CLOSE

Azure Serverless 2019 Summer edition(全2記事)

AzureではじめるServerless アーキテクチャ事例と4つのキーテクノロジーを解説 Part1

2019年7月30日、Serverless Community(JP)が主催するイベント「Serverless Meetup Tokyo #12」が開催されました。世界各地で運営されているServerless Architectureやその周辺技術について情報を共有する本コミュニティ。今回は、株式会社Speeeのオフィスにて、3人のエンジニアが知見を共有しました。プレゼンテーション「Azure Serverless 2019 Summer edition」に登壇したのは、 株式会社ゼンアーキテクツの三宅和之氏。講演資料はこちら

AzureのServerlessについて

三宅和之氏:私のほうから、「Azure Serverless 2019 Summer edition」ということで、AzureのServerlessについて少し全般的な話と……というのは、このコミュニティの人はあまりAzureを使っている雰囲気がしないと勝手に私は解釈しているので、あえて少し全般的な話をしつつ、最新情報も交えて話をします。

簡単に自己紹介ですね。三宅と申します。Microsoft MVPというアワードをいただいているので、今日はその立場としてきちんとAzure Serverlessをお話ししようかなと思っています。

ただ、コミュニティ活動としてはどちらかというとフロントエンドばかりやっていまして、Vue.jsと、今着ているこのTシャツのTypeScriptのコアスタッフをやらせてもらっています。もしかしたら、そこでお会いしたことがある方がいらっしゃるかもしれないですね。そちらのほうが世の中的には出ています。

このコミュニティには大変お世話になっておりまして、今回13回目でしたっけ。4回目にソニーさんのすごい会場でやったときに登壇させていただいて、超ドキドキした覚えがあります。

あとは、去年のカンファレンスでMicrosoftのキーノートでちょっと事例発表をさせていただいたり、その翌週に実施された「Contributor Day」でAzure Functionsのプルリクエストをその場で作らせていただいて。マージされたのはそこから1ヶ月ぐらいかかったんですけれども。

そんな活動をさせていただいて、もうServerlessコミュニティなしでは生きていけない日々を送らせていただいています。本当にこの場を借りて感謝したいと思います。ありがとうございます。

今日のServerlessの話をするにあたって、やはりServerlessは定義がまちまちですし、まちまちでいいと思っているんですけど、このセッションではこの定義でいかせてください。

ServerlessというとやはりFaaSが中心になるかと思いますけれども、最近はやはり利用がいろんな分野に広がっている部分もあるので、今日はBaaSも含めたかたちでの、Martin Fowlerさんの定義なら誰も文句を言わないだろうな思って、この定義を連れてきました。

AzureのServerlessはけっこう広いんですよね。これだけサービスのアイコンがずらずらっと並んでいて。公式Webサイトも実はあります。

serverless compute。このAzure Functionsが入っているところはserverless computeですし、あとdatabaseやDevOpsなどいろいろ広がって、ちょっとこじつけ的なのもあったりするんですけど、まあまあServerlessと言えなくはないようなサービスがけっこういっぱいあります。

これはただ並べただけだとあまり意味がないので、これをきちんとつなげたかたちのアーキテクチャを最初にご紹介したいなと思います。

AzureのServerlessで何ができるか

これは、私のほうが先日「de:code」というイベントでセッションをさせていただいたときに、この組み合わせでデモをさせていただきました。

Twitterのアイコンとかがあって、ちょっとパッと見、ファンシーに見られるかもしれないですけれども、実業務では実はこれにかなり近い事例もあります。

これは「ラムダ アーキテクチャ」を採用したデータプロセッシングをオールServerlessでやっている事例なんですけれども、このデモなどをやらせてもらいました。

けっこう「本当にこれ全部Serverlessなんだ?」とよく言われるんですけど、本当にServerlessでできていて、相当なデータ処理ができるような仕組みになっています。今日、本当はこのデモをやりたいんですけど、時間がないので、詳細は「くらでべ」というYouTubeのチャンネルで観てください。

もう1つ、グローバルにスケールするというところで、Azure Serverlessの中核になっているCosmos DBという技術があるので、グローバルでスケールする事例をご紹介します。

これは海外の本家のほうですね。「Azure Friday」というチャンネルで、毎週金曜日に10分ぐらいの動画が配信されています。ここで、私の友人と言っていいのかな、MSの本社で働いているMatiasがAzure FunctionsとCosmos DBをつなげるところのプロダクトを作っているんですけど、Serverlessだけで作るグローバルアプリケーションの事例を発表していて、10分ぐらいの簡単な動画なのでよかったら見てみてください。

