「ビジネス・教育・書」で活躍するマルチクリエイター

前田鎌利氏(以下、前田):みなさん、おはようございます。前田と申します。今日のウェビナーには、すごくたくさんの方にお越しいただいています。限られた時間なので、バシバシお話をしていければと思います。

だいたい45分ぐらいを目途に質疑応答の時間に入れればと思っていますので、みなさん、Q&Aにどんどんコメントいただければと思います。よろしいでしょうかね? ぜひぜひ楽しんで参加いただければと思います。

さあ、今日(のセミナー)は45分ですけれども、僕は心構えとして必ず、この「一座建立(いちざこんりゅう)」というお話をしております。茶道の言葉なんですけれども、「主客に一体感を生ずるほど充実した茶会となること。会に顔を合わせた人々は心を合わせて、より良き会になるように気持ちを尽くす」ということが「一座建立」の意味合いです。

今日のお話を終えた後でQAが1個も入っていないと、「お前は『一座建立』ができてない」という、僕の大きな反省材料になりますから、ぜひ「うちの会社は・私の部署はこうなんだけれど、どうしましょうか?」というものも含めて、いろいろとQAをいただければと思います。せっかくですので、何か1つでもみなさんにお持ち帰りいただけるものをお伝えできればなと思っています。

簡単に自己紹介します。僕は今、「ビジネス」と「教育」と「書」と3つの領域でお仕事をしていまして、ビジネスでは2013年までソフトバンクに在籍していました。また、今までで14冊書籍が出ており、累計で45万部になりました。

それと、年間だいたい200ヶ所ぐらいのいろいろな企業や学校でお話をさせていただいています。海外でも翻訳本が出ておりまして、教育関係ですと大学の先生だったり、高校生向けに「プレゼン甲子園」というものを開催しております。

2022年は441チームとすごく多くの学校の子たちが参加してくれたんですが、いろいろな企業さんにも参画いただいて一緒に盛り上げております。ご興味があったらぜひまた見てください。

そして書についてなんですけれども、僕は5歳からずっと書をやっていまして、東京学芸大学の書道科を卒業して、そこから独立書家としても歩ませていただいております。いろいろな企業に書を納めさせていただいたり、海外でも講演やパフォーマンスもいろいろしています。

ファシリテーションのポイントは「合意形成」

今日はファシリテーション(のウェビナー)ですが、コロナの影響で、みなさんは今日もオンラインでつながっていますよね。会議のスタイルは大きく変化していきました。一番大きな変化はリモートワークの会議になったところだと思います。

リモートワークの会議になったからと言って、別に「スピードを落としていいよ」ということも当然ないですし、「売上を落としていいですよ」ということもないです。スピード感を持って意思決定をして、結果を残すことがすごく大事なんですよね。

結果を残すために、「意思決定の回数を増やす」ということがむちゃくちゃ大事なんですけど、会議室でのトップダウンにしろボトムアップにしろ、誰かしらがその場で意思決定をするという行為が発生するわけですよね。

この数が増えていかなければ、スピード感もキープできないし、アウトプットも維持できない。しかも限られた時間で決裁をしなきゃいけない。

今日はリモートワークでのファシリテーションという観点から、いろいろとお伝えしていきたいと思います。実際のUdemyの講座の中では、BOC(Business Online Campus:社内のDXリーダーを育成する学習プログラム)というものがあり、みなさんと一緒にもっと実践的なワークショップもやるんですけど、今日はさっと概念編をお伝えしていきたいと思います。

まず、「ファシリテーション」は、三省堂の『大辞林』ではこう書いてあるんですが、キーになるポイントは「合意形成」です。さっき言ったように、合意形成を図れなければ、意思決定されないわけですから、どう合意形成に持っていくかがファシリテーターのすごく大事な役割です。

リモートでファシリテーションを行う上では4つのスキルがあります。「リアルとリモートで何が違うんですか?」と言うと、大きな違いはないんですよ。4つのスキルが必要なことに違いはないんですけども、中身がけっこう違うんですね。その4つのスキルは、「場作り」「引き出す」「整理する」「まとめる」です。

社内ミーティングの4割近くはゴール設定ができていない

「場作り」においては、当然みんなから意見が出やすいような心理的安全性を担保する場作りも必要です。今日はウェビナーだからしょうがないんですけども、リモートワークでは「カメラをオンにする」というようなルールが徹底できているかどうか。

あとは、「5分前集合5分前終了」といったルールがしっかりとリモートワーク用に確立されてないと、みんなで同じ土俵で意見を出し合うことができないですよね。まずこれが1つ目。

そしてもう1つ、「ゴールが明確になっているかどうか」もすごく大事なポイントです。先日、僕がすごく仲良くさせていただいている『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』という本を書かれている越川慎司さんもおっしゃっていたんですけれども。

メーカーさんで会議についてヒアリングした時、実際の業務時間の中でどれぐらいの社内ミーティングをやっているかと言うと、41パーセントぐらいが社内ミーティングだったんですって。全体の業務の中の4割近くが社内ミーティング。

かつ、その中でゴールが明確じゃないものが39パーセント。さらにその中の4割近くがアジェンダがない。ゴール設定ができてないということですよね。つまり、(その場に)座るのが目的になっている会議だったというのがわかったそうです。

