2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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――ありがとうございます。では業界全体の話に戻させていただきまして。お話の最初に「保険外交員の方の対面販売が、業界の基本だ」とありました。でもやっぱりコロナウイルスで「これが業界の課題だよね」「今まで気づいていたんだけど、気づかないふりしてた」みたいな潜在的な問題みたいなものが……。
森亮介氏(以下、森):そういうところもあるのかもしれません。
――いろいろな業界の方にお話を伺っていると、みなさん「実は気づいてたけど、蓋をして見て見ぬ振りしてたんだよね」という課題がけっこうあって。保険業界にもそういった課題はありますでしょうか?
森:他社の皆様が実際どのように思われているかは、正直私もわかりません。私は「対面での丁寧なコンサルティングを通じてのカスタマイズ」という極めてリッチな顧客体験を希望されるお客様と、そこまでリッチな顧客体験を必ずしも求められていないお客様とが存在する、と考えています。
例えば、若年層の方の中には、仕事や育児で毎日が忙しく、生命保険の契約のためだけに大切なプライベートの時間やお金を費やしたくない、とお考えの方も一定数いると思います。
生命保険会社は“巨大客船”ということもあって、急には舵を切りづらい時もあります。その辺りの舵取りの難しさは業界としてもあるのかもしれません。
――例えば「対面の相談が減少していったら、保険外交員の方たちの雇用はどうなるのか?」とか、ということもそうですよね。
森:そうですよね。「雇用」も企業における一つの社会的責務ですので、そういった面も含めて、極めて難しい経営の舵取りが必要とされるのではないかと思います。
――今のお話に関わることなんですけども。「コロナによる対面販売の難しさから、他の生命保険会社さんでもオンラインでの販売をスタートさせる」という記事を読みました。そこで、コロナをきっかけに業界全体が変わっていく可能性はあるのか? また業界全体で「やっぱりオンラインだよね」となった場合、御社はどのような対応をされるのか、伺えればと思います。
森:まず、私も他社さんの動向は報道ベースでしか認識をしておりませんが、極めて納得感があるというか。この状況下でいかに企業を存続させていくかということを考えていくと、自然とたどり着く1つの選択肢なのではないでしょうか。
一方で、当社自身も感じることとして「非対面のオンラインだとどうしても難しい」と思うこともあり、その点については対面モデルの方々は上手な対応をされており、羨ましいと感じることもあります。
――対面でないとできないことの弱みというのは、細やかなニーズに応えられなかったりとか、お客様が限られた商品の中から自分で選ばないといけなかったりするとか、そういうことでしょうか?
森:そういう面もあるのかもしれませんし、生命保険は自身の健康や命に関わる商品ですので「生命保険会社とのエモーショナルな接点」を求められてらっしゃるお客様がいらっしゃるのも事実です。
――人生設計、ライフプランみたいな?
森:例えば、当社から見て「少しでも保障を用意されたほうがいい」というお客様が、保障をまったく持っていなかったとして、当社のビジネスモデルではそのことに気付いていただくというのがなかなか簡単ではありません。当社はプル型営業という「お客様が来るのを待つ」「来てくれたら接客ができる」というモデルですので。
この4月・5月の環境下で、生活者の皆さんはいろいろなオンラインサービスを試されたと思います。私自身も従来やっていなかったことをいくつも試しましたが「食わず嫌いでやっていなかったけど、やってみたらとてもいい」という発見が、実はいくつかありました。
一方で同時に「こればっかりはやっぱり店舗に行きたい」「人に会いたい」と、無意識に思ったものもいくつかありました。
人によってさまざまだと思いますが、生命保険も「やはりこれは人に会って決めたい」と思われる方も当然いらっしゃいます。ですので、そういった対面のニーズがなくなったわけではいというところは、業界全体として絶対に見落としてはいけないポイントだと捉えています。
――コロナで対面がしづらくなったからといって、みんながみんな「じゃあオンラインだ!」と切り替えていくと、本来なら存在したはずのニーズに対応できなくなっていくという感じですね。
森:はい。単一の手法で、全てのお客様の期待に応えられるわけではないということです。なぜなら、お客様はさまざまだからということですよね。ですので、業界全体が、それぞれの独自色・強みを生かしていくことが重要だと考えます。
当社は「非対面で入りたい」というお客様としっかり向かい合っていきますし、一方で「対面で保険に入りたい」というお客様には、対面の保険会社さんのほうが満足していただけるかもしれません。
――社会全体で感染・死亡に対する恐怖が上がったことによって、みなさん保険への関心が上がっていると思います。その結果、今まで保険にぜんぜん関心のなかった方からも、急に「入りたいんですけど」といった問い合わせが……。
森:ええ、あります。
――そうなった結果……つまり保険に無関心だった人が、急に興味を持ちだしたことによって、浮き彫りになった問題点などはありますか?
