“聴く力”は、組織運用のどこに資する?

斉藤知明氏(以下、斉藤):けっこうずっと考えていて。「聴く力というのが、組織の運用の中のどこに資するのかな?」と思っていたんですけれども。組織というのはアウトカムも出さないといけないです、と。世の中に対する価値だったり利益だったり。それによって利益が生まれるという組織構造。これはもう法人である以上、大前提であると思っていて。

そうした時に最後に起こしたいことって、やっぱり“行動レイヤー”なんですよ。お客さんに対して価値を発揮する、物を届ける。

この行動レイヤーを、組織という大きな集団が全部を管理することって、まずできなくって。この行動を起こすために、行動と意図を伝えることで意図が伝達されていくというプロセスが、命令というところですし。

行動は、ただこういう行動は絶対しちゃいけないみたいな禁忌目録みたいなのがあったらば、それが行動レイヤーですし。

逆に訓示とか意図だけのレイヤーって「会社としてこうありたい」みたいなのは、マルイさんでいうところの共創理念。「テナントさんと共につくっていく存在でありたい」みたいな、そういう理念のところのレイヤー。最終の行動を起こすために広く長く影響を残したいなら、この訓示・意図のレイヤーを伝えることだし。こういう整理なのかなって思いながら、話を伺ってました。

いろんな人から、問い・語りかけが生まれたりする状態

篠田真貴子氏(以下、篠田):そうですね。今のお話の構造が頭に入ると、結局、その心理的安全性というのは、根幹にある「ものの考え方」とか「何をこの会社では良いとするのか?」ということが共有されている状態と、かなり近いなと思いました。

やっぱりわかりやすいので、医療現場とかで起きてることというのを考えると。わかりやすく「目の前の患者さんが、より健康に近づいていく」ということが目標だし、理念レイヤーで欠かせないワケですよね。

お医者さんであっても新人看護師さんであっても、その理念に向かうという意味においてはお互いフラットであるというか。「それぞれが役割を果たしているんだ」と考えられるようになるので、心理的安全の場が作りやすいということなのかなと思います。

斉藤:まさに、まさに。結局、心理的安全の場を作ってやりたいことって、意図に反したことをいっぱい起こしたいワケではないですよね(笑)。恐れを抱かずに「反社の人と話をすると、すごくものが進むから行っちゃおう!」とか、それはだめじゃないですか(笑)。これは例として出しただけですけれども。

とした時に「意図に沿った行動であれば、なんでもしていいんだ」ないし「意図に反しない行動であれば、なんでもしていいんだ」という状態が、心理的安全性が高い状態。

それでいろんな人から、問い・語りかけが生まれたりする状態ということなんだろうなと思います。

“聴く”を先に行い、まず感謝をしてから本当の取捨選択に入る

斉藤:最後のクエスチョンにもなるんですが、どういうふうにそれを進めていけるんだろうか? というのは、やっぱり考えていきたくて。なかなかそうなれていない組織のほうが多いと思うんですね。我々も含めて、まだまだ途上な組織が多いと思います。

そんな中で、ある意味でリーダーが、ファシリテーターが、マネージャーがやるべき行動ってどういうことができるのかな? と。ちょっとオープンですけど。

篠田:いや、そうなんですよね。特にこういう場でご質問いただいて、私も正解はないのが「上司がそういうことにまったく関心がありません。そんな中でどうすれば?」というご質問のほうが多いので。それを念頭に置くと、本当の本当はやっぱり、その場のさまざまな決定権を持ってらっしゃる方にこれを理解していただかないと、本当は厳しいんです。だからそこはもう前提で。

でも自分がコントロールできる場って、あるんですよね。例えば自分がやってるプロジェクトの定例ミーティングとか、自分がマネージできる場があるはずなので。

少なくともその場の中で、スライドにある3つの大きな動きが。これはシークエンスではなくて、基本、同時に有機的に動かしていくものなんですけど。

篠田:やっぱり場の意味づけをすること。「ここで私たちはジャッジをしたいんだけど、まずその前に、お互いの視点でうまくいってること・いっていないことを出し合って、理解しあうということをしたいんです」というような“場の設定”をすることであったり。

実際、その参加を呼びかけるというのは、さっき途中で質問をくださったように「ミーティングで全員が5分ぐらい時間をとって、黙って付箋を書いて貼る」みたいなことをすることで、同じ度合いで参加できますよね。そういったやり方をする。

