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【HYOUGE NIGHT】やりたいことを独自の仕事に育てる、たった一つの方法(全5記事)

ボランティアで支援されていたのは“自分の心”のほうだった 海外の子どもたちと触れて取り戻した、忘れかけていた価値観

スタートアップカフェ大阪が開催する「HYOUGE NIGHT(ひょうげないと)」は、周囲から見ると損していそうな選択をしながらも、自分の感性や価値観を大事に起業し、多様なジャンルで愉快な働き方をしている人(=ひょうげている人)をゲストに迎え、参加者と対話形式で話す集いです。今回のゲストは、『ラッキーマン 何者でもない僕が、何者かになる物語』の著者であり、起業家の若山陽一郎氏。本記事では、カンボジアで子どもたちへの支援も行っているという若山氏が、世界に飛び出して学んだことについて語ります。

ある人との出会いを機に、カンボジアの支援をすることに

若山陽一郎氏(以下、若山):僕は今、カンボジアの支援をしてるんですね。カンボジアの支援って何をしてるかという話をしたいんですが、この中でカンボジアへ行ったことがある方はいますか? 機会があったら、ぜひ一度行っていただきたいなと思います。

(カンボジアは)日本から4,000キロ離れたアジアの中の1つで、有名なところで言うと、アンコールワットという世界で一番人気が高い世界遺産。旅人がこぞってこの景色を見に来ます。

カンボジアで、学校に行きたいけど行けない子どもたちに出会ったんです。その村では、550人の子どもたちが学校に行けなくて毎日泣いてたんですね。

僕は、学校が目の前にあるのに「学校に行きたくない」と言って、学校をサボってた人でした。でも、カンボジアに行ったら、「学校に行きたいのに行けない」って泣いてる子どもたちがいて。

詳しくは本(『ラッキーマン』)の中に書いてあるんですが、ある人との出会いをきっかけに、カンボジアの支援をすることになるんです。自分がしたいと思って一歩出たわけじゃなく、ある人から背中を押されて、うっかりカンボジア支援をしちゃったことによって、僕はカンボジアに学校を建てることになるんですね。

カンボジアの田舎のほうにクチャオ村という村があるんですが、2013年に僕たちがここに建てた学校に550人の子どもたちが通っています。

僕たちは毎年カンボジアに行きながら、子どもたちといっぱい遊んだり、子どもたちの悩みを聞いたりしながら、日本で何かできることはないかということで、いろいろやってきました。

ボランティアでしか出会えなかった人たち

若山:日本では、服とかサッカーボール、文房具とかを、みんなぽいぽい捨てていくんですよ。僕はリサイクルの仕事をしているから、それを集めてカンボジアの子どもたちにいっぱい届けてきたんですね。

日本人の僕たちが、「もう使わない」と言って捨てたものを、大切に大切に感謝して使ってくれてるんですね。そんなことを、僕はこのカンボジアの子どもたちと出会ったことによって学びました。

まさか、人生の中でカンボジアに学校を建てるなんて予想もしてなかったし、そんな理想もなかったんですが、建てることになりました。

また、このカンボジアの支援をきっかけに、僕の人生の幅が広がっていくんです。みなさんの中にも、ボランティア活動に参加されたことのある方もいると思うんですが、ボランティアや人助けの場所で出会う人たちって、ざっくり言うとおもしろい人たちが多いんです。

例えば、毎年のようにこうやって一緒にカンボジアに行って、カンボジアで泥だらけになって子どもたちと遊んでいる中で、「そういえば、あなたってどんな仕事をされてるんですか?」なんて、ある日突然聞く日があるんです。(ボランティアには)立場や年齢とかはまったく関係なく集まってるので、別に最初はそんなこと聞かないんですよ。

聞くと、「え~!?」っていうような、すごい会社の会長さんだったりするわけですよ。でも、その時点ではめちゃめちゃ友だちなんですよね。一緒の志でカンボジアの支援をしてる仲間だから、そこから新たな仕事が生まれたり、僕の人生がまた良くなっていくきっかけが生まれたりしているんですね。

海外を回る経験をしなかったら、日本の中にいる自分のことだけで精一杯だったので、そんな広い視野を持って外に何かをすることはしなかったはずです。やっぱりこれも、海外に行ったことがきっかけで今の仕事に活きてるなと思います。

