2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
kintone AWARD③相互電業株式会社(全1記事)
提供:サイボウズ株式会社
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今野愛菜氏(以下、今野):みなさん、こんにちは。本日は「私たちのエゴで幸せな未来はkintoneで創る」をテーマにお話しさせていただきます。
さっそく自己紹介です。今野愛菜と申します。経歴は販売(職)から総務事務員に、犬のために定時帰りの会社に転職しました。なのでIT経験は特にありません。趣味は溺愛してる愛犬の茶々丸と散歩をすることです。
そしてもう1人、登壇者をご紹介します。茶々丸です(笑)。出身地は愛媛県今治市で、なんとサイボウズの青野慶久社長と同じということで、サイボウズさんと出会う運命だったのではないかなと思っています。
本日、私たちがお話しするのは、「IT担当未経験の総務事務員でも現場主体の業務改善ができたメソッド」です。その舞台となった相互電業は、北海道帯広市にある、創業65周年を迎えた電気工事会社です。10代から80代の幅広い年齢層で構成された、約30人で運営をしております。
そんな私たちがkintoneを導入したきっかけは何だったのでしょう? あれは約3年前の秋でした。定時に私が急いで家に帰ると、暗闇に浮かぶ犬の顔。
この顔を見て、私はふと思いました。「茶々丸は幸せなのだろうか?」。
いくら定時で帰れるとはいえ、約9時間はひとりぼっち。お散歩にも行けなければ、おやつも食べられません。私は「絶対に幸せではない」と思い、考えてみました。犬ともっと一緒にいて幸せにしてあげたい、しかし仕事はどんどんがんばっていきたい。「そうだ、在宅勤務をしたらいいのではないか」。このエゴこそが、私たちのスタートとなったのです。
今野:しかし、在宅勤務をしたくても周りにしている人は1人もおらず、どうやったらできるんだろうといろいろ探して、とあるサイトを見つけました。サイボウズのオウンドメディア「サイボウズ式」です。
ここでは、100人100通りの働き方を実現できていること、さらにそれを支えているツールがkintoneであること、kintoneは業務改善も行っていることを知りました。kintoneはノーコードで誰でも作れるため、「これはkintone導入一択だ」と思ったのです。
相互電業の抱えていた問題とはどんなことだったのでしょう? よく聞こえてくるフレーズがありました。「工事のことは担当者に電話して!」。工事の情報は担当者の頭の中のみで、30人30通りの業務フロー。つまり超属人化していたのです。
さらに、「kintoneという新しいシステムを入れようとしている」と噂が広まっていくと、こんな声をかけられました。「もうシステムは変えないで!」。話を聞いてみると、システム担当者は社長1人。各業務のみに特化したバラバラのソフトで、“青い雲”を導入するも、現場は使いこなせずに「システムアレルギー」を引き起こしていたのです。
社長は良い会社を目指してシステムを導入しているのに、現場は現場で「工事に集中したい」と変化を嫌っていました。全員が、自分の世界しか見えていなかったのです。
ここで導入方法についてすごく悩みました。「超属人化でシステムアレルギーの会社に、新しいシステムを入れられるのかな?」と悩みに悩んだんですが、(最終的に)私たちは導入に成功するのです。
今野:そのポイントを3つご紹介します。まず1つ目は、「問題解決メソッド」という考え方を使うこと。2つ目は、「ざつだん」をしていくこと。3つ目は、kintoneで実現していくことです。
1つ目の「問題解決メソッド」は、サイボウズ式で教わりました。この考え方は、問題は「理想と現実のギャップ」であり、理想があるからこそ問題が発生してしまう。そして現実から理想にいくために課題がある、という考え方でした。
この考え方を使って行ったのが、導入2つ目のポイント、「ざつだん」です。3段階にわけて行っていきました。まず、1人システム担当者だった社長と話してみたのです。すると、理想が(私と)同じだということがわかりました。
働き方を改善して社員を幸せにしていきたい。そのためには脱属人化が必要。そしてもちろん、お客さんへの対応力もアップしたい。それには、正確で迅速な経営情報がほしい。このようにして、まず仮の理想を作成しました。
