
2025.02.06
ポンコツ期、孤独期、成果独り占め期を経て… サイボウズのプロマネが振り返る、マネージャーの成長の「4フェーズ」
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司会者:それでは、このままQ&Aのお時間とさせていただきます。本日ご登壇された方々に直接お話をうかがうことができる大変貴重な機会ですので、何かご質問がある方はぜひこの機会に聞いてみてください。
それでは準備はよろしいでしょうか。ご質問がございます方は挙手で知らせてください。ご質問ある方、いらっしゃいますでしょうか?
(会場挙手)
質問者1:貴重なお話ありがとうございました。演奏も大変素晴らしかったです。先日アメリカでAIとミュージシャンが音楽を作ってそれをリリースするというニュースが報じられたと思います。今、テクノロジーの進化で四肢がない方も自分でデジタル的に機械で腕とかを動かせるように技術が発展してきていると思っていて。
将来的には四肢のない方もピアノが弾けたり楽器ができたり、となっていくと思います。テクノロジーと人間が力を合わせて音楽とかアートを作り出していくということに関して、何か思うところ、意見を聞きたいと思っているんですが、いかがでしょうか?
坂本:僕は基本的には、昔からテクノロジーには前向きなんですよ。それで思い出すのは、ちょうどYMOをやっていたころなんですけども、シンセサイザーがいろいろ進化しだして僕たちはよく使っていたわけですけど。
そのときよく言っていたのは、例えば日本の古来の楽器、尺八をまともに音を出そうと思ったら、何年? 10年? 3年とか8年とかかかるわけでしょ? まぁ一生かかるかもしれない。そんなにたくさん労力を費やして1つの楽器しかマスターできない。
シンセサイザーには尺八のような深い音は出ないかもしれないけど、似たような音ならすぐ出せる。ところが同じ機械で弦楽器のような音も出せるし、なんと人の声のようなものも出せるし、非常に多様性がある。これは僕は基本的に大好きなんですよね。この方向性はね。
AIも決して否定的はないんだけれど。AI、AIって今よく言葉聞きますけど、AIで音楽を作るのは僕は意外と簡単だと思っています。非常に簡単だと思っています。そこは別にAIの出る幕はあまりないような気がしていて。だからAIが作ったといってワーワー騒ぐのはあまりにも衝動的でつまらない。
僕がAIに求めるとすれば、僕らが音楽を聴いて「あ、この曲いいな」とか「素敵だな」とか「これはちょっと違うな」とか、なんか感じるところがありますよね。その僕ら人間が感じている「素敵だな」とか「美しいな」ということがAIに理解できるかっていうところが僕は1番おもしろいなと。
それができたらなかなかおもしろいなと思いますけど。できちゃったらその先っていうのはちょっと怖くも思いますけど(笑)。そのくらいいってくれないと別に騒ぐようなことではないと僕は思っています。
司会者:Joiさんはなにか。AIとアートのバランスということなんですけれども。
伊藤:この間囲碁でAIが勝ったんだけれども、あのとき囲碁がAIで勝てるようになったら囲碁がつまらなくなると思ったら、今ものすごく栄えてて。もう囲碁の台も買えないし、MITの囲碁クラブは倍増してるし、あのビデオをみんな見てるし。
囲碁のときって、人間は端っこしかできなかったんだよね。中央の囲碁っていうのは難しくてできなくて。やっぱりアルファ碁は真ん中バンって攻めるわけ。この間アルファ碁の自分で勉強しているところのマッチが公開されたのね。それを人間が見て、2000年以上の囲碁の歴史の中で初めて革命的に新しい囲碁が始まるわけ。でもそこってすごくクリエイティビティが湧いて今ワクワクしてる。
きっと次の勝つプレイヤーはやっぱり人間と機械なんだけれども、ただそのコラボレーションってすごく重要で、囲碁ってけっこうクリエイティビティ中心なすごく感覚的なものなので、僕は人間と機械のコラボレーションがすごく……インターフェースデザインにもつながってくるんだけどどうやって深まって、そして機械でも人間でもできないものを作っていくか。
楽器もそうだよね。楽器って今インターフェースによって脳でいちいち考えないものを出せるっていう。それが人工知能の、今のインターフェースってなんかキーボードと画面だから、それよりもAIの楽器のインターフェース等でどういう人がそれのミュージシャンになるのかなって考えますけど。
坂本:インターフェースのところをメディアラボは専門っていうかずっとやってきてるところで。インターフェースに関連して、インターフェースのことを言うと、僕が常々思っているのは、画面とキーボードで打ち込んでいくあるいは操作していくというのは、なんて言うのかな、直接的じゃないというかクリエイティブじゃないというか。
よく比較するのはギターですね。ギターをインターフェースと見ると非常に優れている。ギターに限らず楽器はなんでもそうですけど。ものすごく微妙なニュアンスとか音の変化とか大きさの変化とか音色の変化、本当に直接的にできる。脳が刺激したら指がすぐ動いて、それが音に反映する。
そこまでぜんぜん至ってないんですよ。まだね。こっちのコンピューターテクノロジーのインターフェースは。そこまでいって初めて人間のこれまでの歴史にも追いつく。そこから先がおもしろいところなので、早くそこへ追いついてほしいなと僕は思っているんですね。メディアラボに頑張ってもらわないと(笑)。
司会者:ありがとうございます。ほかにご質問ある方いらっしゃいますでしょうか?
