2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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勝浦雅彦氏(以下、勝浦):『漫画でわかる! 「つながるための言葉」』というものを、べつやくれいさんが書いてくれてるんですが、よくビジネス書では「漫画でわかるシリーズ」というものがあるじゃないですか。
芳村瑞恵氏(以下、芳村):ドラッカーの『マネジメント』とか。
勝浦:『もしも高校野球の女子マネがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』『漫画でわかる「嫌われる勇気」』『漫画でわかる「人を動かす」』とか『漫画でわかる7つの習慣』とか。そういうものをパロディした漫画です。ネットでも読めます。
だいたいこういう漫画は、必ず最初に主人公がトラブルに陥るわけですね。上司から無茶振りをされるんです。企画プレゼンが苦手で「なんとかしろ」と上司から無茶ぶりされたり。「私が責任者ですか?」と動揺する。だけど、仲間がぜんぜん言うことを聞いてくれなくて総スカンをくらう、みたいな。
そして主人公は悩みます。悩んでる場所は、公園だったり家の近くだったりといろいろあるんですが、「ひどい」って公園で悩んでいると、必ず「賢者」と呼ばれる人が現れます。
芳村:救世主が。
勝浦:これは僕がやってますが、「どうしたんですか?」って救世主が聞きにくる。主人公が「いえ、なんでも……」「そう言わずに話すだけでも……」と言って、トラブルを聞いて、結論として本のタイトルを言うんですよ。「それを解決するのは『つながるための言葉』です!」と。
芳村:なるほど。
勝浦:そして必ず主人公が(本のタイトルを)復唱するんですよ。「え、『つながるための言葉』?」みたいに。
芳村:あるあるな流れ(笑)。
勝浦:1〜2個具体的な悩みを聞いてあげて、「企画書は派手に演出すればいいのか」「企画を理解できないのは、客の頭が悪いからかなと思ったりしてます」と主人公が間違った結論や固定観念を言って、救世主がやれやれといった顔をする。
「そうじゃなくて、例えばごちゃごちゃ書いてあるメニューより、シンプルでわかりやすいメニューを選びますよね?」と言うと、主人公がここで「はっ!」と気づく。ここで、本の内容に即した気づきが必ず出てくるんです。
「どんなプレゼンでもつながるための結論は1つ!」「そうです!」と言って、必ず解決策が本から引用される。「この方法でやってみよう」と上司や会社のみんなに提案すると、あっという間にすべてが解決するんですね。みんなが全部言うことを聞いてくれて……。
芳村:ハッピーエンド(笑)。
勝浦:「これからも『つながるための言葉』でがんばっていこう!」とタイトルをダメ押しで言ったあと、一番最後には必ず昭和のギャグというか、オチが入るんですね。このオチをツナガールにしました。
芳村:そのオチはどこに出てくるの? 漫画?
勝浦:左下にある「Tシャツ、ツナガールって気づいた?」「は? さむっ」という、昭和のギャグみたいな(オチです)。この後、ぜひ書店に行っていただきたいんですが「漫画でわかるシリーズ」は本当にだいたいこうなってますから。
芳村:もう、全部流れが一緒だと(笑)。
勝浦:一緒です(笑)。
芳村:おもしろい。
勝浦:あとで、ネットでじっくり見てください。ごめんなさい、すごくどうでもいい話をお聞かせしました。
芳村:本題に戻りましょう。この本、「伝わらないのは当たり前」という前提に立つのがおもしろいですよね。
勝浦:そうですよね。実は、このサブタイトルが響いたと言ってらっしゃる読者の方がけっこう多くて。
「伝わらない」という前提に立つと気持ちも楽になるし、ちょっとだけでも伝わった時にも「うれしい」ってなるんだけど、どうしても人は全部を伝えようとすることが多くて。相手も他人を100パーセント受け入れるような受容体ではないので、そこで齟齬が出て人は苦しむんですよね。
コミュニケーションの中でもよくあると思うんですが、好きなものがあったとします。例えば、「この映画がめっちゃ好きなのよ」「その映画って何がいいの? 教えてよ」という時に失敗するケースとして、その映画を逐一説明しようとする人が多いんです。
つまり、「こういう設定で、こういう主人公が出てきて、こんなふうにストーリーが進んでいく。で、最後はこうなる。だからこれが好きなの」とその話が終わる頃には相手が疲れてしまっている。
僕がよく言っているのは、説明するならたった1シーンでいいです。映画なら映画、本なら本で、「主人公と恋人が船に乗り込むこのシーンが好き。なぜかと言うと、私がかつて経験した場面とと同じだから」とか。
あるいはぜんぜん映画に関係ないんだけど、「この映画で流れている音楽が好き。かつて私が好きだった音楽であり、今も好きだから」とか。この伝え方で何を表現できるかというと、みなさんの「キャラクター」なんです。
自分が本当に好きな1シーン、1小節にしぼってきっちり伝えることによって、相手に伝わるんです。だから、「伝わらないのが当たり前」というのは、100パーセント伝えようとしても伝わらないので、自分が本当に伝えたいことだけを伝える方法に切り替えましょう、という意味になります。
芳村:なるほど。1つにフォーカスをさせるのが大事なんですかね。自分が好きなシーンもそうですが、どういう観点で、何にフォーカスを当てるのがポイントなんですか?
