2024.12.19
74歳の事務員がたった1人で請求業務を担当…… 作業時間を105時間→10時間まで削減させた、介護DX成功の舞台裏
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河瀬航大氏(以下、河瀬):ありがとうございます。では、こういったお三方でトークセッションを始めさせていただきます。IT、ハード、そして人という観点から、スマートオフィスがどうあるべきかというところの理解を深めていきたいと思います。
まず1つ目の問いなんですが、テクノロジーが進化すると、働くカタチってどう変わるんだろう。
今、PCが当たり前のように広まって、スマートフォンが広まって、働き方がどんどん変わっていっていると思うんですけれど、じゃあ、これからオフィスになにが登場して、どう変わっていくのか?
こういったところをディスカッションできればと思ってるんですけれど、どうですか?
村上臣氏(以下、村上):なかなか難しいテーマですね(笑)。
河瀬:そうですね。
村上:進化、テクノロジー、今、ソフトバンクグループはPepper、今日も会場に連れて来ていますけれど、我々はPepperを作ってるじゃないですか。もうね、同僚感があるんですよ。
河瀬:(笑)。
村上:一緒にタクシーに乗って、Pepperは腰が曲がらないので、ジャンボタクシーじゃないと乗れなかったりして、僕よりも特別にお金がかかったりするんですけども。そういう感じで。
それで、やっぱり人型ロボットのいいところって、親近感が生まれることだと思うんですよね。先ほど石原さんがおっしゃったように、単純作業みたいなのは得意ですよね。コンピューターのほうが、ミスがないですし。
というところで、より人間にしかできないところを(人間が)やればいいという話があるんですけども、より進んで、スマートフォンの先でIoTという話になると、画面と入力デバイスという関係でコンピューティングが進化してきたんですけども、音声とか、もしくはジェスチャーとか、かたちが変わるんですね、コンピューティングの。
先ほど村田さんがおっしゃったように、周りに、昔はユビキタスと言ってましたけども、いろんなセンサーとかマイクとかカメラとかが、この気配を読み取る。AIがオフィスに現れてどうなるのかというと、空気を読む仕事をしてくれるのかもしれないですね。
例えば、僕らが話しているところが暑くて体温が上がってきたとなったら空調をちょっと下げてくれるとか。もしくは喉が乾いていそうだなとなったら、水を持ってきてくれるとか。
センシングによって空気を読んでくれて、我々の生産性がより高まるように働きかけてくれる。
河瀬:そうですね。
村上:向こうから、コンピューター側から、寄り添ってくる。ロボットが寄り添ってくれるような。
河瀬:秘書がほしいみたいな……。
村上:そうですね。それがスマートオフィスだと思うんですよね。
河瀬:そうですよね。なるほど、わかりました。先ほどのプレゼンで、まさにPCがなくなるとか。ある意味、これも議論されていると思うんですけれど、「わざわざオフィスに集まる価値ってあるんだっけ?」みたいな。
素朴な疑問なんですけど、わざわざオフィスまで行って、PCで「作業する」っていうじゃないですか。わざわざ遠いところから集まって仕事をしてるのに、「作業する」。それってすごくクリエイティブじゃない。どういうタイミングで集まればいいのかとか、そういったところにすごく興味があるんですけど、そういった意味でなにか、お二方からありますか?
