2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
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楠真氏(以下、楠):次の話題にいかなきゃいけないと思っているんですが、ひと言だけコメントしますと、実はAmazon全体のソフトウェア投資って、125億ドルあるんですね。これだけソフトウェア投資をしている会社って日本ではほとんどないと思います。
村林さんのところもだいぶ投資されてると(笑)。やっぱりすごく構造が変わってるということを栄藤さんのお話で感じました。
この話、おもしろすぎるのでもっと続けたいんですけれど、時間が迫っておりますので、次のポイントに移りたいと思います。
「IT業界の構造変化」ということですね。やはり、すごく思いますのは、最近の伸びている会社ほどソフトウェアの投資金額が大きい。
そういったところを踏まえますと、日本のデジタルトランスフォーメーションというのは、やはりある意味考えなきゃいけない部分があるのかなということで、村林さん、ひと言コメントをお願いいたします。
村林聡氏(以下、村林):私はIT業界に身をおく人間なのかどうかですけれど、やはり本当の意味で、全ユーザー企業がIT産業化をしないといけないんではないかと思います。
今までの流れで、ここにもありますが、「ハードからソフト」「SIからサービスへ」ってありますけど、これってみんなITベンダーさんから提供を受けることが前提になっていることだと思うんです。
そうではなくて、ITベンダーのクラウドサービスも含めていろんなサービスと、自分たちのところをきちんと結びつけて、自らがIT化、企業のデジタル化を進めていくことが必要なんじゃないかと思います。
だから、クラウドサービスとかがない時代は、たぶんベンダーさんが「こんなパッケージありますよ」「こんなソフトウェアありますよ」「こんなハードウェアありますよ」と言って、売りたいから教えてくれたと思うんです。
ですが、クラウドサービスはあまりそういうことはないと思うんですね。代理店がそうあるわけでもないし。いいと思えば、みんなネットで調べて、自分で使ってみて、「よしこれ使おう」と、こうなっていくと思うんです。
それをやらないかぎりいいものはたぶん取り込めないので。やはりユーザー企業サイドの人間が、きちんと常に世の中のサービスとかを見て、ウォッチをして、これが自分たちのデジタルイノベーションにつながるサービスなのか、ということになっていかないといけないんじゃないかと思います。
では、ベンダーさんがいらないのかというと、そういうわけでもなくて、やはりコラボーレーションというか、そういうのプロとしての知識が必要なこともあると思いますので、一緒にやっていくということなんだろうと思います。
実際にそういうかたちで成功してる事例もたくさんあると思います。お客様に向けたサービスを一緒に作っていく、ということが日本においても必要なのではないかと思っています。
楠:ありがとうございます。もう少しコメントをいだだければと思います。渡辺さん、ひと言いかがですか?
渡辺:先ほどの企業におけるイノベーションと関わると思います。やったことが簡単というか、技術の変わり目は先鋭化するしかないと思ったので、実は電子版立ち上げる時に、インターネットをわかっているエンジニアを全部IT部門から引き抜いて、私のところに寄せちゃったんですね。
そうすると議論が、「こっちでやるしかない」みたいなことになるので、まずそういうことを、やってもらったんです。これは社長の決断で、「立ち上げたので思いっきりやろう」という話になって。
そのなかで私も、そのなかの人間もAWS使ってやりたいと言ったので、やらせてみたんです。
それで、やらせてみた瞬間に、数年前ですよ、2011年ぐらいとかにやったら、AWSのことを話そうと思ったら、ベンダーに話す相手がいなかったんですよ。
なので、自動的に「じゃあ、自分でやるか」みたいな話になって、自分たちでやって、実は今、AWSについてもほとんど内製。こんな日本経済新聞ですけど、AWSは内製でやっています。あとアプリ、みなさんがお使いいただいているアプリも全部、内製化に舵をきっちゃったんです。
そうしないと、先ほどの栄藤さんの話で、高速のPDCAが回らないので、結果として入り口をそうやって分けちゃったら、自分たちの組織の内部が先鋭化して、先鋭化すると自分でやるってパターンに今なっているということです。
そういうことが今、そこここで起き始めていて、「ベンダーってなんのためにいるんでしたっけ?」みたいな(笑)。「プロジェクト管理だけお願いすればいいんでしたっけ?」と。
(会場笑)
高い月何100万円のSE雇って、そのプロジェクトの管理だけお願いしようかなとか。場合によっては今、そんなことまで考えているところまで、我々の組織としては先鋭化するところに来ています。これから永続するかどうかは別ですけど、けっこう本当に話すことがだいぶなくなってるんですね。飲んでも話すことがない、そういうようになってるというのが今の我々の状況です。
楠:構造変化じゃなくてIT部門とIT業界パッシングということですね。もう素通りと(笑)。栄藤さん、なにかこれでありますか?
