2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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菅原弘暁氏(以下、菅原):じゃあ次。採用オウンドメディアを始めるにあたってどれぐらいのリソースが必要か? どれぐらいがんばるのが適切か? まずこのリソースの部分で言うと今、メルカリさんで、メルカンさんに携わっているメンバーはどのくらいいらっしゃるんですか?
松尾彰大氏(以下、松尾):メンバーの頭数だけでいうと、編集会議に出るのが少し増えて今6~7人ぐらいですね。一応、毎週火曜日の午前中に定例会議みたいなものでネタ会議とスケジュール管理の話をしたりとか、また各情報が集まる部署のメンバーが集まっているので、いついつにこの話題が出るとか、社内でまだ共有されてないこととかを、性善説に基づいた会社なのでお互い協力して、このタイミングでこれを準備しておこうみたいな話はよくしますね。
リソースに関していうと、本当にどういうコンテンツを作るかによると思います。例えば今メルカンで広報が毎日出している「#メルカリな日々」みたいな連載ものがあるんですけど、それはおそらくネタ探しの時間、プラス書くので30分ぐらいでやってるのかな、っていう気はしますけどね。プラス、ストック型のコンテンツを僕が編集権を持ってやっているっていうのがありますけど。僕が1日にメルカンにかけている時間は、ならすと2時間切るぐらいだと思います。
菅原:なんかこう外から見ているとけっこう力を割いているんじゃないかと思っていたんですけど、さっきお話した通りメインが本当に採用のほうということで。片手間というと言葉が悪いんですけど、ある意味そういうことですよね。
松尾:そうですね。ただ最初はやっぱりがんばりました。軌道に乗せなきゃいけないし、良質なコンテンツをきちんと作らなきゃいけないっていうのがあるので、それなりの時間を割いたりはしましたね。
なにをしたいのかが大事で、自己満足でやりたいんだったら勝手にやればいいし、経営陣なり上長なりから明確なKPIが下りているんだったら、それを達成するためにがんばるのが一番です。そもそも採用オウンドメディアっていう話なので、やっぱり一番は採用できるかどうかなはずなので、そこのKPIとKGIを間違わないのが一番かなっていうことは、相談に来た方によくお伝えすることです。
菅原:なるほど。ちょうど次の質問がここに関わると思うんですけど。けっこうこれも多くの企業さんで頭を悩ませているかなと思っていて、KPIの設定、要するに、採用できた数なのか、リードなのか、もしくはPV数なのか。各社それぞれあると思うんですけど、メルカリさんの場合はどういうふうに設定されているんですか?
松尾:基本的にこの評価軸みたいになるKPIっていうものはほとんどないっていうのが大前提です。ただ3ヶ月ごとの評価面談だったりとか「メルカンどう?」みたいな感じで話す時に、僕が一応報告するのは、メルカンを通じてこのくらいの期間でこのくらいのメンバーが露出しました、というところですね。
あとは入社者が今毎月それなりに入ってくるので、その人たちが入社前にメルカンを知っていたか、で、入社後にどれくらい定着しているのかっていうのを、入社後面談、HRだからこそ知り得るタイミングで聞いている数字を把握しています。
菅原:なるほどね。採用候補者がメルカン知っているかどうかっていうのは重要ですね。ちゃんと採用に寄与したかどうかということを。
松尾:そうですね。そこだけですね。寄与していないかどうかを見るというより、したかどうかを見るというのがやっぱり一番いいかなと思いますね。実際PVとかユニークユーザーとか滞在時間も見てはいますし、僕はメディアをやっていたので個人的に大事にはしていますけど、メディアとして大事にするものとか、運営メンバーに押し付けるものじゃないなと思っているので、あまり共有しません。権限は与えていますけど。
菅原:実際にそういうKPI設定をされてないと思うんですけど、それこそPV数が成果目標だとしたら行動目標で終わるわけじゃないですか? そういうものも置かれてないんですか?
