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【HYOUGE NIGHT】やりたいことを独自の仕事に育てる、たった一つの方法(全5記事)

ダンサーで挫折、28歳で借金1,200万円、人生のどん底に… 転機となったのは、ココイチ創業者・宗次德二氏との“出会い”

スタートアップカフェ大阪が開催する「HYOUGE NIGHT(ひょうげないと)」は、周囲から見ると損していそうな選択をしながらも、自分の感性や価値観を大事に起業し、多様なジャンルで愉快な働き方をしている人(=ひょうげている人)をゲストに迎え、参加者と対話形式で話す集いです。今回のゲストは、『ラッキーマン 何者でもない僕が、何者かになる物語』の著者であり、起業家の若山陽一郎氏。本記事では、メディアでも取り上げられ話題になった「1杯のカレー」のエピソードをもとに、若山氏の人生を大きく変えるきっかけになったできごとについて語ります。

『アンビリバボー』で再現ドラマ化された実話

若山陽一郎氏(以下、若山)『ラッキーマン』という本を出したことによって、人生がどんどん好転していく出来事があったというお話を、今日はさせていただきたいと思います。

本日のテーマがパート1・パート2で分かれているので、今日はこの流れで、時間の限りお話しできればいいかなと思っております。たまに気分で脱線していったら、それはご了承ください。

じゃあ最初に、『奇跡体験! アンビリバボー』で再現ドラマ化された、「1杯のカレーライス物語」というお話をしていきたいと思います。

『奇跡体験!アンビリバボー』という番組、みなさんご存じでしょうか。フジテレビで20年以上続いてる、北野武さんがストーリーテラーをしている人気番組の中で、2021年5月27日に「ありがとうスペシャル」という特番があったんですね。

その中で、3つの物語を再現ドラマ化して放送する企画があったんですが、その時に、なんと『ラッキーマン』の中に書いてある「1杯のカレーライス」という物語が採用されて、20分の再現ドラマになったんです。「なんかそれ見たかも」みたいな、たまたま見た方はいますか? ありがとうございます。

20分見せるとほとんど時間が終わっちゃうので、最初の1分ぐらい、どんな感じだったのかをちょっと見ていただきたいなと思います。

【動画再生】

ここから続く物語があるんですけど……気になりますよねぇ(笑)?

貧乏時代、恋人と2人で食べた1杯のカレー

若山:ココイチ、みなさんも行かれたことがあると思うんですが、ココイチの店員さんってニコニコ、キビキビ、ハキハキ、誰に対しても変わらない笑顔の接客をしてくれるんですね。

(上京してお金が無かった時代、恋人と)2人でカレーを1杯しか食べられなかったんですね。当然、店員さんから嫌な顔をされたり、周りのお客さんから白い目で見られることを覚悟して(お店に)入ったんです。

当時の僕たちは、もうむちゃくちゃ不利益なお客さんじゃないですか。2人で席を陣取って、トッピングもしないポークカレーを1皿頼んでるだけのお客さんに対して、アルバイトの店員の女の子はめちゃめちゃ笑顔で接客してくれて。

僕たちは「取り皿2つください」なんて頼んでないのに、取り皿もスプーンも2つ持ってきてくれて、「温かいカレーを作ってまいりました。ゆっくり食べてってください」なんて感じで、僕たち2人をものすごくもてなしてくれたんですね。

カレーは半分に分けたからお腹はいっぱいにならなかったんだけど、胸がいっぱいになって、その店員の女の子に感謝の気持ちがものすごく湧いてきたんですね。

「あの女の子のアルバイトの店員さんにお礼を伝えたい」と思ったんだけど、恥ずかしがり屋さんの僕は、店員さんを呼んで「ありがとう」なんて言うことができず、テーブルの横に置いてあったハガキを取り出して、そのアルバイトの女の子に感謝の気持ちを書いたんですね。

(ハガキの)最後にちょっと余ったところがあったから、なぜ僕が今、貧乏をしていて、東京にまで来て、彼女と2人で400円を持ってカレーを1杯しか食べられなかったのかという理由までちゃんと書いて、お会計の時にポストに出して帰ったんですね。