栄藤:びっくりしました。私、まさか内製してるとは思わなかったので(笑)。
渡辺:(笑)。
栄藤:すいません、おみそれいたしました、ということですね(笑)。マイクロサービスも、本当にやられてるんですよねぇ。はい、以上です。もう衝撃です。
楠:ちょっと衝撃が走ったかもしれませんけれど、IT業界がどうなるかについては、明日もパネルディスカッションを私やります。なくなっちゃうと困りますので(笑)、そちらでまた触れさせていただきたいと思います。
次に3点目、「グローバル対日本」ということです。これは渡辺さんのお話のなかでかなりもう触れていただいたわけですけれど。
まさにプラットフォーマーとの戦いというのもございますし、それから『Financaial Times』、老舗新聞と組んで、グローバルな戦いを日本企業としてもやっていかないといけないという視点だったと思います。渡辺さんもう少しコメントいただければと思います。
渡辺:少しお話させていただきます。我々が自分たちが進化していくために戦わなきゃいけない相手としてAPIの話をしました。
こういう文化ですね。2週間ぐらいシリコンバレーに行って、1週間ぐらい話をしてきたんですけれど、いろんなサービスを連結しようと思うと、「APIはどうなってるの?」と。
それで、「この場でちょっとやってみる?」みたいな話が出たりするんですけれど、そういう開発になってるんだなというところが1つです。
もう1つ我々にとって、日経はFTを買収しましたので、global & growthということで自分たちも攻めていかなければいけない展開になってるので、今こんな状態なんですね。
言葉が違う人たちと手を取りながら、日経グループとして世界に出るために考えると、実はここにある、ジャーナリズムとかいうと、それはやっぱり国で固有だったりするところがたくさんあって、そんなに簡単には話が1つにはならないんですけれど。
でも、事業を展開する上で、共通項はあるなというのが、ここ数ヶ月話していたところです。それはなにかというと、システムとデータの解釈の問題ですね。おそらくこれからはデータの解釈とかがすごく大事になってくると思うので、我々もデータ持ってますと。
ただ、同じものを先にやっているとすると、FTのほうがかなり先行してやっていたりします。このデータの使い方に関しては共通化できることがあるので、今、組織的にいうと組織そのものはないんですけれど、プロジェクトチームを作って情報交換、お互いレベルアップできるようなかたちのものを考えてやっています。
もう1つは、プラットフォームはやはりだんだん似てきます。使ってるものは同じものになってきますので、FTはAWSをかなり使っているということと、Salesforceも実はかなり使っている状況なので、我々がやろうとすると、そこについてのノウハウももらえるし、攻めていくためにコストを削減しなきゃいけないので、worldwideの契約に持ち込めないかみたいなところがあります。
そういう事業を支える、自分たちの事業を発展させるための共通項としてのデータとシステムというところと、自分たちが単独で人と一緒に進めたいAPI的なところ、2つの攻め方、展開があるかなと思っていて、そこをしばらくの間、推し進めてみようかなというのが今の現状です。
楠:ありがとうございます。村林さんも相当グローバルにいろんなかたちで取り組まれているとお聞きしているんですけれど、ひと言お願いいたします。
村林:そうですね。MUFGグループは全世界に展開しておりますし、米国とかタイにはかなり大きな現地法人があったりして、そういうのを提供しているわけです。グローバルなプラットフォームがクラウドで誕生したわけですけれど、それのメリットというのはまだまだこれからというところではありますね。
ただし、逆に、グローバルのプラットフォームを我々じゃなく、プラットフォーマーが使って、金融に入り込んでくる。
一見、金融じゃないように見えても、たぶんAmazonさんもGoogleも、一番最初のお客さんの行動のところを握っているので、そこから後ろの金融とか、そういうところにもいけるようになるという意味では、我々にとってもグローバルなプラットフォームは非常にメリットはあると思いますけど、これは脅威ですね。
先ほど来、出てましたディスラプターというのが本当に出てくる。脅威だと思いますので、私の立場としては、ライバルが増えるな、と。どうやってGoogleと戦ったらいいのか、何年かしたらAmazonさんと戦うのかなとか。
でも、これは最後のところで言おうと思ってるんですけど、「一緒にやりたいな」というようなことも広がるので、そういう感じで捉えています。
楠:やはり生き残るためには、エコシステムに入るしかないということですね(笑)。
栄藤さん、ドコモという会社はわりとドメスティックな会社に、我々からすると見えるんですけれど。そういった意味で、グローバルという観点では、相当危機意識みたいな部分はお持ちなんでしょうか?
