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SIerで幸せな技術キャリアを築くために(全2記事)

SIerで幸せなキャリアを築くために 50歳の私が感じた、若手に意識してほしい3つのこと

「NTT Tech Conference」は、NTT グループのエンジニア有志が開催するカンファレンスです。NTT グループ各社が開催するイベントとは異なり、NTT グループのエンジニアたちがやりたいこと・話したいことを通じて、エンジニア同士が技術交流するためのイベントです。ここで登壇したのは、NTTコムウェアの古西孝成氏。「SIerで幸せな技術キャリアを築くために」というタイトルで、SIerとして幸せなキャリアを築くための心構えについて、話しました。全2回。前半は特に若年層に意識してほしいことについて。

自己紹介

司会者:次のセッションは「SIerで幸せな技術キャリアを築くために」というタイトルで、NTTコムウェアの古西さんに発表をお願いします。古西さん、よろしくお願いします。

古西孝成氏(以下、古西):はい、よろしくお願いします。NTTコムウェアの古西です。「SIerで幸せな技術キャリアを築くために」ということで、お話しさせていただきます。

私は、NTTコムウェアでAI・データサイエンスを推進する部署にいて、私自身は技術開発を担当しています。経歴は、実はNTT一社時代に入社したのですが、すぐに分社が決まっていたコムウェアに異動しました。その時からずっと技術畑できています。

入社するときは、ネットワークの構築・運用、インターネットをやりたいみたいな感じのところで入ったので、サーバ・ネットワークの構築・運用からキャリアが始まったのですが、どんどんやることが増えていって、データベースなんかやったことがなかったのに性能試験や性能改善をやったりして、途中でアジャイル開発のスクラムマスターをやりました。そして、今はAI・データサイエンスの技術開発を担当しています。

今回の登壇の経緯なんですけれども、これを聞いていらっしゃる方はご存じの方がすごく多いと思いますが、12月のクリスマスまでの間に、毎日アドベントカレンダーという技術ブログを書く風習があります。

NTTグループでも、NTTコミュニケーションズであったり、ドコモであったり、テクノクロス であったり、いろいろなところが、アドベントカレンダーをやってます。

昨年からNTTコムウェアでも、心ある人たちが社内手続きの壁を突破して始めてくれました。せっかくなので記事を1本書かせてもらったところ、その夜から世の中のたくさんの人に読んでもらったというか、まぁバズったということで、「あぁバズるんだなぁ」と思いながら自分でも驚きました。

「Qiita」に記事を書いた理由

そうしているうちに「社内の勉強会で、このネタでトークしませんか」という声があって、いい話でしたと、ちょっと言われることがあって。その後、ここでもお話ししませんかというお声がけをいただいて、今に至っています。

書いたのが「SIerで幸せな技術キャリアを築くために」で、「Qiita SIer 幸せ」で検索してもらえば出てきます。こんな感じです。

記事に書いたことですが、「SIerで幸せな技術キャリアを築くために意識したほうがよいこと6つ」ということで、若年層からベテラン層にかけて、こんなことを意識したほうがいいんじゃないかなぁということで、今日はこの話をしたいと思っています。

なぜ書いたのかですが、理由は2つぐらいあります。『50代になったら遺書を書け』という出口治明さんが書いた本があります。この方はもともと日本生命の人で、ライフネット生命を経て、今は立命館アジア太平洋大学の学長さんです。

私は今年もう50歳になるのですが、(本には)若い世代に何をバトンタッチするかというのを真剣に考えることが重要だと書いてあります。本当にそういうことを考えないといけないかなと思うようになってきたことと、あとアンチSIerへの違和感があります。

今ネット上に、SIerオワコンだとか、もうすぐ脱出しなきゃいけないとか、技術が身につかないという話がたくさんあるのですが、私は、そんなことはなかったなというのがこれまでの振り返りとしてあります。

キャリアモデルとして経験談をまとめるのもいいかなと思って記事を書いたところです。ただ、おじさんの武勇伝にはしたくありませんでした。

ネットの反応ですが、おおむね好評です。一部ナニコレみたいなのもあるのですが、だいたいは叩かれなくてホッとしました。

自分の想定外の反応で、「なるほど、そういうことを言われるんだな」と思ったのが、「この人は運がよかった」「宝くじに当たった人が、宝くじに当たるといいことがあるよって書いてあるように見える」ということです。

これはそのとおりで、運は非常に重要です。自分のキャリアでもこういうのは運がよかったんだなと思います。ただ、いい運というか、いい仕事が来るためには、それなりに受け口を作るための努力は要るのではないかなと思っています。