これはちょっと大変ですよね。「そんなムダな会議をしちゃいけないな」というところなんですけども、まずはこの2つ(ルールとゴールの設定)をしっかりする。

意見を引き出すための「質問力」を鍛える

その上で「みんなからどうやって意見を引き出せるのか」。特にこれからのリモートワークはデュアル会議になるので、出社して会議室に何人もいらっしゃるところと、今日みたいに個々人でリモートで入ってくる方々がいらっしゃると思うんですよ。

これらが混在するデュアル会議がまあ難しいんですね。なので、こういった時にいろいろなツールを活用できるようにしたほうがいいですし。

あと、「質問力」はすごく大事なんですね。この質問力をどう鍛えていくか。今、一例としてifクエスチョン、「もしも」というものを入れていますが、これ以外にもいくつかありますので、後でご紹介したいと思います。

ツールについて、今日はZoomを使っていますが、ZoomのWhiteboard、オンラインホワイトボードもかなり使い勝手が良くなりました。付箋のようなものも貼れるようになりましたし、もちろんサードパーティーのMiroなど、みなさんが使い勝手のいいもの(が使えるようになっています)。

もちろんGoogleでドキュメントを共有しながらでもいいので、それぞれの会社に合わせてチューニングをしながら、いろいろなツールを使っていい会議にしていくことが大事なポイントです。

アイデアを出す時に役立つ「オズボーンのチェックリスト」

アイデアを出そうという時は、「オズボーンのチェックリスト」というものを講義の中でもご紹介しています。ブレストを提唱した(アレックス・F・)オズボーンさんが、9つのボックスに(質問を)入れてちょっとアイデアを発展させていくと、たくさんのアイデアが膨らんできますよというものですね。

ここに一例が出ていますが、例えば会社の中だったら、もともとこういうボックスを渡して、「ここに1人1個は入れてきてね」というふうに渡せば、アイデアはいっぱい出てくる。

会議が始まってから、「じゃあみなさん、付箋に書いてアイデアを出しましょう」と言うと、考える時間も与えなきゃいけないし、整理する時間も取るとなると、けっこう時間がなくなっちゃうんですよね。だから、こういうフォーマットやツールを上手に使っていくといいです。

アイデア出しの時にファシリテーターがどういう声がけをするといいかということと、質問力ですけども、とにかく全員の意見を出させるためにアイデアを否定しません。さらにアイデアを出してもらうような問いかけ、追い質問をしていくといいです。事前に「どういった質問をすると、みんなからアイデアが出るかな?」と考えていただけるといいと思います。

さらにアイデアを出させるために、「〇〇さんの意見に対して、さらに何か発展させられるものってないですか?」という問いかけをしてみる。発言が苦手な人も、他の人の意見にちょっと被せたりアレンジするならやりやすいんですよね。こういったアイデア出しのファシリテーション、問いかけもいいと思います。

議論をロジカルに整理できる、8つのフレームワーク

そして「整理する」。全体を見ながら論点整理をしつつまとめていくところなんですが、やり方はこれです。図解(フレームワーク)を上手に使っていくと、みなさんの議論も視覚的に整理されやすいので、後で「あれ言ったっけ?」「これ言ったっけ?」というのは当然出てこなくなりますよね。

もう1つはロジカルシンキング。ロジカルに考えてロジカルに整理していく。発言する人にもロジカルに伝えていただきたいですし、整理する時もロジカルに整理していくことがポイントになってきます。この「フレームワーク」は全部で8つありますので、ご紹介したいと思います。

まず1つ目が基本ですね。「四角+矢印+四角」はベーシックで、これでだいたいみなさんのコメントを図解化できます。例えば、東京から大阪まで新幹線(で行く)みたいな感じですよね。

そして、この矢印は、向きを変えてライバル関係を出したり、太い線で結んで業務提携を表すようなこともできます。いろいろな見せ方がありますので、ある程度慣れてくると、「〇〇さんが言ったことに対してこうで」と図解も上手にできるようになっていきます。

2つ目が「マトリックス型」。これはSWOT分析でよく使います。あと、メリット・デメリットも使い勝手がいいと思います。「どういうメリット・デメリットがあるか、みんなで意見を出し合ってまとめてみましょう」というのも、マトリックスを使うとわかりやすいです。

あとは「時系列型」。これは何かしらかプロセスに則っていろいろと進めていく上で、「何か課題感がありますか?」「抜け漏れはありませんか?」と、時系列でそれぞれ洗い出していくもの。

そして、「サイクル型」。これもPDCAや春夏秋冬など、実際にどう回していくかという時にはこんな図解(を使います)。それと「サテライト型」は、ステークホルダーごとに並べたりする時によく使いますね。

6番目が「ロジックツリー」です。何かしら分解していって、MECEに抜け漏れなく作っていこうと。こういう分岐をさせていって全体像をしっかりと把握していくというのもあります。

そして、7番目がグラフを用いて表記していく「グラフ型」です。

最後の8つ目が「ポジショニング」ですね。「自社のポジションはどこだ」「サービスの特性はどこだ」という競合比較。

よく日本酒の辛口とか甘口みたいなもので見たりもしますが、ポジショニングも図解の1つです。