ICOで1億円を調達した、株式会社ALIS代表の安氏が登壇

ポイン氏(以下、ポイン):今日、モデレーターを務めさせていただきます。ALISの安さんとシンクロライフの神谷さんのお二人にいろいろお話を聞いていきたいと思います。

私は仮想通貨ブロガー(「ポインの仮想通貨ハマって(中毒って)ます!!」)として活動しているのですが、投資の初心者から中級者に向けてわかりやすく仮想通貨についてお伝えすることがミッションかなと思っていまして、2018年6月に『ポインの仮想通貨1年生の教科書』という仮想通貨の投資本を出版しました。Amazonの3部門で1位を取ったり、重版も即日かかったり、最近では売れている方なのかなと思っています。

億り人ハイパーニートポインの 仮想通貨1年生の教科書

続いて、安さんから自己紹介お願いします。

安昌浩氏(以下、安):では、自己紹介をさせていただきます。株式会社ALISの代表を務めております、安と申します。今日、首痛めていまして。ほとんどのイベントはだいたい、中7日ぐらいでの登板なんですけど、今、中2日とかで(笑)。だいぶ投球回数が増えてしまいまして。本来、病院へ通院するところなんですけど、なんとか来たんです。「首痛そうですね」って思うかもしれませんが、気にせず聞いててください。

もともとリクルートで新規事業をやっておりましたが、ブロックチェーンに行き当たり「可能性があるな」と会社を辞めて、去年5月に会社を創業しました。去年の9月にICOという調達方法で、たぶん日本で初めて1億越えの調達をしたんじゃないかなと。こういうふうに事業をスタートしています。

去年の4月からサービスリリースをしていて、「ICOプロジェクトはなかなかプロダクトが出ない」というところに対して、なんとか納期を守りながら今プロジェクトを進めています。次のスライドと合わせて、どんなサービスなのかをお話しします。

ここに見ていただくとわかる通り、簡単に言うと、個人が記事を投稿してそれをみんなで評価し合うみたいな、ソーシャルメディアといわれるサイトを運営しております。クローズドベータバージョンで、登録ユーザー数は2,500人に限らせていただいています。

ソーシャルメディアを活性化させるためにトークンを配布

:手前味噌で恐縮なんですが、盛り上がっているというか、記事数が17,000ぐらい投稿されていて。これ、なんて言うんですか? すいません、首痛くて回らないんです。

ポイン:本日の安さんは寝違えているらしいです(笑)。

:リリースして4か月ぐらい経って、17,000です。あるブログメディアが昔「3ヶ月で300記事突破しましたよ」って確かリリースアップしていましたが、それと比較するとどれぐらいすごい数字なのかはイメージしていただけると思います。

右上の記事のいいね!数が65万ぐらい付いていて、ページビューも200万ぐらい出ているので、2,000人でこれを出しているのが数字としては相当優秀だなというところです。

ALISはトークンによるインセンティブを渡しているんです。記事を書いて、たくさんのいいね!を獲得した人にも、真っ先にいいね!した人にも、トークンを配布しています。みなさんが積極的にフィードバックし合う場を作っていることが、1番のポイントなのかなと思ってます。長くなりましたが、自己紹介、以上です。

ポイン:ありがとうございます。では次、神谷さん、よろしくお願いします。

世界初のトークンエコノミー型のレストランレビューSNS

神谷知愛氏(以下、神谷):はい、よろしくお願いします。香港ベースのSynchroLife Limited、と、日本ベースの株式会社GINKANという会社で、CEOを務めています神谷と申します。よろしくお願いします。

僕たちは、シンクロライフというサービスを運営しています。2年以上に渡って「ハズレなしのレストラン探し」っていうグルメSNSをグローバルでチャレンジ展開してきたサービスに、分散型インセンティブでトークンエコノミーの概念を持ち込んだプロジェクトです。香港でICOを実施したプロジェクトでもあります。

僕は、学生を卒業すると同時にスタートアップとして起業して、12年くらいずっと、飲食店向けのO2Oマーケティングの支援やサービスを1,400店舗ほどやってきた経緯がありまして。そこからある未上場会社の子会社に入り、その後またスタートアップとして自分でやろうと起ち上げた会社が株式会社GINKANです。

その後グルメSNSシンクロライフをグローバルで運営をする中で、ICO、プロジェクトを立ち上げ、先月8月2日に世界初のトークンエコノミー型のレストランレビューSNSをローンチしました。その後のセレスさんとの資本業務提携の中で、資金調達をエクイティーで行ってるんですけど、このエクイティーにも自分たちのトークンへの転換権を付けるという、いわゆるTECというスキームで実施させて頂いていたりします。

