2024.11.25
「能動的サイバー防御」時代の幕開け 重要インフラ企業が知るべき法的課題と脅威インテリジェンス活用戦略
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白潟敏朗氏(以下、白潟):今日はよろしくお願いいたします。
徳留慶太郎氏(以下、徳留):よろしくお願いいたします。白潟先生、この度は出版、どうもありがとうございました。
白潟:ありがとうございます。
徳留:私は、すばる舎社長の徳留と申します。本日はお忙しい中、『中小ベンチャー企業を壊す! 人事評価制度17の大間違い』出版記念セミナーに、多数の方にご参加いただきまして本当にありがとうございます。
このあと白潟先生と対談させていただくのですが、その前に、本書の特色・内容に関して、まずは白潟先生から一言いただきたいと思います。
白潟:かしこまりました。それではあらためまして、みなさんよろしくお願いいたします。
4月に『人事評価制度17の大間違い』という本を出させてもらいました。タイトルどおり、中小ベンチャー企業の社長や人事部長の方々が人事評価制度に抱いているイメージを、大変恐縮ながら、「社長、実はそれは異なっていますよ」と、17個にまとめて書いた本です。
詳しくはお読みいただければわかると思いますが、今日はこちらの対談を通じて、そのあたりをより深くご理解いただければと思います。
もしくは、本を読んで納得いかなかった部分がありましたら、今回は質疑応答の時間を後半に設けておりますので、そのあたりもご活用いただいて、1時間のウェビナーを楽しんでいただければと思います。
徳留:ありがとうございます。
徳留:まずは今回、『人事評価人事評価制度17の大間違い』を刊行させていただきました。
いくつか書店さんがあるのですが、本当にありがたいことに、紀伊国屋書店さんでは新宿本店、梅田本店。ジュンク堂さんでは福岡店、池袋本店。三省堂書店さんでは名古屋本店。有隣堂さんでは横浜駅西口店、アトレ恵比寿店、アトレ目黒店等を含め、非常に多くの主要店のビジネス部門で、ベストセラーにランクインしています。
本当にどうもありがとうございます。おかげさまで、日経新聞にも広告を出していただきました。
先ほど白潟先生からもありましたが、私も読ませていただいて、これまで人事評価に多少なりとも関わってきた身として、「これ、間違いなの? 本当?」「これ、正しいんじゃないの?」という、新たな発見がいっぱい詰まった本です。
本日はそうした本書の内容を含め、また、白潟総合研究所の人事評価制度・人材育成について、今日お集まりのみなさんも人事評価に関わるそれぞれの立場から、いろいろ有益なご意見をいただけたらと思っています。
あらためまして、対談を始めます。先生、本当にありがとうございました。ベストセラー、私は本当に誇らしく思っています。
白潟:ありがとうございます。私のほうこそ、たくさんの読者の方に私の本をお読みいただき、本当にうれしく思っています。「この本を通じて、社長が人事評価制度を間違いないかたちでの運用をされるようになったらうれしいな」という思いは、いまだに続いています。
徳留:でも、「人事評価制度さえ変われば、会社の業績が伸びる」「人事評価制度さえ整えれば、一人ひとりの人材がすくすく育っていく」「人事評価で社員全員のモチベーションが上がる」とか、そのような意見がまことしやかに語られていて、私自身も半分信じているのですが(笑)。
そのような誤った認識が広まってしまっている、ということなんですかね?
