ローコードツールを使わないほうが良いシチュエーション

及川卓也氏(以下、及川):なるほど。ちょっと事前にテーマに入れなかったんですけれども、あえて田中洋一郎さんがクエリアならびに似たような管理画面を作るローコードを使わないほうがいいというふうに思うようなシチュエーションというのは、どういう時ですか?

吉田暁氏(以下、吉田):使わないほうがいいシチュエーションは……。

及川:例えばでちょっと聞いちゃいますけど、学習コストを田中さんは最初にすごく気にされていたじゃないですか。覚えることがたくさん多いと嫌だなと。たぶんそんなに学習コストをゼロじゃなくて、「ドキュメントはもっとこうしたほうがいい」とかをたまに私に言っているので、クエリアとか似たような製品もそこの改善はあるかもしれないけれども、学習コストがおそらくそんなに高くなかったんですね。

田中洋一郎氏(以下、田中):最初はそうでした。やはり欲が出てきて、やりたいことがどんどん複雑化していくんですね。そうすると、いわゆるCRUD。Create、Read、Update、Delete。データベースに対してこの4つが基本になるんですけど、もっと凝ったことをしたくなるんですよ。そうすると、例えばSQL文一発でアップデートできるようなものがクエリアだとクエリア流の、あるいはローコード/ノーコードでいうと、そのツール固有のやり方を駆使して、なんとか乗り越えていかなくちゃいけないわけですね。

なので、実は要件が複雑になればなるほど学習コストというか、使いこなし度の難易度が上がってくる印象があります。それを越えていくためにはおそらく自分で何とかするというのが1つ。もう1つは、適度にちゃんとサポートを受けられる。「こんなことをやりたいんだけど」と言った時に「あぁ、こうやってやればできますよ」みたいなところを聞ける場があったりすると、たぶんクリアしていけるんです。

だけど、なかなかそういったところが見えてこないツールとか、それこそオープンソースで何もサポートがないとか。そうなってくると、自分でなんとかするしかない。そうなると、もしかしたら使い始めたとしても途中で「止めちゃおうか」みたいなタイミングが来るかもしれないですね。

及川:なるほど。確かに最初に私がローコード/ノーコードの勘所と言った時のところで3つ書いたけれども、もう1つはおそらくナレッジがどこかにある。もしくはコミュニティがあるとかというのが、サポートと言ってもいいのかもしれないけども、それがやはりベンダー特有の、ツール特有のいろいろなしきたりがあるので、それを共有する聞ける場というのがあるか・ないかというのが、ツールを使うか、どのツールを使うかというところの決めどころになる感じなんですかね?

田中:そう思います。複雑なことをやりたい時は、こうやれば……逃げ道がありますよみたいなところが、うまく作られているとそっちで、今度はじゃあそこは自分で作りましょうみたいな感じでハイブリッドになっていってクリアできるかもしれないんですけど、そこってけっこう便利さとのトレードオフになるような気がしていて、簡単であればあるほど柔軟なことができなくなるというような傾向もあると思います。

なので、そこもバランス感覚で、ちょっとこれは僕らのバランスに合わないみたいな判断をせざるを得ないツールは出てくるかもしれないですね。

及川:ということはやはり、けっこう複雑なことをやろうとする時には汎用的なローコード/ノーコードではできない可能性があるというのを考慮して、ちゃんと調べる必要があるということになるわけですね。

田中:そう思います。

管理ツールの利用者と権限管理

及川:なるほど。はい。そろそろ20時になるんですが、もし聞かれている方で質問があればQ&Aのところで投げていただければというふうに思います。あともう1個くらいちょっと聞きたいなと思うのが、たぶんこれは他の会社の方も参考になると思うんですけども、じゃあ誰が管理ツールを使うか。先ほどの権限みたいな話であったりというのがあると思うんですね。

要はエンジニア以外が使う。エンジニアも複数人が使うというのはあると思うんですけど、今Jasmine Teaは、私は知っていますけれどもちょっと田中さんに答えていただくと、実際に誰が管理画面を使っているというかたちになっているんですか? 管理画面を使うというよりクエリアを使うと言ったほうがいいですね。管理画面ツールを使う。ユーザーとして使うのと、管理画面を作る側があると思います。

スライド32

田中:現状は私と、業務委託でお願いしている、具体的な学校を担当して授業を運営している方になりますね。

及川:それで、やれることは違うんですよね?

