2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会者:質問がたくさん来ているので、何個か選ばせていただこうと思います。「今井さんはなぜこんなに多様な問題が見えるのか。昔からでしょうか。どうやったらその視座が手に入るのでしょうか」。
僕もこれは思いました。今井さんご自身のというよりは、社会であったり理念みたいなところを実現されようという上位概念というんですかね。どうやったらその視座から見えるのでしょうか。
今井了介氏(以下、今井):僕はあまのじゃくなところも多いので、誰もやっていないことだったらやりたいと思う。例えば、並んでいるレストランは入りたくない。
司会者:(笑)。
今井:「みんなと同じはつまらない」と思っちゃうほうなんです。音楽もそうですし、食べ物もそういう傾向にあると思います。例えば、ニューヨークやロンドンとか、世界中のクリエイターが集まるような町とかだと、誰かがやっていないことに「ええ、すごいじゃん」と言う。でも日本では、「こんなに流行っているんだ。じゃあうちもやろうよ」。
どっちがいい・悪いじゃないですが、自分がどっちの側にいるとコンフォータブルなのか? どっちのタイプもいると思うんですね。
日本人はこっち側(流行りに乗る)のほうが全体的には多いと思うんですが、僕は誰もやっていないことだったら、それはもう「人に気づかれちゃまずい。自分がやりたい」と思っちゃうんです。
司会者:起業家タイプですね。
今井:けっこうそういうところはあると思います。「多様な問題が見えるか」で言うと、僕にも見えていないことはたぶんたくさんあるんです。ただ、さっき言った解像度を上げたり言語化していくうちに、「こういう事態が起きるかもしれない」というのを思いつく。
ふだんの生活で、映画を観たり、新聞を読んだり、いろんなものをインプットしていく中で、「こことここってなんかつながるな」というのを絶えず増やしていくことは大事かもしれないですね。
司会者:続いて、「『才能をマネタイズする8つの法則』は、全部同じくらい重要ですか? それとも優先順位がありますか?」という質問です。
今井:優先順位は、その人が今何を克服しようとしているのかによって変わると思う。例えば、自分が孤独に弱いなと思って、「誰かと一緒じゃないと、なかなか自分って奮い立たせられない」という人にとっては、8番目の「寂しがらないこと」かもしれない。
「自分はなんだかんだ我儘なほうに走っちゃうな」という人にとっては、7番目が重要になるかもしれないし、「俺はけっこうどんぶり勘定なんだよね」という人は、5番目の「お金の流れを把握する」が大事かもしれない。生まれたばかりの赤子にとってはきっと均等かもしれないけれども(笑)。
司会者:なるほど(笑)。
今井:それなりに20年とか30年とか社会生活を過ごされていると思うので、その中で「自分はここはクリアできているな」「この気質はもう自分に備わっているな」と思えば、その順位を下げればいいかなと思います。
司会者:なるほど。逆に、見て足りないところは何かというもので使っていただくのもいいのかもしれないですね。ありがとうございます。
司会者:では、最後のご質問にさせていただきます。
「今井さんがプロダクトマネージャーさんにアプリなどのイメージを説明する際は、どのようにされていましたか?」。
今井:完全に端折っていますし何も言ってないんですけど、僕はもともと絵描きになりたかった。
司会者:そうなんですね。
今井:それに挫折して音楽家になった経緯があるので、けっこう描きます。
司会者:絵が上手なんだ。
今井:上手じゃないんですが、けっこう描きます。紙に手書きでもいいんですが、Googleスライドやイラレを使ったり、iPadを使ったりしながら、なるべくビジュアリーに伝えるようにしています。
そして、言葉をめちゃくちゃ大事にしています。言葉1つでサービスの情感の取り方が変わったり、丁寧さや親しみやすさが変わると思うので。言葉とデザインとUIも含めたレイアウトもあるかなと思いますね。
自分でまず文章にしたり、図に起こしてみる。もしくはUIチームからきた図に対して、「このボタンはもっと大きいほうがいいんじゃない」とか、具体的に自分のビジョンを伝える。さっき言った解像度につながることですね。
司会者:ありがとうございます。今井さんの頭の中の「こうやりたい」「こんなイメージで」というのを具体的に文字や絵で伝えると。
今井:そうですね。その時、さっきの8つの法則の「謙虚であれ」につながりますが、UIのプロの人と話すと「でも、こうこうこうじゃない?」と言うので、確かにそうだなと思ったらもちろんそっちを採用したりします。たくさんの人に使ってもらうためのUIデザインだと思うので。
司会者:では最後に、今日見ていただいている方は「これから起業できるかな」と思っている方が多いんですが、ぜひその方たちへのメッセージをいただけるとありがたいです。
今井:起業は確かにいろんなリスクがある。例えば社会貢献だったり、趣味性の高い音楽とかもそうですが、好きだからやりたいというところから、「本当にちゃんと食えるようになるのか」をきちんと考えてみていただきたいです。
僕は音楽を長いことやってきましたが、もしかしたら好きなことを仕事にするほうが不幸な瞬間もあると思う。なぜなら、好きなことだからこそ拘りがあるんです。でもお仕事では、クライアントの意向や時代の流れだったりで、自分が好きではないものを選んだほうがいいという瞬間があって。それをやらなくていいのは、趣味で音楽をやっている人なんですよね。
だからお仕事にするとか、マネタイズする時点で、どこかで自分のビジョンどおりにいかないことが必ず起きるということも含めて、本当に起業すべき事項なのかを、ぜひ深くイメージしてみてほしいなと思います。
でも、「こっちのほうが自分はちゃんとマネタイズできるぞ」と思った暁には、みなさんにぜひ夢見てほしいのが、世界中のお金持ちのほとんどは経営者ということです。
司会者:そうですね(笑)。
今井:長者番付1位の正社員とか聞いたことないですから。お金がすべてじゃないですけど、何かを達成したことの1つの証として、起業家にしか見えない経済のスケール感が待っているかもしれないよということです。
さっきの分岐点を自分の中で測った結果、「やはり起業する」と決めたら、楽しくお金持ちになれたほうがいいんじゃないかなと思います。
司会者:では時間となりましたので、ここまでとさせていただきたいと思います。今井さん、本日は本当にありがとうございました。
今井:ありがとうございました。
(会場拍手)
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