2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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武藤将胤氏(以下、武藤):3つ目の事例に移らせていただきます。ALSになって、手足の不自由はもちろんですが、こうやってみなさんと声を出してお話しする不自由。そういった困るときに、ALSの患者のなかではもっともポピュラーになりつつあるテクノロジーがあります。そのテクノロジーを活用したプロジェクトをご紹介させてください。
(動画再生)
みなさん、「OriHime」という分身ロボットを聞いたことがあるでしょうか。僕たちはオリィ研究所さんと共同プロジェクトを立ち上げて、ロボットテレワークの可能性の研究を、推進していく活動をしています。僕自身も日常的に、このOriHimeというロボットを、講演の現場や打ち合わせの会場に送って、遠隔でコミュニケーションを行っています。
今、120センチメートルの大きいサイズのロボットもできあがりまして、自分のイベントで実装して、(ロボットが)お客さんにお茶を出したり、グッズの販売も遠隔で行えるようになりました。また、このロボットは目の動きだけでコントロールすることが可能なので、まさに、ALSの患者さんで寝たきりの方も、このロボットを通じて、社会参加を自由にしていけます。
WITH ALSは、「テクノロジーと共に人の可能性を拡張する」ということを信念にしています。困難と向き合うことで生まれた、当事者発信の使い方デザイン(の仕方)で、健常者と障害者の垣根を超えたイノベーションに、僕たちは挑戦しています。
みなさんはどんなふうに困難を乗り越えていきますか? 僕の話を聞いて、みなさんにも「じゃあ自分ならどうするか?」ということに興味を持っていただいたり、考えていただければと思います。
それでは、「生きる本質」の3つ目のテーマをお話しさせていただきます。人は信頼しあえる仲間となら、希望ある未来を切り拓ける。僕たちは本気でそう信じています。みなさんにとっての「信頼できる人」とは、どんな人でしょうか? 僕には信頼できる人の条件が3つあります。
1つ目は、目指す未来に共通のVISIONがあるかどうか。2つ目は、GRIT。書籍などで読んだことがある方も多いかと思いますが、最後までやりぬく抜く覚悟、力があるかどうか。
3つ目は、僕にとっては褒め言葉になるのですが、CRAZY。これは、 サウス・バイ・サウスウエストでお会いした方が、「目でDJ、VJをやって、相当クレイジーだな」と言ってくれたりしました。これは本質的に、障害、健常を超えて、コミュニケーションが生まれたということです。そういったものは、僕にとって最高の言葉になります。
僕自身も、相手に対してもクレイジーだなと思う。この人と一緒にやりたい、ワクワクする。そういう性質というのは、とても大事だと思っています。僕はこれらの3つの「信頼の条件」を掛け合わせた仲間と、2つのビジョンを掲げて活動しています。1つ目のビジョンをご紹介させていただきます。動画をご覧ください。
僕たちは2020年の東京オリンピック、パラリンピックの開会式を目指しています。「ボーダレスエンターテイメント」を日本から世界へ発信したいという思いで、障害者エンターテイメントの枠組みを超えて、障害を抱えている方も、健常者の方も、全ての人の心が動く、ボーダレスなエンターテインメントを作っていきたいと思います。
先ほどの動画でセッションしていた仲間も、車椅子を使ってダンスをする、車椅子ダンサーです。あと、全盲の11歳のドラマー。この2人とコラボレーションさせていただいていますが、2人とも障害者としてではなく、ダンサーとして、ドラマーとして、信頼しあえる仲間だと思っているので、セッションをさせていただきました。
武藤:2020年の東京オリンピック、パラリンピックで、音楽もエンターテイメントも、ボーダレスに昇華させて、世界に発信していくために、挑戦を続けています。最後に2つ目のビジョンをご紹介させてください。ALSとの闘いが、1日でも早く終わることを願って、ミュージックビデオの制作をいたしました。動画をご覧ください。
毎年6月21日は、世界ALSデーという、ALSへの援助や啓蒙を目的としたグローバルデイになっています。今年はさまざまなアーティスト、映像クリエーターと一緒に、このアニメーションをクラウドファンディングで、みなさんにご支援いただいて制作しました。
クリエイティブの力で、ALSに対する認知と理解を広げていきたいです。また、漫画『宇宙兄弟』から始まったクラウドファンディングのプロジェクトである、「せりか基金」というチームと一緒に、(ALSの)治療への研究資金を集めております。
もうアイスバケツチャレンジから、今年で4年経ちました。あれだけ社会的インパクトがあった活動も、残念ながら一過性で終わってしまいました。でも、本当のゴールは、ALSが治ることだと思います。「自分ができる活動を継続していこう」「KEEP MOVINGしていこう」。そういった想いで作った作品になります。