1ヶ月後に届いた直筆の手紙の差出人は……

若山:僕の中では、もうそこで終わっていい出来事だったんですが、1ヶ月後にココイチから黄色い封筒が届いたんですね。「なんだろう? 新メニューの広告かな」と思って開けてみたら、中から直筆の手紙が1枚出てきたんですね。

「誰やろう?」と思って読んでいくと、「若山さま、お手紙をいただきありがとうございます」と、僕に対しての返信だったんですね。「お手紙を読ませていただいて、大変心が温かくなり、僕も昔、苦労していた時代のことを思い出しました」。

誰が書いたのかというと、当時800店舗を超える日本最大級のフランチャイズカレーチェーンココイチの社長、宗次德二さんからの手紙だったんですね。

「僕も昔、親がいなくて孤児として育ってすごく苦労してきました。でも、そのおかげでいろんなことに気づけて、その後妻と始めた喫茶店で出したカレーが喜ばれて、お客さんに背中を押されてカレー屋をオープンしました。そのカレー屋を一生懸命やってきた結果、若山さまと出会うことになりました」という感じで、僕に手紙を書いてくれたんです。

「数ある飲食店の中で当店を選んでいただいて、本当にありがとうございます」って書いてあったんです。めちゃめちゃうれしいじゃないですか。だって、日本中に800店舗もあるんですよ。

毎日いろんな手紙が届くはずなのに、僕の手紙に対して直筆で手紙を書いてくれてすごく感動したんですね。

TRFのバックダンサーになるも、味わった挫折

若山:もっと感動したのはその後なんですが、最後に「PS 今回お送りしているお食事券は、僕からの応援の気持ちなので遠慮なく受け取ってください」と書いてあって。「えっ」と思って封筒の中を見たら、なんと3,000円も(食事券が)入ってたんですね。

ちょっと待てよと。僕は380円しか使ってないのに、3,000円もらっちゃっていいのか!? と思ったんですね。だって、宗次さんは確実に2,600円ぐらい損してるじゃないですか。

でも、宗次さんの応援の気持ちがすごく僕の心に響いて、そこから大事に大事にその商品券を使って、ココイチになんとか通うんですね。そこからココイチはすごく好きになって、何回も何回も通いました。

その後、僕は東京でダンスをやっていくことがつらくなって挫折をするんです。なんで挫折をしたかというと、TRFのバックダンサーをやったことによって、いろんな人に圧倒的な力の差を感じてしまって、「僕はこの業界で生きていけない人間なんだ」ということを自分で決めてしまうんですね。

ダンスがうまいと思って東京に行ったのに、東京に来たら自分がダンスがうまくないことに気づくわけですよ。もっと言うと、ダンスがうまいだけでは業界の中で生き残っていけないということも知るんですね。

コミュニケーション能力が高くないと生き残っていけないということを知った時に、コミュニケーション能力がほぼゼロに近かった僕は、ダブルパンチで「無理だ」と思って、ダンスを踊れなくなってしまったんです。

結果的にダンスを辞め、また実家の岐阜に戻りました。ステージの上で輝けないんだったら、せめてでも社会の中で輝こうと思って。「がんばってお金を稼ぐぞ」といって、たまたま出会った社長さんのカバン持ちから始めるようなかたちで、社会に出ていきました。

28歳で借金1,200万円

若山:社会の中で輝こうと思って一生懸命がんばりました。お金を稼げば輝けると思って、一生懸命がんばったんですが、結果を言うと、ダンスを辞めてから4年後の28歳の時に借金を1,200万円しちゃうんですね。「わお」って感じじゃないですか……(笑)。

