2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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ジェム・プレール氏(以下、プレール):ありがとうございます。それでは、聴衆の皆さんから質問をお受けしたいと思います。MIT生優先ですが、学生以外の方もどうぞ。質問は短めにお願いします。できるだけ多く質問をお受けしたいと思っていますので。
質問者:フィル・チャップマンと申します。次の数十年で宇宙飛行の分野はイーロンさんや、ロバート・ビゲローさんといった、元起業家の方々が担うことになるかと思います。そんな中、イーロンさんと契約を結ぶという以外に、NASAの有人宇宙飛行はどのような役割を持つとお考えですか?
イーロン・マスク(以下、イーロン):NASA はSpaceXにとても協力的で、契約についてもそうですが、技術面でもこれまで多くの分野でサポートを頂きました。SpaceXの取り組みの多くは、かつてNASAが行ってきたことに基づいていますし。NASAが成し遂げてきたことには本当に感謝していますし、今現在受けているサポートについても感謝しています。本当にありがたい存在です。
NASAはいろいろと制約のなかにあるにも関わらず、あるべき方向に進んでいると思います。政府機関ですので、多方面から圧力を受けているでしょうし、できることに限りもあるはずですが、そんななかでよくこれだけの成果をあげてきたなと思います。競争の進む宇宙分野のなかで、NASAが発展し続けられれば、将来の宇宙分野の発展にも良い影響が及ぶだろうと思っています。
質問者:ジョーダンと申します。製造業について質問させてください。オバマ大統領は米国にハイテク製造業を呼び込む取り組みに力を入れているところですよね。
SpaceXとテスラはまさに良い例だと思うのですが、まず米国内で製造を全て、あるいは大部分行うことをお考えでいるのか、それと他の企業は、社内製造の割合をなるべく高く持つためにSpaceXやテスラの経験からどんなことを学べばよいのかお聞かせください。
イーロン:SpaceXとテスラは当初、社内製造を大量に行おうとは思っていませんでした。むしろなるべく抑えようとしていたのですが、時とともに社内生産を増やす必要が出てきまして。
ですので、社内生産や外注がどうこうというよりも、いいサプライヤーがいれば使う、いなければ自分たちで行う。そういうことです。よいソリューションのための道を探すか、自分たちで作るかの違いで、これまでは作らなければいけない状況のほうが多かったわけです。
ロケットについて言うと、国際武器取引規則のこともありますね。ロケットは武器に関する技術とされていて、他国に外注ができませんので。
製造は単にコピーを生産する単純作業だとお考えの方が多いですけれども、これは間違いです。製造業とは、機械を作る機械を生産すること。機械自体も重要ですが、その機械を製造するために必要な機械を作る、というのもまた非常に重要です。
それと、ほとんどの場合、プロトタイプを作ることよりも製造プロセスのほうが難しいですね。例えば、テスラで車をひとつ作るのは簡単です。ですが信頼性も質も高く、価格も手頃な車を何千と製造するのは極めて難しい。
プロトタイプをひとつ製造する場合の10倍か、それ以上に難しいですね。SpaceXについても同じです。ロケットをたくさん作って打ち上げるほうが、ひとつ設計する作業の何十倍も難しい。
ですので、製造業にはぜひ優秀な人にたくさん関わっていただきたいと思っています。一時期評判が悪かったですけれど、これからとても面白い分野になりますよ。
質問者:テスラの車についてお聞かせください。駆動モーターは約250馬力で、重さは70ポンド(約32キロ)ほどしかないと伺いました。ポンドあたりの馬力がベースということですね。
私は交通関係の分野に関わってきたのですが、今まで見てきたのは馬力あたりのポンドがベースのモーターのみで、つまりテスラのモーターは桁違いの強さを持っているわけです。スピードの早さによる部分もあると思いますが、この駆動モーターをどのように実現されたのかお聞かせください。