松尾:置いてないですね。唯一言えるのは本数的なもので、やっぱり運営・プラットフォームなりメディアなりを名乗るんだったら、適切な更新を保たなきゃいけないということで、そこは今、広報が毎日営業日上は基本的にはなにかしらのネタを上げてもらったりとか。それに関しては僕は見ない。
菅原:なるほど。見ない。
松尾:ただ編集物に関してインタビューとかPodcastとかイベントのレポートであるとかに関しては、週3本前後は上げたいよね、というのでがんばっているっていう感じです。
菅原:日々の広報さんが書くものと、週3本のしっかりしたものなので、週8本ぐらいですか、大体。
松尾:そうですね。そのぐらい出ているんですかね? あまりそこも数えていないですけど。月40本ぐらいじゃないですか。20営業日で40いかないぐらいかなと。1個1個のシェア数とかはほとんど見てないです。
菅原:見てないんですね。
松尾:はい。いちいち見ない。スプレッドシートに記載してこれはこうだったからこういうのを見ましょう、みたいなものを数字から落とし込むみたいなことはしてないです。これが本当のマネタイズするメディアだったら絶対やるべきですけど。僕らはやっぱり目標が違うので、そういうところに時間を割いている暇はないから……。
菅原:「#メルカリな日々」を毎日上げている理由って、毎日メルカリのことを見てほしいとか、そういうところなんですかね。
松尾:そうですね。そもそも「毎日なにかあるでしょう」みたいな、ネタが豊富な会社なので、逆に言うと毎日言うことが無くなったらあんまり魅力的じゃないというか、誰にとっても昨日と同じ今日みたいな感じに見えちゃうので、そういうところはできる限りやっていこうかなと思ってますし、止めるタイミングが来たら多分スパっと止めると思います。ダメだったらそこは止めようっていう気持ちで始めているので。
菅原:このあたりのKPIの話をよく質問されるので、もし気になる方がいたら後の質疑応答でも個別でも構わないので聞いてみてください。
では次。「採用力強化のためにはどんなコンテンツを作ればいいの?」。とくにオウンドメディア、とくに採用ですね。自分たちの会社の採用候補者に魅力を感じてもらうためにはどういうふうにコンテンツを考えればいいか、作ればいいか。これもメルカリさんの場合でなにか一例教えていただければと思うんですが。
松尾:やっぱり人にフォーカスを当てましょうというのが答えかなとは思っています。ただやっぱりこれも大前提があって、御社のやっているサービスが自分でも魅力的に思っているのかどうなのかとか。そう思っていないとやっぱり「これ魅力的ですよ」とは売れないはずじゃないですか? やっぱりいい営業の人ってそれが本当にいいものだと思ってないとよく言えないじゃないですか。それと一緒なのでやっぱり自分が魅力的だと思えるものと、この会社での魅力的だと思っているものを言語化するなりコンテンツ化するなり、というものを考えてやっていけばいいのかなとは思っています。
それを載せている場が最初はWANTEDLYであるとかPR Tableさんであるとか、あとプラットフォーマーにコンテンツを預けるというかたちで露出すればいいし、それこそお金を掛ければ広告はいくらでも買えますから、そういうところにやればいいのかなと思っています。なので、この質問をもしされた方とか思われている方が思いつかないっていうんだったら、それはたぶん会社の魅力をわかってないということ。
菅原:なるほどね。基本的に人ベースで、「この人はきっとこういうことを語ってくれるだろう」とか、「この人はこういうことをメルカリに期待しているからそれを伝えてあげたい」とかだと思うんですけど、企画みたいなものを作る時ってあるんですか? 誰かと誰かを組み合わせたらこういう話が生まれるんじゃないかとか。
松尾:それはあります。対談系とか、やっぱりほかのメディアで取り上げられるのは目立っているメンバーとか、勝手に取り上げられる人たちなので、その人たち軸っていうよりもその人と別の人組み合わせたらどうかとか、「実は似たようなバックグラウンドあるじゃん」とか「年齢似たような感じじゃん」とか「実はチームが一緒だった」とか、そういうところの組み合わせってのは多少なりとも考えていますけど。
菅原:たまに他社さんの方とか絡んだりするじゃないですか。あれってどういうふうに決めて進めているんですか?
松尾:うーん、おもしろいかどうか……「#naoya_sushi」っていうやつが、Web業界の方だったらもしかしたら見たことあるかもしれないですけど。
菅原:あれおもしろかったですよね。
松尾:マイナビさんの転職サイトのコンテンツのなかで、今一休にいる伊藤直也さんっていうCTOの方がいろんなゲストを招いて、その会社のCTOと対談して寿司食いながら対談しておもしろい話をするっていうので、一昨年の秋ぐらいかな? 弊社のCTOの柄沢っていうメンバーが出たんですよね。それはマイナビさんが主催してくれて、うちが誘われてやったんですけど、「1年後メルカンが主催して完全オマージュ形式でやったらおもしろいんじゃね」みたいなただのノリで、伊藤直也さんと柄沢に声を掛けて、「じゃあやりましょう」と。
でもこれは一応オマージュなので、ちゃんとマイナビさんに事前に許可とったら、「もちろんOKですよ」ってちゃんと言っていただいてあのかたちになったっていうのがありますね。あれももちろんお金が掛かっていますけど、それ以上の効果があったので……。
菅原:そうですね。あれ相当いったんじゃないですか? 決して別にバズ狙いではないとは思いますけど。
松尾:そうですね。
菅原:なるほどね。ほかになにか「社内制度を伝えよう」とか、人ありきではなくて、会社の伝えたいことありきで企画を練られることはあるんですか?