ここで視点が1つ足りません。現場の視点です。そこで現場の人も巻き込んで「ざつだん」をしていきました。「システム移行プロジェクト」というタイトルで、興味がある人や聞いてみたい人は全員自由参加で、「こうなっていたいよね」という理想から、実際にどんなアプリを作るかという導入について話し合っていったのです。
そして、作ったアプリをみんなで「ざつだん」しながら使ってみました。ただの導入説明会だけではなく、ワークショップも開き、問題を解決できるのか一緒に体験したのです。
ここで導入3つ目のポイント、kintoneです。このkintoneのポイントは、設定の柔軟性にありました。kintoneの入力(のハードル)をぐーんと下げるために、プロセス管理を図解化したり、変更履歴を表示(したり)、さらには「ここが使いづらい」という意見もすぐに伝えられるようなリンクを貼ったのです。
さらに、「順番と項目名がわかりにくい」「ルックアップって2文字以上なの?」といった声にもラベルを使って補助をし、自分の意見が反映された「わたしのkintone」となるような構築を行っていきました。
今野:このようにして、精算請求業務の導入効果(として)なんと作業時間が50パーセントも削減(されました)。導入は大成功したのです。茶々丸と一緒にいられる在宅勤務にも、1歩前進しました。
このままどんどん改善をしていこうと思ったのですが、失敗してしまいました。
「問題を解決していこう!」というその一心でアプリを作って提案しました。しかし、使われない。「なんで使ってもらえないんだろう」「使い方がわからないのかもしれない」「1歩踏み出す勇気がないのかもしれない」と思った私は、呼びかけて呼びかけて、呼びかけました。
すると、無反応。次第に反応がなくなってしまい、空気も悪くなってしまいました。「こんなことをしたくて業務改善を始めたわけじゃない」と思った私は、呼びかけを止めて、勇気を出して聞いてみたのです。
すると、「別に今、困ってないです」「そのアプリじゃ不便になる」といった声が聞こえてきました。ここで私は気づきました。成功した時との違いを、問題解決メソッドで比較してみたのです。
まず、導入時はみんなで同じ「理想・現実・課題」を見て一緒に作り上げていったのですが、今回は私の「こうなっていたらいいだろうな」という理想と、現場がほしかった理想が違ったので、ほしいアプリのかたちも違ったのです。
今野:ここで、みんなで改善していく方法に悩みました。悩んで悩んで、私たちは「現場が主導できる業務改善の環境」を作っていったのです。
このポイントは2つあります。まず1つ目は、一人ひとりの意見を大切にすること。2つ目は、部門代表で話し合っていくことです。このサイクルを回していきました。
まず「一人ひとりの意見」は、みんなでワークショップを開き、部門代表の意見は部門代表でざつだん会を開きました。それぞれの部門が問題点を持ち寄り、「今、会社の中で一番の問題点はどこなんだろう」「その問題を解決するのは、どんなアプリのかたちなんだろう」「それとも紙で変えてみる(のはどう)だろう」。それぞれのスキームに合ったように改善していったのです。
このようにして、みんなで同じ「理想・現実・課題」を見ながら、継続した業務改善ができる環境が整いました。
ここで実際にやってみたのは案件管理です。私たち(の仕事)は超属人化していたので、まずは頭の中にある情報をスレッドで共有してみました。すると、今までアドバイスをもらったことがなかった先輩社員から、「その工事、得意だよ。一緒に行こうか?」と声かけが生まれました。(お互いの業務が)見えるようになり、チームワークが生まれたのです。
スレッドだけの管理では限界があったので、アプリに移行してみました。すると「あの人忙しそうだな」という感覚(だけだったもの)から、どこのステータスで、誰がどの工事を何件抱えているのかということが目で見えるようになり、さらにチームワークもアイデアも生まれていったのです。
今野:そして私たちは、kintoneの標準機能だけでは足りなかった、さらに便利になるカスタマイズやアプリ間の連携、それぞれ(の業務)に特化した連携サービスを活用していきました。
そこで作ったのが「日報」です。今までExcelで手入力をしていたり、集計業務を行っていたのを、kintoneアプリにしました。すると、シフト情報を取得しながら毎日レコードを生成したり、打刻情報を自動で反映したり、入力しやすいように必要な情報だけを表示できるカスタマイズ(をしたりしました)。そしてさらに毎月自動で集計できるようになり、集計業務がなんと「ゼロ」になったのです。