質問者2:オリコンニュースのサイトウと申します。今日は貴重なお話をありがとうございました。坂本さんにうかがいたいんですが、今日はファーストペンギンの精神ということでずっとお話をうかがっていましたが、これまでのご自身のキャリアの中で最もリスクを冒して挑戦したことは何だったのかということをお聞きしたくて。何かありましたらぜひお聞かせいただければと思います。
坂本:昔のことはだいぶ忘れちゃったので(笑)。最近のことで言うと、今浮かんだのは、3年前にガンになったでしょ。それで仕事を1年くらい休んでちゃんと治療して、ゆっくり回復して仕事に戻ろうと思っていたら、1年足らずのところでメキシコ人の監督がうちに電話してきて。
「『レヴェナント』っていう映画をやれ」と。それで僕はこの間ガンをやったばかりで回復していなくて、「難しいんですけど」って言ったら「いや、やれ! 明日LAに来い!」と。生意気なやつですよね。そこは考えましたよね。
まあ、大変な仕事になるということはわかっていたので、これをやったらまたガンが戻ってきちゃうんじゃないか、再発しちゃうんじゃないかと思って。けっこうそれは死ぬ覚悟で、文字通り生きるか死ぬかというところで。「これで死んでもしょうがないな」ということでやることにしましたけれども。
まあ彼は、イニャリトゥ監督はその年にアカデミー賞をとっていて。もともとデビュー当時から大好きで、大変注目していたものすごく力のある監督だと注目していた人で。その彼がアカデミー賞を獲った次の作品を「やれ」と言っているもんだから、世界中の映画オタクの作曲家なら望んでも手が出ないくらいやりたい仕事で、それをやってくれと言ってくれているわけですから、これはやったほうがいいんだけど、自分の命と引き換えにするならどっちがいいかなと。
それは相当悩みましたね。まぁ結局やったんですけど。だからおっしゃっている意味とは違うかもしれませんけど、僕にとってはすごくリスクでした。
質問者2:ありがとうございました。
司会者:大変申し訳ありませんが、次の質問で最後とさせていただきます。
質問者3:貴重なお話をお聞かせいただきましてありがとうございます。BuzzFeed Japanのカシマともうします。坂本さんに質問です。今の話に続いているのですが、命のリスクを抱えてどうしてチャレンジしたんでしょうか? そしてそこでやってみて見えたものというのはありますか?
坂本:その仕事に限らず、僕はわりとコラボレーションって多いんですよ。音楽家とのコラボレーションも映画もやってるし、美術家ともやっているけれども、これはやっぱり……なんでしょうね。
僕はね、例えば1人で音楽を作っていても常にまだ自分から出てきていない、新しい音楽が出てくることを望んでいるんですよね。今までの自分ができることをやるのは当たり前で、今までできていないことを、今日聞きたい、見たい。
だから、長く仕事をしていればたくさんいろんなことをやってるから、新しいことが出てくるのは難しいですよ。自分のテクニックっていうのは自分が一番知ってるわけだから、そこでもなかなか自分は騙せない。でも、まだ何かあるんじゃないかと思って苦労していて。今までやったことのない音楽とか音とか、あるいはアイデアとかが出てきた時は、非常に嬉しくて。
それが嬉しくて続けている。だから子供たちとコラボレーションしたり、映画監督とやったりっていうのも全部そのためなんですよね。だから、それが僕にとっては生きることだから、だからイニャリトゥという当時世界で一番力がある監督と一緒に仕事ができるならば、それで終わっても本望だと言うことですよね。いつもそういう精神でやってます。
司会者:ありがとうございました。以上をもちましてQ&Aのお時間を終了とさせていただきます。
坂本さん、林さん、伊藤さん、ありがとうございました。
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