2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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原丈人氏(以下、原):議論の対象として、仮想通貨と暗号通貨の技術の進歩はどのようになっていくであろうかというテーマが1つあります。ワン・ワールド(1WORLD)社は、現在、私どもDEFTA Partnersが出資をし取締役も送り込んでいる会社です。
現在ICOをやってる最中です。佐藤さんの言うとおり、ICOを実行するにあたって、とくにトークンっていう暗号通貨コインが、投機の対象にならないような仕組みをどうやって作るか。これが非常にポイントになります。
これは1WORLDという会社で、10月6日にICOを始めて。ICObench.comとICOrating.comっていう格付け機関があります。そこでもリスクの低さといった基準でもトップクラスのレーティングがなされています。そういった意味合いでいくと、非常に安全なICO。これはイーサリアム(注:ビットコインの次に時価総額が大きい仮想通貨)をベースにして作ってあります。「将来は一体どういう流通の仕組みができるのか?」というのが議論の1つ。
そうは言うものの安全か? 「FORTINET」これも我々が創業期から出資し私自らが取締役となって長い時間をかけて築き上げた会社です。
2000年に作って、10人くらいだったんですが今日現在、1万7000人。世界最大のインターネット・セキュリティの総合会社です。未来のお金は安全なのか? IoTの時代の仮想通貨、暗号通貨の弱点は何なんであろうかということなど議論は尽きません。
仮想通貨の中でもクリプトカレンシー、いわゆる暗号通貨ですね。暗号を使えば安全かというと、これもそうじゃない。じゃあどうやればいいのか、というところが、この世界最大のセキュリティの頭脳が集まっている会社の中でさえも、答えが出ない。
原:その次。未来のお金が根付くためには、3つのイノベーションが必要です。1つ目は技術のイノベーションで、2番目が制度のイノベーションです。
今年の4月に施行された改正資金決算法において、仮想通貨の取引所は登録制になりましたね。こういった厳しい規制が日本ではありますが、取引自体が禁止になっている中国とフィリピン、韓国もあります。でも、新しい技術を、使った人の期待を裏切ることのないような形の制度とはどのようなものであるかは議論する必要があります。
3番目が地球規模で利用されるのはどうあるべきかというテーマです。ひょっとしたら、先進国より途上国での有用性のほうが高いのではないでしょうか? 山形さんがジンバブエの1兆ドルの話をされたけど、確かにそうなんです。今ジンバブエドルがないので、ジンバブエに行くとアメリカのドルになりました。そういう国はほかにもあるんです。中央アフリカのエルサルバドルもドルです。
そういう国が、世界銀行とか国際通貨基金に対抗できるような、信用を持つ通貨をどうやって作るんだ。というのも、ICOや新しいトークンを使えば実現できる可能性もある、っていうのは確かです。
このジンバブエのインフレを抑えたのは、2008年に財務大臣になったビティっていう人間です。今年はチョンボっていう財務大臣が考えているはずです。新しいジンバブエドルに代わる何らかのものを作ろうっていう議論が、実はもう2年前から起きています。制度をどうするのか。
このように人材、エコシステム、流通という点で、ちょっとみんなで議論していきましょうか。じゃあ、山形さん、佐藤さん、対話をキャッチしながらやりましょう。
