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【改正解説】iDeCoに向いている人・向いていない人【改悪は本当?】(全2記事)

年収別iDeCoの税制メリット 1年で軽減される税負担をプロが試算

レオス・キャピタルワークス株式会社のYouTubeチャンネル『お金のまなびば!』は、ふだんは語りにくいお金や投資、経済の話について、同社代表取締役社長の藤野英人氏や、ひふみシリーズのメンバーと一緒に学んでいくチャンネルです。今回はiDeCoの法改正で注目したい3つのポイントをお伝えします。

iDeCoの法改正について解説

赤池実咲氏(以下、赤池):「お金のまなびば!」をご覧のみなさん、こんにちは。レオス・キャピタルワークスの赤池実咲です。今回はiDeCoの法改正に伴いまして、改正の内容や、あらためてiDeCo、そしてもう1つ、NISAという非課税制度についてお伝えしていきたいと思います。

iDeCoについて教えてくれるのは、当社レオス・キャピタルワークスで、DCそしてiDeCoに詳しい、営業部の中澤です。よろしくお願いします。

中澤雄宇氏(以下、中澤):中澤と申します、よろしくお願いします。

赤池:よろしくお願いします。中澤さんは「お金のまなびば!」初出演ということですね。

中澤:そうですね。いつも見る側だったので緊張して昨日眠れなかったんですけども、がんばりたいと思います。

赤池:眠れない感じは、その衣装からは出ていないですけどね。

中澤:本当ですか? DC大好きということをわかりやすくお伝えしたいなと思って仕込んでまいりました。

赤池:中澤さんはDC、iDeCoが大好きということで。2024年は新NISAとなりまして、注目された1年でしたけれども、今日はiDeCoにフォーカスしていきたいと思います。iDeCoもNISAも、だいぶ利用者が増えましたよね。

中澤:そうですね。こちらにありますとおり、左側がiDeCo、右側がNISAですけど、両方とも右肩上がりです。NISAに比べるとiDeCoは歴史は古いんですけれども、伸びてはいるもののまだまだというか、iDeCoの良さをみなさんにわかってもらえていない部分があるのかなと思っています。

赤池:NISAも1回で理解するのは難しいなと思いつつ、iDeCoってもっと複雑だなという印象があるので、なかなか利用者が増えないところもあるのかもしれないですね。

中澤:そうですね。よくよくわかると使い勝手もいいといいますか、うまく使っていただける方もたくさんいると思うんですけども、ちょっと気難しいところがあるといいますか、ちょっとツンデレが激しいところがあります。そういうところもひっくるめて愛らしいところではあるんですけれども。

赤池:(笑)。iDeCoを性格でたとえている人、初めて見ましたね。

あらためてiDeCoとは?

赤池:ということで、中澤さんが愛らしいと言うiDeCo。そもそもこのiDeCo、NISAは国が作った税制の優遇制度ですね。資産形成する上で活用していきましょうというのが、国からのメッセージということですよね。

中澤:はい。NISAもiDeCoも両方とも国が作った税制優遇の制度になります。つまり国がみなさんの資産形成をサポートしてくれる制度ですので、やはり活用しないのはもったいないなと思っています。

赤池:私たちの年金は公的年金と私的年金、自分で蓄える年金がある中の、iDeCoは私的年金ですね。

中澤:はい、おっしゃるとおりですね。ざっくり申し上げますと、毎月掛金を積み立てて運用して、60歳以降に受け取るというかたちで、国の年金に上乗せして行う私的年金。自分で備える老後の年金とご理解いただければと思います。

赤池:そもそも、自分で備える年金が必要となっている背景といいますか、日本の年金制度を見ていきましょう。

中澤:よく年金は3階建てだと言われますけれども、1階部分は国民年金ですね。20歳から60歳の方、日本に住んでいる方は加入が義務付けられています。この2階部分の厚生年金という緑の部分は、会社員の方や公務員の方々が対象になってくる、毎月の給与や賞与から積み立てていくという制度になります。

このiDeCoを含む私的年金は3階部分になりまして、これに上乗せして、自分で自分の老後のために積み立てていくという仕組みになります。

赤池:会社員や公務員は厚生年金もありますから2階がある一方で、自営業者や専業主婦の方は、この国民年金のみというところで、3階が必要になってくるんですね。

中澤:はい、おっしゃるとおりですね。iDeCoは2001年ぐらいから始まったんですけれども、自営業者の方とか、今おっしゃられたように会社にそういう退職金制度がない、厚生年金しかないという方を補完するようなところで、小さく始まりました。

