エンジニア転職市場の有効求人倍率は約7倍
激化する技術者採用のいま

エンジニア採用動向について

エンジニア採用最前線
に開催

2019年3月19日、株式会社レクターが主催するイベント「エンジニア採用最前線」が開催されました。エンジニアの有効求人倍率は年々高まり、採用市場は激化しています。エンジニアの採用が難しくなる中、企業は今後どのように採用活動を進めていけばよいのか? トレンドの振り返りと今後の傾向について、気づきやナレッジを共有します。プレゼンテーション「エンジニア採用動向について」に登壇したのは、株式会社レクターの山口若葉氏。レクターの取り組みと、エンジニア採用市場の現状について解説しました。 ※著作者の申し立てにより、一部スライドを削除させていたしました。

提供:株式会社レクター

レクターの目指す場所

山口若葉氏:それでは、「エンジニア採用最前線~採用できる企業・採用できない企業 二極化が進む本当の理由とは?~」を開催させていただきます。

はじめに、主催社の紹介をいたします。本日こちらの司会を務めさせていただきます、レクターの山口と申します。よろしくお願いします。

まず私から、レクターとエンジニア採用市場の現状についてお話しします。レクターは、技術戦略コンサルティングファームです。役員全員がWeb系の現CTO、もしくはCTO経験者です。自らの経験を集積し、型にして広く社会へ伝えたい。そして、日本からテックカンパニーを創出したい。そんな想いで2016年に創業いたしました。

余談ですが、「再現性のあるCTOの業務」を発信していきたいと思いまして、「RE」と「CTO」をくっつけて「レクター(rector)」と名付けていますので、ぜひ覚えていただければと思います。

具体的な業務内容で言うと、技術組織コンサル・採用戦略コンサル・技術組織診断などを行っています。経営者・CTO・現場など、多角的な目線から技術組織を組成していこうと思い支援しています。

採用コンサルをしていると、自社エンジニアの人事課題に向き合っている方によくお会いします。本日は、人事課題を持っている方々と会ってきて、みなさんに「たくさん伝えていきたいな」と思っている情報を、どんどん発表していきたいなと思っています。

そして、明日からの採用活動で円滑に動けるようにできればと思って企画をしているので、メモを取ったりハッシュタグを付けたりしながら、発信していただければと思っています。

エンジニア採用市場の現状

それではさっそく、エンジニアの採用市場についてお話しします。

こちらは2016年のレポートで、すでにご存じの方も多いかと思いますが、エンジニアの転職求人倍率は平均で7倍を超えてきています。これは平均なので、都内のエンジニアとなると、1人に対して20社以上の求人票があるような状況です。

その中でも、内製エンジニアは少数派です。SIerと呼ばれる受託企業ではなく、自社で内製製品を作っている方は、とくに少ないような状況です。一方で、競合たる会社は2,000社以上存在します。

こちらの企業も、どんどん増えていく予想になっています。

今の市場としては、エンジニアがいない。そして、欲しい企業が増えているというところで、エンジニアの採用が非常に難しくなってきています。

景気の悪かった時代はお金を借りる、取ってくるというところが難しかったと思います。逆に言うと、いい人材も仕事を探していたので、比較的楽に人材を採用することができたと思います。

今は景気が本当によくて、「いい企業には出資したい」というところも増えてきています。ただ、人材の採用は難しくなってきています。今は仕事のほうが溢れているからこそ、従業員が選ぶ側になったのです。

優れた人材を獲得することが難しくなっているからこそ、意識と行動の変化がある。「採る」よりも「来ていただく」と考えるように、採用側は変わっていかなければいけないと思っています。

これからの採用は、自社と候補者の両者がお互いの方向性を確かめ合い、両者が理解を深めて共感し合ったうえで参加していただくという意識が必要になっています。実際に「採る」と考えて動いている会社も多くあると思うのですが、そこの競争力はだいぶ低くなってきていると実感しています。

それでは、どうやって自社に来てもらうのか? ここからがテーマかと思います。一般的に「採用」と言うと、「応募から入社まで」が業務範囲だと考えられているところもあると思います。

(スライドを指して)こちらのフローですね。入社前から入社後までのフローの各段階で、潜在層の方々を含めて関係性を作っていく。ディベロッパーリレーションシップが必要な時代になっています。この入社前から入社後までで一気通貫した施策を打って、やっと採用の土台に立てます。認知からロイヤリティーまでですね。