「さすがにこれはまずい」と思って、僕も人生のどん底を味わっていたんですね。今思えばぜんぜんどん底じゃないんですが、当時の僕からしてみたらどん底だったんですね。

その時に、ある社長さんからメッセージがあったんですが、「もう一度人生を立て直したいんだったら、人の嫌がることをやりなさい」って言われたんですね。

「えっ。人の嫌がることをやったら人生を立て直せるの?」と思ったんです。「どういうことですか?」って聞いたら、「だってお金が欲しいんでしょ。お金って、どうやって世の中で動いているか知ってる?」と聞かれたんですね。

僕は知らなかったんです。「うーん。福沢諭吉は足がついてないから、1人で歩いてこないしな~」みたいな感じだったんですね。

「どういうふうに世の中のお金が動いているか教えてあげるから、とにかく聞きなさい」って言われて、「お金はありがとうの身代わりだ」と教えてもらったんです。

「人が『ありがとう』という感情を誰かに持った時に、その人の元にお金がぴゅって動くんだ。振り込みだったり、ポケットの中から出てきたり、いろんなかたちでお金が動き出す瞬間が人への感謝なんだ。ということは、お金がたくさん欲しかったら、人に『ありがとう』と言われることをたくさんやれば、必然的にお金は集まってくるから、いったんお金のことは忘れなさい」と、言われたんですね。

あの手紙から10年後、偶然の再会が

若山:そこで僕は、人の嫌がることを仕事にしようと決断して、そこからごみ回収業者になるんです。ごみ回収業者って、想像しただけで嫌じゃないですか。なんか朝早そうだし、汚そうだし、臭そうだし、荷物重そうだし、服が汚れそうだし、友だちに馬鹿にされそうだし。

みなさん、ごみ回収業者になろうと思ったことはありますか? あんまりないですよね。「私がやる仕事じゃないかな~」なんて思ってますよね。僕も思ってたんです。でも、その時に、人の嫌がることをとにかくやったほうがお金になるって信じてやってみたんです。

詳しくは後でお話ししますが、人の嫌がることを一生懸命やっていく中で、人からたくさん「ありがとう」と言われる人生に変わっていきました。いろんな出会いがあって、そこで出会ったある1人のお客さんがきっかけで、僕はココイチの宗次さんを紹介されたんですね。

「君は人の嫌がることを一生懸命がんばってるから、ものすごくいい人を紹介してあげる」と言われて、たまたま行った先で宗次さんと出会うんです。今はだいぶはしょってしゃべってるんですが、詳しくは本の中に書いてありますので。

あの手紙をもらってから10年後の出来事です。びっくりしました。そういえば僕、10年前に宗次さんに手紙をもらったことがあるから、当時のお礼を言おうと思って。

宗次さんに、「当然覚えてないと思いますが、10年前にダンスをしていて。貧乏していて、当時付き合っていた彼女と400円でカレーを食べて手紙を書いたら、宗次さんからお手紙と3,000円をもらって人生救われました」なんて言ってお礼を伝えたら、「覚えてるよ」と言ってくれたんですね。

本当かどうかはわからないですよ。でも、たぶん覚えててくれてたんです。「あのダンサーの君か。当時の彼女は元気か?」なんて言ってくれたんですね。ま、ダンスも辞めていたし、当時の彼女にも振られて彼女はもういなかったんですが。

ココイチ宗次氏「おもしろい。君の人生は本になる」

若山:「でも、今はごみ回収業者としてがんばってるんです」と言ったら、「いいじゃないか。その仕事はこれから伸びるよ。人の役に立って、社会に貢献できる仕事だから、絶対に続けなさいね」なんて言われました。

最後に、「君は今からどうなっていきたいんだ?」と言われた時に、すごいことを言われるんですね。これが、僕が本を出したいと思うきっかけになった出来事です。

もう一回話をまとめると、今から20年前にココイチで手紙を書いた。その手紙にお礼が来て、3,000円(分の食事券)をもらった。そこからいろいろあって、10年間借金をしたり、ごみ回収業者になったり、借金を返すために一生懸命がんばっていった矢先に、ごみ回収業を通じて出会ったお客さんから宗次さんに行き着くんですね。

