『日本版 オーカム マイアイ2』のユーザー・岩下氏の講演がスタート

岩下恭士氏:毎日新聞の岩下です。今日はちょうど忘年会のピークの時期に、こんなにたくさん集まっていただいてありがとうございます。

まず最初に今日の説明をしたいと思うんですけれども、ご紹介のあった『オーカム マイアイ2』の、私は日本でユーザー第1号という話なんですけれども、実際に使ってみて私があまりにも感動したのでハマってしまったという、そういうお話と実演を20分前後したいと思います。

オーカムの日本代表でいらっしゃる柳平さんとケイツさんの2人に、今日は来ていただいているんですけども、会社の紹介と製品についての説明を約30分くらいしていただきます。

残りの時間で、あともう1人、新潟大学の福祉工学の専門家でいらっしゃる渡辺先生に来ていただいています。(最後に)渡辺先生を交えて4人でパネルディスカッションをやって、最後にフロアの方から質疑などを受けて、8時に終わりたいと思っております。

開発元・イスラエルならではの事情

岩下:まずはじめに、2点ほどちょっとお詫びしなければならないことがあります。1つは、今日のイベントは駐日イスラエル大使館の協力をいただいていまして、実は頭にイスラエル大使のノア・アッシャーさんにメッセージをいただくというお願いをしていたんですけれども、あいにく今日は金曜日なんですね。

金曜日がなにかっていうと、ユダヤ教徒のユダヤ人にとってはシャバットっていう安息日なんですね。日本だと関係ないのかなと思っていたら、金曜日は仕事しないということで今日は参加していただけなかったという、そういう話がちょっとありまして。

私も1年ほどイスラエルといろいろコミュニケーションをとって、この技術についてずっと取材したいという話でやりとりしていますが、イスラエルという国はけっこうコミュニケーションが難しいなという、そう実感しました。金土日はほとんどコミュニケーションできないような感じなんですね。かなり時間がかかってしまうので、たいへんな国だなというのは正直ございます。そのお詫びが1点。

もう1点は、オーカムさんから柳平さんとケイツさんが来ていただいていますが、本当はエルサレムからインターナショナルデベロップメントマネージャーの方をお呼びする予定だったんです。これもシャバットで急遽来れないということでご参加いただけなかった、そういう事情がありまして、ちょっとアナウンスと違ってしまったようなことがありまして、この2点、お詫びしたいと思います。

全盲の人がITに期待する2つのこと

岩下:それではさっそく、このあと私の方から実際に製品について、ユーザーの立場からどう使えるのか、そういう話と実演をしたいと思います。

実際に製品を触っていただけた方がどの程度いらっしゃるかわかりませんが、(手元を指して)このように非常に小さい100円ライターくらいの機械なんですね。読み上げた音声の内容はセキュリティ面でも個人的に聞き取れるレベルの設定なので、音も非常に小さいんです。なので、マイクで音を拾って実演をしていこうと思います。

今、僕はストラップで首に下げていますが、ご自分のどんなメガネにも付けることができます。メガネのつるの部分にマグネットを付けて装着が可能になっています。実は昨年も似たような技術、日本製の『オトングラス』という類似の技術をメディアカフェのイベントでご紹介しましたが、私のような全盲の人間がITに期待することは2つありまして。

1つは、好きなところに自力で行けるようになること。そのための手段としては、例えば、GPSのナビゲーションで、最近はスマホのナビゲーション機能でナビしてくれます。

車のナビはみなさんご存じだと思いますが、今、スマホで人をナビしてくれるアプリもけっこうあります。それを使って1人でどこでも行けるようになってきたなぁと。目的地の方向がわかるだけでもすごい安心感に繋がるんですね。そういう技術を使って、行きたいところに行けるという、これが1つの全盲者の願いです。

もう1つは、文字を自由に読みたいということですね。点字ではなくて一般の活字、普通のみんなが読んでいるものを同じように読めるようになりたい。これについても、今、OCRという技術がありまして、スマホアプリなんかでも最近いろいろ出てきていますが、そういうものでスキャンすると読めるようになる。それを例えばiPhoneなんかですと、読み上げ機能Voice Overというのがあってそれが読み上げてくれるので、そういうもので文字を読むということができる。そういうふうになってきています。

利用にネット環境を必要としないのが強み

岩下:とくに、今回ご紹介するオーカムのなにがいいかというと、スマホにしてもナビにしても、ほとんどサーバーとアクセスして情報を得るという、いわゆるネットワーク環境がないと使えません。そういう制限がほとんどなんですが、『オーカム マイアイ2』のすごいところは、ネットワークがいらないんですね。なんにもなくても読み上げる。

この技術、実はインテル傘下の会社でモービルアイという会社があって、そこの会社の創業者とオーカムの創業者は実は同一人物でして、車の自動運転技術を活用して視覚障害者に使えるようにしたという、その発想がすごく僕は感動的にうれしかったので、さすがイスラエルだなということで、すぐハマってしまったんです。

実際に今から実演をしたいと思います。私、新聞記者なので、実際に自分が書いた記事を読んでみたく毎日新聞の記事を置いています。今、記者的な思いで話をしましたが、私の本来の思いとしては、別に記者でなくてもとにかく、「読みたいものを読みたい。行きたいところに行きたい」そういうことを実現してくれる技術が欲しい、そういう思いから今回のオーカム マイアイ2に飛びつきました。

今、はめているこの製品はオーカムさんから借りているものなんですけれど、今日、昼から実は体験会をやったケージーエスという会社が、日本の販売代理店の1つなんですが、そこに私、第1号で注文しまして、今年の冬のボーナスつぎ込んで、50万円で購入しました。

(会場笑)

まだ手元に商品は届いていませんが、ケージーエスさんにはすでに届いているそうなので、早くほしいなと思っているところです。

岩下氏によるデモンストレーション

岩下:では、実際にデモをしてみますが、なにがすごいかというと、殆どすべての機能を音声で説明をしてくれます。ちょっとやってみます。本体には電源ボタンが内側にあって、外側にタッチバーという凸状のバーが1本あり、その2つだけを使って操作します。

(手元のオーカム マイアイ2を指して)今、起動しました。起動するとポツポツポツという音がして、「立ち上がってますよ」ということを音で知らせてくれます。

(ポツ、ポツと音がする)

ちょっと1分くらいかかります。

(起動後のアナウンス音声が鳴る)

「バッテリー70パーセントです」こういうふうに音で全部教えてくれます。読み上げにはモードがありまして、自動読み上げモード。と手動モード。あ、もう自動的に読んじゃってますね。

あと、手動モードにするときはタッチバーを1回タップします。

自分で書いた記事を、読みたいっていうその一心で今試していますが……。

(アナウンス音声が流れる) 

今、アナウンスがありました「ページの一部がフレームに入っていません。頭をもう少し下げてください」と、注意されました。なので、頭を下げて……。

(文章を読み上げているアナウンス音声が流れている)

これ、別の記事ですね(笑)。