支援とは、お互いが幸せになること

若山:(スライドを指しながら)現地の新聞なんですが、僕がどこにいるかわかりますか? 黒くてちょっとわかんないと思うんですけど、ここですね(笑)。画像を大きくすると、よりわかんないという(笑)。

僕らは毎年カンボジアに行っていて、ツアーもやっているので、「行きたいよ」という方がいたらぜひ一緒に行きましょう。こんな感じで、今はうちの会社のスタッフもみんな連れて毎年1回行っています。

最初、僕たちは「支援してる」と思ってたんですが、途中で気づいたのは「支援されている」ということなんです。

なんでかというと、カンボジアの子どもたちと触れ合うことによって、忘れかけていた大切な、人生において必要な、幸せになる価値観を取り戻せるんです。

一見、恵まれていなく見えるカンボジアの子どもたちのほうが、感謝力や幸福度が圧倒的に高いんですね。僕たちは「お金」という支援をさせていただくことをきっかけに、「心」を支援していただいてるという関係が持てるんです。

得られるものが多いから、僕たちは病みつきになって、自分から毎年行くんです。だから、お金と心を交換し合って、お互いに幸せになっているという関係なんです。

お互いが助け合ってるから、この関係は一生続くんですよ。僕が「支援してやっている」ろいう上から目線だったら、たぶん一生続かないんですね。だから、支援ってお互いが幸せになることだなと思って。その関係を作ることが、本当の意味でお互いが支援し合える関係なのかなと思います。

海外に飛び出して気づいた「可能性」

若山:あと、やっぱり世界は自分の可能性を大きくしてくれるなと思います。みなさんも、これからどんどん海外に出ていかれる方たちだと思うんですが、その国、その国にいろんな文化やいろんな常識があります。

そこに自分の体を少し寄せて体感していくと、「私っていい意味でちっぽけだな」「私って、もっともっといろんなことができるかもしれないな」という可能性にいっぱい気づくんですね。

そして海外には、僕たちが考えられないような場所で、いろんな活動をしてる人たちがいっぱいいます。「こういう人生もありかな」と、人生の選択肢がいっぱいできるんですよ。

日本で、人と同じような生活で、同じようなテレビを見て、同じような本を読んで、同じような会社に行って、同じような生活を送っていると、人生の幅は片手で数えるぐらいのパターンしか見えてこなくなると思うんです。

でも海外に行くと、両手では数えきれないような生き方がいっぱい転がっていて、どの人生もすばらしいなと思うので、ぜひみなさんも海外に飛び出していっていただけるといいんじゃないのかなと思います。

じゃあ、今から後半戦に行きたいんですが、ちょっと休憩を挟みますか? 

山下舞氏(以下、山下):休憩とらずにいきましょう。

若山:休憩したい方は勝手に休憩して、いったん寝てもらってもいいですし、コーヒーを買いに行ってもらってもいいですし、自由なスタイルでいきましょうね。今までの話の中で、もし何か質問があればお願いします。

山下:感想でもいいですよね。

若山:ぜんぜん感想でもいいです。

カンボジアでは孤児院への支援も

若山:みなさん、これ知ってますか? 「ライスハスクタンブラー」と言って、スターバックスで売ってるんです。

お米を作る時にもみ殻って出るじゃないですか。もみ殻を廃棄すると、地球のエネルギーを使ったりとか、実はいろいろな問題があるんですが、そのもみ殻を使って作ったエシカルなタンブラーなんですね。良くないですか?

これを持ってるだけで、なんかちょっといい人になれた気分。そしてデザインがかっこいい。下(の階にあるスターバックス)に売ってます(笑)。

質問者3:ありがとうございます。カンボジアでの経験で、今でも一番印象に残ってる光景や、衝撃的だったなということがあればお願いします。

若山:いい質問をしていただけますねぇ。ありがとうございます。まさに衝撃だったことがあって、話したいことがありました。

カンボジアに、僕たちがお世話をさせていただいてる「くっくま孤児院」という孤児院があって、そこには親から離れて生活している子どもたちが30人ぐらいいます。

親が育児を拒否したり、親が病気で死んじゃったり、経済的な理由とかで預けられてしまった子どもたちがいて、一見かわいそうな子たちなんです。その子たちに何かできることはないかと思って、もう10年ぐらい遊びに行ったり、お金の支援をしてるんです。