宗次さんに感謝のお礼を伝えた時に、「君はこれからどうなっていきたいんだ?」と言われました。そこで僕は、「いつか宗次さんみたいに、若者に夢と希望を与えられるようなビッグな男になりたいです」って、思いつきで言ったんです……(笑)。

そしたら宗次さんが一言、「おもしろい。君の人生は本になる」って言われたんです。僕は本なんて読んだことなかったし、書きたいなんて思ったことがなかったんですが、「え、なんで僕の人生が本になるんですか?」って聞いたら、「だっておもしろくないか? 『一杯のかけそば』みたいじゃん」と。

『一杯のかけそば』の物語、わかりますか? 「君の人生は『1杯のカレーライス』だ。当時は貧乏で、彼女と2人で1杯しか食べられなかった。そこからスタートする君の人生のサクセスストーリーが、多くの人たちに夢と希望を与えられるようになるんだよ」と。

タイトルも表紙のデザインも、当時宗次さんがお話ししてくれたのをイメージしたものだったんです。僕はすぐさまこれをパソコンで作って、「いつかこんな本が書店に並ぶといいなぁ」なんて思って、携帯の待ち受けにしたり、壁に貼ったりして、ウキウキワクワクしながらその後を過ごしました。

失敗だらけの人生に、初めて価値があると思えた

若山:宗次さんに、「今の君ではまだまだダメだから、今からもっともっと人のお役に立って社会に貢献しなさい。そうしたら、君の人生が、あの1杯のカレーから20年経った人生のドラマが、多くの人たちに感動を届けられることになるよ」って言われたんです。

その瞬間に、「僕の人生には価値があるんだ」と初めて思ったんです。それまでは失敗だらけの人生で、価値がないと思ってたんですね。こんなすごい人に「君の人生は本になるよ」って言われたら、ちょっとは勇気が湧くじゃないですか。

そこで僕は「よし。これからもっと人のお役に立って、社会に貢献しよう」と思って、もう1回人生をやり直そうと思った瞬間です。それが、今から10年前のお話です。

これは、当時僕と宗次さんが初めて会った時の写真です。僕、緊張しまくってぜんぜん笑ってないっていうね(笑)。そこから10年間、宗次さんとのやり取りがいろいろあって、2年前にこの『ラッキーマン』という本が出ました。

本当は「『1杯のカレーライス』というタイトルにしてください」ってお願いしたんですが、「無名の人間が訳のわからないタイトルをつけると絶対に売れないから、タイトルだけはこっちで決めさせてくれ」といって、出版社さんが決めたタイトルが『ラッキーマン』だったんです。

この本の中に、「1杯のカレーライス」が前編・後編で色濃く書いてあるので、もし興味を持たれた方は、ぜひ今日TSUTAYAさんで買っていっていただけるとうれしいなと思います。

海外のメディアからも注目が集まる

若山:このドラマが、今では海外のメディアにも取り上げられていて。そこのメディアに取り上げられると、アメリカのドラマやハリウッド映画のネタになりやすいと言われているので、もしかしたら映画になるんじゃないのか? という話も出ています。

今、映画会社に手を挙げていただいていて、まだスポンサーは決まってないので公には発表できないんですが、実は映画化になる話も出てたりするんです。

もし映画になっちゃったら、やばくないですか? (画像をスライドに表示しながら)あ、これは完全に顔をはめ込んでる画像なので、僕のイメージですからね。

ハリウッド映画になった時に、アメリカで映画完成報告会みたいなやつがあるじゃないですか。その時にはこんなイメージになるかな? という感じの画像です。違和感ないですよね? みなさん、ちょっと目に焼きつけておいてくださいね(笑)。

もし本当に僕の人生が映画になったら、すごいことじゃないですか。「あいつ友だちだよ」って、みなさん自慢してくださいね。これで(会場に)100人とかいたら、ちょっと友だちじゃないかもしれないんですが、この少人数で会ったらもう友だちですからね。

だから、今日みなさんが来たことがラッキーなことになるかどうかは、今後の僕のがんばり次第となっておりますので、がんばっていきたいなと思います。

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