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プロダクトマネージャーが身につけるべきデータ分析スキルとは? プロデザ!BY リクルートvol.4(全4記事)

データ分析の重要性を感じるのはどんな時? “利害が一致しない時”と“プロダクト変動時”に感じたメリット

リクルートの複数のプロダクト現場で活躍するプロダクトマネージャーが、それぞれの経験に基づいて、日々どのようなデータ分析業務を行っているか、どのようなスキルや経験が求められるか、個人として組織としてどのようにデータ分析スキルを身に付けるかを語る「プロダクトマネージャーが身に付けるべきデータ分析スキルとは? プロデザ!BY リクルートvol.4」。ここで加藤氏、永石氏、今井氏、松本氏が登壇。次に、データ分析の重要性について話します。前回はこちらから。

部署が違ってもデータがあることで目線が揃いやすい

加藤舞子氏(以下、加藤):では続いて、次のアジェンダに行きたいと思います。「データ分析スキルの重要性を感じるのはどういう時ですか?」という質問になります。

先ほどからあるように、いろいろな意思決定をする時に、データ分析は常に必要です。なので常に重要だと思うんですが、「特に大事な時はどんな時?」というところを深掘りしていきたいと思います。さっそくみきちゃん(松本氏)に聞いていこうと思うんですけれど、どんな時ですか?

松本美希氏(以下、松本):データ分析スキルとは離れてしまうのですが、データですごく良かったと思ったのは、いろいろな組織を越えて、いろいろな関係者とコミュニケーションを取っていく時でした。例えば部署が違ったとしていても、データがあると目線が揃いやすいと思っています。

例えばリクルートエージェントだと、プロダクトマネージャー以外にふだんカスタマーと日常的にコミュニケーションを取るキャリアアドバイザーであったり、または営業担当もいると思います。時には彼らと利害関係で対立することがありますが、そんな時に数字を見ることで、一緒の方向を目指すことができると考えています。

加藤:「利害が一致しない時」というワードが出たので、ちょっと具体的な事例を聞いてみたいと思うんですけれど、それはどういう時の話ですか?

松本:例えばなんですが、カスタマーの方が使うマイページの機能を変更したい時。プロダクトマネージャーは現場に対して「カスタマーにこういうことを案内してほしい」と思う一方で、「逆にそれによって現場の混乱が生じうる」など(の懸念)があります。

これによって、「カスタマーの方から離反とかを受けてしまうんじゃないか」とキャリアアドバイザーが懸念する。そういった組織の構図はたまに発生すると思っています。

ただそういう時も、カスタマーの方たちへの貢献価値が何かを考えて、それを指標化しておくと、部署間の垣根を越えてすぐにカスタマー貢献を目指すことができると思っています。

加藤:そういう時は例えばどういうデータを用いて議論をするんですか?

松本:リクルートエージェントの場合はけっこうシンプルで、売上とカスタマー価値が一致すると思っています。なので、こちらがやりたいことをやったら、最終的に事業として追いたい指標がどれくらい上がるのかが1つ。

あとは懸念している立場の人がいたら、それも「○○が毀損するんじゃないか」という懸念を、数字に置き換えるとどの程度のマイナスになるのかを比較して、どちらのほうが大きいかを確認しにいくと思います。

加藤:なるほど。

松本:それで合意形成できる場合もあるし、正直すぐに合意に至らないケースでは、「やはりこういうところが不安だな……」みたいになってしまう場合もあります。直接的にすべての事象が売上数字とかに置き換えられない場合ももちろんあるので、そういう場合は何をもってウォッチしていくのかを、実施前とかに丁寧にすり合わせておくことがけっこう大事だと思っています。

データ分析そのものもそうですし、「そもそも何の指標で判断するんだっけ?」という手前の設計の議論もけっこう重要だと思っています。

加藤:そういう数字を見せられても「いや、ちょっと……」「えー」という感じになることもあるのかなと思ったんですけれど、そういう時はどんな反応になるんですか?

松本:そうですね。「どのラインまで懸念がいったら撤退できますか?」「ラインを引いて決めさせてもらえませんか?」ということはけっこうあります。

加藤:「そのぐらいだったらやってもいいけど……」という感じ?

松本:「その代わり、ネガティブな結果が出たときにすぐに切り戻しができるんだっけ?」とかと、「その時にどうするんだ」ということはけっこう事前に話すと思います。

加藤:確かに。大胆に過ぎても戻り切れないこともあるから、そのラインをすり合わせておくことはすごく大切かもしれない。

データ分析をすることで事業のチャネルの動きを数値的に把握できる

加藤:ちょっと他にも事例を聞いてみたいんですけれど、永石さんはどうですか?

