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組織を蝕む「静かな退職」現象って? 現代組織の課題と対策(全3記事)

仕事への意欲を失った“静かな退職者”の心理とは? 4タイプ別に見る特徴と企業の対応策 [2/2]

若年層に多い、合理的で効率主義な「損得重視タイプ」

続いて3つ目が「損得重視タイプ」ですね。時代でひとくくりにするのはよろしくないかなと思いますが、3つ目(損得重視タイプ)、4つ目(無関心タイプ)あたりは若年層に多いかなという印象でございます。

3つ目の損得重視タイプの特徴としては、金銭的な損得やコストパフォーマンス重視、合理的な判断による行動選択、効率性への強いこだわり。

実際の本人たちの声からすると、「お金のために働いています。それに見合った仕事はしています」「時間当たりの対価を考えると、この程度が適切です」とか、言ってしまえば貢献意欲がだいぶ欠如してしまっているケースですね。非常に合理的で効率主義の静かな退職のパターンでございます。

こういったタイプへの短期的な対策としては、例えば報酬制度の見直しとか、業務量と報酬のバランスの確認、非金銭的報酬の活用。

特に力を入れていくべきは、非金銭的報酬の活用の部分かなと思います。お金以外のところでやりがい、モチベーションを見いだしてほしいわけですよね。もちろん仕事をする上で、報酬やお金の部分は重要なんですけれども、これがすべてかというと、仕事のやりがいはお金だけにはとどまらないかと思います。

例えば自己成長とか、昇進・昇格もしかりです。できなかったことができるようになる、周りから認められるとか、お金以外での仕事に対するモチベーションや意欲を見いだして、そこに対してどんどん上司の方などがアプローチをかけていく。

「いやいや、私は効率重視で合理的な考えなので」というのはもちろん価値観なので尊重しつつ、とはいえ本人のキャリアを広げていくためにも、「仕事はお金だけじゃなくて、こういう観点でもやりがいやおもしろいところはあるんだよ」というところを見せられていくと、徐々に徐々に静かな退職も解消されていくのかなと思います。

会社そのものの中長期的な対策としては、先ほどと同様になりますが成果連動型。「お金のために働いています」なのであれば、「がんばればがんばっただけお金も引っ付いてきますよ」という仕組みを整備するのも1つかと思いますし、副業や兼業とか、まさにこういう価値観に対して多様性を認めるような制度の整備も1つかなと思います。

長期的な対策としては報酬制度の見直し。企業さまによりけりですが、株式報酬や長期インセンティブの構築とか、このあたりが挙げられます。

キャリアアップに興味がない「無関心タイプ」

最後が「無関心タイプ」です。この無関心タイプの特徴としましては、もともとの価値観として変化・上昇を求めない。「私は最低限でいいんです。成長しなくていいんです。出世しなくていいんです」という無関心タイプですね。少なからず、仕事に対する価値観として一定数存在するタイプでございます。

典型的な声としては、「キャリアアップすることに興味はありません」「いや、今のままで大丈夫です。十分満足しています」というところです。(無関心タイプは)年々増加傾向にあるかなというのが私の肌感でございます。

短期的な対策としては、価値観の尊重と受容。もともとこういう価値観を持っているので、「いやいや。120パーセントで仕事をしてくださいよ」という頭ごなしの否定ではなくて、本人の考えも尊重してあげることが重要になってきます。(他の短期的な対策としては)安定した業務環境の提供、過度なプレッシャーの回避ですね。

(無関心タイプの考え方は)価値観としてそうなので、無理くり上昇志向にさせると反発を生んだり、もしかすると「じゃあ、会社がそこまで求めてくるなら安定感のある会社に転職します」というふうになりかねません。なので、安定した業務環境の提供とか、プレッシャーをかけ過ぎないというアプローチも大事になってきます。

会社が取れる中長期の施策としては、多様なキャリアパスの提示です。一本線だけではなくて、「こういうキャリアも歩めますよ」「こういう道筋もありますよ」というキャリアの多様性を社内でも見せていけると、「あっ、私ならここかも」というふうに、もしかしたら興味を示すかもしれない。

内発的動機付けアプローチというのは、いわゆるやりがいの部分ですよね。成功体験や成長体験の積み重ねによって、「やってみたら意外とおもしろいかも」となったりする。

特に小さな成功体験だと、「やればできる」とか「一生懸命行動すれば、結果・成果が伴う」という経験・体験がどんどん積み重なっていきますと、「仕事をがんばるか」というふうに、もしかしたら考え方が変わるかもしれないです。

ポイントは「小さな」というところですね。いきなり高いハードルだと本人の価値観にとっても反発する部分になりますので、「まずはここを目指そう」とか「この部分はがんばろうか」というふうに、低めのハードルを設定していただく。

そこを乗り越えた時に上司からのねぎらい、褒める、認める、ポジティブなフィードバックなんかがあったりすると、徐々に徐々に変わっていくのではないかなと思います。

出世意欲のない人にどうキャリアパスを提示するか

長期的観点で言いますと、価値観に合わせた制度設計とか、多様性を活かす組織文化の構築。(無関心タイプは)「そもそも出世意欲がありません」というタイプでもありますので、非管理職キャリアの充実も検討いただくところかなと思います。

能力が高く知識も豊富で、結果・成果も出ているとなると、自動的に管理職というポジションに就いていく仕組みを整備されている企業さまが一般的かと思います。

最近で言うと、マネジメントコースとかプロフェッショナルコースというふうに、節目節目で「管理職やリーダー目指すんですか?」「プレイヤーのままプレイヤーとしての業務の質をどんどん極めていくんですか?」と、分かれ道を評価制度として用意されている企業さんも中にはいらっしゃいます。

「出世したくありません」「私は責任を負えません」「部下・メンバーのマネジメントをするような人間ではありません」とか、いろんな考えをお持ちの方がいらっしゃるかと思いますので、道筋を示してあげることも対策の1つかと思います。

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