山形浩生氏(以下、山形):……難しいですよね。将来的にお金がどうなるのかという話で、暗号通貨、あるいはクリプトカレンシーみたいなものがあるだろうというのは事実だと思います。
そして、その暗号通貨がなにゆえ今後伸びる可能性があるかっていうと、さっき言ったとおりお金っていうのは、ある意味で記憶である。そして、ブロックチェーンのやり方っていうのは、ハッシュ関数使って、昔の取引の記録が全部そこに残ってるから、つまり文字どおりそこには、過去の取引の記憶というものがあると。誰がこれを最初に作って、それを使ってきたか。
太平洋にヤップ島というところがあります。有名な、大きな丸い石の「石貨」というものを作りますが、あれは作って家まで運んでくる途中で海の中に落としちゃっても、「でもあいつあれ作ってたから……」っていうのがあるから、それが海の中にあってもお金として通用してしまう。それは「作ってた」っていう記憶があるから。
ブロックチェーンとかは、ある意味それをもっと厳密にやろうとすると。確かにおっしゃるとおり……おっしゃるとおりかどうか知らなくて、ブロックチェーンがそんなに安全じゃないという話は僕今初めて聞いたんですけども……。
安全じゃない面もあるかもしれないけど、ただ世の中でお金として使われてるものを見たときに、何の問題や不安もなく安全ってものはなくて。だいたいみんな、その時、その場で相対的に「まぁこれが一番安全で使い出がいいよ」っていうものが流通していく。
アメリカでは刑務所の中ではサバ缶が流通した。……アメリカではそうだった。ホリエモンに言わせると日本ではそういうことはできないそうなんですけれども。ここのところでは紙切れが使われたし、昔のアメリカンインディアンは貝殻に穴を開けたものを使ってた。それは別に、それが完全にセキュアだからじゃなくて、「まあそこそこ使える」ものだから。
ですから今後、お金の安全性を考えていくことは重要なことなんだけども、一方で「そこそこ使えるからいいじゃない」ということで、ビットコインなり、あるいはイーサリアムとかも……なんだか抜かれたり詐欺にあったり散々なことしてますけど、それでも続いてる。ということは、必ずしも完璧なセキュリティというのは目指す必要はないんじゃないかと。もちろんそれを高めていくことは重要なんですけど。というのでまず、最初の話。
佐藤航陽氏(以下、佐藤):はい。私も同じこと考えていて。むしろ経済とか通貨というものにも、競争原理が必要なんじゃないかなと思うんですよね。今まで経済って競争が起きてなくて……経済の「中」で起きてるんですよ。経済システムそのものに関しては、キャピタリズムが1個しかないので、昔みたいに違う価値観や論理、仕組みと……バトってないんですよね。
今ある程度、資本主義が問題だと言われるようになってきていて、たぶんまったく違う仕組みで回る経済や通貨がたくさんあると、ユーザーが選ぶようになってくる。
そこで、1つの仕組みがおかしなこと起きると当然逃げますから、市場原理に任せていくと、結果的に1番いいものが残る。そういうほうが、ユーザーにとってはいいものが得られるようになるんじゃないかなと思っているので、経済や通貨にも競合が必要であると。その上でブラッシュアップをしていって、一番いいものを残していく。それを、そろそろやるべきかなと思いました。
原:市場原理というものに我々は囚われてるけれども、究極の市場原理を突き詰めていくと、全部が相対取引になっていくんですね。ということは1対1、顔の見える取引になりますので、市場経済はその段階で消えるんです。という話で、ここから深くなるから次の話題へ。途上国について話しますか?
原:途上国が一体このICOやトークン、新しいお金のかたちを使えば、豊かになれるのか。現状では、ほぼ可能性はないですね?