イーロン:出力重量比にご興味がおありのようで。その面でずば抜けているのはロケットのターボポンプですね。マーリンエンジンに搭載されているターボポンプは1万馬力で、重さは150ポンド(約68キロ)です。燃料効率に関してはまた別の話ですけれども(笑)。
ですが出力重量比に関して言えば、極限のところまで来ていますね。手で持てるくらいのものが1万馬力もあるなんてすごい話です。電動モーターについてですが、きちんと設計された電動モータやAC誘導モータがあれば、高レベルの重量比や反応率、低待機時間、低リプル電流といった類のものはごく自然に実現できますよ。
難しいのは、効率的に冷却すること、特にローターの冷却ですね。1万8千RPMでローターが回転していますから。ですので、モデルSではローターを同軸で冷却して、定常状態を高く保つように工夫しています。
電動モータに関しては、最大出力を短い時間得るのは比較的簡単ですけれども、それを維持するのが難しい。加熱状態になってしまいますのでね。それと、複雑な駆動サイクルですと効率性を高めるのが難しいですね。最大出力よりも、こうした問題にぶつかることのほうが多いです。最大出力を短い時間得るのは簡単なのに対して、それを維持すること、そして駆動サイクルに対する効率性を維持することのほうが難しいです。
質問者:こんにちは、シェリーと申します。SpaceX設立のきっかけは、イーロンさんご自身が宇宙に行きたかったからというのも理由のひとつ、という話がありますが、これは事実ですか? また、あとどのくらい経てばご自身も宇宙に行けるようになると見込まれていますか?
イーロン:それが理由でSpaceXを立ち上げたわけではないですね。
(会場笑)
楽をして宇宙に行くのなら、ソユーズの乗船チケットを購入すればよかったわけです。そうすれば、他にも購入された方がいらっしゃいますけれども、宇宙ステーションにも行けたわけですからね。
ですが私の関心は、地球以外の場所に人間の生活を拡張させること。それでSpaceXを始めたわけです。当初はうまくいかないだろうと思っていました。ではなぜそもそも立ち上げたのか、という話になりますね。
SpaceX立ち上げの前、慈善活動的なミッションをやりたいなと思っていまして。小さな温室を火星の地表に送って、火星に生命を送る、という取り組みに対し社会の皆さんが興味を持ってもらえれば、と考えていました。
先例を作れば反応してもらえるでしょうし。他の惑星に送られた最初の生命となるわけで、今までの中で一番遠い距離ですよね。これで世の中から前向きにとらえてもらえるかなと思って。それと、このことでNASAの予算も上げてもらい、アポロ計画の続きに取り組めるかな、と思ったのが立ち上げの理由です。当初の目標はどうすればNASAの予算を増やせるか考えることでした。
(会場笑)
ですが、もっといいロケットを作らないと意味がないと気付きましてね。でないと、仮に予算を増やせたとしても、火星行きのミッションを一度おこなって、それが最初で最後になるかもしれない。
ですからSpaceXの目的は、とにかく可能な限りの進歩をすることです。火星に入植地を作れる程度のレベルまでロケット技術を発展させること、あるいはその目標に向かって、行けるところまで技術を磨くということですね。とにかくいけるところまで進んでみたいと思っています。
質問者:ジャスティンと申します。SpaceXは有人カプセルのドラゴンV2を発表されましたが、イーロンさんは今後独自に宇宙飛行士を育成しようとお考えですか? それともNASAの宇宙飛行士を今後も使うことになるのでしょうか。
イーロン:そうですね。我々がNASAも他の人も使う宇宙船を作っていまして。宇宙飛行士については、私たちが輸送するのはあくまで科学者やエンジニアであるべきだと思っています、飛行士ではなく。ドラゴンはパイロット不要ですから。貨物だけで宇宙に行きますからね。最近マウスを40匹宇宙に送りましたけれど、別にマウスが操縦したわけではありませんし。
ドラゴンV2は人を地球と月の軌道に輸送するものですが、あくまで目的は科学的なものです。いずれは月に行って探査ができればよいですけれども。簡単に宇宙船に乗れるようにするべきだと思っていましてね。訓練も何もなく、パッと乗って行けるようにするべきです。もっと簡単なプロセスにすべきですよ。
質問者:スカーレットと申します。MITで航空宇宙科学を専攻している2年生です。SpaceXとボーイングが宇宙タクシー事業を受注されましたが、SpaceXのアプローチはボーイングとはどのような違いを持つことになるとお考えですか。また、どちらのほうが成功すると見込まれていますか?(笑)