それに対して「なんかだいぶズレたことを書いてるな、この人」って思っても、そういう判断はいっぺん置いておいて。without Judgementの“聴く”というのをまず先にやって、まず感謝をして。もう「出してくれてありがとう」と。「どういう経緯でこれを書こうと思ったのか、ちょっと聴かせてください」って、いっぺん全部を場に出した上で、本当の取捨選択に入る。これは定例で動いている小さいチームでも、十分できるんじゃないかなと思っています。

「楽できること」を恐れちゃいけない

斉藤:ありがとうございます。篠田さんの話を聞いて、リーダーの頭に憑依をすると、大変だなと思う部分がもしかしたらあるかなと思ったんです。

でも僕は「むしろチャンスだな」と思ってほしいなと思って。結局、リーダーって「チームでどれだけのアウトカムを出せたか?」でしか評価されないじゃないですか。

例えばセールスのチームだったら「セールスのトータル売り上げをどれだけ作れたか?」でしか評価をされない生き物であるべきだし、そういう役割だと思うんですけれども。

とした時に、自分だけで考えないといけなかったことが、今回の進め方をすると、みんなの考えを集めることができて。いろんな視点を得たうえで判断できるチャンスなんだと捉えると、動きやすくなるでしょうね。

篠田:おっしゃるとおりですね。実は、慣れると楽になる。

(一同笑)

斉藤:即物的でいいと思います、本当に。でもそういう「楽できる」というのは、うまくハマっているということなので。会社にとってもいいし、メンバーにとってもいいし、チームにとってもいいんで。楽できることを恐れちゃいけないですよね。

篠田:そうなんです。おっしゃるとおりで。楽した方がパフォーマンス高いんですよ。

(一同笑)

斉藤:そう。心も平穏ですしね。このリーダーのみなさんが本当に大変だと言われている時代だからこそ、金言だなと思いましたし。そこは恐れずにやっていければいいなと。だからその分「どっちにいくべきか?」というのを徹底的に考えるという責任は、もちろん負うところなんですよね。

では改めて、本当にこの話おもしろかったなと思っている中。みなさんから、15問もクエスチョンをいただいているんです。

篠田:本当だ、すごいな! 

斉藤:そうなんですよ。あとチャットもたくさんいただいていて。今がんばってインプットをしていて、みなさんの意図を聴こうとしている段階ではございますので、整理しながら、後ほどQ&Aのコーナーに移っていきたいと思います。

「やっててよかったな」と思えるのは、感謝された瞬間

斉藤:その前に少し「Uniposって何をしているの?」というのをご紹介させていただければなと思っておりまして。ぜひご紹介させていただきたいです。

斉藤:篠田さんのお話の中でも、出てきたと思うんです。「感謝」というワード。感謝というワードって、聴くを実践する時に大切で。聴くってことは、話してもらわないといけないワケです。

そして話してもらうためには、ちょっと相手を乗せないといけない部分もあると思うんですね。僕が話をした時に「だめだね」だったり「これはまぁいいね」という、結論についてジャッジをされてしまうと、話せないんですけれども。

その行動に対して「いいね」というプロセスがあると「ちょっと話したいな」「自分からも出したいな」という、成功体験につながると思うんです。そして篠田さんのお話を聞いて「感謝というツール」が大事だなと思ったのは、一人ひとりの行動で「やってよかった」という気持ちを積み重ねるためには、一番使いやすいし、心を表しやすい。「やっててよかったな」と思えるのって、やっぱり感謝(される)という瞬間なんじゃないかなと。

これはなぜかというと、売り上げにつながるのって、やっぱり(一人ひとりの行動の)一部でしかないからだと思っていて。だから、感謝が起こりやすいプラットフォーム「Unipos」をご提供させていただいております。

リーダーだけの役割ではなく、個人の役割も大事

斉藤:どんなサービスかと申しますと、こういうふうにWeb上、スマートフォンのアプリ上で「○○さん、こういうことをしてくれてありがとうございました」と、送ることができます。

斉藤:そこに「少額のポイント」を付けて送ることができますよという、そういうサービスなんですけれども。

例えばこれだと佐藤さんから藤原さんに対して「営業データの整理と分析ありがとうございました。今まで見られなかった切り口で分析してくれたおかげでお客さんのインサイトがわかって、新たな受注率向上の仮説を立てることができました」。

