人生を切り拓く「ノータイムポチリ」

小野裕史氏(以下、小野):はじめましての方が多いと思いますが、インフィニティ・ベンチャーズの小野と申します。

これから2日間に亘って、実にいろんな経営者たちのおもしろいお話が聞けると思います。かつインタラクティブなセッションが多いと思いますが、私は最初に、インタラクティブ一切なしで突っ走るプレゼンテーションをしていきたいなと思います。

「チャレンジする人生のススメ」と書いておりまして。なんかおどろおどろしいチャレンジの絵がありますけども、チャレンジって言うとなんか重苦しいんですね、ですので、僕の話を聞いたことある方はご存知だと思うんですが、この言葉だけ憶えて帰ってください。

「ノータイムポチリ」。軽いですね。これは僕が勝手に作った言葉なんですが、どういう意味かというと、時間をかけずに、ノータイムで、ポチッと、何かアクションとかを軽くやってみるといいということです。「チャレンジ」とかじゃなくて、軽いノリで一歩踏み出してみる、目標設定してみる、みたいなノリのことを「ノータイムポチリ」と呼んでおります。

今日僕の話の中ではこの言葉はしょっちゅう出てきますし、たぶん今日、明日といろんな経営者の話を聞く中で、ノータイムポチリとは言ってないかもしれないですが、同じようなキーワード、小さなきっかけに一歩踏み出すとか、そんな話がたくさん出てくると思いますので、頭に留めていただければと思います。

本当に小さなきっかけひとつで人生は変わる

勝手ながらこのセッションの僕のゴールは、みなさんの心の中で「やりたいな」と思っていながらまだ実は何もアクションしていないみたいなことがたくさんあると思います。

そういったものを軽いノリで、まず時間をかけずにポチリと小さな一歩を踏み出してみるということをやってみていただければと思っています。

これから実にさまざまな、本当に素敵な話が聞けると思うんですが、大事なことは、僕も含めてステージに上がる人たちは全員、みなさんと同じように学生だったんですね。もしくは学生じゃなかった人、大学生にすらなっていない人も中にはいるんですけれども。

ですので、ステージに上がってる人たちは自分とは違う存在の人だなんて決して思わずに、自分と同じ人間なんだっていう風に思っていただければと思いますね。

こういう人たちみなさんに共通しているのは、本当に意外に小さなきっかけから経営者になったりだとか、素晴らしくおもしろい人生を作っていったりだとか、変わっていっているんですね。ですから、今日ここにいるっていうのも、みなさんにとっては小さなきっかけになるんじゃないかなぁと思っております。

現在はベンチャー・キャピタルで活躍

先ほどいた小林と、私と、あとで出てくる田中と3人で、インフィニティ・ベンチャーズという会社でベンチャーキャピタルの仕事をやっております。ベンチャーキャピタルとは何かというと、例えばAppleというみなさんご存知の会社も、昔は小さな小さな会社からスタートしたんですけども、そういった「将来大きくなろうぜ」っていう会社を、資金面だとかも含めて育てていくっていうことをやっております。

我々が実際どんな会社を育ててきたかというと、ご存知の方がいらっしゃるかわかりませんが、日本のグルーポン「グルーポン・ジャパン」っていう会社をゼロから立ち上げて、それをグルーポンの子会社にするところまで育てて、1年間でこのぐらいの会社にしたいというようなことをやっております。

世界中にアライアンスパートナーがいるんですが、日本と中国で活動をしていて、40社ぐらい投資をして、100億円ぐらいのファンドを動かしています。

そんなことをやってるんですが、私はもともと全然違う経歴を辿ってきておりまして、これは後ほどお話させていただこうと思います。みなさん今日は本当にいろんなベンチャーの話が聞けると思って来たと思うんですが、残念ながら私、早速趣味の話からスタートさせていただきたいと思います。

フルマラソンへの出場を決意

去年の9月に文藝春秋さんから『マラソン中毒者(ジャンキー)』という本を出させていただきました。これ以来、新聞に載る度に何かの病気のように「中毒者の小野さん」という風に紹介されるんですが、私は先ほども言ったようにベンチャーキャピタルでメシを食っておりまして、ランナーで食ってるわけではないんですね。

実は走り始めたのはつい最近のことでして、5年ぐらい前ですね。今39歳なんですが、そもそも30歳を過ぎて初めて運動というものを真面目にやって、ランニングを始めて4年間で本になっちゃったんですね。

何でこんな風になったのかというのを、さっきのノータイムポチリをふまえて紹介したいと思うんですけれども、もともとは35年間全然運動したことがない人間だったんです。で、まぁちょっとしたきっかけでランニングを始めてみたんです。

人間誰しも、何でもやってみて初めてわかるということがあるんですが、僕にとってはランニングがそうだったんですね。運動なんか嫌いだし、やりたくもないと思ってたんですけれども、走り始めると、「俺ドMだし、ちょっとランニング向いてるんじゃないか」と思って楽しくなって。

2009年の8月にランニングを始めたその時に、ランニングのノータイムポチリをやりました。何をやったかというと、3ヶ月後のフルマラソンにとりあえず、ポチッと。クリック1つで、軽いノリでエントリーしたんですね。ここから僕のランニング人生が花開いて行ったわけなんですが……。

中国のゴビ砂漠で250kmを走る

これは初めてフルマラソンを走った時の写真で、なんか今よりもおっさんに見えるんですけれども、当然のことながら、走り始めて3ヶ月の人間がフルマラソンをやると苦しいんですね。

なんですけど、ゴールすると「42kmなんてイメージつかねぇよ」って思っていたのが、「やってみたらできるじゃないか!」っていう達成感になるんです。で、達成感を味わうと人間は向上心が生まれるんですね。「俺、もっとやれるんじゃないかなぁ」って思い始めて、それから僕は趣味で始めたランニングから、どんどんポチポチと、次々にいろんなチャレンジをしていくようになりました。

その結果、ランニングを始めて2年弱でこんな大会に行ってしまいまして。中国のゴビ砂漠というところを250km走るという頭の悪い大会なんですけども、これを見つけた瞬間にポチリと行ってしまったんですね。

だいたいこのあたりを走ってきたんですけれども、この時は、1週間かけて1週間の荷物を全部背中に10kgぐらい背負って、ときどき感染症になりながら走るっていうことをやってきたんですが、終わってみたら160人中19位という、自分としてはびっくりするような成績だったんです。初めてのマラソンと同じように、「なんだ、俺やればできるんじゃないか」とまた向上心が芽生えるんですね。