森:そうですね。当社のようなプル型の企業にとって、従来、お客様が当社のウェブサイトを訪れるバックグラウンドには、いくつかの“型”がありました。
例えば「結婚をしました」「子どもが生まれました」といったライフイベントがそうです。あるいは「知り合いの人が病気になったのを見て、他人事じゃないと思いました」といったものもあります。
でも今回のコロナがあってからは、これまでとは違う動機付けで、当社のウェブサイトにいらっしゃる方が増えた印象があります。保険に対して漠然としたイメージしか持っていないような方々も、来訪されている可能性があるのではないかと考えています。
当社は、そういったお客様に対して、不要な保障を買ってほしいとは考えていません。正しく「今の自分にはこれが最低限必要な保障だ」とご理解いただいて、その範囲の保障を当社のウェブサイトで買っていただくということを、これまで同様にやっていかなくてはなりません。
また若年層の方も、自分の万が一のことに対して、従来ではさほどなかった「親のために残したい」といったお問い合わせが出てきたりしているのは、生活者みなさんの価値観の変化だろうと思います。
――すごく細かいところで、気になっていることがありまして。
森:ええ。
――毎日のニュースで「今日は東京で○○人がコロナに感染したらしい」といった報道がされています。それで例えば「1日の感染者数が100人を超えたらしい」とか、そういったショッキングな報道があった日には問い合わせが増えたりとか、すごく細かいところでの動きとかってあったりするんでしょうか?
森:日々の細かい動きところまではいかないですけれども、やはり4月の緊急事態宣言が出たとき。加えて顕著なのは著名な芸能人の方のご不幸のニュースがあられたときに、ウェブサイトのトラフィックが急増したりします。
皆さん、芸能人の方を身近に感じていらっしゃり「あの人が罹った・亡くなった」というのは、みなさんに気づきを与えることが多いのかもしれません。メディアを見ているだけで、お客さんがその必要性に自発的に気づいてくるというところが、大きな特徴かもしれません。
――そういった、お客様になりうるであろう方々の価値観が変わることに対して、逆にコミュニケーションの手法であったりとか、切り口を変えていこうというような動きはありますか?
森:ありますね。なぜならそれは、お客様が評価するポイントが少しずつ変わってくるからです。例えば、当社にはいくつかの強みがあります。それは「わかりやすさ」「安さ」「利便性」といったようなことですが、時々によって時代によって、お客様が最も評価するものが、変わったりするんですよ。
開業当初の頃は「価格」。「ネットだから当然安いよね」という点へのご期待が多かった印象があります。しかし、その後スマホ台頭の時代になってからは「こんなに簡単・便利に入れるんだったら、これはありがたいね」というところに移ってきています。
現在は似て非なるところですが、24時間いつでも「自宅でできる」というところが、1つの価値になりつつあるように思います。
――LINEを使って相談できるかたちにされたりとか。あとは、書類も基本的には送らなくても大丈夫なんですよね?