ポイン:ありがとうございます。シンクロライフはスマホアプリですよね。

グルメ通×トークンエコノミーの2階層のコミュニティを育成

神谷:次のスライドを見ていただくだけで良いんですけど、(アプリを)ダウンロードして開くと、この周辺の美味い店だけ出てきます。いわゆる細かい検索じゃなくて「美味い店×場所」っていう、メディアのジャンルとエリアに特化したものです。

次のページ、また後で話しますが、トークン自体のコミュニティの前に、グルメ通コミュニティがあるところから始まってますので、今2階層のコミュニティになってますね。

これはオフ会で、公式シンクロ会というグルメレビュアーを集めた会をかなりやっていて、非公開のFBグループなどでもユーザーとコミュニケーションを取っています。シンクロ会は僕が3ヶ月か半年に1回、コアユーザーを連れて美味いものを食べにいくということを、ひたすらやってきた会なんですけど。この中でシンクロライフのサービス開発や機能の意見交換や激論が始まったりします。いろんなアグレッシブな人たちがたくさんいる感じですね。

今、17万件のレビューがあって、ここからトークンエコノミーがグローバルでどこまで伸びるかが実験段階でスタートしておりまして、半年1年ぐらいでまたそういった数字が出るかなと思ってます。以上です。

シンクロライフでは、地方都市の美味しい店も網羅

ポイン:ありがとうございます。さっき説明があったと思うんですけど、本日のイベントは、トークンを送金することで登壇者に投票ができるみたいです。トークンが1人3つあるので、まだ使ってない方はこちらのパンフレットを参照ください。QRコード2個ぐらいで投票できる流れなので、ぜひ、トークンで遊んでみてください。あと、会場のみなさんにお聞きしたいんですが、「ALIS知ってるよ」という方、もし良かったら挙手いただけますか?

(会場挙手)

ポイン:おーっ、すごい、多い。ありがとうございます。では続けて恐縮なんですけれど「シンクロライフ知ってるよ」って方?

(会場挙手)

ポイン:おーっ、これも多い。ありがとうございます。

神谷:うれしいですね。

:だいぶリテラシー高い方が、お集まりいただいてますね。

ポイン:そうですね。「ブロックチェーンとか仮想通貨を知っている・使ったことある」みたいな層が多そうですね。もう1個聞かせてください。「使ったことある」「いいね!をしたことある」「投稿したことある」で良いんですけど、「ALISを使ったことある」っていう方います?

(会場挙手)

:おおー。すごい、うれしい。

ポイン:ありがとうございます。「シンクロライフ使ったことある」「レビューしたことある」「見たことある」「検索したことある」って方っています? 

(会場挙手)

ポイン:ああ、いるなぁ。ありがとうございます。僕もALISはベータ版が出た時からずっと使ってました。シンクロライフは今回初めて使ってみて、僕、いろんなとこで言ってるんですけど、すごい良くて。僕の実家は九州の田舎にあるんですが、田舎の方行ってシンクロライフで検索しても、お店が出るんですよ。すごいなーと思って。

しかも、2015年ぐらいからレビューがあって、「すごい前からレビューありますね」って神谷さんにお話したら、実はICO行ったのは去年だけど、サービス自体は5年ぐらいやられていて。だから、さっき言ったコミュニティもけっこう人が集まって交流されているみたいなところがあると。

ALISもシンクロライフもかなり強いコミュニティを持っていると思っているんですけど、改めて「コミュニティとは」という定義というか、ALISにとって、シンクロライフにとってコミュニティって、なんだろうってところをお聞きしたいんですけど安さん、お願いしていいですか?

コミュニティは「共創者」であり、会社もユーザーもフラットな関係性

:はい。よくこういう場でもお伝えしてるのは、僕はずっと、コミュニティは「共創者」、共に創るって書いて「共創者」だと定義していています。ICOの時から、ずーっとそうお伝えしてるんです。ビットコインだって、そうじゃないですか。「全員で一緒にプロコトルを作ってる」っていう開発者とマイナーと利用者とみたいな。

たぶんあれと同じような行動を介すところという感じで、株式会社である意味サービス運営をしているので、中央集権の主体の人はいるんですけれども、そこが「上とか下とか」という話じゃなく、みんなで一緒に作っていく、コミュニティのいちリーダーとして会社は位置付けてますね。