白潟:そうですね。他の方の本の悪口を言うつもりはもちろんないのですが、悩んでいる社長や人事部長をミスリードしているというか、そういう側面はあるのかなということです。
私も、コンサルタントの仕事が34年目になりました。濃淡はありますが、1万2,600社以上の会社にいろいろなテーマを出させていただいている中で、社長や人事部長の期待値が一番高いテーマが「人事評価制度」なんですよね。
何を期待するかというと、一番は「人事評価制度を入れるとモチベーションが上がる」。もしくは「人事評価制度をアップデートするとモチベーションが上がる」。これが本当に多いんですよね(笑)。
徳留:(笑)。その間違いとかを断言される、ということですね。
白潟:そうですね。
白潟:図を見ていただくと、イメージが湧くと思います。
縦軸が社員の方のモチベーションで、上のほうだとモチベーションが高いプラスの状態、真ん中だとプライスマイナスゼロの状態、下のほうがマイナスの状態なのですが、「人事評価制度がまったくない」「あるけど納得感が低い」という課題がある場合は、プラスマイナスゼロからマイナスになってしまうんですよね。
その課題を解決したり、人事評価制度を構築したりすると、上に上がることはあるんです。ただし、下がったモチベーションがゼロに戻るだけです。
人事評価制度で「ゼロからプラス」はないので、このあたりを誤解なさらないほうがいいのかなというのが、やはり一番大きいですね。
徳留:そこを間違えてしまうと、(モチベーションが)ゼロから無限大に、どんどんやる気がみなぎって上がっていくイメージがありますが、人事評価にそこまで期待するのは無理と言いますか、おこがましいと言いますか(笑)。
白潟:そうですね。社長からすると、その期待がさらに進化してモチベーションが上がれば、「必死になって仕事をする=業績も良くなる」というところまで期待してしまう。しかし、社長の期待どおりには1ミリも行きません(笑)。
徳留:(笑)。ですので、そこを誤解なさらないようにされたほうがいいのかなというのは、大きいですよね。
徳留:そうですね。
徳留:もしかしたら、(人事評価制度に)頼ってしまうこともあるかもしれないですね。
白潟:そうなんですよね。「魔法の杖」みたいな。期待値を持つことまでは共感するのですが、人事評価制度は魔法の杖ではないので、きちんとしないとマイナスになる道具だと思ってもらえばいいのかなと。
徳留:あくまでも、きちんと利益が出る経営というのは、社内の事業そのものです。
白潟:まさしく。
徳留:先ほど「魔法の杖」とおっしゃいましたが、人事評価制度にそこまで期待するものではないと。
ただし、低くなったモチベーションをゼロまで持っていって、納得いくかたちでの運営をできるのであればきちんと機能するし、やはり大切なものでもあるというのが、人事評価制度に対する正しい向き合い方でしょうか?
白潟:そうですね。「評価に納得感がない」「まったく何もないのでどうなっているんだ」という、マイナスの会社も多いと思うので、マイナスがプラスマイナスゼロになるまでは期待してもいいと思います。
しかし、そこから先は別のテーマでやっていくと捉えれば、社長も落胆することはないのかなという感じですよね。
徳留:そうですね。なので、モチベーションは無限に上がることを期待せずに、「マイナスがゼロにはなりますよ」くらいで臨んでいただくほうが、適切な運用ができるのではないかということですよね。
白潟:そうですね。
徳留:白潟先生とは、過去にも何度かいろいろお話しさせていただく機会がありました。そこで私がいつも心を打たれると言いますか、響く言葉があります。
白潟先生は、「私たちは中小ベンチャー企業の社長を元気にしたいんです。私たちはその応援をしているだけなんです」と、いつもおっしゃっています。私自身は経営者という身ですが、その言葉がとても心に残っていて救われると言いますか。
社長という立場になると、どうしても会社という看板を背負っているので、社長個人というよりも、あくまで「会社の経営者」ということで一歩引かれるケースが多いです。
そこを白潟先生はズバッと、「私たちは社長一人ひとりと向き合って応援したいんです」とおっしゃってくださって(笑)。本当に心が楽になったし、救われた気持ちでした。
御社はミッションでも「社長を元気にする」と掲げていらっしゃいますが、白潟先生自身がそう思うきっかけや、「社長を元気にする」という企業理念がとてもすばらしいと思うので、その点においていくつかお話を聞かせていただければと思います。
白潟:ありがとうございます。多少、私の自己紹介的な話にもなってしまいますが、私どもの会社は「中小ベンチャー企業の社長を元気にするために存在する」という企業理念・ミッションを掲げています。
徳留社長には先ほどご評価いただいて、ありがたいなと思うのですが、どうしてそういう企業理念・ミッションを掲げて会社の経営をしているのか。