そして、ディベロッパーリレーションシップを構築するために、人事や採用担当の方々は、営業やマーケティングの人たちと同じように3C分析をしたり、カスタマージャーニーマップやペルソナを作ったりして、戦略性を持って仮説検証のプロセスを回していくような戦略部門となる必要があります。

「どこの」「誰を」「どうやって」を考える。本当に欲しい人に関しては、1度の接触では採用につなげられることがない。自社の強みと信用を中長期的に時間をかけて醸成することで、徐々にコーポレートブランドが蓄積して、潜在層のエンジニアの人も寄って来てくれるようになっています。

また、これはエンジニア採用市場に顕著な特徴ですが、エンジニアの方は広報やPRではなくて、コミュニティの情報で判断するんですね。

ご存じのとおり、エンジニア界隈を取り巻く環境にはTwitterやGitHub、技術系の勉強会、オープンなコミュニティやオープンに発信する場所が非常に多いです。だからこそ、これらの情報が集約されることで、企業のイメージが作り上げられていきます。

例えば、御社の代表の方がPR記事で「うちの会社はフラットで、エンジニアが働きやすい会社だよ」と発信している場合。これと、現場のエンジニアが勉強会で友達として会ったり、今日のこのあとの交流会のようなかたちで、意見交換をするように普通に話したりしている。その中で「いや~、うちの会社は本当にいいんだよね。みんながフラットで、働きやすいんだよ」みたいなことを言った場合。

同じ言葉でも、信憑性としては現場のエンジニアの方のものや、さまざまなところで発信されているものを高く評価する状況です。

(スライドを指して)自社が取り組むべきことは、現場のエンジニアと協力するこのサイクルですね。先ほどお見せした、このサイクルのボトルネックを減らしていく。一気通貫してやっていく中で、自分たちが「足りていないな」「やっていないな」「ケアしていないな」という方々がいらっしゃれば、そこを埋めていく。そして、この活動自体も回す。サイクルの総量を増やしていくことによってブランドが生まれて、潜在層にもリーチできるようになっていきます。

エンジニアが企業を選ぶ3つのポイント

また、このサイクルの中で情報発信をするうえで、エンジニアが気にする3つのポイントがあります。それが「透明性の高さ」「キャリアへの投資」「開発環境への投資」です。

これらはエンジニアにとって、企業選びの重要なポイントになります。

逆に言うと多くのエンジニアは、これらのどこかに不安・不満とか、なにかを変えたいなと思って転職市場に出てくる。今自分のいる環境と他社を比較していって、「あ、もしかしたらこっちのほうが、自分のキャリアを積めるかもしれない」「開発環境として、いいところが揃っているかもしれない」。そういうところを見て「転職しよう」と動くんです。

これらの3つが揃って、信憑性が高くなる。また、先ほどお話しした「現場のエンジニアが話している」ように事実に基づいて発言することで、求職者のキャリアにとって有効な場所だと感じて、そのあとに採用へつながっていくんです。

エンジニア採用のための各社の取り組み

ここからは、「透明性の高さ」「キャリアへの投資」「開発環境への投資」をすでに押さえられているような、ほかの会社さんの実例をご紹介していきたいなと思います。

まず1つ目が、けっこうご存じの方も多いと思いますが、テックカンファレンスの開催です。クックパッドやメルカリなど、自社の社員が次々と登壇するような大規模なテックカンファレンスを行っています。

これは「透明性の高さ」もありますし、「キャリアへの投資」「開発環境への投資」についても会社全体で大規模に作っていくところがあって、大きなインパクトを持つものです。

また、研修プログラムやオフィスの無料提供も、もはや当たり前のアプローチとしてされているところがあります。実際に自分たちのやっている研修プログラムを公開している会社や、「IT系の勉強会であれば、自分たちのオフィスを無料で提供するよ」という会社さん。

まとめたサイトがあったので見てみたのですが、前者が40社以上、後者が60社以上あるような状況です。

こちらはSNSですね。SNSを活用して社内の透明性・雰囲気を発信した例では、ZOZO Technologiesの社員がTwitterのプライベートアカウントで自発的に発言する。「#ZOZOTech質問会」ですね。

これに関しては、「一緒に働くようなメンバーがどういう考えで働いているのか?」という雰囲気が伝わります。もう一方で、代表である前澤さんがこれにコミットしているところもニュースに出てPRとなっています。会社の透明性や、一気通貫・フラットさが出てきている例かなと思います。