いつか必ずALSが治って、仲間たちと一緒に、車椅子から立った状態で、みなさんとお話しできることを目指して、がんばって生きる。みなさんだったら、どんな未来を誰と切り拓いていくでしょうか? そんなことも今日、お話を聞いていただいて、考えていただいたら嬉しいです。今日は雨の中、みなさんの貴重なお時間をいただきまして、本当にありがとうございました。
(会場拍手)
金山淳吾氏(以下、金山):どうもありがとうございました。あと10分あるので、会場のみなさんから、いくつか武藤さんに質問する、対話する時間にさせていただこうと思います。質問がある方いらっしゃいますか。(質問者を指して)はい、どうぞ。
質問者:僕は今まで、困難から逃げる人生を送ってきた気がしているんですが、普通の人間は逃げたくなっちゃうと思うんです。武藤さんのお話にもあった(ように)、困難とぶつかった時に人は進化する。武藤さんもALSという困難があって、それを乗り越えてきてると思うんですが、「どうしたら逃げずに立ち向かえるのか」ということと、「どうしてそんなに行動できるのか」というのをお聞きしたいです。
武藤:諦めたり悩んだりすることに時間を使うよりも、考えたり行動することに時間を使いたいんです。
同じ有限な時間というものを突きつけられた時に、(悩むことに時間を使うと)結局後悔してしまいそうだなと思ったんです。なので、もし自分の人生が残り3年、5年となった時に、同じ時間を使うなら、ネガティブに使うよりも、ポジティブに使って、自分らしく生き抜こうと思ったのが素直な気持ちですね。
質問者:ありがとうございます。
金山:もう少し時間があるので、どなたかこの機会に武藤さんに聞いてみたいこと、聞いてほしいことでもいいかもしれませんね。なかなか話しづらいかな。じゃあ、僕から。
武藤:はい。
金山:まだ短い期間ですが、本当にいつも勇気をもらっています。(武藤氏は)もともと広告会社で、クリエイターやプロデューサーとして仕事をしていたから、そういう(クリエイティブな)頭を持っているんだと思うんですが、みなさんだとしたら、ものを作れたり、プロジェクトを立ち上げたりできたと思いますか? できていないんじゃないかと思います。僕もここまでのスピードで、(プロジェクトを)かたちにすることはできません。質問じゃなくて感想なんですが、伝導力がすごいんです。
いつも尊敬や悔しさと共に、自分を鼓舞する気持ちになります。武藤さんは車椅子で、手も動かないし、足も動かないし、今自分が動かせるものをきっかけとして、いろいろイノベーションを作ってるんだと思いますが、もしかしたら、みなさんは不自由だと思うかもしれません。ですが、訴えてることはすごく自由だなと思っています。
これは自由の定義についてですが、「自由である状態とは、なにか」というのを、コラムで書いたことがありました。その時、「自由は挑戦なんじゃないか」と書いたんです。自由である人こそ、いつも挑戦していて、逆に言うと、「挑戦できているということが、人にとっての自由なんじゃないか」と思って、僕もがんばっています。
みなさんも「自由がほしい」と思うかもしれませんが、自由がほしいということは、「挑戦したい」という気持ちかもしれないので、どんどん挑戦していってほしいです。武藤さんにとっての挑戦、自由は、お話しでもありましたが、もしかしたら時間は有限かもしれないけど、テクノロジーが、その有限の時間を無限の長さに変えてくれるかもしれないと思いました。
武藤:僕自身もチャレンジを続けてる瞬間が、1番生きていることを実感できる時で、そのチャレンジを支えてくれているのが、まさにテクノロジーの力だったり、仲間の力だったりします。そのチャレンジも、結局1人だけで完結しようとすると、なかなか1歩前に出ることが難しく思えてしまうんですが、決して1人でやる必要はありません。
その(挑戦の対象が)テクノロジーであれば、プロフェッショナルの方々と、一緒にチームを組むことでチャレンジしていけると思います。なので、僕はみなさんに支えてもらいながら、チャレンジも自由にさせてもらっています。
金山:武藤さんは行動もすごく制約されているのに、クリイティブディレクターという同じ肩書きで仕事をしてたりするんですが、本当に負けないようにがんばりたいなと思います(笑)。
武藤:僕もがんばります。
金山:「To be is to do」という言葉をよく使うんですけど、何者かになりたかったら、「Do action」「やる、かたちにする」しかないなと思っているので、今日1日を通じてでも、このセッションだけでも、なにかを感じて、動いてみたいと思ったら、ただ思うところから1歩踏み出すところまで、ぜひやってもらいたいなと思います。今日はどうもありがとうございました。
(会場拍手)
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