ポイン:ありがとうございます。神谷さん、どうですか。

神谷:はい。僕らは現代の1つのコミュニティ、例えばプロジェクトやサービス自体を、日本やアメリカ、中国といった国と同じ感覚で考えています。なので、最低限のルールと倫理に基づいて、ALISさんと同じように「共創」するその国をどうしていくか、そのプロジェクトのサービスをどう良くしていけばいいのか、と。

ビジョンの方向性は、1つ世界観があって「共創する仲間」っていう感じで、僕らは激論もしながら美味しいもの食べてはしゃいだり、フラットな感じで関係を保つのが、コミュニティの良いところかな、と思っています。

ポイン:スライドって映せますか? 神谷さん、さっきコミュニティを2層に分けてましたよね? あそこの話を聞きたいけど、スライドって戻せるかな? さっきのプロフィール系のスライド。

コミュニティというか、もともとシンクロライフっていうグルメSNSがずーっとあって、それに途中からトークンを入れる、みたいなお話になったんですよね?

「だから、コミュニティが2層に分かれてる」っておもしろい話だなぁっと思ってて。トークン以前以後でコミュニティを分けているっていう話ですよね。そこを詳しくお聞かせいただけますか?

1つのサービスに異なる2つのコミュニティが共存

神谷:はい。おそらく一部かぶってる人もいるんですけど「分かれちゃった」というのが正しいです。なぜかというと、トークン制度やICOプロジェクトをやる時に、実は僕らは既存の1番のコミュニティに対して何もしていなくて。ブロックチェーンやトークンなどは分からないという、ユーザーが1番なので。

1番は、美味しいものを探すことにモチベーションが高い人たちと、僕らのサービス側のコミュニティというか。2番が出来上がったのは、ICOを通して参加してくれたトークンホルダーたちで、将来のシンクロライフのビジョンやビジネス戦略上の内容などで交流する感じで。僕らICO実施から1年ぐらいでまだ取引所に上げてないんですけど。

どこの取引所に上場させるかっていう議論もこの数ヶ月、いろんな情報をコミュニティとシェアしながら。僕らが取りに行けない情報とか、あと戦略など。けっこうパートナーに近いものがあるんですよね。

この前おもしろかったのが、シンクロ会という美味いもの食べるイベントに、2番の人が、2~3人来てたという話も出ていて。そんな交流も今、1番と2番の中では起きてる感じです。すごくおもしろいなって思っています。

ポイン:ざっくりと言うと、1番はグルメ好きでシンクロライフ使ってて、言い方が正しいのかわからないですけど、「食べログとかRettyはコミュニティが大きすぎる! 草の根的なところで俺らはやりたいんだ」みたいなことでシンクロライフに共感して使ってくれてるユーザーさんが多いと思うんですけど、それが1番ユーザーですかね?

神谷:そうですね。

ポイン:本当に好きで「グルメのレビューをしたいんだ」と。大きいプラットフォームじゃなくて、これから育っていくプラットフォームでやりたいんだって(方が)1で。でも、2ってトークンが欲しいユーザーということですね。「トークン価値上げたい」とかそういう、ぜんぜん目的が違うユーザーってことですよね?

トークン価格暴落時のコミュニティマネジメント

神谷:どちらかというと投資目線な2番の人たちに1番の人たちの説明というか、そもそも最初のシンクロライフ自体のサービスビジョンを伝えるのがすごく大変だったんですよ。当然トークンも新しいけど、シンクロライフのサービスの何が新しいのか、もともとのグルメSNSの戦略で世界のプラットフォームをつくっていくんだというのを、最初けっこう必死に説明しましたね。

ポイン:今も継続的に説明しているんですか?

神谷:はい。

ポイン:ALISでいうともちろん、最初からトークンありきのプロジェクトで走っているんですけど、投機目的の人が多いと思うんです。僕は、このトークン価格暴落時のコミュニティマネジメントがすごく気になってて。

これは、ブロックチェーンにサービスを乗せたり、トークンを乗せたりすることで1番難しいところかなぁと思っています。こういうトークン暴落時のコミュニティマネジメントについて、お聞きしたいです。

:せっかくなんで、ALISだけじゃなくて他のいろんな人の話を聞いて、「他のプロジェクトこうやってますよ」みたいなことも含めてお伝えできれば、と思います。僕たちは、もうコミュニケーションの量と質を、価格関係なくどれだけ自分たちの納得できるベストを常に提供し続けるか、になっています。要するに、価格の話を出さずに「なにをしたくて、なぜこのトークンが必要なのか」をずっと会話するっていうのを重視してますね。