永石陽祐氏(以下、永石):僕もみきさんと同じようなことがたくさんあります。プロダクトに変動が起きた時に、1つの数値だけではなくて、プロダクトに影響があるいろいろな事業のチャネルの動きを数値的に把握しておくのがけっこう大事だと僕は思っています。

加藤:「プロダクトに変動」というのは、例えばどういうことですか?

永石:過去の事例だと、僕が担当しているリクナビのオンラインイベントで、予約数の推移をモニタリングしていて、その時に数字が昨対を大きく割る時期がありました。当時はそれこそアクセスログとかから原因究明をして見ていましたが特定できずの状態で、けっこう困ったことがありました。

その時にプロダクトの数字だけじゃなくて、他の数字として、大学の中でやっているオンラインイベントに対する案内をガイダンス形式でやったりしています。すると、その開催時期が前年よりけっこう後ろ倒しになっていたことが判明しました。なので、そこのガイダンスの影響で数字の動き方が前年と違うことがわかりました。

先ほどの事例もそうですが、このように正しいデータ分析ができることはわかっていました。プロダクトの数字をずっと掘るのではなく、他のデータを見てみるというか、取りにいくところにも目線が向けられたから、この事例に気づけたと思っています。

加藤:確かにスキルに自信がないと「なにか間違っているのかな?」とずっと言っちゃいそうな気はしますね。

永石:「どこまで掘るか」と「ちょっと目線を変えるか」という問題なんですが、そうですね。

加藤:そのガイダンスの時期も、学生に聞いてわかったんですか?

永石:いろいろなプロダクト以外のチャネル(予約経路)とかも含めたモニタリングの定時報告会があって、その場などで他の組織の人に明るく聞いてみたんです。「わからなくて途方に暮れているんですけど、何かわかります?」と聞いたら、「うちの動き方は前年と違うから影響しているかも」という話を大学部の方から聞いて「なるほど」と。

いろいろ聞いてみるとそういう感じでした。なので、前年のガイダンスとその最多アクセスの傾向とかから連動していて、「この時期は遅れたらその分遅れちゃうよね」と結局気づけたという感じでした。なので、自分で気づけたというか、いったん声を上げてみたら教えてくれた。そんな感じかもしれないです。

日々数字を見ることで勘所が身に付く

加藤:まーいー(今井氏)の学びは学生に対するサービスだよね? (同じ)学びでも、飲食、ホットペッパーグルメでもそういった事案はありました?

今井隆文氏(以下、今井):今言っていたような、時期の話はリクルートのサービスはけっこうくらうことがあると思っています。まなび(領域)の事例でいくと、オープンキャンパスというイベントがあるんですが、(それは)基本的には夏休みのど真ん中がハイシーズンなんです。

大学や専門学校は高校生が来ることができる時にやりたいので、1、2年やっていると「今週の土日が勝負でしょ」という空気感がクライアントさんにもカスタマーにも流れていることに気づくんです。

まさしく新型コロナウイルスの影響があった時、夏にそういうイベントができないとなった時に起きた変動が、春のイベントをがんばるというものでした。

数字をモニタリングしていると「これは何があったの?」という空気が流れています。でも、先ほど永石さんも言ってくれたように、日々数字を見ている中でなぜか気づけることがある。それが、我々がふだんデータを見ていることによる勘所なのかなと思っています。

加藤:確かに。勘所が身に付いていないと、その発想にならないもんね。変動というとネガティブな感じだけど、上がり過ぎる傾向の時もありますよね。「なんでこんなに上がっちゃったんだろう」と。その時に「ラッキー!」と思う人はあまりいないよね(笑)。

「なんでこんなに上がったんだろう」と思って、みんな必死に分析する(笑)。上がり過ぎることもそんなに良いことじゃないから、「仮説と違う」と言って、けっこうデータ分析をしているイメージはあります。そういうことってありますよね。

永石:わかります。やはりちょっとうれしいですけど(笑)。

(一同笑)

加藤:そうね(笑)。

今井:わかります。

永石:確かに「なんで?」ってなるほうが大きいですかね。

加藤:そうですね。ふだんからデータ分析をしているからかもしれない。そういう「データ分析の勘所があるから」という話だったと思います。

(次回に続く)

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