森:そうですね。基本的にはペーパーレスで申し込みが完了します。「スマホでの申し込み手続き、完了するまで何分かかりましたか?」といったアンケートでは「10分~20分で申し込み手続きが完了」とお答えされた割合が1番多いんですよ。「10分~30分」まで広げると、過半数です。
――従来の外交員の方とお話ししていたら、かなり長い時間取られるはずですよね。
森:そうかもしれません。
――何回も何回も来店して決める、そんなイメージでした。
森:そういった体験を喜ばれるお客様も、実際にいらっしゃると思います。
ただ、それもあくまで体験の1つです。車でも高級車と大衆車があり、服にも高級服と大衆服があるように、保険の体験にも同じことが言えるはずです。大衆層の保険が悪いということではなく、単純にお客様が「どこにお金をかけたいか」ということ次第だと思っています。
――それってユニクロみたいですね。
森:そうかもしれないですね。全身を測ってテーラーメイドを希望されるお客様もいれば、世の中には「S・M・L」で買えれば十分というお客様もいらっしゃる。
そういう顧客体験が、保険業界には比較的少なかったのかもしれません。とにかく生命保険は「ぴったりサイズを測って買うものである」というようなイメージが多かったように思います。
――ファッションじゃなくて機能を売るみたいなのがユニクロだと思うんですけれども、それにやはり何かこうドメイン的に近いところがあるというか……。
森:その表現はしっくりきます。当社の提供している商品は、必ずしも「死亡保険」「医療保険」といった保障だけとは捉えていません。狭義の意味での商品であり、これはあくまで構成要素の1つです。実はもっと広く、例えば、最近に結婚した人でまだ保険の必要性に気づいていない人が、テレビのCMを見て「ああ、確かに加入しなきゃ」と感じられる。
ここがもう、提供している体験の一部分です。加えて、先ほど申し上げたような「たった10分~30分で完了する簡単な申し込み」。この体験も、当社の商品の一部だと捉えています。当社のユニークな特徴として、当社の申し込みのピークは夜なんですね。夕方の6時から夜の11時ぐらいにかけてが多いんです。
――かなり遅い時間まで続きますね。
森:夜は営業職員さんが活動されていないことが多い時間帯ではないかと思います。「24時間いつでも検討・申込できる」ということも当社の商品です。
それ以外にも、例えば医療保険の請求について、もし当社のご契約者が入院した場合、病院のお会計時に診療明細書がもらえますよね。医療診療報酬点数が書いてある紙です。その紙をスマホで撮影して画像をアップロードしていただくと、だいたい平均で2~3日後にはご契約者の口座へ着金します※。
(※診断書のご提出が必要となる場合もあります。また、平均日数は書類の受領日から着金日までの日数であり、事実の確認や書類不備があった場合は除外して算出しています)
――早い! すごく助かりますね。
森:ここまで含めてを「当社の商品」だと思っているというのは、さっきおっしゃっていたような「機能を売っている」という感覚にすごく近いからです。比較的ネットに慣れた若い方々が、当然にして金融機関に求めるであろう“なめらかさとスピード感”というところが、当社の本当の商品であると考えています。
これは、当社がパソコンからスマホにビジネスをシフトするときに「パソコンの延長線上にスマホはない」と思ったのと似ていて「対面の接客の延長線上に、非対面のサービスがあるのではない」ということです。
対面であれば、例えば貯蓄機能のある商品などが対面のお客様には喜ばれるかもしれませんが、非対面の場合は求められるものが異なります。
――商品作りから変わってくるということですよね。
森:絶対に変わると思います。
――従来の方程式とか勝ちパターンみたいなものとは、またガラッと考え方を変えていかないと。
森:そうですね。ですので、ここまで全てを乗り越えてこられる方々が、そんなにたくさんはいないと当社は思っています。それを乗り越えてきた方々は、本当の意味で、当社と今後のオンラインマーケットを盛り上げていく、ライバルであり仲間でありという関係になっていくように思います。
――それはつまりwithコロナの世界で、すべての業界でドメインを変えていくというか、考え方をシフトできるものが生き残るみたいな。
森:そうでしょうね。今回、当社がそこまで大きく変化せずとも大丈夫だったのは、もともとのビジネスモデルと今回の世の中の流れが、比較的フィットしていたからです。
しかし今後また、パソコンからスマートフォンへのシフトに匹敵するような、大きな荒波が当社に襲ってくるかもしれません。
冒頭でもお話ししましたが、当社はその変化を当てることはできませんが、変化が起きたら急いで追いつく。ちょっと泥臭いかもしれませんが、それが当社の変化への適応でしょうか。
――逆に「うちの会社って泥臭いからなぁ」と思っているような企業さんが、今回のライフネットさんの記事を見て「うちらもがんばったら、まだまだなんとかなるかも」って。
森:むしろ、チャンスなのかもしれないですよね。本当に適応力が試されている場面だと思いますから。
――ありがとうございます。では最後に、保険業界で働いていらっしゃる方々へのメッセージをいただけますでしょうか。
森:はい。今のコロナ禍の中で、生活者の方々の将来の見通しや不安が、いつになく高まっており、この業界全体の存在意義が問われているとても大事な局面にあると思っています。
「お客様がさまざまであるということ」を業界全体がきちんと理解をして、全員に同じように共通に満足していただくことは難しいという前提の中で、各社がそれぞれの特色・強みを生かし、それぞれの独自性を発揮してお客様と向き合っていく機会にあるのではないかと考えます。
業界全体で一丸となれば、お客様からのさまざまなニーズに、これまで以上に応えられるようになると思っています。それによって業界の存在価値を、より高めていくことができれば幸いです。
当社はその中で微力ながら、役割を果たしていきたいと思います。
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