理の世界や数学の世界は、絶対に簡単にならないんですよ。どんどん難しくなっていくんですね。

そういうところの基本的な能力を磨いておかないといけないので、そのあたりのITリテラシー、この3つがこれからのキーじゃないかなと思います。大学の先生みたいですみません。

やりたいことをやって、熱狂していることが価値になる

前田:いえ、まとめていただいてありがとうございます。

今田:どういうスキルが必要なのかに関する話でいうと、これまでの資本主義は「なにが役に立つか」といったような使用価値だったと思うんです。でも、これからの新しい経済の中では、熱狂とか、それこそ信頼とか共感とか、人の内面的なところが価値になっていくと思ってるんです。

例えば、1つ具体的にいうと、1,000人くらいのあるコミュニティの中で、デザイナーの前田さんという方がいて、その方がコミュニティの中にとにかくコミットして、無償でデザインを作り続けているんですね。

その結果、なにを得たかというと、コミュニティの中だけなんですけれど、圧倒的な信頼や共感を得て、「デザインだったら前田さんだよね」みたいなものができあがっていった。一般的には前田さんよりも腕のあるデザイナーはおそらくたくさんいるんですよ。たくさんいるんですけれど、でもその1,000人の中だったらもうデザインは前田さんしかいないみたいな、そういった絶対的な共感や信頼を勝ち得ているんです。

結局、前田さんがオンラインサロンを立ち上げたときに、まったく有名じゃないのに一瞬で100人が埋まるみたいな現象が起きる。デザインスキルだけではない、前田さんの人柄や想いが、まさに周りからの共感を勝ち得てます。

あと熱狂というところでいうと、最近、YouTuberでヒカルさんとかヒカキンさんとかがいますけれど、まさにYouTuberの方は、(社会問題などに対して)役に立っているか、というとどちらかと言いえばそうではないと思うんです。

役に立ってはいないと思うんですけれど、その人の好きなことを好きなだけ行って動画にした結果、結果的にYouTubeからお金がもらえるという、YouTube経済圏ができていたりしますよね。

そういうかたちで、役には立っていないけれど、やりたいことをやって熱狂していることが価値になる。そういう世界がより広がっていくと思います。なのでまとめると、とにかくやりたいことをやるのが重要かなと思います。好きなことに熱狂している人程魅力的な人はいないと思いますので。

前田:ありがとうございます。この1時間で、最初に経済圏の話をしようと試み、断念しました。

(会場笑)

そしてまた戻ってきたんですけれど、お三方のぜんぜん毛色の違うご経験や考え方が、ぎりぎりでうまくミックスできたんじゃないかなと、非常にほっとしております。今日はありがとうございました。

(会場拍手)

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