田中:今はほとんど同じにしていて。

及川:先ほどの性善説でやっていたんですよね。

田中:はい。なんだけど教育機関登録とか、そういったところは誰でもできていいわけではないので、一部クエリアのページごとに使えるページ、使えないページというのを人で分けていたりはします。

及川:あと作る側はどうでしたっけ?

田中:クエリアのページを実際に組み立てるほうは僕と、やはり業務委託でお願いしているエンジニアが触れるようにしています。

及川:彼はすぐに使えていましたよね?

田中:そうですね。何も教えていないんですけど、「ふふーん」って言いながらやっていましたね(笑)。

吉田:その方って、普段バックエンドかフロントエンドと言ったらどちら側の方なんですか?

田中:オールマイティでいける人です。

吉田:そうなんですね。じゃあわりとDBへの操作ももちろんわかっているし、JSもちゃんと書けるというのであれば。なるほど。

及川:その人が「感動しました」。「超絶感動しました」だっけ? 忘れましたけど、最初に触って「感動しました」と言っていたんですよね。

田中:そうです。もう「あまりにもあっさりできてビックリした」と言っていましたね。

クエリアへの期待と今後の展望

及川:はい。では最後、クエリアへの期待というのを我々から話を。吉田さんにちょっと聞いていただき、なんか構想があるようだったらそれを話してもらえればと思うんですけど、田中さん、どんなのがありますか?

田中:はい。やはり現状、僕から見た印象だとデータベースの中を編集していくというところがメインで作られていて、そこの充実度はかなり大きいかなと思っています。ただ、先ほどアンケート配信をやったんですけど、あれは結局データベースの操作をすること、言い方をちょっと恐れずに言うと知っている人しかできない。

という制約の中でFirestoreにドキュメントを1個作って、それをフックしてアンケート配信の処理をキックするというような連携を作り込んでいるんですね。そういったバッチをキックするのにDBを使うよねみたいな話はあるんですが、直接なんかMQにメッセージを投げ込めるとかであれば、DBに余計な隙間を作らなくても済む。そういった何らかのバックエンドの処理を呼び出すためのものというのをキックできるようになるといいなと。

それを僕ら自身がAPIを作ってそれを叩けますというのが、たぶん今でもできると思うんですけど、けっこう今はクラウドをベースに作っている企業がたぶんほとんどだと思うので、やはりクラウドが提供している機能をどんどんサポートが充実していくと、楽になるだろうなと想像しています。

吉田:まさにそのとおりだと思っていて、たぶんここは僕らのデータソース連携の対応の拡充みたいなところ。以前Cloud Pub/Subへの対応がほしいみたいな話を田中さんからいただいたんですけど、まさにGCBを使っているのはPub/Subですし、その他サービスのメッセージング・キューイングサービスはたくさんあると思うんです。

そういったところに直接パブリッシュできるようになるとか、そういった機能を拡充していくことで今後社内ツールのローコードツールとしての何か幅が広がってくるのかなとは思いますね。

田中:そう思います。

吉田:今現状はデータベースに対してけっこう何かをするというところに特化しているところがあるので、その先というのをDBだけじゃなくてクラウドサービス全般で捉えて、あとは何かもう少しいくとSaaSとかでもいいと思うんですけど、そういうところと連携を広げていくことで、より社内においても広まっていけるようなサービスになるのかなと思います。

田中:そうですね。

及川:結局管理ツールは一種のデータベースが主だと思うんですけど、いろんなものに対してコネクタがある。だからこういった管理画面ツールの作成サービスみたいなのはUIビルダーであるのと同時にコネクタの集合なんだと思うんですよね。そのコネクタの充実度をどこまで占めていくかの話かと思いました。ということで、ちょっと質問が来なかったのは残念ですけれども。

吉田:そうですね。

及川:いろいろと3人でお話しさせていただきました。吉田さん、じゃあ締めの言葉をお願いいたします。

クエリアのフリートライアル

吉田:はい、ありがとうございます。ちょっとじゃあ最後に画面の共有だけさせてもらいます。ちょっとスライドショーにはなっていないんですけど、今紹介させていただいたクエリアですね。https://www.querier.ioで、フリートライアルを無料で受け付けておりますので、ぜひ興味をお持ちいただけた方は見ていただければなというふうに思います。

このままクロージングに入らせていただければなと思うんですが、そうですね。ぜひもしご興味をお持ちいただけた方はトライアルを受け付けていますので、よろしくお願いします。それでは本日は以上になります。及川さん、田中さん、ありがとうございました。

及川:どうもありがとうございました。

田中:ありがとうございました。