金の話しちゃうと正直、情報の非対称性的にチームが有利になってしまいますし、あまり健全な未来が作れないので。僕たちは金の話をせずに、ずっとそのプロジェクトの未来みたいな話を、毎日、ずっと長くやることを重視しました。結果的に、暴落しようが価格に対して文句をそこまで言ってくる方が少なくなるという構造になってます。

ただ、そもそも業界ってかなり投機的なので、他のプロジェクトはどうしてるかって言うと、僕が聞いてる限りでは、同じようにコミュニティとの対話に注力しているプロジェクトもあれば、わりと裏で買い支えをやるというか、自分たちで買い支えていたり。1番すごいなと思ったのは、買い支えるところに依頼する。

海外ではトークンを買い支えるサービスがある

ポイン:(笑)。外部組織が買い支え……。

:あまり細かいことは言えませんが、外部組織があるんですよ。日本じゃさすがにないですけど、海外に行った時に「俺たちに数千万くれれば15倍にしてやる。1回で15倍にしたら注目浴びるし、けっこうみんな買うから、このサービスをやってた後で15倍にした時に、イベントも同時に開催して、TV局とか呼んで、そこでアピールすることもできるといった、トータルパッケージで6,000万だ!」みたいな。

ポイン:(笑)。

:そういう業者に出会ったことあります。使ってるところけっこうあるんですよ。

神谷:めっちゃ、来ます。営業来ます。営業って、すごく来ます。

ポイン:ほぉー。

:僕たちは、それはやりたいことじゃないので全部お断りしてます。「ユーザーから集めたお金でなにやってんだ」って話になるんで。

短期的には良いかもしれないですよ? ずっと続かないのは目に見えてるんで。でも、他のチームは、けっこう有名なプロジェクトもそういうものを使ったりするので、名前聞いてびっくりすることもあります。

ポイン:なるほど。ALISは上場して値段が付いてるから、「暴落したら」っていう話が出ると思うんですけど、シンクロライフってICOして1年、丸1年ぐらい経ちますよね。まだ上場してされてないとのことで、「いつ上場するんだ」とか言われると思いますが、そこらへんはどうですか?

上場を巡って紛糾する中、「ローンチまで上場しない」と決断

神谷:そうですね、最初の2、3ヶ月ぐらいはボロクソ言われたんですよ。

ポイン:(笑)。そうですよねぇ。

神谷:「いつ上場するんだ」とか、スキャムだ、とか炎上した経緯もあって。僕らの調達金額ってそんなに大きくなかったんで、最初の段階でトークン向けのPRとか暗号通貨マーケットに対してのリソースも、全部開発に集中しようと決めていて。逆に僕も腹が立って「ローンチまで上場しない」って言ったんです。

ポイン:(笑)。はい、逆に。

神谷:コミュニティへ上場しないと宣言した理由は、自分たちのプロジェクトの最初のマイルストーンをクリアするまでは、ALISさんおっしゃってたように、上場したところでこの先、市場がいろんな無法地帯に巻き込まれてパンプされたりするかもしれないし、短期でプロダクトがない状態で価格が上下するとそこで操作する人も出てくるので、「僕らのトークンは短期で持つのにはもともと向いてない」っていう話をしました。それでも、わぁーって、炎上するわけですよ。

とにかくひたすら言いたい放題言われるので、途中から僕も言いたい放題言おうと思って。なにも包み隠さず誠実に、「自分のプロジェクトがどの段階まで進んでて、ビジョン的にはこういうビジョンで、なんで取引所に上げないのかっていうと、こうだよ」と。なにか文句あって質問がきても、誠実さオンリーでマメに応えていたら3ヶ月で収まったんですよね。

そのときに感じたのは、逃げたりなかなかコメントしづらくなったりという気持ちは当然あるんですけど、もう開き直って自分たちが信じてることを発信をし続ける。マーケティング担当でアメリカ人の女の子がいるんですけど、今でも僕が基本的には全部発信しています。誠実さでカバーしてきました(笑)、っていう話でした。

プロジェクトにトークンを組み込むメリットは、コミュニティの一体感

ポイン:お二人、なんとなくトークンの価値の変動に対してのアクションは同じ方向かなぁと思うんですけど、トップがビジョンなどをずっと発信し続けることですよね。結局、価格って目の前の今時点での価格でしかない。2年後3年後と続く中で、ビジョンに共感できるかどうかでトークンを持つかどうか決めてね、っていうことだと思うんですけど、そもそものお話をしたくて。