そこから徐々に徐々に加入範囲を増やしながら、最近では拠出限度額も増やしながら、少しずつ認知されるようになってきました。

2024年12月の法改正で変わる3つの点

赤池:私たちが積み立てる方法は後でご説明するとして、まずは今回の法改正でどう変わったのかを見ていきましょう。2024年12月の法改正ですね。

中澤:2024年12月、もうすでに改正されたものですので、今現時点ではもうすでに反映されているものになります。ポイントは3つですね。拠出限度額の引き上げ。これはちょっとお立場によって変わってくるんですけれども、拠出限度額が引き上げられたということ。

加入する時に、会社員と公務員の方は、事業主の証明書が必要だったんですけども、これが廃止になったというのが2点目。3点目が、条件を満たせば脱退一時金が受け取れるようになったのですが、これは非常に範囲も狭いので、あまり注目を浴びていません。

赤池:主に2番については、加入者側に関係があるというか、会社の人事の方は関係するところですよね。

中澤:そうですね。加入者の立場からすると1回だけ(加入の際にしていたこと)ですし、人事の方は日頃やっていたものがなくなるという意味では少し影響があるのかなと思います。

赤池:私たち、実はこの時点で動画を作っていたんですよね。

中澤:あっ、それを言っちゃうんですね(笑)。そうなんです、2回目です。

赤池:(笑)。がんばったから言っちゃおうかなと思うんですけど。その日に改正案がさらに出てきてしまった。撮影したのはちょうど12月20日でしたけれども、令和7年度の税制改正大綱が出されまして、このiDeCoもかなり大きく触れられたということで、もう一度この内容も盛り込んだかたちでこの動画も撮り直しています。

「改悪」と話題になった、拠出限度額の引き上げ

赤池:まず、1つずつ見ていきたいと思います。拠出限度額の引き上げは、12月に改正されたものからさらに引き上げるということですね。

中澤:はい、おっしゃるとおりです。これも立場によって変わってくるんですけれども、基本的に会社に企業年金や退職金の制度があるとかないとかにかかわらず、平等にできるようにという思想で、この限度額の引き上げが、12月から続いてさらに行われるということです。

赤池:2つ目は加入年齢範囲の拡大。

中澤:これも今までは65歳だったものが、70歳まで掛金を投入して加入することができます。

赤池:この3つ目の一時金受取時の非課税ルールの変更が、SNSや社会でちょっと話題になった改正ですね。

中澤:そうですね。改悪だという捉え方をされている方も多いと思いますけれども、このタイミングで、併せてここについても変更があったということですね。

赤池:では、この拠出限度額の引き上げがいくらになったのかを見てみましょう。

中澤:こちらが12月の改正後、今現時点のものですね。自営業の方であったり会社員の方の中でもお勤め先に企業年金があるかないかといったところで限度額が変わってくる。公務員の方もそうですね。なので、ちょっと複雑と言えば非常に複雑。こういうところに気難しさというか、取っつきにくさが表れているわけです。

赤池:あらためて2024年12月の改正で変わった点があります。改正後というのは、令和7年度の税制改正大綱に載っているもの。予定というところですね。

中澤:そうですね。まだ案が出された段階で決定はしておりませんので。また、決定したとしてもいつからというところは、まだまったく確定していない状況です。現在出されている案というかたちで、今画面に表示されている金額になっています。

自営業、フリーランスの方は純粋にプラス7,000円ですね。月7万5,000円まで拠出ができるようになるというものです。会社員の方、公務員の方のところが少し変わっておりまして、ちょっとシンプルにはなっております。お勤め先に企業年金があるかないかにかかわらず、そこも企業年金も含めてiDeCoも合算して6万2,000円までというかたちです。

今までは会社のお勤め先の制度によって出せる金額が違っていたところが統一されたといいますか、この足りない部分をiDeCoで穴埋めすると。補完的にiDeCoを使うというかたちに変わっているのが現在の案になります。

3つのステップで見るiDeCoの仕組み

赤池:ここまで今回の改正内容について見ていきましたけれども、そもそもiDeCoの仕組みが、やはりなかなか理解できない方もいらっしゃるかもしれませんので見ていきたいと思います。iDeCoの仕組みはステップが3つありますが、それぞれご説明をお願いします。

中澤:はい。3つのステップに分けてお話ししますと、まず加入すると掛金を当然出していくわけですけれども、掛金は月5,000円以上。1,000円単位で設定できるものになります。