こう言われると、たぶん藤原さんは「お、ちょっと分析がんばろう」と思うんですよね。これってリーダーだけの役割じゃなくって、個人の役割も大事で。直接社内でのコラボレーションを起こしたい時って、リーダーを通したコラボレーションって、やっぱり冗長になってしまうことがあると思っていて。

例えばマーケティング担当の方が、プロダクト・製品を企画している人に話を聞きに行くことって、ザラにあると思うんですよね。その時に、システム担当の方、企画担当の方は「マーケティングに良かれ」と思って話をしてるんだから、その人から直接感謝をもらって、それが上長にも伝わって、会社にも伝わっていくという設計が、僕は「やってよかった」を積み重ねてるところの肝なんじゃないかなと思って。それで「Unipos」というシステムを設計させていただいています。

「せっかくだから」というきっかけが、感謝を起こす建前になる

斉藤:ここでポイントを絡めたりしているのは、やっぱり“きっかけ”を作りたい。「自由に感謝を送ってくださいね」っていっても、(実際は)あんまり送ってくれないです(笑)。

難しいですよね。「送っていいですよ」と言われても、オープンな場所でやるって、みなさんなかなかハードルを感じるんですよ。でもこのポイントって、実は1週間に400ポイント、送れるポイントがあるんですね。

この400ポイントは、自分には送れないんです。人にしか送ることができないんです。でも人に送ったら、もらった人のお給料になるんです。「ピアボーナス」って呼んでます。ピアツーピア、個人と個人で送る給料ポイントのシステム。すると会社からすると、今までってマネージャーだったり役員が決めていた俸給・成果給に加えて、一人ひとりの「目の前の助け合いという貢献にも価値を感じる」ってメッセージになるんですよね。

送り手からすると「400ポイントって400円分とかだけど、せっかくだから送ろうかな」と。この「せっかくだから」というきっかけが、感謝を起こす建前になってグルグル回りはじめて。結果、それで「やってよかった」という積み重ねになるんだったら、ポイントを絡めていいじゃないと、僕は思っています。

という意味で、このピアボーナス。「Unipos」というサービスを、起こさせていただいています。

業務のコミュニケーションを1歩離れたところでは、ポジティブなことにしかならないですよね。100円投げて「この野郎!」ってことはないワケですよ(笑)。なので「やってよかったな」「確かに見てて、こういう行動って大事だな」というよに、みんなが共感して共鳴が起こる場所として「Unipos」はお役立ちできるんじゃないかなと思っています。

実感に紐づいていくと、その意図が言葉に落ちて浸透していく

斉藤:(Uniposが高めるポイント例としては)さまざまですね。自己成長実感。「こういうことって、確かにやってよかったな」と思いますし、ハッシュタグで行動指針をつけて送ることができるんですけれども。

斉藤:これは「#目的を問い続け、意志を持って行動しよう」というのがあったら、さっき篠田さんもおっしゃっていただきました。「理念というのは伝えるだけじゃだめで、再解釈が必要だ」と。自分の言葉に落とすことが大事。これを営業のマネージャーが、マーケティングのマネージャーに対してメッセージを送る時に伝えたら、それを見た社長が「いいね」をするワケですね。

すると「これってうちでいう、この理念に基づいた行動だ」と、自分の言葉でも言語化できるし、それに会社から「いいね」が集まる。周りのみんなからも「いいね」が集まる。

「そうなんだ!」という実感に紐づいていくと、どんどんその意図が言葉に落ちて浸透していく、というプロセスを作ることができるのではないでしょうか。

SlackさんやTeamsさんとも、いろいろ連携をさせていただいたり。そんな中で僕らとしても、いい状態で……フロー状態とまでは言わないですけど「つながりがちゃんと起こっていて、意図が理解できている組織が起こっていっているんだ」というのを見られるようなレポートもご用意させていただいておりますので。ぜひみなさんご検討を。

斉藤:エンタープライズの企業のみなさんにもたくさんご導入いただいていますし、篠田さんが社外取締役をされていらっしゃいますメルカリさんでも、3年半ぐらいご導入いただいているので。よろしければ商品説明ウェビナー、お申し込みいただければなと思っております。