栄藤:“まるドメ”の会社なのでなかなか、「まるでドメスティック」っていうんですけど、一時の熱意は落ち着いたかなという気はしておりますが。
ただ、これからサービスはもう上のレイヤーにいくしかないんですね。もはや通信事業だけでは伸びないので、その上にいくしかない。
そういう意味では、上のサービスは国内だけではなくて、グローバルにも通用するものというかたちを今後はもう取らざるをえないと思っております。
楠:わかりました。もういただいた時間が終わっているんですけれど、最後に「これだけはやりたい」ということで、Amazonへの期待、AWSへの期待を、ひと言いただいて、終わりにしたいと思います。栄藤さんから、お願いいたします。
栄藤:2つあります。1つ目は過激なんですけれど、PaaS機能で差がつかないぐらいコモディティ化を図ってもらいたいなというのがあります。Googleに勝つ方法は、Googleと同じPaaS機能を持つということなので、そういった方向が1つあるのかなと。
あと、日本という社会においていうと、こんなふうにみんな集まれるわけですよ。わりと仲良く話ができるんですよね。これはすごくいい文化だと思っています。
同じ言語を話す人たちが、同じレベルのAPIを切って、それでいろんなイノベーションを起こしていくというところの接着剤になっていただければと思います。以上でございます。
楠:渡辺さん。
渡辺:私も2つあります。クラウドもだんだんと価格を下げるだけの時代じゃないとは言われてますが、やっぱり下げてほしいなと(笑)。これはみなさん共通の思いだと思いますので、それを代弁してひと言言わせていただきます(笑)。それは大事なことだなということで。
あとはやはり使って、現場のエンジニアがどんどん先鋭化していくほど、英語版と比べ機能のリリースが遅れてるというのが、実はシステムを更新していく上で非常にひっかかることがあって。
それは、先ほど言いましたように、実はクラスリングソフト持っていったら動かなくてえらい目にあったのも、そのAWSの機能が日本ではリリースされてなかったというところもありますので。
そういうところも含めて、やはりリリースのタイミング、なるべく同期を早めてほしいなというのが、今の現実的なお願いです。
楠:村林さん、お願いします。
村林:引き続きオープン性の高いセキュアなプラットフォームの提供者であり続けていただきたいというのが、まず1点です。
それから、そのプラットフォーマーはデータをかなり持たれていると思いますので、先ほどの話ではないですけれど、なにか協業できるといいですね。そうすると、我々ももっと使うことになって、AWSさんにもいいことが起こるのではないかと、Win-Winになればいいですねということです。
それから少し質問的な話なんですけど、クラウドといわゆるアクセスデバイス、スマホのほうなものが世の中を変えつつあると言われてますけど、そのアクセスデバイスについてはAmazonさんはどうされるのかなというのが、ちょっと気になるところではあります。べつに回答は今じゃなくてけっこうです。
楠:Netflixの真似して、Amazonビデオも始めちゃいましたので、そのうちきっとやらちゃうんじゃないかと、私の感想としては思いますね。
どうもありがとうございました。そういう意味では、私からひと言注文つけさせていただいて終わりたいと思います。
私は今日、唯一のIT業界からの参加者ということなんですが、実は日本のIT業界ってやっぱりIBMさんが作られた業界なんだと思うんですね。
IBMが日本に来られたときに、ユーザーを教育し、ソフトウェアベンダーを教育し、いろんなものを整備して、この業界を作られた。それで、日本にコンピュータなんてものがなかった時代に、企業がコンピュータを使っていろんなビジネスをできるような環境を整備していったんだと思うんです。
そういった意味では、今もIT業界っていろんなものがIBMさんの作られた常識に乗っ取って動いてるんだと思うんです。
それが今、Amazonさんが本当に残るのか、どこが行くのかというのは別としまして、あきらかに構造が変わりつつあるというのが、私の観察です。構造が変わって主役が変わっていくときに、日本とアメリカってやはり同じじゃないんですね。すごく似てますけど、同じではない。
日本のマーケットでリーダーシップをとられる会社は、日本のマーケットを理解して、環境整備して、そしてやっていくリーダーシップがある会社が、次の主役になってくんじゃないかと思うんです。
そういった意味でぜひ、「Are you Cloud Native Ready?」というのはAWSに寄ったキャッチフレーズですけれど、要するに、我々、cloud native readyになっていかなきゃいけないんだと思うんです。
同時に、AWSさんに対して申し上げたいのは、「Are you Japan Native Ready?」と。要するに、日本のマーケットに対してどう取り組んでいただけるか。これは、私ども日本の人間からすると一番大事なことなのかなと思う次第でございます。
きっと明日、明後日のカンファレンスに、これの答えが聞けるんじゃないかと期待してますので、よろしくお願いいたします。
今日は、ちょっと時間も伸ばしていただきましたけれど、本当にご清聴ありがとうございました。これにて今日のセッションを終わりたいと思います。ありがとうございました。
司会者:楠様、そしてパネリストのみなさま、ありがとうございました。どうぞ改めて大きな拍手をお願いいたします。みなさま、ありがとうございました。
(会場拍手)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
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