実は、いちコンサルタントとして、そのミッションのために命をかけてコンサルをしているのにはきっかけがあります。
私の実家は商売をしていましたが、私が高校生の頃に実家の商売が傾いてしまいました。もともと従業員が十数名いた飲食業ではあったのですが、最後は両親と従業員1名の3人くらいで、お店がぜんぜん儲からない。
両親は毎日けんか、お金もなくて経済苦。そんな時に、なんとか父を元気にできれば、我が家庭もハッピーになるという状況だったのですが、いかんせん高校生のアドバイスでお店がうまくいくことはあり得ませんので、結果それは断念しました。
ただしその当時、社長を元気にする仕事として、経営コンサルタントという仕事があると知りました。「だったら自分は、親父のような社長を元気にすることを自分の将来の仕事にしたい」と思ったきっかけが、59歳になってもずっと残っているイメージですかね。
徳留:今は会社も起こされていますが、過去のご自身の経験が原点なのですね。
白潟:そうですね。我々が考える「社長が元気になる」というのにも、具体的なイメージがあって。社長の目が輝いていて、エネルギーが200パーセント出ている状態って、本当に社長も元気なんですよね。まさしく今の徳留社長もそんな感じです。
徳留:ありがとうございます。
白潟:そうすると、やはり会社がうまくいくんですよね。逆に社長の目が歪んでいて、暗くなって、ストレスだらけでエネルギーがないと、ぜんぜん社長からいいアイデアも出ませんし、行動力も減ってしまいます。その結果、経営がうまくいかない。
なので、まずは社長の目が輝いて、エネルギー200パーセントの状態を作り上げることができれば、社長が社長らしく、思いどおりに思いっきり経営できるのかなぁと思います。我々はそんなイメージをして、今はサポートさせてもらっているんですよね。
徳留:すごいですよね。社長の目が輝くようなイメージですね(笑)。
白潟:はい(笑)。
徳留:でも、今は時代的に本当に厳しいですものね。環境が著しく変化していて、なかなか前を向けないという方もいらっしゃると思います。社長さんは苦しいですよね。
白潟:そうですね。
徳留:それと連動して人事評価の話に戻ると、社長のモチベーションが200パーセント上がって、目を輝かせる。そして人事評価の大事なポイントとして、比喩的表現ではあるのですが、「社長はもっと『自分の好き嫌い』で人事評価をしてもいい」という話を、白潟先生はされています。
正しい意味はそうではないと思うのですが、「好き嫌い」と聞くと、一見「社長に好かれなかったら評価されないし、嫌われてしまったら評価されないの?」みたいに誤解されるかもしれないんですが(笑)。
「特に中小ベンチャー企業は、社長の好き嫌いで人事評価を構築してもいいんだよ」という真意を、「これはこういうことですよ」と、誤解なきように白潟先生から参加者のみなさんにお伝えいただければと思いました。
白潟:かしこまりました。本にも書かせてもらったのですが、松井証券の松井(道夫)社長が『好き嫌いで人事』という本を出されて、すごいなぁと(笑)。
徳留:(笑)。
白潟:あとは東大の有名な先生の本に、「社長の好き嫌いで評価してもいいんじゃないか。なぜならば、社長がどういう人を好きかは社員から見たらすぐわかるよね。わかるんだったら、それに合わせればいいじゃん。合わせられないのであれば、卒業して合わせられる会社に行ったほうがいいんじゃないの?」と、ありました。
私もその2人の主張にすごく賛同していて、「社長の好き嫌いでいいんじゃないかな」と、本にも書いています。しかし、この言葉が一人歩きすると、当然社員から「ふざけるんじゃねぇ」という話も出てきます。ですので、私が「社長の好き嫌いでいい」と言っている思いを正確に伝えます。
白潟:おそらく徳留社長も同じだと思うのですが、社長がどんな人を好きかというと、中小ベンチャー企業であれば、成果を出さない社員は好きじゃないですよね。
徳留:そうですね(笑)。
白潟:そうですよね(笑)。これはどこの社長も同じだと思うんですよ。なので、成果は出してもらいたい。なぜならば、給料を払わないといけないからです。成果が出なければ、会社は赤字になってしまう。こういうことは絶対的にあると思うんですね。
それ以外に、社長が本気で経営している場合、企業理念やビジョン・行動指針に賛同しない社員は、やはり好きではないですよね。
徳留:そうですね。もちろん、全員にどこまで望むかにもよるのですが、どうしても「伝わらない寂しさ」みたいなものがありますね(笑)。
白潟:そうですよね。なので、中小ベンチャー企業のどこの社長にも共通している好きな社員は、「成果を出す人」「企業理念やビジョン・行動指針に賛同している人」です。この2つは、おそらくどの会社も同じだと思うのですよね。なので、「普通にそれで評価しちゃってもいいんじゃないの?」というのもあります。
ここから先は社長の個性になると思うんですけど、例えば徳留社長は、元気のいい社員と元気がない社員、どっちが好きですか?