現在、プロジェクトのどの部分にブロックチェーンが活用されているのか、改めてお聞きしたいんです。プロジェクトにトークンを組み込むメリット・デメリットにも簡単に触れていただけたらな、と思っています。安さん、お願いします。

:はい。今我々は、トークンの払い出しとトークンの行き来みたいな機能をメディアに提供してるんですけど、そこをブロックチェーンでやってます。将来的には、ポイントビューワにも書いてあるんですけども、個人投資のトークンエコノミーやシェアリングエコノミーみたいなものをハブにしたいというのもあります。

スマートコントラクトをやるようになって、その分ユーザーは安くサービスを体験できるというところに、将来的には実装していこうと思っています。そういうところを見ながら、今使ってます、と。

トークンのメリット・デメリットの話をお伝えすると、メリットとしては、一緒に事業開発やっている感じがトークンで出せるとすごく良いなと思っています。

ポイン:コミュニティの?

:そう、コミュニティです。もともと、株式会社にいたわけなんですけど、語弊を恐れずに言うと株式会社って株主のために仕事をするんですよね。

ポイン:はい。

:「利益を最大化する」のが株式会社の広義なので、従業員は、たまに「俺、なんのためにこの事業やってるんだっけ」って、見失いがちになる。

トークンの場合、これも語弊を恐れずに言うと、ある意味株式みたいなプラットフォームが価値を持てば、そのトークンも価値を持つ。そういうものをユーザーも気軽に持っていて、しかも、そこの価値を上げて自分で貢献できる。

デメリットは、投機勢がばかりでコミュニティの対話がなくなること

:シンクロライフさんもそうだと思うんですけど、ALISもそうなんです。ユーザーが自分で貢献できるというところでは、自分が株式会社で新規事業でやっている時の感覚とは比べ物にならないぐらい、「一緒に作ってる感じ」があって、これはすごいメリットです。

加えて、今でもだいぶ怖いんですけど、自分たちの独自通貨を発行して何かやるって、めちゃめちゃセキュアーな状況を担保しなきゃいけなくて、そこをブロックチェーンがコスト安くやってくれるのもかなりメリットです。

逆に、デメリットは、うまくコミュニティと対話できないと投機勢がたくさん入ってきて、酷い株主総会みたいになるって思ってください。

ポイン:(笑)。

:ディスコードが開かれているので、毎日株主総会が行われているんです。グローバルプロジェクトぐらいになると英語でも来るんですけど、本当に投機的な質問しかなくなるんですよ。実は1回、実感したことなんですけど、事業化どころじゃなくて「どうやってトークンの価格を上げるか」の質問ばかりになります。

ポイン:「どこの取引所に上場するのか」とか、そういう話ばっかり。

:そうそう、「どこに上場するのか」「提携はどうなんだ」「いつバーンするのか」みたいな。そういう話しかなくなります。ちゃんとコミュニティと対話していかないと、そもそも事業を創ってそれをドライブするためにトークン作ったはずが、トークンの価格を上げるために、それこそ、さきほど紹介した業者を使うような良くわからないことになってしまう。

ポイン:本末転倒になっちゃう。

:そうそう。すべてにおいてではないですけど、僕はまさに株式会社は本末転倒だと思ってるんです。新規事業においては、完全に本末転倒だと。「同じようなことが起きる」というのは、最大のデメリットですね。

あと、もう1つあげると(ブロックチェーンを組み込む)知見がないので何が正解かわからないし、それを交換する相手もなかなかいないというのが苦しいところではあります。

トークンは、ユーザーのアウトプットを促すためのインセンティブ

ポイン:事業にブロックチェーンを組み込んだりする知見。

:そうそう。トークンの使い道や、そこでどういう実装をするのか。国外は特になんですけれど(国内には)まったく知見がないんですよね。そこを全部手探りでやっていかないといけないのが、もう1つのデメリットだと思いますね。

ポイン:はい、ありがとうございます。お話を聞いていて気になったのは、今、ブロックチェーンにトークンの払い出しなどを使い込んでると言われたんですけど、それはもちろん「このアカウントには、これだけ払い出しますよ」っていうアカウントに紐づいている話なんですよね?

ALISのビジョンって、信頼の可視化じゃないですか。だから、アカウントに紐づいてるトークンの払い出しイコール信頼の可視化になっていますよね。「これだけ払い出してるから、これでこの人は信頼できるよね」っていう話でしょうか?

