本社移転の理由は「共創・働き方改革・最先端テクノロジーの実験」

今井康之氏(以下、今井):続きまして、スマートビルディングであります。私どもは、実はこの2020年の秋に本社ビルを移転いたします。まさにここにいらっしゃる東急不動産様と、鹿島建設様が事業をされているところに、我々も入っていくんですけれども。

これには3つの目的があります。パートナー企業との共創、働き方改革、そして最先端テクノロジーの実験の3つであります。

1つずつお伝えしたいと思います。

先ほどご紹介のありましたWeWorkとは何かというと、ただのシェアオフィスではありません。ここはコラボレーションを作り上げる器なんですね。そういう意味で、いろんな企業とのコラボレーションをこの場で作り上げたいということであります。

WeWorkの思考……要するにWeWorkでコミュニケーションが取れる仕組みを全面的に取り入れています。なおかつ、黄色の部分はもう、WeWorkでそれを運営していくというようなことであります。ここをお借りして、我々はいろんな企業様とコラボレーションができる環境づくりをするというところであります。

東京ではもう相当数立ち上がっておりまして、それ以外にも横浜・名古屋・大阪・福岡などでWeWorkの事業を行っています。そういう意味では、これからどんどん広げていく。年内でだいたい30拠点ぐらい作り上げていきたいと思っています。

その中で、この竹芝。竹芝の本社を構えながら、実はWeWorkを残していきます。そして社員は、場所に縛られず、どこで働いてもいいというルールにしています。そういう意味では、今日のお客様が横浜だったら横浜のWeWork、そして翌日は竹芝の本社に戻る。そんなようなことが自由にできる環境を我々は構築しようと思っています。

そして、当然のことながらスマートフォンもあればスマートパッドもありますから、会議体も全部そこでできるような仕組みを弊社の中で作り上げています。それが働き方改革の上で竹芝を選んだ理由でもあります。

エレベーターのパフォーマンスを最大限発揮させるためには

今井:そしてもう1つ、テクノロジーの実験場です。もう最先端の技術をここに盛り込んでいきたいと思います。

顔認証だったりセンサーだったりドローンだったり、そういうものをふんだんにやっていきますが、ちょっと事例を見ていただければと思います。

まず、顔認証で入館できる仕組みにしております。通常の顔認証ではありません。ただ社員かどうかを確認するだけではなくて、その人が誰であるか、その人は通常何階に行くのか、そして、こちらのスマートフォンによって予定が「いや、明日はここで打ち合わせがあるんだ」ということであれば、そこに連れて行くこともできる。

そしてお客様も、何階に行きたいのか、エレベーターが連動して動くという仕組みをこのビルでは取り入れています。そんなようなことを、最適なエレベーターとの連動の仕組みを作っています。

みなさんもよく体験されるのではないかと思うのですが、とにかくエレベーターが来ないと。とくに、朝方とか昼ぐらいになると、混んでいてエレベータがなかなか来ないことあるんですけれども。それもセンサーで、エレベーター周りにどのぐらいの人数がいるかという情報をエレベーター側に流して、エレベーターのオペレーションを変えていくような仕組みを作り上げるということであります。

これもエレベーター会社さんと一緒に、我々のセンサーのデータを出しながら作り上げていくということです。

国家戦略特区だからこそ実験できること

今井:そして3つ目であります。実は今回の東急不動産さんのビルには、非常に大きなテラスがあります。公開空地的なテラスがありますので、ドローンを実際に飛ばして、ランチをデリバリーするというようなことをやっていきます。

ここは特区になっております。国家戦略特区である竹芝で、ドローンが本当にものを運んでユーザーさんに提供する、という光景を見られると思います。

これも実を言うと、そのドローンを飛ばすときの精度が非常に重要なんです。これはソフトバンクからその精度を提供しているということであります。センチメートル級の測位サービスと書いてありますが、ちょっと動画をご覧ください。

(映像が流れる)

ナレーション:昨今、カーナビや地図アプリケーションなどは生活の一部となっており欠かせないものになっています。しかし、現在広く使われている従来の測位方法などでは誤差が数メートル存在していました。この誤差による問題を解決するのがソフトバンクのセンチメートル級測位サービスです。

センチメートル級測位サービスは、ソフトバンクの独自基準点の情報を使って生成されるデータをもとに微調整することで、測位誤差を数センチにできるサービスです。

このサービスの実現には、位置の基準となる基準点が不可欠です。ソフトバンクはこの装置を全国各地のソフトバンク基地局に配置することで携帯電話と同じ高範囲エリアで提供を行います。さらに、位置によって利用する基準点を自動的に変えるハンドオーバ技術により、高速で移動しながらでも高精度な測位が可能。