村田義篤氏(以下、村田):展示をしているのでのちほど見ていただくと、後付けの会議室の運用システムを弊社で作っていまして、「martRooms」というやつなんですけれど、実際に会議室のすべての利用実績を取っているんですね。
実績を取ってなにがあるかというと、実際に発売してもう3年ぐらい経つんですけれど、例えば、よくみなさんの会社でもあるように、使ってない会議室がいっぱいあったり、3人のミーティングを10人の部屋でしたり。我々は地価・家賃の高い東京で働きながら、実はぜんぜんスペースを有効に活用できていない。
もっと言うと、生産性がぜんぜん上がっていないというところがあると思うんですけれど、そこを上げるためにどれぐらいの人数でやっていくべきかというところ。ですので、3人の会議がいっぱいあったとしたら、10人の会議室を3つにぶった切っちゃう。そうすると、3倍仕事ができる。
最近は、もっとオープンな広い大部屋にミーティングスペースができるようなかたちに変わってきています。やっぱり、実際すごく売れてるんですね。ものすごく数が増えてきていまして、みなさんがたぶん会社で、個人でやる仕事よりは、どっちかというとワイワイガヤガヤするために、遊びに来るみたいな……すいません、仕事に遊びに来るってないですね(笑)。
(会場笑)
村田:遊びに来るような、そういうことができる場が、非常に増えてきています。単純にいうと、前は個人のスペースって、オフィス空間スペースのだいたい面積の16パーセントぐらいと言われていたんですけど、今は25パーセントあったり。
やはり、先進的な会社さんになると、もう5割近くが共同スペースになっていて、むしろ個人スペースがまったくないみたいな。なので、オフィスってそうなっていく感じかなと。やはり働き方が変わっていっている。実際のデータから見えるところだと思います。
石原直子氏(以下、石原):私も、仕事のカタチはすごく変わるんだろうなと思っています。今おっしゃったみたいに空気を読んでくれるテクノロジーがどんどん出てくるというのは、確かにそうだなと。いろんなものはたぶんなくなるなと思っています。
常になくなっている。つい最近まで、うちの会社とか、システム投資が非常に遅い会社なので、ちょっと前までパソコンとマウスとキーボードは、有線でつながっていたんですよ。
河瀬:あ、そうなんですか(笑)。
石原:なんですけど、こないだ、「バージョンアップします」ってパソコンが変わったら、マウスとキーボードは当然、無線になりますよね。
村上:超スマートですねえ(笑)。
(会場笑)
石原:超スマートでしょ。あ、こうやって線ってなくなるんだなと、すごく思った。私は線が見えているのがすごく嫌で、線を毎回毎回見えないように、オフィスのレイアウト変更があるたびに、見えないように配置するのがすごく嫌だったんですよ。
会議室とかにとぐろを巻いた線があるのもすごく嫌なんですけれど、こういう線ってやっぱりなくなるんだなと思って。いろんなものが……、今は物理的なものでなくなるものをイメージしたわけなんですけれど、きっと、仕事そのものもやはりなくなっていくものがたくさんあって。
そのことによって気分が晴れやかになったり、今、はからずも村田さんが「遊びに行く」っておっしゃったように、仕事ってもっと嫌なものじゃなくなる。楽しくてしょうがない、あるいはオフィスに行くときにしかできない、「あの人と会ってあの話をしよう」みたいな、楽をしに行ける場になるというのは、すごく理想的だなと思います。
河瀬:そうですね。わかりました。まさにロボットとかどんどんスマートなものが入ってきて、人間が人間らしく働くみたいになっていくのかなと思っているんですけど、実際のスマートオフィスって、ご意見がある方だけでいいんですけど、本当に普及していくのか。
けっこう初期投資もかかるイメージがあったりするんですけれど、課題とか感じられていたりしますか? スマートオフィスが普及するにあたって、ネックになってしまうことなど、なにかあったら。
村上:最初はやはり値段が高いでしょうから、尻込みするような、そういうことでかなり上の人に興味がないと予算が下りないとかもあると思うんですけれど。でも、どんどん安くなっていますし、Akerunだって、電子錠から比べたらすごく安いものですから。
そのように値段のところとか、機能のところは、時間がすぐに解決するんじゃないかなと思うんですよね。
河瀬:内田洋行さんでは、スマートオフィスの要望、「オフィスをスマート化させたい」みたいなお話はけっこうあるんですか?
