生きることの本質とはなにか?

金山淳吾氏(以下、金山):「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA」の残すところ3日のうちの1日が、このセッションで終わります。今日は全部で6個のこういったトーク、プレゼンテーション、セッションがありまして、このEDGEofという会場で5つ、それからヒカリエという会場で1つだけセッションがあり、先ほど終わりました。

いろいろなテーマの本質というものを(語っていただくために)、さまざまな業界で活躍されている方 、がんばっている方、イノベーションを起こそうと思って生きている方に、来ていただいています。最後のセッションは、「生命の本質」と書いて、僕らは「『生きる』の本質」という想いを込めています。

ということで、WITH ALSの武藤将胤さんに来ていただきました。僕と武藤くんの最初の出会いは、2年前のサウス・バイ・サウスウエストですね。

武藤将胤氏(以下、武藤):そうですね。

金山:いろいろなテクノロジーがあって、ひときわ「なんなんだこの人は!?」というのが、実は武藤さんでした。日本人で、しかもALS(筋萎縮性側索硬化症)という。「アイスバケツ・チャレンジ」って、みなさんも聞いたことがあるんじゃないかと思うんですが、体の自由がどんどん利かなくなっていくなかで、むしろ武藤さんのやっている活動は、どんどん創造力の自由度が増して、できることが増えていくという。

もう涙が出るほど悔しいくらいの気持ちを持ち帰って、僕が司会をやらせてもらって「打倒! 武藤将胤」といった判子をついています。そんな武藤さんに来てもらいました。

武藤:どうぞみなさん、よろしくおねがいします。

(会場拍手)

金山:ここにいる人間はみんな生きているんですけど、「生命の本質」と書いて「『生きる』の本質」「生きるとは何か?」「生きる」という本質的な意味、そういったものを武藤さんからお話しいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

ALSを発症してからも多方面で活躍する武藤氏

武藤:僕自身、ALSという難病になったことで気がついた「生命(『生きる』)の本質」を3つのキーワードに分けてお話しさせていただきます。はじめまして、一般社団法人WITH ALSの武藤と申します。クリエーターとして日々活動をしています。

バックボーンといたしましては、広告会社で広告コミュニケーションの仕事をしていました。そんな広告マンとして働いていた時代に難病のALSになったことで会社を起業して、今はテクノロジーとコミュニケーションの力を使って、ALSの患者さんをはじめ、さまざまなハンディキャップを抱えた方の可能性を切り拓く企画、イノベーションの開発を行っています。

また、「J-WAVE」でラジオ番組のナビゲーターをしています。僕自身、六本木ヒルズで毎週ラジオの収録も行っているので、六本木界隈でこの乗り物(パーソナルモビリティ「WHILL」)で爆走している人間がいたら、それは僕です。なので、みなさん優しく声をかけてください。

ALSという病気を聞いたことがある方も多いかと思います。2018年にお亡くなりになってしまいましたが、スティーブン・ホーキング博士もこの難病とずっと闘っていました。音声合成や、さまざまなテクノロジーの力を使ってご自身の研究を全うされて、僕にとっては偉大な先輩にあたります。また「アイスバケツ・チャレンジ」。金山さんからもお話がありましたが、もう4年前になるキャンペーンで、これも聞いたことがある方は多いと思います。

改めて、「ALSはどんな病気なのか?」をお話しさせてください。「筋萎縮性側索硬化症」というのが正式な名称です。運動神経が老化し、徐々に動かなくなっていく難病です。こうやって手足を動かす自由や、声を出す自由、呼吸をする自由が徐々に奪われていきます。

それでも意識や五感、知能の働きはずっと正常のままです。僕自身、発症してから約5年経ちますが、平均的な余命は3年〜5年と言われていて、世界に約35万人、日本では約1万人の仲間がこの難病と闘っています。未だに、治療方法が確立されていない現実があります。

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