先ほど紹介した案件管理でも、さまざまな機能を追加していきました。中でも、原価管理(の例)をご紹介します。原価管理は、今までの会計システムでは月に1回の締めを待って伝票をもらうか、納品書を(見ながら)電卓を叩いて計算するしかなかったんですが、kintone上にいろんな情報を集めることにより、原価管理が毎日自動で更新されるようになってきているのです。
このようにして、私たちは2年間でアプリを127個、スペースを57部屋作りました。1人でどうにかしていた、30人30通りの超属人化の業務フローから、30人で協力し合う1つの業務フローになっていったのです。
今野:茶々丸と一緒にいられる在宅勤務まで、あと1歩のところまできました。ここでご紹介したいのは導入効果です。(業務時間を)年間1,000時間も削減、さらには経費も(年間)400万円の削減ができました。
そしてなんと、風土が変わったのです。現場からアイデアが出てきて主体的になり、30人30通りの人事制度が確立されました。こちらも3つご紹介します。
まずはスポーツ支援制度です。外部のスポーツクラブに属している人には、有給をプラス5日、活動費も5万円を補助(します)。さらに犬連れ出勤制度。犬を会社に連れて来ていいという制度があります。実はこの写真は私です(笑)。そして最後に、在宅勤務制度ができました。今では5名ほど利用しています。
そして、私の「茶々丸と一緒にいたい」という在宅勤務のエゴも、ついに達成することができたのです!
(会場拍手)
今野:ありがとうございます(笑)。ここで、みなさんが今一番気になっている「茶々丸は幸せになったのかどうか」について、3つの指標でお知らせします。
まず、1年間でお散歩距離はなんと2,080キロも(増えました)。さらに写真枚数は2,300枚、一緒にいる時間は3ヶ月も増やすことができました。茶々丸は幸せになっていきました。
(会場拍手)
今野:話を戻しまして、この先の相互電業の予定です。私たちは相互電業のメンバー、協力業者、お客さま、みんなが幸せになれる会社を目指して、この先も業務改善とkintoneの構築を行っていきたいと思います。
そして、最後に伝えたいことがあります。「あなたのエゴが業務改善の種になります」。あなたの「こんなふうに働きたいな」「もっとこうなったらいいのに」というエゴこそが、業務改善の種になります。その時に、今日の私の話が参考になるとうれしいです。本日はありがとうございました。
(会場拍手)
相馬理人氏(以下、相馬):今野さん、ありがとうございました。
今野:ありがとうございました。
相馬:それでは、今野さんのZoom応援の方々をお呼びしたいと思います。Zoom応援団のみなさーん! あ、(茶々丸が)いましたね! こっち見てー! 会社の方など他にもたくさんいらっしゃいますね。ありがとうございます。
それではさっそくお話をお聞きしたいんですが。茶々丸の愛らしさに目がいきがちなんですけれども、入力をしやすくするコツや、理想をちゃんとすり合わせるなど、参考になるところがたくさんあったと思います。
その中で、やはり現場との「ざつだん」やワークショップを積極的にやられていたなと思っています。悩んで悩んでその方法になったとおっしゃっていましたが、他の選択肢ではなくその方法を選んだ理由や、なぜそこに行き着いたのかというところを、もう少し詳しくお聞かせ願えますか?
今野:やはり私は現場を知らないので、「こうなっていたらいいだろうな」と思っているかたちと、暑い外の現場で(業務を)やりながら携帯のアプリを触るのは、ぜんぜん違う環境です。
どれだけ自分が相手の環境を想像できるのか、相手はどんな状況を望んでいるのかというのは、やはりフランクに「ざつだん」しないと見えないことがとても多かった。話してみて知ったところは大きかったですね。
相馬:なるほど。システムアレルギーもあったりして、すごく勇気が(いる)1歩だったと思うんですが、その1歩を踏み出して現場と会話したからこそ、今回のようにうまくいった。
今野:はい。
相馬:ありがとうございます。みなさん、今一度大きな拍手をお願いいたします。
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