科学的根拠のない「DNA婚活」

高橋祥子氏(以下、高橋):2番目にご質問されたのは、新しいことをやっていくときに、異業種やほかの企業と一緒に取り組むうえでのギャップや課題についてですよね? それは他の企業との協業においてということですか?

質問者2:そんなイメージです。

高橋:企業がそれぞれ目指すところが違うというケースと、一緒なんだけど時間軸が違うというケースはありますね。例えば目指すところが違う場合だと、最近「DNA婚活」というサービスが出てきています。

(会場笑)

その会社とは別の会社なんですが、「遺伝子情報を基に結婚相手を見つけるサービスを一緒にやりましょう」と、弊社にも問い合わせが来たんですよ。ただ、「今は遺伝子情報をもとに最適な相手を導けるほどのエビデンスがないんですよ」と言ったら、その会社の方は「なに言ってるんですか。エビデンスなんてなくていいんですよ」と。

(会場笑)

「婚活に来る人は自信がほしいだけなので、科学なんていうのはなくていいんです」と言われて。そういうふうに目指すところが違うなと感じるところはときどきありますね。とはいえ、そういう企業とは協業を進めることはあまりないので、壁を感じる部分でもないかなとは思います。

ベンチャー・大学・国・大企業で異なる、時間軸と言語

高橋:例えば一緒にやっている企業さんで、とくに大企業さんだとやっぱり企業としての時間軸が違うんですよね。ベンチャーは数年で生まれてきて、弊社では今はあんまりそんな心配はないんですけど、資金繰りの心配で来年生きるか死ぬかみたいな状況がすごく多いです。

一方で大企業さんだと30年後を見据えていたりということもあって。そうすると、やっぱり打ち合わせの頻度や日程調整だけで数ヶ月かかったり。そういう時間軸のギャップはあるかなと思いますね。

それは課題というよりは性質の違いで、こちらのグループの質問の、国との協働や産学連携とかも関わってくるんですけど、やっぱりそれぞれに特徴があるんですよね。ベンチャーなら小回りが利いて早く取り組める。やるべきと思ったことには、稟議も素早く取り組めます。

ですが、やっぱり大きいことをやろうとすると国や大企業などと組んで、遠くに行くことを時間をかけてでもやる。とくに国は利益になるかどうか、経済的なメリットがあるかどうかはわからないけれど、国民の利益になる長期的な時間のかかることを担当できます。それはベンチャーにはなかなかできないですよね。

それぞれの性質を持つベンチャー・大学・国・大企業は、お互いの強みを持ち合うことで結局目指したいところを目指すというのは、1つのフォーマットとしてあると思います。

なので、やはり使う言語が違ってきます。大学は大学、国は国、大企業は大企業、ベンチャーはベンチャーで違ってくるんです。ギャップはもちろんありますが、それを乗り越えないと大きいことはできないので、それぞれの言語や背景を理解して行動するように取り組んでいます。

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