村田:あります。実は弊社の八丁堀に2つビルがあるんですけど、1個は新築で建てたビルで、1個は築40年のビルをスマートオフィスに変えてやっているんですね。
先ほど村上さんおっしゃったように、確かにお金はかかるんですけど、どれだけお金をかけずにスマートオフィスができるかというものが1棟。あと、まったくきれいに建ったのが1棟あるので、比較していただけるとよくわかるんですけれど。
必要かどうかというと、絶対に必要になってくると思っています。やはり労働人口が減ってきていますので、どうやって生産性を上げるかというのが必然、根底にあるので、ここを考えると普及せざるを得ないと言ってもいいんじゃないかなと思います。
石原:たぶん、フレキシビリティというのと、オプティマイゼーションというんですかね、最適化。さっき言ったみたいに10人の会議室を3人で使われていたらもったいないんだけど、そこにスッスッと壁ができる、電子的な壁でもなんでもいいんですけど、壁ができて、3×3のオフィスになったら、「会議室がなくて困っている」というのがなくなりますよね。
その最適化をしていくのと、あとやはりフレキシビリティ。先ほど、後付けでやぐらを組んで、という話もあったと思うんですけども、オフィスのレイアウト変更をしようと思ったら何千万円(必要)という感じになるのって、やっぱり今っぽくない。スマートではないと思うんですよね。
それがもっと手軽にできたり、日々変わっていくみたいになっていくのが、理想的と思ったりしますね。
村上:それに私、モチベーションも加えたいですね。遊びに来てるのか、仕事に来てるのかわからない。我々の業界でいうと、人材の獲得競争みたいなものがあって、優秀な人材に来てもらう。そのために、オフィス環境って重要なんですよね。
雑多なことがない、集中して仕事ができるオフィスは、欧米ですと、Googleさん、Facebookさん、いいオフィスがありますけれど、それだけで志望する理由にもなり得るので。そういう意味でもスマートオフィスが普及するというか、早く取り組まないと、競争力、会社の採用競争力が下がるという観点もあると思います。
河瀬:そうですよね。今、イケている会社はもう、だいたいスマート化。
村上:わりともう、競争みたいになっているじゃないですか。
河瀬:そうですよね。共有スペースが多くて。
村上:そう。かっこいいとか、あとは無料のご飯作ったり、いろいろしますけども。非常にやっぱり重要だと思いますね、スマートオフィスは。
石原:やっぱり人々が気持ちとしてハッピーである、より楽しいと思えるということはすごく大事ですよね。テクノロジーが来て、「嫌だな」とか「怖い」と思っている間、それがどんなに便利だったとしても、不快とか怖いと思っているときは、たぶん広まっていかなくて。今、言ったみたいに、「楽しい」とか「うれしい」という気持ちとセットになったときに使いたくなる。だから、Pepperが、「同僚でかわいいんですよね」と。人型ロボットってそういう意味がたぶんあるんだと思うんですよね。
村上:そうなんですよ。
石原:かわいいと思うからPepperと一緒になにかしたい、Pepper使ってなにかできないかなと考えるということだと思うんです。あれがすごくグロテスクだったとしたら……。
村上:愛嬌って重要ってなんですよね。
石原:そうですよね。
村上:Pepperを作るときもやはり愛嬌にすごくこだわって、プロトタイプを作ったんですよね。おもしろいのが、ロボットって利点があって、嫌なことを言わせるにはロボットが適しているんですよ。
石原:ほう。
村上:要は、人が言うと角が立つけども、ロボットがおもしろおかしく言うと角が立たないとか。例えば、ソフトバンクのショップでクルーの売り上げランキングって毎日デイリーデータがあるんですね。それで、朝会をするときに、「昨日のベストワンは河瀬くんだよ」ってなったら、「おお」ってなるじゃないですか。ワーストワンだと、店長も言いにくい。
そういうのをPepperに言わせる。「昨日のワーストワンは河瀬くんです」とロボットが言うと、「なんだよ!」みたいな感じになりながら、そこを介してつっこみを入れられるんですよね。
河瀬:Akerun Proでも、実はネタでアクセを仕込んでるんですけど、帰るときに「進捗どうですか?」と言ってくれるような(笑)。
村上:そうそう。それはすごくいい視点なんですよ(笑)。
河瀬:ロボットしか言えないみたいな。
石原:ドッキリしますよね(笑)。
河瀬:ロボットだったら言える。
村上:そう、ロボットだったら言える。それを入れて、周りのコミュニケーションを活性化したり、そこをきっかけに「ちょっとどうだ?」みたいなところもできるというのは、ロボットのいい点だと。
河瀬:わかりました。お時間になりました。今日はスマートオフィスということで、非常に短い時間ではあったんですけど、お話をさせていただきました。まさに、どんどんスマートなもの、そして有機的なものがどんどん生まれてきてつながっていって、人間が人間らしい働き方ができるということが、まさにスマートオフィスなんじゃないかなと思っています。
今日お話があったように、例えばロボットでしかできないこと、逆に人間でしかできないことというのもあります。なぜ人間があえて集まってコミュニケーション、そしてクリエイティブな仕事をしないといけないのか。
「いや、そもそもクリエイティブな仕事ってなんなんだろう?」みたいなところをしっかり考えていかないと、なかなかスマートオフィスのメリットにも訴求できないし、広まっていかないんじゃないかなというところが、1つの学びになりました。
そういったところを、私たちも1プレーヤーとして、人間がどう働くべきか、ロボットはどうあるべきか、みたいなところを自問して、主張しながら広めていきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。
一同:ありがとうございました。
(会場拍手)
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