西野亮廣氏にとって人生の本質は「挑戦」
司会者:みなさん、おはようございます。SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA、10日間に渡っていろいろなプログラムをやってきたんですけど、今日はいよいよ最後の1日になります。今日は会場のEDGEofとヒカリエ、そして表参道ヒルズでこのDive Diversity Sessionをお届けしています。
本日の1つ目のセッションは「人生の本質」というテーマで、タレントでもあり絵本作家でもあり、ここ渋谷のハロウィンの救世主とも呼ばれている、1人の中に多様な人生を内包するタレントの西野亮廣さんに来ていただきました。西野さん、どうぞご登壇ください。もっとも難しいテーマをお願いします。
西野亮廣氏(以下、西野):はい。ちょっと寝起きでがんばります。上からすみません、西野です。よろしくお願いします。今から50分ぐらいですか。偉そうにしゃべるんですけど、「人生の本質」とか言われると、ちょっとテーマが広すぎて。たぶん人それぞれ違うと思うんですけど、僕の場合は「挑戦」ですね。挑戦しかない、基本的には常に挑戦と思っているので、今日は挑戦についてお話したいと思います。
本題に入る前に、今自分がどういう状況にあるかをお伝えしたほうがいいと思います。一昨年に『えんとつ町のプペル』という絵本を出して、これが37万部ぐらい売れて映画化が決定したんですよ。それで今はその映画を作っている最中ですね。それで今1番ディズニーを倒したいと思っているんですけど、社長には反対されています。
映画『えんとつ町のプペル』の公開日をディズニーアニメの新作の公開日にまるごとぶつけて、収益と動員数でも勝とうとしているということですね。つまり、30代の時にディズニーを倒そうとしているやつです。そういうやつだと思ってください。じゃあ、ディズニー映画っていったどんなものなんだということで、この間、収支表みたいなものを見たんですよ。
どれぐらい人を呼んでて、どれぐらいお金を稼いでいるかを見てみたら、あいつらけっこう売れてるんですよ(笑)。みなさんもうご存知ですよね。アナ雪だとかベイマックスだとか。
西野:2年後、僕はこいつらと戦わなければいけないんだなと思ったら膝がブルブル震えたんです。ずっと収支表を見ているうちに、僕はついにディズニー映画の弱点に気付きまして。ジャングル系の時にちょっと弱めというのがわかったので、そこを狙いにくるということですね。
(会場笑)
人々の挑戦を止めてしまう、お金と広告の問題
ジャングル系のディズニー作品が出てきたら、そろそろ西野が出てくると思っていただければ。ざっくり言うと、1番弱いところを叩く、そういう卑怯な作戦をやろうとしている奴です。ディズニーを倒す。(参加者のみなさんが)恐らく30代として言いますね。
自分がこういう人間ですから、当然、年齢関係なく「挑戦する」という人に対しては「行け行け、やれやれ」というほうです。やめておけ、抑えておけというほうではなくて、どちらかというと背中を押す側の人間ですね。
ただ、背中を押すからには、それなりに責任も伴うと思っていて。要は戦場に連れ出してしまうわけですから、その先に何が待っているかということは、ちゃんとお伝えしたほうがいいなと思って、そういうことを常日頃言っているんです。挑戦した先に何が待っているかというと、大きく2つ。
僕たちの挑戦を止めてしまう、挑戦を阻むものは、大きくわけて2つ。1つはお金ですね。例えばケーキ屋さんを出したとする。このケーキ屋さんの家賃が支払えなくなったらケーキ屋を辞めなければいけないし、芸人を始めて芸人の生活費がもらえなくなってしまったら、芸人を辞めなければいけない。
お金の問題が必ず絡んでくる。僕たちは、お金の問題をクリアしないと挑戦を続けることはできない。
2つ目は何かというと広告ですね。つまりケーキ屋さんを出したら、このケーキ屋をどうやって広めていくか、このケーキをどうやって売っていくか。僕は絵本を描いているんですけど、絵本が売れないと、当然次回作は描かせてもらえないので、やっぱり絵本をどうやって売っていくかとか。
どうやって広めていくかは非常に大事です。芸人だってそうです。どうやって売れていくかは非常に大事で、どうやって集客するか、外に広めたいという広告の問題が必ず絡んできて、この問題が解けなくなってしまった瞬間に、僕たちは挑戦を止めないといけない。要は大きく2つで、お金の問題と広告の問題が必ず絡んでくる。
挑戦できないのは「お金音痴・広告音痴」になってしまったから
挑戦を続けるためには、この問題をクリアしないなきゃいけないんですけど、残念ながら僕たちは、子どもの頃から大人になるまで、広告とお金の勉強をしてないんですよ。学校ではお金のことを教えてくれないし、広告のことも教えてくれない。どうやったら物が売れるか、どうやったら集客できるか、どうやったらお金を集めてこれるかは学校では教えてくれないですよ。
僕たちはお金音痴、広告音痴のまま、大人になっちゃって社会に出てきてしまって、「お金ってどうやって集めるんだっけ?」とか「人ってどうやって集めるんだっけ?」とか、「物をどうやって売っていくんだっけ」みたいなことで、アワアワしている状態です。
つまり、子どもの頃から大人になるまで逆転が起こせない体を作られてしまって、ずっと僕たちは貧乏人であると。それで挑戦はできないという、そういった体のまま大人に仕上げられたんです。
このままではおもしろくないし、やっぱりひっくり返したらおもしろいと思うので、常日頃、お金の問題と広告の問題は憂慮しています。今日はそのお金と広告について、ちょっとお話ししたいです。とはいえ50分しかないので、いろいろ端折ってしゃべりますね。