また、エリアが重なっていることでメンテナンスやトラブル時にもサービスを継続して提供することができます。それだけでなく、ソフトバンクは小型かつリーズナブルなGNS受信機も提供。導入コストを抑えスピーディーにサービスをご利用いただけます。

ソフトバンクのセンチメートル級測位サービスは正確性や冗長性が不可欠な自動運転を実現し、農機、建機などの活用シーンでは複数の機材を自動操縦するなど、少人数・大規模化の普及に貢献します。また、道路・ダムなどのインフラ監視に利用すれば、今まで人の目ではわからなかった微妙な位置のズレなどの前兆も見つけられるようになり、社会の安全に大きく貢献します。

さらにスマートフォン・ウェアラブルなど、より身近な機器へのサービスも提供していきます。

ソフトバンクのセンチメートル級測位サービスは、全国での提供に加えデバイスの提供も行うことで、自動化・効率化社会の実現を目指します。

(映像終わり)

準天頂等の衛星を使ってこういったスマートシティに寄与していきたいと、そう思っています。

竹芝エリアをスマートシティ化

今井:7月9日にプレスを発表させていただきました。東急不動産様とこのビルだけではなく、竹芝の地区をかなり大きな範囲でスマートシティ化するという、そういうことであります。これを我々、東急不動産様とご一緒に参画させていただくことになりました。

今日は、この計画についてすべて管理しておられる、東急不動産の岡田副社長様に来ていただいております。岡田様、よろしくお願いします。

(会場拍手)

岡田正志氏(以下、岡田):ご紹介いただきました東急不動産の岡田でございます。

本日は当社のまちづくりの取り組みについて、渋谷とこの竹芝を中心にお話をさせていただきます。まず当社が東急電鉄と一緒に進めております渋谷の再開発の映像をご覧いただきます。どうぞ。

(映像が流れる)

渋谷の開発は、ご覧いただきましたような非常に華やかな民間の開発と同時に、渋谷川の再生、ゲリラ豪雨対策、銀座線渋谷駅の移設、JR線の鉄道の改良、街のバリアフリー化など、非常にインフラが老朽化しておりますので、そうしたインフラの再構築を同時に行っております。

一方、今年の春竣工しました「渋谷ソラスタ」、またこの12月に開業いたします「渋谷フクラス(東急プラザ)」がございます。また、現在解体工事中でございますが、渋谷駅の桜丘口の再開発、またその隣接でも新たな再開発の「ネクスト渋谷桜丘地区」がスタートいたしております。まさに渋谷は行政と民間とそれから地元も一体となって、100年に一度の街の大改造といわれているものが進行中でございます。

渋谷のスタートアップを支援するプロジェクト

岡田:当社はそうした大型の開発に加え、スタートアップやベンチャー企業への支援にも積極的に取り組んでおります。

世界最大のアクセラレーターであるPlug and Play と「Plug and Play Shibuya」を開設しております。また、スタートアップ向けオフィスの「GUILD」、それからシェアオフィスの「ビジネスエアポート」を展開中でございます。また、官民一体のエリアマネジメントなど、こうした取り組みにより渋谷の街の魅力の向上に取り組んでおります。

続いて、新たな国際ビジネス拠点を作っております竹芝プロジェクトのご紹介をいたします。

こちらは全体の計画図でございます。業務棟は、オフィス、産業貿易センター、ホール、スタジオ、商業施設。そして住宅棟は、サービスアパートメント、シェアハウスといった構成になっております。また、特徴的なのは、計画地から浜松町駅まで、このような空中の歩行者専用のデッキを整備することでございます。

また、このプロジェクトの最大の魅力が、ご覧いただきますように、横浜から房総半島を一望できますベイエリアの眺望でございます。また、この足元には芝離宮・浜離宮といった緑が隣接してございます。

東京都立の産業貿易センターは展示会や商談会が開催できる4つの展示室を備えた産業振興施設でございます。

今回とくにBCP対応にも力を入れております。非常時には5日間120時間の電力供給が可能な計画といたしました。これはオフィスビルでは最高水準となります。また6,300人の一時帰宅困難者の受け入れ。また3日分の防災物資を完備。そして浸水対策として基幹設備は2階以上に設置するなど、こうした取り組みによりまして、テナントのみなさまに安心して事業継続をご提供できると考えております。

ソフトバンクのテクノロジーを活用したスマートビルディング

岡田:先ほどからお話がありましたが、ソフトバンクさんのテクノロジーを活用したスマートビルにも取り組んでございます。詳しくは先ほど今井さんからご説明されたとおりでございます。

また、当社は緑が働く人に与える力を学術的に解析し、緑を効果的にオフィスに取り入れることで働き方を変えていこうという「Green Work Style」というプロジェクトに3年前から取り組んでございます。今回、先ほどのスキップテラスにもこの考え方を取り入れ、緑を軸とした新しい働き方の提供をしてまいります。