松尾:それはあります。いくらストック型を志向するとはいえ、やっぱりあるタイミングでより注目されるっていうことは当然あると思う。やっぱりニュース性のあるものとかあると思うので、それは狙ってやりますね。例えば、最近だとメルカリがプロアスリートの採用を先日初めて行ったんですけど、それのリリースと発表が2週間前くらいに確定をしたので、「メルカンではこういう露出でいこう」というので本人たちのインタビューをとって露出させたというのはありますね。
菅原:なるほどね。基本的にそのコンテンツを通して伝えたいことって決まられていると思うんですけど……。
松尾:もちろんです。
菅原:そこはやっぱり前に言ったバリューだったりそこらへんなんですかね?
松尾:基本的に言っていることは全部一緒なんですよ。ただ言い方を変えたり。本質的に言ってることは変わらないというので通してますね一応。そこからぶれたら逆にいけないと思っているので。
菅原:人を変えようとも、やはりぜひとも「Go Bold」は伝えられるようにとか、そういうことですね。
松尾:極論、そうです。
菅原:ありがとうございます。続きまして、さっきちょっと出ましたけど、編集会議のペースとか、どんな話をするのかとか。もうちょっと具体的にお聞きすると各々どういうふうにネタを持ってくるのかとか、どういうふうにブラッシュアップするのかとか。どんな感じなんですか?
松尾:これはそんなにいいことじゃないですけど、僕は今、チーム全体が課題感を持っていてけっこうグダグダにやっているんですね。企画1人1本持ってこいとかでもないし、「これの進捗どうですか」「みんなディレイしてるよね、やべーよね」みたいな話しか基本的にはしてないです。ただ、やっぱり顔を突き合わせて、その時間をちゃんと取るというのはすごく重要だなと思っていますし、業務時間とか、例えばメルカリってOKRっていう指標の元で個人の評価とかもされるんですけど、メルカンがOKRに入っているのっておそらく僕だけなんです。
菅原:ほかのメンバーはそういう意味では……。
松尾:そうですね。正式なOKRからずれているかたちでジョインしています。
菅原:ボランティア的なところに近いんですかね。
松尾:ボランティアってそれがまったく評価されないとかいうわけじゃない、むしろ評価されるからこそいると思うし。それを自分でやりたいと思うからいる。「辞めたいんだったら辞めて」って普通に言ってますから。
菅原:けっこう有志なんですか、それは?
松尾:一応最初に声を掛けたメンバーはできそうだしやってくれそうですけど。今は新しいメンバーも入ってきてやっています。
菅原:なるほどね。
松尾:1人でやるとか2人とか3人でやるのはあんまりオススメしないです。辛いです。僕、前職のチーム3、4人だったんですけど辛いですね。あ、でもそれは3~4人で3~4メディアやってたからか……。
菅原:なるほどね。なんか最近7人になったっていって、人が増えてよかったことってなにかありますか? 単純に手数が増えたとかではなく。
松尾:最近実は僕はあんまり書いていないんですよ。企画のチェックと編集と校正をメインにやっている感じなので、「僕がOKって一発で言える企画書お願いしま~す」みたいな。それOKとらないとやらないでくださいみたいな。やっぱりみんな出す頻度が下がってくるんですけど。でも「やらなきゃいけないよね」みたいな感じでグルグル回しているって感じです。
菅原:単純に編集長業になってきたって感じですかね。そういう意味では。
松尾:まあそうですね。僕がいないと回らないというのは会社としてよくないので。
菅原:通さない企画って、どんな企画は通さないんですか?
松尾:おもしろくないやつ(笑)。
菅原:おもしろくないって?
松尾:「なんでこれなの」とか、「もっとこういうのあるじゃん」とか。そういうのはその場で伝えます。口頭で。
菅原:「考えてないんだ」とか?
松尾:考えてないってわけじゃないですけど、視点を変えてあげるだけですね。思考が足りないみたいなことは言わないです。もっとこういう切り口のほうがおもしろいじゃないすか、みたいな。そしたらこういう導入書けるじゃないですかとか。
菅原:なるほどね。導入大事ですよね。
松尾:そうです。なので、企画を求める時には、基本的にはプロットも書いて導入書いて仮タイトルはこんな感じで、どんな感じですか、みたいな。それをイメージできたらお願いしますみたいな感じでやるという感じなので。
菅原:導入部分で読者に伝えるって大事ですよね。なぜその人を取材対象者にしたかとか。
松尾:そうですね。全部が全部100パーセントのクオリティで出せているとは正直あんまり思ってないんですけど、やっぱりそれは大事ですね。
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