この2つでだいたいなんとなく、AzureのServerlessでこれぐらいできるんだなというのはわかっていただけるかなと思います。

今日は全部詳しくやっていると時間がないので、その中から私が注目している4つのサービスについて、気に入っている技術、それから最新情報などを厳選しました。

Azure Functionsの特徴

まずAzure Functionsについてです。

AWSでいうとLambdaだし、GCPでいえばCloud Functionsだと思うんですけれども、Azure Functionsのコンテキストで話が出るときは、だいたいみんなC#で説明したり、C#で説明を書いたりするんですよね。決してそれだけではなくていろいろな言語に対応しているのですが、やっぱりメインストリームとしてはC#とNode.js。最近はJavaも出てきているんですけど、この2つは必ずほぼセットで、新機能が追加されたりするときにはリリースされますし、最近Node.jsが個人的にすごくおすすめなんですね。それには理由があるので、またあとでお話ししたいと思います。

もう1つ、もしかしたら気づかれていないかもしれないですけど、Azure Functionsはランタイムも含めてすべてOSSで開発されています。なので、もちろん何か問題があればIssueを起こすこともできますし、私は去年プルリクエストを少し作りまして、マージもされているので、みなさんもご興味あればそこを見ていただいて。いろいろコア機能とそれから拡張したものなどがいっぱい出ているので、得意そうなところを見つけてやってみるのもおもしろいんじゃないかなと思っています。

これはおそらくどのFaaSも用語が違うぐらいで同じような考え方だと思うんですけれども、Azure Functionsでは「トリガー」と「バインディング」という仕組みを持っていて、入出力のコードの部分をなるべくラッピングして、コードをあまり書かなくてよくしようというアプローチになっています。

この両サイドのところがトリガーとIn/Out。ここに書いているHTTPとかTimerとかCosmos DBとか、それ以外にもずらーっとバインディングが揃っています。

個人的にちょっと推したいのがHTTPのトリガーで、HTTPトリガーでファンクションを作ると、その場でその瞬間にAPIが公開できます。なので、それはAzure Functionsだけで解決してしまうというところが、REST APIを作ったりするときに非常に便利ですね。

最近、Azure Functionsは大きくV2に世代が進化しました。去年ぐらいから徐々に変わってきていて、もう今はV2がメインになっています。

まだV1も使えるのですが、新機能が出てくるときはほぼV1では対応してこないので、これから何かやられる方、それから、万が一と言ったら怒られるかもしれないけど、この中にすでにV1で何か運用されている方がいたら、私に相談してください。すぐにV2に更新する方法をお教えしますし、絶対に更新したほうがいいです。

というのも、簡単に図を書いていますけれども、今までのV1はモノリシックな仕組みだったんです。しかも.NET Frameworkという古臭い仕組みの中で。それがV2になってRuntime部分とWorker部分が完全に切り離されて、しかもRuntime部分はクロスプラットフォームの.NET Coreで再構成されているので、フットプリントも非常に軽くなっていますし、拡張性が高くなっています。

その恩恵で、実はAzure Functionsでは、プロビジョニングするときにWindowsやLinuxなどを選べるようになっているんですね。なので、みなさんだとたぶんLinuxを積極的に選択する人たちが多いだろうなと思いますけど、ぜんぜんまったく機能は変わらず使えるようになっているというV2に進化しているところです。

進化するAzure Functions

それから、これもすごくホットな情報で、まもなくGAしそうな気配がぷんぷん漂っているんですけれども、Premium Planというのが出ました。これはFaaSのつきものであるコールドスタートを回避する機能がついています。

もちろんPremium Planという名前のとおり、ちょっとお金はかかるんですけれども、その分、例えばエンタープライズでけっこうなデータ量を捌かないといけないようなServerlessのバックエンドを作りたい場合に、非常に適しているのではないかなと思います。

スケールアウトも、最大200インスタンスまでほぼ瞬時にドーンと。おそらくこれは都度都度スケールしているというよりは、ある程度プールされたインスタンスをバッと確保しにいくようなアプローチを取っているのではないかなと。

このへんはまだ情報公開されていないので、プロダクトチームに今度会ったときに突っ込んでみたいなと思っているんですけど、そういったコールドスタートが回避できる、非常に速い、Premium Planがもうすぐ正式利用できます。もうすでにプレビューで使えるようになっています。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • 1年足らずでエンジニアの生産性が10%改善した、AIツールの全社導入 27年間右肩上がりのサイバーエージェントが成長し続ける秘訣

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!