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一休 社長 榊 淳|コンセプトを考えるだけでは足りない。(全2記事)

パーティーで「君おもしろいね」と誘われ一流コンサルファームへ 一休・榊淳氏が語る、スタンフォード大留学で開かれたキャリア

経営者、事業責任者、マーケターからPRパーソン、デザイナーまで、業界業種を問わず、企画職の誰もが頭を悩ます「ブランディング」をテーマに、じっくり向き合う音声番組『本音茶会じっくりブランディング学』。 今回のゲストは、『DATA is BOSS 収益が上がり続けるデータドリブン経営入門』著者で株式会社一休 代表取締役社長の榊淳氏。本記事では、「数学おもしろい」から始まった榊氏のキャリアや、スタンフォード大への留学時代の経験についてお話ししました。 ■音声コンテンツはこちら

株式会社一休・榊淳氏のキャリア

工藤拓真氏(以下、工藤):「じっくりブランディング学」。この番組は、業界や業種を超えて生活者を魅了するブランド作りに本気で挑まれるプロフェッショナルの方々と、ブランディングについて、Voicyさんが構える和室でじっくりじっくり深掘るトーク番組です。

こんばんは、ブランディングディレクターの工藤拓真です。本日のゲストは株式会社一休の榊淳さんに来ていただいてます。榊さん、よろしくお願いいたします。

榊淳氏(以下、榊):よろしくお願いします。

工藤:まったく面識もないのに急にお呼び立てしてしまい、すみません。書籍(『DATA is BOSS 収益が上がり続けるデータドリブン経営入門』)がめちゃくちゃおもしろかったです。

:いや、そんなことを言ってくださる方があんまりいらっしゃらないものですから……(笑)。

工藤:いやいや、そんなことないですよ(笑)。今日は時間をじっくり使わせていただいて、書籍に関することや、ほかのいろんなお話も聞かせていただければと思っております。よろしくお願いいたします。

:はい、よろしくお願いします。

工藤:ではさっそく、榊さんのプロフィールを少しご説明させていただければと思います。株式会社一休、代表取締役社長でいらっしゃいます。もともと大学〜大学院時代から金融工学に関わられていらっしゃったんですね。

:当時、金融を数学的に解くのがはやり始めた頃で、計量経済学というような呼び方をしてましたね。

工藤:金融工学になる前の、全部データにしてやっていこうという流れですよね。

:冷戦でNASAの宇宙旅行がけっこう高まった時期があって、冷戦が終わった頃にNASAのエンジニアたちが失業したんですよ。そのエンジニアはロケットサイエンティストなんですが、モノがランダムに動く動きのことをブラウン運動って言うんです。ロケットサイエンスの基本がそのブラウン運動に則っていて、それが「株価の動きと一緒だよね」となった。

工藤:そういう流れなんですか。おもしろい。

:そうそう、それでウォールストリートにわーっと行って。

銀行員からスタンフォード大学の学生に

工藤:超ハイスペック人材たちが失業しちゃって、そこに流れていったんですか。当時慶應の大学院時代に、アメリカではそういうことが起こっていて、日本でもそういう流れが来るのでは、と思われていた。

:そうです。僕の時代は銀行員ってだいたい同期が300人ぐらいなんですけど、3人だけ特殊数学採用みたいな感じでした。今で言うところの総合職、一般職っていう区分けがあるじゃないですか。それと特殊職、みたいな感じでやっていた。

僕はその特殊職のほうで入って、トレーディング業務に勤しんでたのが、2000年ちょっと手前ですよね。

工藤:なるほど。それでその特殊職としてお仕事されてた流れの中で、2001年にアメリカのスタンフォードに留学されたんですね。この留学も、サイエンティフィックコンピューティングというのとつながっているんですかね。

:そうですね。当時はコンピューティングのマシンのパワーがそんなに強くなくて、計算にすごく時間がかかる。そうするとボタンを押してプログラムが走り始めて、値段を出すのに5分かかるみたいな。「それを1分にしようよ」みたいなのがわりとホットなトピックで、そういった大容量の計算をどうやって速くするかにフォーカスしたのが、ちょうどこの頃ですね。

工藤:ちなみにそのあとコンサルタントとして活躍されますが、そういう数学的に、あるいは確率的に物事を処理していくことに目覚めたきっかけは何ですか?

:応用数学みたいな領域を勉強していて……まあ大学院なので大して勉強してなくて遊んでるだけなんですけど、ビジネスに応用される可能性がある領域が何個かあって。その中で、当時はゲームのおもしろさという観点で「トレーディング」という一番大きな可能性を感じて入ったんですよね。

工藤:もともと数学少年というか、「数学おもしろい」のほうが最初で、それを活かせる場所・ビジネスを選んだんですね。

:国語・算数・理科・社会の中でどれが一番マシでしたかっていうと、算数でしたみたいな感じですよ(笑)。「けっこう勉強もおもしろいね」と思ったのがこの頃ですかね。

パーティーで「君おもしろいね」と誘われ一流コンサルファームへ

工藤:いやいや、そんなレベルじゃないと思いますけど(笑)。じゃあ留学されたあとに、銀行からコンサルタントという立場に変わられて、10年間その技能を活かしたコンサルティングをされていったと。

:それがまったく活かされてなくて(笑)。留学時代って、とんでもない量の宿題が出たり、めちゃくちゃ難しい試験とか受けて、大変な思いをするんですよ。ひいひい言いながら勉強して2年間経って卒業するじゃないですか。それでBCGっていうコンサルティングファームに入ったら、一切使わないんですよ。

工藤:そうなんだ。ご自身の期待としては、そこで磨かれた何かを活かしたいと思って入ったんですか?

:僕は金融とかトレーディングの業界にいきたかったんです。なので留学したあと、例えば米国の投資銀行とかに当然入れるでしょって思ってたんですが、ぜんぜん入れないんですよ。だからもう、しょうがねえなと思って。

工藤:いや、「しょうがねえ」でBCGもすごい話ですけど(笑)。

:スタンフォードのすばらしいところは、スタンフォードにBCGとかマッキンゼーのリクルーティングチームが来るんですよ。僕らは学生寮に住んでて、大学に一番近い超高級ホテルでパーティーとかがあるんです。「タダで飯食えるらしい」「行っとく?」とご飯を食べに行って、お話しして「なんか君おもしろいね」とか言われてそこで働くことになって。

数学とかAIとかも使わないんだけど、ビジネスのダイナミズムという違う競技もおもしろいと思ったんですよね。

一休に入社するまでの経緯

工藤:なるほど。入り口はそういう違和感から入って、でもやってみたらその競技はそれはそれでめちゃくちゃおもしろいぞと。そこから一休に入社されたのは、「データをやるぞ!」と考えて一休にたどり着いたというよりは、ビジネスという文脈で(入社されたんでしょうか)。

:そうです。最後のビジネスコンサルティングのクライアントの会社が一休で、データの活用とかはぜんぜんメインじゃなくて、業績の改善です。

工藤:へぇー、そうだったんですね。そこから入られて、もっとコミットメントをっていうので2016年には代表取締役まで(なられた)。

:最後のプロジェクトが終わったのが2012年ぐらいで、そのあと一休に入社して。そのあと3~4年で創業者の方が売却をされて。

工藤:現在は一休の代表取締役社長という立場でのお仕事もあれば、2023年からLINEヤフー全体の本部長というかたちでのお仕事もされているんですね。

:トラベル領域とかはそうですね。

工藤:そんな榊さんにお話をうかがえればと思っております。

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