徳留:それは当然、元気な社員ですね(笑)。
白潟:そうですね(笑)。「元気のいい社員が好き」という社長が多いと思うんですが、これも条件になると思うんですよね。
白潟:あとは、会社に貢献したいと思っているか・思っていないかです。これも、やはり「貢献したいと思っている人が好き」とか。結局、企業経営の世界の中であれば、社長が好きな人は「自分と同じ趣味を持っている」とか「性格」ではないと思うんですよね。
なので、そういうことを社長が音声だけで語り続ける。「俺は成果を出す人、企業理念に賛同する人、元気がいい人、周りを明るくする人が好きなんだ。そういう人は評価するよ」と、毎日口で言っていれば、社員もそのとおりになろうとはするじゃないですか。
評価シートがない世界で、社長の頭評価の4つか5つで評価すれば、社員からしてもそんなにムカつきはないと思うんですよね。
徳留:(笑)。
白潟:社員が20人くらいまでであれば、音声で行けちゃうんですよね。
おそらく20人を超えると、さすがに音声だけでは社長が全員を評価しきれないので、「『成果を出す人』をもうちょっと具体的にしようか」「理念に賛同しているってどういうことか」とか、そこをもう少し具体的にする。
例えば、理念が口癖になっているとか、行動指針どおり行動しているとか、「こういう人が好きです」というのを言語化して、5個から10個くらい書いてしまえば、それが人事評価シートになるので、それで評価してもいいです。
私どもの一番の推奨は、それを昇格を決める時の昇格要件にしてしまうことです。
白潟:例えば、1等級、2等級、3等級、4等級、5等級とか、グレード1、2、3、4、5とか、おそらくある程度給与テーブルを整備している会社であれば、等級やランクのレベルがあると思うんですよね。
「等級1から等級2になる時には、これくらいの成果、これくらいの元気度合い」とか、(理念が)口癖になっているとか。そういうものを3個か4個くらい書いて、そのまま文書化して、それをクリアした人がノミネートされる。
そして、「今回は4人がノミネートしているけど、どうする?」「3人までが等級2じゃないか?」「今回は4人行いてもいいんじゃないか?」みたいに、経営会議の議論で昇格する人が決まる、というくらいでいいんじゃないかなという話ですね。
徳留:ありがとうございます。そうですね。なので「好き嫌い」というのは、自分と性格が合う・気が合う、ということではないと。
中小ベンチャー企業の社長だと、もちろんオーナーの方もいるし、その後会社の中から昇格した方や、いろいろなかたちで社長になった方がいるとは思います。しかし、会社の社長でいるということは、「この会社をどうしたいのか」という強い思いがあるはずなので、その強い思いに賛同できる人が好きですよね。
白潟:おっしゃるとおりです。「それでいいんじゃないかな?」という感じはしますよね。
徳留:やはり、そういう人が将来成果を出しやすいし、自分たちの会社で力を発揮して伸びていく可能性があると捉えてもいいのでしょうか。
白潟:まさしくそのとおりですね。そういう人たちが幹部になっていって、社長と幹部が一枚岩で企業理念・ビジョンを体現しながら、日々行動指針をベースに行動しながらやっていけると、社長も幹部もみんなハッピーなんじゃないかなと思います。
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