「もっと良いメールの送り方はないのか?」からスタートした事業

Len Shneyder氏:(片言の日本語で)「こんにちは」「ありがとう」。幸運なことに、みなさんが今日、私から聞く日本語はこれがすべてです(笑)。

私の名前はLen Shneyderです。SendGrid社でVP of Industry Relationsを務めています。

SendGridでの私の役目は、多岐に渡るさまざまなコミュニティに対応することです。サイバー犯罪と戦う対スパムのコミュニティや、 マーケティング&ポリシーといったコミュニティの人々と会話をしています。それぞれ興味の対象は異なるので様々な側面からメールやそれに類する機能の話をします。

少し歴史をおさらいします。SendGrid社だけでなく、メール業界全体についてお話しします。SendGrid社はいまから9年前、メールをより良く送るための基礎を作るべく、3人のデベロッパーによって創設されました。

それ以前は、メールを送信する方法は2つしかありませんでした。1つはPostfixのようなMTA(メール転送エージェント)を利用すること。つまり、インターネットのフリーウェアのようなものですが、それがうまく働くようにするには、知識やノウハウが必要になります。もう1つは、かなり高価な専門のMTAやハードウェアを買うという方法です。そして自分のデータセンターでセットアップして、メールを送る準備をするのです。

2つの方法どちらを採用するにしても、スケーリングやメールの到達性など、諸々すべて自分で管理しなければなりません。現代のクラウドエコノミーの観点からすると、インフラにかかる作業なども考えれば、これらの送信方法は反直感的ではないでしょうか。メールを送るために、なぜMTAをダウンロードしなければならないのか。クラウドで使えるようにすべきだと思いますよね。

(スライド上のロゴを指して)これらは全て私たちのお客様で、SendGridは1日に約20億通ものメールを処理しています。これだけの規模なので、おそらくみなさんの受信トレイにもSendGridを経由したメールが毎日届いていると思います。

もしWebメールの仕組みが生まれていなかったら

メールには長い歴史があります。一番最初のメールは、1971年に送信されました。当時のインターネットはとても小さく、ARPANETと呼ばれていました。これはアメリカ政府にスポンサーされた、アメリカ国防総省のプロジェクトでした。

そして1978年、(スライドを指して)こちらのハンサムな男性が初めてスパムを送りました。彼はDECという会社に勤めており、自社製品を宣伝するメールを、当時はまだ利用者はあまり多くはありませんでしたが、インターネット全体に送ったのです。

スパムを送ろうとして送ったわけではなかったようですが、それによって、インターネットを実質的に破壊してしまいました。1971年にRay Tomlinsonが初めてメールを送ってから、7年が経過してからの出来事でした。

続いて1993年まで時間を進めます。メールは成長し、利用者も増えていました。大学などさまざまなところで使われ、いろんな人々がアクセスしていました。しかし当時はシンプルなテキストだけで非常に退屈なもので、ある種、本を読むようなものでした。多くの人にとってはそれで十分ではあったのですが。

1993年は大きな変化がありました。アメリカの複数の団体のジョイントプロジェクトとして新たなメールのサービスがスタートしました。HTMLや画像がないメールなんて今では想像できませんが、それが始まったのです。1993年は、人々にメールが開かれた年といえます。実際に使い始める人も増えました。  

今や生活の一部として存在するメール

そこから時は経ち、現在1日に送信されているメールは約2,690億通。37億ものユーザーがいます。平均所有アカウント数は2つです。2つ以上のメールアカウントを持っている人は手を挙げてください。3、4、5……10?  ワオ(笑)。

(会場笑)

それでは15個という方は? 私も15個くらい持っています、(正確には)忘れましたけどね。でも、そういうことはあまり関係なくて、私のいいたいことはわかっていただけたと思います。みなさんはもう、人生の一部としてメールを使っているということですよね。

私はあらゆるレシートはHotmailに届くようにしています。Gmailではそれを見たくないので。なぜなら、Gmailには私の家族がメールを送ってくるからです。メールを日々の生活の証拠資料という捉え方をしている人もいます。オンラインで購入できるものには、すべてレシートが届きます。確認であったりやり取りの証明であったり……そんなメールも来るわけです。

(スライドを指して)このようなかたちで、37億人に達する人々がメールを使用し、2,690億通ものメールが1日に送られています。実はSendGridでは90日ほどで、およそ地球上の半数ほどの人にリーチできるほどのメールを送信しています。このビッグデータがあれば様々な有益な情報を得ることができます。

メール市場は未だ成長過程にある

とくにメールの良い部分ですが、 1ドル投資するごとに38ドルのリターンがあるという調査結果が出ています。新規ユーザー獲得のコストは、検索やソーシャルを利用するよりメールの方が13倍も安いといわれています。つまり、かかったお金は常に戻ってくるのです。 非常にパワフルですね。

(スライドを指して)こちらは、将来のデジタルコミュニケーションについて12歳から50歳ぐらいのさまざまな人にインタビューをした結果をまとめたものです。調査のなかで、様々なフィードバックを得ることができました。

特に驚いたのが、とあるZ世代(1990年代後半〜2000年代前半生まれの世代)の回答者が、「歳をとれば、もっとメールを使うようになるだろう」と答えたことです。大学生になったら教授たちとメールでやりとりし、また就職活動で使ったり、ソーシャルメディアのアカウントのIDに使ったりするから、ということでした。その通りですね。

2009年のウォールストリートジャーナルに、「メールは死んでいく」という記事がありました。これはグローバルでメールの流量が減少していっていることを根拠にした内容になっていましたが、統計情報は正しく見なければなりません。実は減少したのは、ボットネットによる不正なメールであり、正当なメールは逆に増えています。

メールで勝つための5つの方法

それでは、(ビジネスにおいて)メールで勝ち続けていく5つの方法について紹介します。(スライドを指して)このようにわけてみました。デザイン、コンテンツ、コンテクスト、グローバリゼーション、そして到達率の5つです。

まずデザインです。メールの50%が、モバイルのデバイスで閲覧されています。朝、起きてすぐに携帯を触る人はいますか? 

(会場挙手)

私もそうです。そしてiPhoneを持っている人は? iPhoneには「スクリーンタイム」という新しい機能があります。これはどれくらいの時間iPhoneを利用しているのか、つまりどれくらいスマートフォン中毒になっているかがわかる機能です。

先週、私の妻はこういいました。毎日3時間半ぐらいスマートフォンに時間を費やしていることが分かり怖いと。ニュースを見たりfacebookを見たり、かなりの時間を費やすわけですが、当然メールの確認もスマートフォンを利用します。

なので、デザインをする際は小さな画面で表示されることを前提にしなければなりません。当然PCでもきちんと表示できる必要があるので、レスポンシブデザインにしましょう。

ここで重要なのがA/Bテストです。どういった人が(そのメールに)魅力を感じているかを理解できるだけではなく、A/Bテストは「どう見えているか」がわかるのです。例えば、最適な画像の見せ方は複数なのか1枚なのか、といったことです。