:あー、実はちょっと違って、最終的に信頼の可視化というのは別でやろうと思ってるんですよ。そもそも、アウトプットをするための潤滑油的なものとしてトークンを使っているんです。

ポイン:なるほど。

要するに、今のインターネットって、めちゃめちゃ偏ってると僕は思うんですけど、ごく一部のユーザーしかアウトプットって続けられないんですよ。なぜなら、どれだけアウトプットしようがフィードバックが来ないからです。

そこで、フィードバックループのサイクルにトークンのインセンティブを組み込んで、どんな記事でも、書いた時にフィードバック得られるようにしたことが、今、ユーザーにすごく好評なんです。

記事が積み重なっていけば、そこから判断できるじゃないですか。その中の1つに「獲得者トークン量」も入ってくるし、投げ銭された数も入ってくるし、誰から投げ銭されたのかも入ってくると思うんですけど。トークンの払い出しをするのはあくまでも1つの事例ですね。どちらかと言うと、それ1つですべてを表している感じです。

ポイン:今、数字で言うと継続率とかユーザーってどれぐらいいらっしゃるんですか?

ALISのオープンベータ版をリリース

:今、1週間の継続率がだいたい60パーセントですけれども、平均のウェブアプリケーションはたぶん5パーセント、いわゆるiOSアプリで10パーセント。だいぶ高い数字です。

ポイン:デイリーのユーザーは500人ぐらい?

:デイリーは500ですね。4か月半経って3,000分の500なので、継続率で言うと16パーセントですかね。だから、相当高いと思います。月間継続率でたぶん40~50パーセント出してないと、それでもたぶんそんな数字にはならないと思うので、だいぶ高いと思います。

ポイン:今、ベータ版で最初に入ってくる人を絞っているというのも、継続率の高さになっていると。

:もちろん、そうです。

ポイン:オープンベータにすると、かなりもうちょっと、下がるとは思うんですけれど。

:そうですね。

ポイン:それは、オープンベータ版の開始って、年内?

:はい。年内に出そうとしていて、今、ユーザー数もある程度グロースさせるということでだいたい、諸々進めています。それで、セットでオープン化するまで年内にやろうと思ってます。

ポイン:年内に、誰でもALISに登録できるようになるってことですよね?

:はい、そうです。

ポイン:それ以外はなにか、オープンベータ版で変わることや刷新されることってありますか?

:オープンベータ版で一番変わるのは、コミュニティの形が変わってくるところだと思います。それこそ今、目標で言うと、10万ユーザーぐらい取りたいなって話をして、進めてるんですよ。10万も入ってきた時のコミュニティの姿って違うと思うんで。たぶん、楽しみ方も変わるはずっていうのが、1番大きいですね。

他にも変わっているであろうところは、それこそ先日もマイクロソフトと協業とかいろいろ発表したんですけれども。いろいろなプレーヤーと提携しながらALISトークンを使うとか、ALIS上で冴えない飲食店に記事を書いてもらって、いろいろな人に来てもらうとか。

そういうのもいずれいろいろやっていきたいなぁと思っているので。提携をした時に、いろいろなことが起きてるんじゃないかなとは思います。

1ポイント=1円というかたちは、わかりやすいがゆえにギスギス

ポイン:はい、ありがとうございます。神谷さん、シンクロライフと同じ質問なんですけれど。ブロックチェーンは、今どういうところに使われているかというのと、トークンを入れるメリット・デメリットみたいなもの。運営する上で気付かれたことなどがあれば、お聞かせいただいてもよろしいでしょうか?

神谷:はい。まず、僕らがブロックチェーンを使ってるっていうのはトークンインセンティブで、インセンティブ設計自体を、中央集権型ではなくてブロックチェーン上のスマートコントラクトで設計をするっていう。実はトークン自体が分散型であることが、僕らにとっては大事なところになります。

なので、僕らのアプリの中に入って暗号通貨を利用することと、ウォレットもスマートコントラクトベースで、トークンとウォレットの部分が今は多いです。今後はデータベースとか、レビュー関係やブロックチェーン活用を考えてはいるんですけど。

実際、そこに対してブロックチェーンを使うことが求められているかというと、それよりも僕らが報酬制度にあたるアルゴリズムをブラッシュアップし、評価指標やトークンエコノミーの構築を先にやることを重視しています。

なぜトークン導入がメリットかというと、僕らみたいなSNSの投稿、とくにレストランレビューなどはお金をもらいたいから投稿する人は、正直いらないんですね。美味しいものが好きだから、それを開拓して人に教えたいという人が今まで成長してきたので。なぜトークンインセンティブが良いかというと、まず、明確にいくらかわからないんですよ。