山形:うーん……1つおもしろいものは、この100兆円で、年率数百億パーセントのインフレになってて、「まともなお金じゃないよね」とは言われつつ、実はこれ全部使用済みのお金で。みんなそのよくわからないお金を使ってはいたんです。超インフレのお金でもないよりはマシだろうと。
例えば、ジンバブエのお金を、原さんのやってらっしゃるようなクリプトカレンシー的なもので代替できる可能性があるというのは、インフレになった理由が、ムガベ大統領の言うとおりに中央銀行がガンガンお金を刷ってしまったことにあるからですよね。
それに対して、技術的に「そういうことはできません」「これはこれしか発行できないんです」っていう仕組みを作ってあげれば、ひょっとしたらそれが信用できるお金として回るようになるかもしれない。
そうなったら、インフレ率が100億パーセントのお金で誰かが融資を受けようと思ったりはしないはずなので。……どれくらいの利率なんでしょうね、1億……1パーセント……? ひょっとしたらぜんぜん、利率というものが意味がなくなって、インフレですべてカバーされちゃうというおもしろい経済系になるかもしれないんですけど(笑)。
でも、それだと経済回らない。やっぱりある程度安定した価値のお金というものが担保できる、それがひょっとしたら仮想通貨みたいなもので裏付けるっていう可能性もあるかもしれない。
仮想通貨、ビットコインとかが、非常に大きな流れになってきたのは、例えばキプロスでいきなり銀行預金のお金が、10割召し上げて「全部国庫の返済に使いますねー」という話になったときに、みんなビットコインに走ったりして。国のお金がぜんぜん信用できなくなったら、国とは関係ない裏付けのあるところにモノがやってくる。
でも、それが本当の経済につながるのか、というのはまだやってませんよね。価値の貯蔵手段としてはビットコインなり仮想通貨っていうのはあるけれども、そのビットコイン立てでモノを作って売ってる人がいるかというと、ほとんどいない。
というので、今後「じゃあ俺はビットコイン立てでモノ作る!」「イーサリアム立てでモノ作る!」っていう人が出てきて、ビットコインだけで回るようになっていくと、また違う話になるかもしれないですよね。そこまでできるのかという問題ですけど。
原:佐藤さんがいいポイントを言ってくれたから、ちょっとそこで整理するために。「未来のお金とは一体何か?」と。今のいわゆる金銭的価値以外に、内面的や社会的な価値、こういったものを定義づけることができるところに新しいお金の良さがあるんです。
途上国もそういうふうに考えていけば……アフリカってどれくらい大きいか知ってます? 中国とアフリカどっちが大きいと思います? 中国のほうが大きいと思う人。……いないね。中国とインドを足したほうが、アフリカより大きいと思う人? ……そんなもんじゃない。中国とインドとオーストラリアを足したより大きいんですよね。
ですから……2030年ごろは、欧州人やアメリカ人の白人が、中国人や日本人に憧れる。日本人や中国人がやってることを真似して、という時代が来る。そこからさらに50年後くらいは、アフリカ人がしていることにみんなが憧れる。
そうなってもおかしくないくらい、経済が伸びる大きな可能性があるんですね。でも、その伸びる可能性を全部支配下に置いたままやっていきたい、と考えるのがやっぱり今の旧宗主国や米ロなんですね。
そこからどうやって逃れるかっていうのは、この新しい通貨にヒントがある、と私は思ってるんです。要するに、トークンは未来の価値に対する、交換券であると。だから、サービス券だと思った方がいいです。だってここもね、影山さんのところが発行する券、「これは将来コーヒーが飲めますよ」という券は、1つのトークンなんです。お金。
そのトークンっていうものを佐藤さんのイメージで提供していくと、いろいろなものに使えますよね。私いろいろ言いたいんだけども、今日は司会の立場だから(笑)。はい、どうぞ!
佐藤:はい、じゃあ続けます(笑)。トークンでいくと、本当に無限大なんですよね。データにできるものはほぼすべて通貨になり得るっていう状況があるので、私たちはひとまずわかりやすい「時間」っていうものにしました。別に「信頼」でも、「顔を見る」っていう「認知」でも、データにできればほぼトークンにできちゃう。
なので、実は人々が気付いてない価値っていうのが、世の中に無限にあるんじゃないかと。今は資本に変えられるものだけが注目されてお金になってますけど、お金に換えることはできないけれども、みんなにとって価値があるものは溢れてるので、もしかしたらその利用価値以外の価値にフォーカスを絞れば、小国だって言われてる国も、覇権を取り得るんじゃないかなと思っています。
1番おもしろいのはエストニアですよね。エストニアは国でICOしようとしてますけども。今のアメリカとか中国の体制の中で、うまくいってない国ほど、次の歴史を作る可能性があるんですよね。
昔シンガポールが金融をフックにして拡大しましたが、おそらくエストニアやアフリカの国が、トークンや仮想通貨の売れ行き次第で、まったく新しい経済圏、まったく新しい経済システムや通貨を作り得るんじゃないかなと。そういう意味ではすごく私はポジティブに思ってます。
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