イーロン:もちろんボーイングもいい会社ですからね(笑)。ドラゴンV2、つまり有人版のドラゴンですね、これで私たちが目指しているのは正確な推進型着陸です。これは次世代的な取り組みだと思っていましてね。第一世代がパラシュートを使った水面着陸だとすると、色々意見もあるでしょうが、翼や着陸装置を使って着陸するのが第二世代。そして第三世代が正確な推進型の着陸です。
宇宙人が地球に上陸する描写のある映画を見ると、皆垂直に降りてきますよね(笑)。パラシュートを使って海に降りてきたら変ですし、たいして怖くありません(笑)。
ボーイングの設計はエアバッグで少し改良されているようですが、広い砂漠に不正確に着陸するわけですよね。エアバッグの上に着陸して砂漠の中に突っ込むわけですから。それもひとつの方法だとは思いますが(笑)。
ですが将来的には推進型着陸が必要になると思います。そうでないと月や火星や、太陽系の他の場所には行けませんから。ですから、ここに焦点を定めるべきです。ちなみに私たちは宇宙ステーションに行ってまた戻ってきていますが、ボーイングはまだやっていませんよね。
質問者:つまり漫画にあるような世界が目指すべき未来ということですね。
イーロン:SFで描かれることの多くは、もちろん色々なものが描かれていますけれども、理にかなっているものが多いですよ。先ほど述べたように、月には他の方法では着陸できません。大気がないので、パラシュートやエアバッグでは月に着陸できないわけです。
質問者:こんにちは。ヨハネスと申します。国際的な観点から見て、火星の入植地は米国のもの、ということになるのでしょうか? SpaceXは米国をベースにしている企業ですし。あるいは、どなたでもどうぞ、ということになるのでしょうか。
イーロン:なんとも言えないですね。何個も火星の入植地ができるといいなとは思っています。SpaceXについて言えば、独占的に何かをしようとは思っていません。単に火星に行きたいだけです。ですがその議論は必要ですよね。ちょっとアメリカ色が強すぎるぞ、とか(笑)。
でも資源もあるし、基地も火星にあるから気にすることでもない、とか。もし米国の基地が火星にあったとすると、間違いなく他国も、自分たちの火星基地を作りたいと考えますよね。競争があるほうが、単に協力するよりも望ましいとは思いますよ。
質問者:つまり他国の企業も、火星に行くための取り組みをぜひするべき、と?
イーロン:ええ。競争はあったほうがいいと思います。宇宙ステーションは国際的な機関ですけれども、政府が歩調を合わせる必要がある場合、ものごとの進みが遅くなる傾向がありましてね。健全な競争の要素は必要だと思います。
あまり激しい競争は望ましくありませんが、例えばオリンピックのような健全な競争ですね。スポーツマンシップにのっとり、みなが一生懸命競争すれば、競争がない状態よりもよい結果が生まれるはずです。
競争なしではオリンピックの意味がありませんよね。ですから、健全な競争状態は必要だと思いますし、各国が皆同じペースで、あるいはいくつかの国が同じペースで進むようでは、発展は起こりません。むしろ何も発展しないかもしれませんから。
質問者:ESA(European Space Agency:欧州宇宙機関) も火星のために投資をすべきと?
イーロン:ええ、ESAも中国宇宙局も、皆ですね。
質問者:こんにちは、ビンセントと申します。火星入植地が活用できるような資源は今、火星にあるのでしょうか? もしある場合、SpaceXはそうした天然資源をどのように抽出することになるのでしょうか?
イーロン:火星では、どんな自然資源の抽出であろうと、火星のための抽出、ということになりますね。2億マイル(約3.2億キロ)も離れた地球まで輸送するのは理にかないませんから。仮にコカインがパック入りでとれたとしてもですね、それでも地球まで運んでくるのは理にかないません。
(会場笑)
火星人にとってはイイものかもしれませんが、地球まで運ぶのはダメです。
質問者:入植地用ということになりますね。
イーロン:そういうことです(笑)。
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