会社の上位層に技術者・エンジニアとしての個人を認知されること

今日は記事に書いたことをそのまま話してもおもしろくないので、少しずつ言葉を変えて話したいなと思っています。

(スライドを示して)1つ目は、会社の上位層に技術者・エンジニアとしての個人を認知されることです。これはけっこうウケがいい話で、SIerの人は技術仕事だけではないので、営業もあれば人事や経理みたいな話もあります。

プロジェクトで開発をやるにしても、業務フローを整理したり、業務要件を定義したりで、いわゆるコーディングや実装はちょっとしかないというのもたくさんあります。

エンジニアとしてキャリアを積みたい場合は、コーディングや実装等、技術仕事にアサインされる必要があって、これをするためにはアサインをする権限を持った部長層以上に「この人は技術がやりたいんだな/得意なんだな」と認知される必要があると思っています。

これは重要です。今はオンライン懇親会などがあるかと思いますが、逃げずに話をすることです。これを私はわかっていなくて、会社の飲み会で、何を話していいかがわからなくて逃げたことがあります。

(部長層以上は)やはり会社の役に立つ人はきちんと覚えてくれます。どういう人がいるかを常々探しています。今後特に世の中がジョブ型に変わっていくところでは、パーソナルブランディングは非常に重要で、自分は何者か、何ができるのかをアピールしていく必要があるかなと思っています。

技術のわからない人に自分の技術成果を伝える方法を獲得する

(スライドを示して)次に技術のわからない人に自分の技術成果を伝える方法を獲得することです。この話の中では反応が悪いというか、固まってしまう人が多くて、難しいのかなと思っています。

SIerの顧客も上司も、たいてい技術は得意ではないです。エンジニアの会話のまま話をしても価値が伝わらないので、顧客や上司に伝わる翻訳術、この話し方だったら伝わるというのを身につける必要があります。

だいたい技術そのままではなくて、顧客や上司のなにの役に立つか、助かるかという内容に変換すればOKかなと思います。これが苦手な人は、説明の上手な協力者とコンビを組むのでも十分で、こういうパターンは多いと思います。

ただし、作業者としてこき使われるのではなくて、毅然と、パートナーとして認めてくれて、きちんと任せてくれる人を探すのは重要です。成果を横取りされることがないように、きちんと人を見る目を持つのは必要かなと思います。

これができないと、自分のキャリアや仕事など、いろいろな意味でこじらせる恐れがあります。それはエンジニアとして生きていく中では死活問題です。

実はエンジニアの言葉だけで仕事ができるハッピーな職場は、あるかもしませんが少ないと思います。なので、きちんと成果を伝える術(すべ)や協力者は非常に重要かなと思います。

ITの世界でよく使われる技術を押さえておく

(スライドを示して)続いて、目の前の仕事で必要な技術に取り組むと共に、ITの世界でよく使われる技術を押さえておくことです。私の独断ですが、今特にSIerの方だったら、このあたりを押さえておく、早いうちに身につけておくのは必要かなと思っています。

1つがMVCのフレームワークによるWebアプリ・APIの作成です。フレームワークはRailsでもSpring BootでもLaravelでもDjangoでもFlaskでもなんでもいいんですが、データの処理ですね。データをどう処理して、どう蓄積するか。CRUDあたりは非常に重要です。MVCでいうと、ModelとControllerはどういうことをやっているか。フロントエンドよりバックエンドと書いていますが、非常に重要かなと思っています。

これがわからないと、業務アプリがどれぐらいの工数でできるのかがまったくわからなくなるので、このあたりはITの仕事の中でやっていくのであれば身につけておいてほしいなと思っています。

2番目にパブリッククラウドの概要です。メジャーなところで、AWS、これもAzureでもGCPでもなんでもいいのですが、VMやコンテナ、データベースのサービスなど、よく使われる主要サービスがだいたいわかればいいかなと思っています。

これがわからないと、インフラ構築でどれぐらいの工数でできるのかがまったくわからなくなるので、こういう環境が欲しいという話の時に、それはこれぐらいでできますねという話ができません。

1、2ができる前提で、今後は機械学習やデータサイエンスの技術が必要かなと思っていますが、これは手前味噌で、私がAIやデータサイエンスをやっているからというのもあります。

これまでルールベースの仕事が多かったところに、今後機械学習ベースのシステムが出てきた時に、だいたいの土地勘があるのは重要かなと思います。

これはベースになるところで、これがないと人事異動で環境が変わった時に、エンジニアとして価値を発揮することが難しくなるので、無能化しないためにも必要かなと思っています。

(次回へつづく)

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