ポイン:トークンがレビューに紐づいてないから。

神谷:そうなんです。なので、当然、変動もするし。サービスの価値で、最初はすごく価格が安いところから当然始まるし。1ポイント1円というのはわかりやす過ぎてギスギスするので。

ポイン:おー、なるほど。1ポイント1円は、ギスギスする。

分散型のインセンティブは、会社のストックオプションに近い

神谷:レビュー投稿するとRコインもらえるよとか、Dポイントもらえるよというと、ギスギスするはずで。いくつかそういううまく機能しない事例もあったりしていて。分散型のインセンティブって、感覚的には会社のストックオプションに近い感じがしています。

将来的にこのトークンを持っていたら楽しいし、シンクロライフが大きくなるかなとか。後は、気付かないうちになにか貯まっていて、これってなんの価値があるのかなとか。僕らのサービスコンセプトと、(トークンは)実はすごく相性が良くて。

現在投稿してる人って、僕らとうまく1年、2年でトークンエコノミーを構築して実現できると、円ベースで換算するとすごい金額を持ってる人たちだと思っていて。ビットコインのもともとのコアな人たちも、最初は使うなんて金銭的な価値を考えずに、イノベーションに狂ったように没頭してやってきたのと非常に感覚が近いのかなと思っています。

デメリットで言うと、(トークンが)自分たちのプロダクトに合うかどうかを考えて決断して「いざ導入」となった時に、技術的な部分などは、さっき安さんおっしゃったようにそれこそまったくわからない状態からやるので。正直、設計とビジネスモデルのコンセプトですっごい時間はかかると思っていて。

ポイン:シンクロライフ、トークンやブロックチェーンを導入するという議論の時に、もめたんですよね(笑)。

神谷:はい、めっちゃ、ケンカしましたね(笑)。

ポイン:(笑)。

神谷:インセンティブというと、従来型のインセンティブをイメージするんですよ。投稿したら、これからお金をもらえるというサービスになっちゃったら、俺たちが作ってきた世界、どうなっちゃうのって(もめました)。 

トークン目的の人を排除し、グルメ好きな人に残ってもらうための設計

ポイン:今までレビューしてきた人たちだって、3年とか4年ぐらいですよね。それまで、その人たちはトークンをもらえなかったわけですよね。ある日の地点を境に、レビューしたらもらえるようになる。

神谷:良いレビューを投稿する(人のことを)、僕らは「優良なレビュアー」と言ってるんですけど。今日入って投稿しても(トークンは)もらえないんですよ。申し訳ないんですけど、トークンが欲しくて入ってきた人は、すぐにもらえる設計にはなっていない。要は、レストラン開拓が好きな人が継続的に使って行く過程で、(トークンが)もらえるような設計にわざわざしている。

そうすることで、「もらえないじゃん」と言って出ていく人が、おそらく一定数います。その中でも、レストラン開拓の切り口で入ってきた人は、いずれ獲得できるようになるという設計に近いですね。

ポイン:僕も1週間ぐらい前から何本か投稿してる。まだ、もらえてないですね。

神谷:はい、シンクロライフの中で信用される基準、称号ランクとか経験値ロジックであるんですけど、そこが一定数を超えないとまず対象にならない設計になっているので。

ポイン:なるほど……。お二人のサービスは、ALIS・シンクロライフ共に、信頼の可視化とか、そういう良質なものを評価して、それによってトークンをもらう、みたいな設計は、そういう世界観だと思うんですけども。

質をどう定量的に表すかとか、高い質をどう評価するのかというところは難しいと思うんですけれど。数字として表すと、どういうところになるのかと、データや数字があれば、お聞かせいただきたいんですけれども。安さん、お願いしていいですか?

:今ですね、僕たちは質よりも量を追い求めている段階なので、将来の構想という話になるんですけど。

ポイン:はい、大丈夫です。

量をこなせば質の高いものを出すことはできる

:僕は、量を積めれば、その中から質の高いものを出すことはできると思っていて。今、ALIS上も、例えば、ZCashのASICの紹介かな、見た人もいると思うんですけど、けっこう渋い記事が投稿されていることに、びっくりしてるんですよ。たまたまGoogleで調ベたら、ALISの記事がヒットして。

それをどう表出するかは、既存のテクノロジーの組み合わせだなと思っていて。例えば、機会学習の分野でソーシャルグラフという、誰かがインしたとか、誰かが投げ銭したデーターを元に分析すると、質の高い記事がどういう法則で見つけられるかというのは決まってるんですよね。