勝浦:基本的には、自分が好きで心が動いたシーン。「人に伝える」ために、なるべく集約された切り取り方で伝える。いろんな講義をやっていて、「そうなんだ」と思ったのが、人ってすべからく映画をストーリーの流れや俳優の演技で「おもしろい」「おもしろくない」と判断しているように思うじゃないですか。
ところが、さっき言ったみたいに、ずっと劇中の音楽を聴いてる人もいるわけです。あるいは、映画に出てくる食事に興味を持ってそればかり見ている人や、どれだけ左利きの人が出てくるかに注目して見ている、なんて人もいるんです。それぐらい、人の興味はそんなに一定のものではないんです。
でも、そういう人から「この映画は料理がめっちゃおいしそうなんだよ」「この映画は左利きのやつがいっぱい出てくるんだよ。なんでかなぁ?」と言われたほうが、興味が湧きますよね。
大まかなストーリーはあらすじを見ればすぐにわかるので、そんなことを説明するよりは、「私」というフィルターを通して感じたおもしろみ・楽しさを相手に伝えることで、おもしろさが伝わる、そしてあなたのキャラクターが伝わるということですね。
芳村:なるほど。
勝浦:だからやっぱり、自分の心が激しく動いたところを見つけていく。自分の感受性みたいな部分を見つめることですね。自分の心の動きに敏感になっていくのは、けっこう大切なことかなと思います。
芳村:ちなみに私も、映画はロードムービー系が好きなんですよ。いろんな国の風景だったり、旅行してる感じをすごく見ているなと、今の話を聞いていて思って。きれいな風景が多い映画が好きだったりします。
勝浦:だったら、本当にそのシーンを伝えればよくて。あらすじを延々としゃべった挙げ句、ようやく「この親子がたどり着いた、あのミネソタのウッドランドの牧場に落ちる夕陽がすごくいいんだよ」と言っても、聞く前に相手が疲れちゃってるんですよ。
だから「私はこの映画のこのシーンが好きだ。なぜならこういう理由で、主人公と息子が並んで夕陽の中を歩いてるところに私は泣ける」って聞いたほうがグッとくるんです。
芳村:なるほど。何かを伝える時には、自分の心が動いたところにフォーカスをする。このポイントを押さえただけでも、すごく伝えるのがうまくなっていきますね。
そこに関連してですが、本の中に「プレゼンテーションの極意」という章があるんですが、勝浦さんにとってのプレゼンの極意を教えていただけたらなと思います。
勝浦:広告業界においてプレゼンは花だと言われています。よくプレゼンは「密室のエンターテイメント」なんて言われますが、基本的には考えて準備して練習することだと思います。この本の中で貫いて言ってることなんですが、プレゼンは、伝えることの最たる例ですね。
勝浦:人前でプレゼンを練習しようとする時、「プレゼンは過度に演出しないといけないんじゃないか?」と思っている方が多いんです。そうではなくて、まずは伝えたいことがしっかりとあって、それを伝えるためになるべく削ぎ落とす。考えて準備している段階がすごく大事です。
だから、プレゼン前にほとんどプレゼンは終わっていると言われていますし、僕も本当にそう思います。その上で「練習する」というのは、少しでも伝えやすくすること。繰り返しになりますが、過度にやるんじゃなくて、削ぎ落としてシンプルにわかりやすく伝えることが大事です。
もちろん、芸風としてすごく突拍子のないことをやる人はいますが、あんまり(ビジネスの場で)ウケているのは見たことがないです。
「巨匠」と呼ばれる人のプレゼンを何度かお仕事で拝見したことがあって、すごくドキドキしながら「どんなすごいことをするんだろう」と思ったら、ものすごくシンプルでした。しかし的確で、1センテンスが短いから飽きずに、「すごくいい企画だな」と思わせられて、余韻もあって気持ちよく終わるんです。ああ、こういうことなんだなと思いましたね。
言葉多くとか、言葉を飾って、という感じではまったくないんですね。あくまで自分が伝えたいことをシンプルに、なるべく伝えやすくすること。強いて足すとしたら、冒頭で鉄板のジョークを言うとか、タメをつくるとか技巧も少しあると思うんですが、あんまりそこにこだわらなくてもよくて。まずは、伝えたいことが企画や案として、言葉として、しっかりしているかどうかを見たほうがいいと思います。
芳村:なるほど。
芳村:そうそう、本の中で「なんで校長先生の話はつまらないのか?」というのがあったので、ちょっと気になったんです。確かに、校長先生の話はおもしろくない。もしかしたらすばらしいスピーチもあったと思うんですが、覚えてるものが1個もないです。これはどういうことですか?