NISAの成長投資枠みたいなものですね。これは一括という概念がないので積立だけになります。65歳までだったのが、70歳まで続けられるというかたちになります。

その掛金で商品を買うわけですけれども、それはご自身で選択していただくというものになります。株式とか債券のような投資信託ももちろんありますし、預金とか保険といった元本確保型の商品があるところも特徴かなと思います。

3つ目が受取ですけれども、これも60歳から75歳までの間に一時金で一括で受け取るか、年金で受け取るか、組み合わせたかたちで受け取るかをご自身で選んでいただけるという仕組みになっています。

注意点としては、60歳までは基本的に引き出せないというところですね。ここがちょっとかわいいところでもあるんですけども、ちょっと一部の方にとっては融通が利かないなっていうところかもしれません。

赤池:(笑)。裏を返せば、確実に老後資金を作れる仕組みがiDeCoですよね。

中澤:おっしゃるとおりで、確実に貯めてくれます。

赤池:このiDeCoの最大の特徴は、この税金の控除というところになると思いますが、この1、2、3でそれぞれ控除が受けられると。

中澤:はい、そうですね。それぞれのステップごとになるんですけれども、まず最初、掛金を出すタイミングですね。こちらの所得税、住民税の軽減効果があって、これが非常に大きいメリットになるかと思います。これは後ほど具体例も入れながらお話ししたいと思います。

2つ目、運用時は運用益は非課税ということで、受け取っていない段階ですので当然という考えもあるかもしれませんけれども、掛金を投じて増えていった分についても、運用の時は税金はかからないということですね。

3つ目、受取の時は、基本的に税金はかかるんですけれども、受け取り方によって変わってきます。控除が使えるものになりますので、こういったものを活用しながらメリットを享受できるという制度ですね。

掛金分だけ所得税・住民税の負担が軽減される

赤池:では、まず入り口のところの掛金拠出時の所得控除を見ていきたいと思います。

中澤:こちらは今、ニュースで103万円の壁とかよく出ていますけれども。みなさん、給与には基礎控除とか給与控除とか生命保険料控除とかいろんな控除があって、残った課税所得に対して所得税、住民税がかかってくるわけですけれども。

iDeCoに加入すると、このiDeCoの掛金分だけ税負担が軽減されると。iDeCoの掛金分、所得税と住民税がかからないということになりますので、これは税負担が軽減されるという意味で非常に大きいメリットかなと思います。

赤池:確定申告とか年末調整で出すやつですか?

中澤:おっしゃるとおりです。じゃあ、どれぐらいなのかなっていうのを見ていきますと、例えばここで年収400万円の方の例で見ていきますと、毎月1万円、年間で12万円積み立てた場合、所得税5パーセント、住民税10パーセントで計算しますと、1万8,000円ぐらいが1年で戻ってくるというかたちになります。

赤池:この年間で1万8,000円って、たぶん私だったら2回飲みに行ったら終わると思うんですけど。

中澤:あぁ、けっこう飲みますね(笑)。

赤池:そんなに大きい金額じゃないのかなと思っちゃうんですけど。

中澤:そうですね。おっしゃるとおり1年だけではあまり大きさは感じないかもしれませんけれども、10年だと18万円。長く続けて40年経つと72万円ということで、まさにちりも積もればですね。

赤池:あと、これは年収が400万円で固定だった場合ですもんね。

中澤:そうですね。なので、例えば年収600万円の方ですと、所得税がもう少し上がりますので、住民税と合わせて20パーセントかかると。先ほどと同じ例でいくと、40年で96万円、約100万円ですね。年収800万円になりますと所得税がさらに上がりますので、40年で144万円。これはかなり大きいと思いますね。

赤池:銀行の現在の預金金利であったり、運用で「年間これだけ増やしていく」っていうのが確実じゃない中で考えると大きいですよね。

中澤:はい。もうかけた分だけキャッシュバックのように戻ってきますし、運用益はまた別で上乗せされますので、そういう意味では非常に長く続けるとより効果は大きいかなと思います。

赤池:ちょっと手間だなと思ってしまいますけど。

中澤:そこがかわいいところですよね。何でもかんでも言うことを聞いてくれるよりも、ちょっと振り回されるぐらいのほうがいいというか。

赤池:それiDeCoの話をしています(笑)? いろんなものが混ざってそうなので、次にいきたいと思います。

中澤:はい(笑)。

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