それを、わかりやすく言うと、インスタの機能みたいにバーッて出してあげるとか。それをやって、どんどん深まっていくと、今度はその人の見てる行動履歴をベースに機械学習を挟むと、その人にとっての質の高が見えてくるはずなんです。

必ずしもみんなが好きなもの好きじゃなくて、僕みたいにZCashのマイニングマシンってどんなもんだろう、と興味を持つ人がいるみたいな。

そういうところを、既存の機会学習のベースに、トークンによって誰から誰にどれぐらいの価値が移ったかというものをアドオンしてあげるような。これはけっこう強力になると思っています。投げ銭した記事って、今までの世界ってそうそうなくて。

そこは質が高いはずなので、そのデータを組み合わせた時に、よりどういう人が出してるか。インスタって自分がフォローして、いいね!した人が、いいね!した写真を出すようにすると、めちゃめちゃ好感度が上がったり。自分が投げ銭した人が、投げ銭してフィーを出すのは、また違う次元(の高さ)なので。将来はそういうところを構築していって出したいなと思っています。

ポイン:神谷さん、お願いします。

信用と信頼という2つの軸と投稿スコアをもとに指標を開発

神谷:簡単にですけれども、指標も2年以上ずっと開発をしてきています。行き着いた結論が、信用と信頼という2つの軸が、そのユーザーに対してスコアリングするのと、もう1つは、その人が実際に投稿した1投稿に対しての投稿スコア。

そこに3つの軸が走っているんですね。その掛け合わせであったり、どこかが基準に達していない場合はそもそもレビューの投稿自体も、スコアリング自体も信用はできないという話になるので。

その詳しい話は、アプリの中に、ウォレットのところに、シンクロコイン報酬についての記事が貼り付けてあるので、そこに細かく書いてたりするんですけど。裏側の通知の指標、それで総合的なスコアが高い人から低い人までいて、それに対する分配率が計算されて、トークンが配布されるイメージですね。

ポイン:トークンの配布というところが、質の高い低いというところを決めているということ。

神谷:そうですね。もともと、良い店だけ出すというコンセプトでやっているサービスなので。レビューの質や良い店を判断できないと、そもそもダメなんですよ(笑)。

ポイン:そうですよね、そもそも。

神谷:それが出せるということは、イコール、裏が取れてる数字を掴むというイメージに近いかもしれない。

ポイン:ありがとうございます。話が尽きないんですけども、そろそろ締めということで、最後に一言ずついただきたいんですけど。改めて、ALIS、シンクロライフ、お二方のサービスを、世の中にどのような価値を提供していきたいのかを、最後に一言ずついただいてから、締めたいと思います。

トークンエコノミーを使って実現したい未来

:僕は、いろんなイベントで伝えてるんですけども、資本主義じゃない社会をつくりたいな、と思っていて。お金が主になっちゃうといろいろ、ひずみって生じるんですよね。僕はもともと、最底辺からスタートしていることもあって、そこの社会に対する不満もあるので。

そうじゃなくて、トークンエコノミーを使って、みんなが持ってる選択肢が拡がるような社会を、最終的には実装しようと思っております。なので、今日からまた、少しALISに投稿していただいて、使ってみていただいて、積極的にフィードバックいただけるとうれしいです。今日は、ありがとうございました。

(会場拍手)

ポイン:シンクロライフ、神谷さん。

神谷:はい。まず、グローバルで「ハズレなしのレストラン開拓」ができるようなものを、まず目指すので、ぜひみなさんこれから騙されたと思って使っていただきたいです。

もう1つは、トークンの部分に関して言うと、どちらかと言うと、トークンなどを買うという人がおそらくここにも多いと思うんです。だけど、今まで(トークンを)買ったことがない人たちが美味しいものを食べる過程で還元リワードとして受け取るトークンが貯まっていく、という世界を、啓蒙活動も含めてしていきたいと思っていて。

今までは、ポイントって貯めるって感覚が、基本的にポイントは資産価値はないんですけど。同じような還元されるものが資産価値として、ちょっとずつその人の将来的な資産になっていくような、一般消費者に寄り添った方でがんばっていきたいなと思っています。本日は、ありがとうございました。

ポイン:ありがとうございました。

(会場拍手)

ポイン:はい、では、以上を持ちまして、session3日本発トークンプロジェクトが作る新しいコミュニティの形、ALISの安さん、シンクロライフ神谷さん、そしてポインでした。以上です。ありがとうございました。

(会場拍手)