食料支援を通じて、子どもたちから受けた衝撃

若山:「何が食べたい?」というリクエストをもらって、カップラーメンや日本のお菓子とかを大量に段ボールで持っていくんです。その時に(現地の子どもたちの間では)うまい棒が流行っていて、うまい棒をいっぱい配ったんです。

わーって喜んで、みんな自分の分を部屋に持って行って食べてもいいし、大事に何日かに分けて食べてくれればいいかなぁなんて思ってるんだけど、子どもたちは封をその場で開けて、まずは「はい」って僕たちに食べさせようとしてくるんです。

僕はうまい棒、いらないじゃないですか。「あ、僕はうまい棒いらないんだ。日本に帰ったら食べられるし、もうおじさんだから、うまい棒はあんまりいらないんだよ」みたいな話をしたら、「違うの。一緒に食べたいんだ」って言うわけですよ。

最初はその意味がわからなくて、「いや、本当にうまい棒が好きじゃないんだよ」なんて言って断ってたら、「違うんだよ。一緒に食べることが幸せなんだよ」と言って。今思い出しただけでもちょっとうるっときちゃったんですが、その言葉を聞いた瞬間になんか泣けてきちゃって。

ふだんは子どもたちはお菓子なんて食べられないし、お腹いっぱいにご飯を毎日食べれないのに、自分のお腹をいっぱいにすることより、「一緒に食べる」という体験を通じて幸せになるという選択を無意識でやってるんですよね。

そういう価値観で生きてる子どもたちだから、僕たちは子どもたちから教えられることがいっぱいあって、本当に衝撃を受けた出来事でした。

質問者3:ありがとうございます。私は経験してないんですけど、今のお話をおうかがいして、幸福を受け取ったなと思いました。

若山:ありがとうございます。みなさん、拍手を。

28歳の時、不用品回収の仕事を開始

若山:あとはどうでしょうか?

質問者4:お仕事をされる時に、常に楽しむように心がけられてるということだったんですが、不用品回収のお仕事を始められた時はどうやって楽しまれましたか?

若山:いい質問をされますね。ありがとうございます。僕が不用品回収をしたのは28歳の時でした。軽トラックに乗って、おっきいスピーカーをつけて、町中をぐるぐる回っている業者、いるじゃないですか。まさにあれだったんです。

1日に500件ピンポンするわけですよ。朝8時から爆音で町中をぐるぐる回っていくと、犬には吠えられるし、おじいちゃんには怒られるし、たまにヤのつく職業の方に事務所に連れていかれる時とかあるんです。「誰の許可でやってんだ」みたいな。

そんな中で何を思って楽しむかというと、だいたい100件ピンポンすると、1件か2件ぐらいは家から出てくるんですね。

ほとんどはいなかったり、居留守を使われたりするので、ほとんどのパターンが「ごめんなさい」。100件中20件ぐらい扉が開くんですが、その20件のうちの1割ぐらいしかお仕事にはつながらないんですね。

成功体験をバネに嫌なことを乗り越える

若山:要は、「あなたたち、ちょうどいいところに来た。助かったわ~」って言ってくれる人の確率は、100件ピンポンしたら1人。でも、その1人が必ずいるんですよ。

「あんた、ちょうどいいところに来てくれたわ。テレビが壊れたから持っていってほしかったの」「布団を捨てたかったの」「倉庫の片付けをしたかったの」「庭の草むしりを手伝ってほしかったの」みたいな人がいるんですよ。

その人に出会うと本当に喜んでもらえて、「本当に助かった。ありがとう」って笑顔で感謝されて、お金をいただけるんですね。その喜びを1回味わうことによって、99件嫌な顔をされても乗り越えられるんですよ。

「1日5件の仕事を獲得したいなと思ったら、500件ピンポンする」って、逆算できるじゃないですか。だから、「よし。今日は500件ピンポンして、5人のお客さんの人生を変えるぞ」なんて思っていて。

「助かった! あんたたちが来て良かった」と言ってくれるその1件の出会いが、どのドアからあるのかなってワクワクしながらピンポンしていくと、断られる99件のことがどっちでも良くなるんですね。

なので、何回トライしてもいいから、「あ、これだ」と思う成功体験を1回しておくと、それが癖になって、けっこう僕は嫌なことを乗り越えていけました。

多くのマイナスにフォーカスするのではなくて、一部のプラスにおもっきしフォーカスさせると、そのワクワクで乗り越えていけると思います。ありがとうございます。

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