また、会社の経営者のコミットで言うと、SmartHRの会社紹介資料もすごいなと思うんです。

社内にいる人でも、見せられないなと思えるような内容……例えば給与レンジや事業数値、ストックオプションに至るまで会社の情報を、赤裸々に公開しているんですね。これによって、「自分がこの会社に入ったあとに、どういうキャリアステップを描けるか?」「資産形成ができるか?」というところもイメージしやすくなっています。しかも、これを代表の宮田さんがご自身で発表していることもあって、会社のトップから会社の透明性を作っていくところが発信されている、いい例かなと思います。

開発環境への投資について「これはすごかったな」という例が、ビズリーチです。

「1人あたり70万円かかるiMac Proを、136台導入したよ」という記事が出ていました。私もパソコンを支給されていますが、入社しているエンジニア1人あたりに70万円のパソコンを渡すくらいの投資をすることは、一般的なイメージで言うと普通ではないと考えられると思います。そのメッセージがメディアで浸透され、PRバリューに代わって発信されていきます。これによって、会社のイメージ向上につながった事例です。

「ありのまま」を発信する

また「エンジニアあるある」なのかもしれませんが、「かっこつけ過ぎていると嫌だ」というところもあるのかな? と思いまして。

例えば「ありのままを発表していく」というところで、Cygames社は、社員のデスクの様子をWebの採用ページで公開しているんですね。

これは「デスクツアー」というものです。普通はオフィスの写真だと、デスクをきれいにして公開することがいいと考えられがちです。

例えばエンジニアの中で、「採用をがんばるから!」と言って、毎回オフィスをきれいにしたり自分のスペースを清掃させられたりして、自分の時間が取れなかったな……思った経験がある方。「自分のペースでできなかったな」と思っている方にとっては、きれいなオフィスを載せ続けることがネガティブに映るかもしれません。

こういう、「かっこつけ過ぎないこと」。かっこつけることが一番ダサいと思っているのも、エンジニアの採用で大きなポイントです。これも、すごく特徴的な事例だと思いました。

あと、キャリアへの投資やコミュニティへの介在で言うと、DeNAの「Kaggle社内ランク制度」がいい事例かなと思って挙げています。

Kaggleは、世界中の機械学習やデータサイエンティストなどの40万人のコミュニティです。こちらには、ゲーム感覚でできて賞金が出るようなコンペティションがあります。「Kaggleの中で自分のランクが上がってきたら、Kaggleに投資する時間を業務内で取ってもいいよ」というものが、この社内ランク制度になっています。

つまり、業務時間の中で、自分のキャリアに費やす時間を取ることが可能です。かつ、Kaggleというコミュニティでその人がスタンダードやタレントになっていくと、外から見たときに、「このデータサイエンティストはどこの会社なんだろう? と見たら、DeNAだった」「いいデータサイエンティストは、DeNAにいるんじゃないか?」という空気感を作れる。外にいる人への露出が進んでいく点も、いいことかと思います。

たくさん事例を出したのですが、「透明性の高さ」「キャリアへの投資」「開発環境への投資」を、自社のエンジニアを通して発信していく。自社のエンジニアが楽しいと思っている。Developer experienceを醸成することが、採用につながっていきます。

採用は戦略である

(スライドを指して)先ほどの図に戻ります。この図で言うと、自社エンジニアがいい体験をしていく。そうすると、コミュニティを通じてその情報が漏れ伝わる。それが、潜在的な開発採用につながっていくんです。

一つひとつの施策を見ると、ただ開発者を優遇しているように見えてしまうかもしれません。単独で、合理的な方法ではないように見えるものもあります。

例えば、先ほどの「70万円のパソコンを1人ずつに渡す」となったら。仮に(一般的な)パソコンが、1人あたり10万円だとします。そうすると、単純に「その7倍の価値を出すか?」と言ったら、それは無理だと思うんです。ただ、「70万円を出すような環境ですよ」というPRをすることにより、「そこなら働けるかも」と思ってもらえるような人たちが動いてくるというところになるんですね。

人材採用や開発者のコミュニティは、関係性も含めた合理的なアプローチをする必要があります。担当者はそこまで考えて、今新しい一手を打ちにいっています。

まとめますと、現代の採用活動は戦略部門です。入社前から入社後まで、一気通貫でプロセス改善をする必要があります。現場エンジニアたちの様子が、コミュニティを通じて潜在層に伝わっていきます。現場のエンジニアたちの体験をよくしていき、それがスムーズに伝わるようにすることで採用力は強化されます。

今日の私のお話で、こちらをぜひ覚えていただければと思います。ありがとうございました。

(会場拍手)

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