ルールから飛び出す人や挑戦する人は、必ず村八分にあう

西野亮廣氏:(1冊の絵本を作るのに何年もかけられる)ポイントは何かというと、複業だったからできたということです。専業だったらできなかったことが、複業だったから、そういう時間があって、こういう作品を作ることができた。たぶんみなさんも今後、いろいろな挑戦をされると思うんです。だけど、やっぱり、大きいイノベーションを起こそうと思ったら、今いる場所を飛び出さないといけない。

飛び出した時には必ず、これはもう必ずなんですけど、飛び出した先のコミュニティなどで村八分になる。僕だったらテレビを辞めようと(思って)「ひな壇に出ない」と言ったら、やっぱり芸人仲間から「ひな壇出ろよ」とか、痛いぐらいに無茶苦茶言われたんです。ルールから飛び出したので、やっぱり村八分になるんです。そのルールから飛び出して絵本を作ったら、次は絵本グループから「そんなものは絵本じゃない」みたいなことを言われるんですよ。

とにかく、もう無茶苦茶叩かれる。たぶんこの10年ぐらいの日本人史上で1番叩かれたやつだと思うんですけど、挑戦したら、とにかく叩かれるんですよ。それが、飛び出したら村八分にあうということなんですね。挑戦すれば必ず村八分にあうので、避けては通れないんですけど、ポイントは、そうなってしまった時の切り抜け方ですね。どうするかというと、もう1つしかない。何かというと、気持ちで乗り越えるのは絶対に無理です。絶対です。

僕は何千万人から叩かれたんですけど、10人とか100人とか、本当に毎日「死ね」みたいなのがくると、やっぱり気持ちで乗り越えようと思ったら絶対にやられちゃうんです。強い気持ちなんて持ってたって仕方なくて、それでは乗り切れない。持っておかないといけないのは、ロジックです。今、自分はこうでこうでこうでこうだから勝つんだ、というロジックを持っていたら乗り切れる。

それは何かというと、今は飛び出したらメリットがあるというお話をさせていただいているんですけど、東京オリンピックのエンブレムがあったじゃないですか。あれは一般公募で、最終的に白黒のデザインが選ばれた。あれが最終的に選ばれる前に、最終候補として4つ残ったのを覚えてはりますか?

四面楚歌状態のほうが勝率が上がる

Aは白黒のやつだったけど、BCDはもうちょっと軽くて、もうちょっと動きがあって、ちょっとスポーツっぽいエンブレムだった。この4つの中から最終的にどれが選ばれるでしょうか? 審査員の先生、お願いしますと、審査員の中から最終的にはAの白黒が選ばれた。ABCDのそれぞれが選ばれていたわけですが、じゃあ4分の1、4分の1、4分の1、4分の1だったかというと、そんな訳がない。

人が選ぶ時に、まずモノトーンのカラーか色が付いているのかで1回分けるので、Aが選ばれる確率は2分の1。BCDが選ばれる確率は2分の1掛ける3分の1なので6分の1ですね。つまりあの戦いは、2分の1対6分の1対6分の1対6分の1という戦いだった。それはAが勝つよねという話。八百長ですね。それは審査が八百長だったという話では決してなくて、あの作品を作ってしまったAが当然選ばれるじゃんという、極めて算数的なことです。

つまり四面楚歌の状態を作ってしまったほうが勝率が上がるんですね。それでAが選ばれて、これさえ持っていれば……。つまり、芸人をやっていてひな壇に出ないのは、日本では僕しかいない。じゃあ、どの芸人を応援するかといったら、「ひな壇に出ている芸人の誰かを応援するか、ひな壇に出ていない芸人を応援するか」となるわけですね。

そういう分け方をするので、ひな壇に出ていないのが僕しかいない。じゃあ、ひな壇に出ているやつの(中から)誰を応援するかといったら、ひな壇に出ているほうをまず選んで、そこから誰かを選んでということで、ファンの数が減る。その算数のロジックさえ持ってしまえば、つまり村八分は数学的に勝率が上がるということです。それで、やったほうがいいよと。これさえ持ってしまえば、10万人とか100万人とか1,000万人と戦っても、ぜんぜんびくともしないんです。

そっちのほうが得だから。とにかく四面楚歌のほうが、まず勝率が上がる。そのことを今みたいにちゃんと算数でロジックを持っていたほうが乗り切れるんじゃないかという話です。恐ろしいことに、こんなに僕が偉そうにガーッとしゃべったんですけど、まだお金の報告を1秒もしてないという話ですよ(笑)。

(会場笑)

良い作品を作るだけでは売れない現実

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