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グローバルコーチング本多喜久雄氏×カヤック柳澤大輔氏対談(全1記事)

カヤック柳澤大輔氏 × コーチングのプロ・本多喜久雄氏と考える、「経営者の孤独」とコーチの重要性

近年、組織マネジメントにおいて「コーチング」の存在がクローズアップされてきています。対話を通して、意識や行動のレベルを上げ、目標達成や自己実現を支援するプロセスとして注目されていますが、コーチングのプロたちはどのような信念を持ってコーチングしているのでしょうか? 経営者に特化したコーチングを展開する株式会社グローバルコーチング代表取締役CEOの本多喜久雄氏に、これまでコーチングしてきた経営者とのエピソードを聞いてみました。面白法人カヤック代表取締役CEO・柳澤大輔氏との対談をお送りします。柳澤氏は自身でコーチングをスタートし、その後、他の経営陣や、マネージャー、リーダークラスの従業員に必要に応じてグローバルコーチングからのコーチングを実施しています。

柳澤氏と本多氏の不思議な縁

――お二人の出会いは8年前だったそうですね。

柳澤大輔氏(以下、柳澤):そうですね。どっちも鎌倉に住んでいて、近所ですからね。

本多喜久雄氏(以下、本多):息子が同じ小学校で、うちとヤナさん(柳澤氏)の息子がサッカーをやっていて、息子のサッカーを見に行ったときに「あっ、目立つ兄ちゃんがいるな」と思いました。これがヤナさんとの出会いです。

最初に会話したのは「元リク・鎌倉の会」という飲み会でした。ある日、その飲み会でカヤックの社員が「うちの社長を連れてきていいですか?」といって連れてきて、そこで初めて会話しました。

柳澤:そうそう。それで飲んだんですよね。

本多:コーチングが始まったのは、共通の知人のイベントがきっかけですね。その知人も僕のクライアントで、彼から「ヤナさんのことは知ってるよね? 僕がいるとヤナさんもリラックスして、もっと打ち解けられると思うから、本多さんも来たら?」と言われて、行ったんですよ。その帰りの横須賀線の中でヤナさんに「コーチングやってみますか?」と話して、始まったんですよね。

柳澤:ひょんなことから出会って、不思議な縁のようなものですよね。だから、別に僕がコーチングを受けようとして探したとかではないんですよね。

基本は乗っかる姿勢ですから、1回はやってみようと。当時は3ヶ月の契約で、結果的に2年ぐらいコーチングをしてもらったと思います。

本多:コーチング中は、「楽しかった」という感覚があって(笑)。ヤナさんと話していく中で、僕も理解されていく感覚があった。基本的には「聞く人と話す人」の構図じゃないですか。コーチングの時だけじゃないかもしれないけど。

柳澤:そうですね。かつ、一緒にカマコン(注:本多氏や柳澤氏はじめ、鎌倉の経営者たち8名で立ち上げた地域活性化の活動)もやっているから、それらを全部含めての話ということなわけで(笑)。

コーチングを入れるべきタイミング

柳澤:経営者は、そもそも人の話をあまり聞かない人が多いので、コーチングをすると人の話を聞くスキルが増しますから、そういう意味でも1回はコーチングをやったほうがいいと思います。マネージメントの大変さは、しっかりと人の話を聞くだけでもだいぶ改善されますからね。

それを自然と身につけるためにも、感覚的には1~2年ぐらいやったほうがいい。でも、そのぐらいすると自分である程度技術としてはできるようになるので「もうやめる」という人がある程度出てくるのは、それはそれでいいのかなという気もしています。

本多:いくつかコーチングを入れたほうがいいパターンはあるんですが、ヤナさんがうまくやっているなと思うのは、「ここのタイミングでコーチング入れたほうがいい」とわかっているところですね。

柳澤:なるほど。休んだり、入れたり。

本多:「この3ヶ月は本当にアクセル踏みたいんだ」というタイミングでコーチングを入れたりとかですね。

柳澤:そういうやり方もありますね。

本多:あとは、チームコーチングのよさみたいなものを体験したほうがいいですよね。月にコーチングを2回やるとすると、1回は経営者とマンツーマンでやる。もう1回は役員や大事にしたい社員を呼んで、僕と3人で話す。そういうふうに変化をつけている人もいます。

柳澤:うん、そうそう。「問い」を深めて、何か今まで考えたこともないようなことに気づいたときに、なんとなく「アハ体験」みたいなものを感じていいきっかけになることもあれば、自分でこうすると第三者に宣言した方がコミットが強まりますから、スピードが増すといういう効果もありますよね。

コーチングにおける依存の危険性

柳澤:グローバルコーチングは、そういう寄り添う感じがありますよね。変にビジネスライクじゃないというか。

絶対的に自分の話を全部受け止めてくれるみたいな人は、必要じゃないですか。僕はそういう存在をすごく欲しているわけでもないんだけど、やはり孤独を感じることもある。でも、それを期待しすぎてしまうと、依存しちゃうという弊害もありますよね。(笑)。

本多:ちょっと注意しなきゃいけないよね。

柳澤:そうですよね。

本多:僕は経営者側からの依存を求めているわけではないので、2年くらいで次のステージに離れていくほうが、イメージとしてはいいと思っています。

柳澤:そうですね。そう思って対峙してくれるなら安心感はありますね。

本多:若手の経営者たちは、最初は頼れる人に何でも聞きたくなったりするんですよ。

柳澤:そうですよね。

本多:リクルートのビジネス経験もあるから、「喜久雄さんだったらどうするんですか?」という答えが欲しくなっちゃう。

柳澤:それは本来のコーチングではないですよね。

カヤックとのコーチングは「一緒に体験していた」

本多:ヤナさんは、グローバルコーチングでいう「意識の進化」を敏感に感じ取ってくれたんだよね。ヤナさんのいる場所は、「みんな友達」なんですよ。本当にそれを体現しているなと思って。いろんなイベントを一緒にやってるけど、片付けのときに普通に皿洗いとかもしているんだよね。

だから、ヤナさんの中にはあまりヒエラルキーがないんだよね。そのヒエラルキーということについては、たぶん誰よりも感じる力があって。僕はヒエラルキーを感じさせるようなことは言ってないんだけど、僕自身が(CEOとして)ヒエラルキーを体現している感じだったから、すごく嫌だったと思う(笑)。

ヤナさんとのコーチングの場合に限って、ということになっちゃうかもしれないけど、答えを出したというよりは一緒に体験していた感じがする。

柳澤:つらいときも楽しいときも一緒に全部経験していますからね(笑)。

本多:そうですね、けっこうお互いを見せた感じがするな。きれいな部分だけじゃなく、いろんなものを知っていて、知られている感じ。なので、安心感がある。

柳澤:それはありますね。

本多:そうですね。なんで感動してるんだろう?

(一同笑)

柳澤:それが本多さんです(笑)。

本多:いや、そう思う。ありがたいなと思う。今日は対談を引き受けてくれて、ありがとうございました。

――お二人とも、今日はありがとうございました。

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