勝浦:すごく端的に言うと、「立場によって人が聞いてくれていること」を忘れがちになるからだと思います。つまり、偉い人の話って相手も強制的に聞かなきゃいけないじゃないですか。でも、偉い人はあんまりそう思ってないことがけっこうあって、「自分がいいことを言うのをみんなが待っている」と思いがちなんですね。そこはすごく間違いだなと思っていて。
こうやって話す場でもそうなんですが、おそらく私に対して、みなさんもある程度の期待を持って聞いてくれてると思います。でも、みなさんも当然、このコミュトレに対して「僕の話を聞くためだけ」にコミットしてるわけじゃないですよね。人によっては、「この人の話は私の欲しいものとズレてる」と感じている方がいらっしゃる可能性も大いにあると思います。
それをわかっていないと、退屈そうな反応がかえって来た時にがっかりしちゃうんですね。だから講師側も、「聞いてくれない」という前提を持つ。その上で、いかに的確にその場に求められている「果実」を提供できるか。
勝浦:例えば学校の先生だったら、運動会が終わった後の翌週、「みんなが疲れている中で長い話をしたら、みんなが倒れちゃうかもしれない」と考えてるかどうかなんです。
人前で何かを語る人は、「与えられた立場によってあなたの話を人が聞いてる」ということをちゃんと自覚した上で話すことが大事だと、本の中の校長先生のエピソードで書いています。
芳村:なるほど。
勝浦:ちなみに、この本を母校の高校に献本したんですよ。そしたら、校長先生からお礼の手紙が来たんです。(手紙の)最後に「あなたは『校長先生の話はなぜつまらないか』と書かれました。おっしゃってることはすごくわかりました。ですが、私は私なりにおもしろいと思って一生懸命語ってきたつもりです……」と。なんか、先生に悪いことをしたなと。
芳村:(笑)。それを書いちゃう時点で、ぶっちゃけ私の中では「ちょっとわかってないんじゃないかな?」って思っちゃうところもありますね。
勝浦:(笑)。でも、書いてよかったと思います。
芳村:そうでしたか。
勝浦:当たり前ですが、校長先生は校長先生なりにいろいろ考えてるんだな、ってわかりましたし。すべての校長先生の話がつまらないわけではないんです。本書の中でも、私がすごく感動した校長先生のスピーチの例を入れています。つまり、校長先生はあくまで1つの例でしかなくて。
繰り返しになりますが、人は立場によって話すし、立場によって聞くので、そこをちゃんとわかった上で話そうということです。
勝浦:最近、大学で教授と学生がけんかしている動画が拡散されていましたが、スピーチって人間にスピーカーがくっついて音が出てるわけじゃないので。(話す側も)人としてちゃんとしゃべってるんだから、つまんない部分があったとしても、聞く側も「この部分はリスペクトして、ちゃんと聞いてあげよう」とか、お互いの信頼関係が大事です。
これはセミナーや講義に留まらず、LIVE、演劇、会議などあらゆる不特定多数が居合わせる場においてそうだと思います。
例えば、質問によって建設的に「先生、もっとこういうことを話してくださいよ」と言ってみるとか、相互に作りあげていくものなんです。だから聞き手が完全な受け身だけでは、いい講義や講演、スピーチにはならないんじゃないかと思います。
芳村:そうですね。自分が話す立場であれば、当然「聞き手は聞いて当たり前」という前提は考え直す。自分がいくら立場が上だとしても、相手が聞くのが当たり前だとしても、そうではなくて「聞いていただいている」。
コミュトレでは、for youの考え方、for youの精神がコミュニケーションのベースであり、コアなところであるとお伝えするんですが、変におごらずに、相手のことを思って台本を作って伝えていくことが大事ですね。
勝浦:そうですね。だから今日、参加されているみなさん本当にすばらしいですね。チャットにちゃんと意見を書き込んでくれているし、キャッチコピーも恥ずかしがらずに出してくれてる。別に無理やり反応をしてあげる必要はないけど、無反応だと相手もノらないじゃないですか。
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