こちらは今回この施設に拠点を設けます「CiP協議会(コンテンツイノベーションプログラム)」のご紹介でございます。慶応大学の中村伊知哉先生を理事長にお迎えし、現在50社以上の企業のみなさまにご参加いただいております。ソフトバンクさんにもご加入をいただいております。

会員のみなさまと一緒に研究開発、人材育成・ビジネスマッチング、起業支援、こういったものを行いまして、竹芝をコンテンツとデジタル産業の拠点とすべく幅広い活動を行っております。

また、エリア全体で約40の企業、そして地元の団体のみなさまと、エリアマネジメント活動も行ってございます。こちらはCiP協議会、それからエリマネを通じて行いましたイベントの一例でございます。

こうしたいろいろな取り組みをもとに、当社は竹芝を最先端技術のショーケースにしていきたいと考えております。スマートモビリティ、ロボット活用など、こちらにありますような最先端のテクノロジーを竹芝に結集いたしまして、竹芝を東京で最も進化した街にしていきたいと考えております。

コンセプトの「働く人を笑顔に」を実現するために

岡田:そうしたなか、先ほどお話しにありましたが、ソフトバンクさんに本社を構えていただくこととなりました。

当社のまちづくりの考え方にご賛同いただき、ご一緒に竹芝をスマートシティとすべく共同で進めていくこととなりました。当社がハードとエリアマネジメント、ソフトバンクさんがテクノロジーと、両社の強みを生かしてスマートシティ事業を進めてまいります。

ただ、この事業は私ども2社だけにとどまるものではございません。今日お越しの多くの企業のみなさまとともに、サービスの提供に向けた実証、それから社会実装へと展開をしていきたいと考えております。ぜひ多くのみなさまにこのスマートシティプロジェクトにご参加いただきたいと思います。ぜひみなさんご期待ください。

ご説明は以上でございます。どうもありがとうございました。

(会場拍手)

今井:岡田さん、ありがとうございます。

岡田:ありがとうございます。

今井:竹芝をどんな街にされたいと思っておられますか?

岡田:当社のオフィスビルのコンセプトが、「Building Smiles(働く人を笑顔に)」というのがコンセプトなんですね。ですから、社員のみなさまを笑顔にするための新たなテクノロジーでのしかけをご一緒になにか作っていければと思っています。

単なる再開発ではおもしろくないじゃないですか。ですから、最先端のスマートシティをぜひ目指していきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

今井:いや、こちらこそよろしくお願いします。期待しております。ありがとうございます。

(会場拍手)

岡田:どうもありがとうございました。

そこに住まう人、そこで働く人にどんなサービスを提供できるか

今井:岡田様、ありがとうございました。働く人の笑顔を求めていく街、すばらしいコンセプトだと思います。ソフトバンクの役割も、竹芝プロジェクトをテクノロジーの面でご支援していきたいと思っておりますが、目的はやはり、ここで働かれる方・住まわれる方にどんなサービスを提供できるかというところが、我々の一番重要なポイントだと思っています。

午前中のセッションでも、データの話がいろいろ出ました。データの活用の意義って何でしょう? 突然雨が降ってくる。お昼に飲食店が混雑している。今朝のように電車が遅延してしまった……そんなようなことも、事前に情報があれば回避できます。このリアルの情報をつなぎ合わせていくしかけを、この街でつくりあげていきたいと思っております。

今必要な情報をそれぞれの共創のパートナー様に提供していく。そして、そこに働かれる方、住まわれる方、そして働いてそれをオペレーションされている方、そういうところにそういう情報を提供していってサービスを作り上げるということであります。

ここでは、もうちょっと細かく書いています。データをどんどん集めていきます。センサーだったりいろんな情報が、我々集める、先ほどのプラットフォームで集めていきます。そして、それを支える事業者のみなさまにそれを提供していって、そしてエンドユーザーに渡す仕組み。これをこの街でぜひ実現していきたいと思っております。

ちょっと事例を申し上げます。例えば交通。駅前に、駅に到着する前に、もしか電車が遅延していたならば帰宅の方法も変わったかもしれません、それを事前にエンドユーザーさんに情報を伝える仕組みだったり。

お昼に食事に行こうと思って行ってみたら、実はそこは混んでる状況でまだ列の後ろに並ばなきゃいけなかった。でも、それが早めにわかっていればそれも回避できます。

例えば社員しか入れないようなところに、そうじゃない第三者が入っていたとき。警備の方にパッと連絡がいって、一番近い人がそこに行ける。そんな仕組みがあれば、総合管理所に行って、それでまた係の人に連絡するという手間がなくなる。そんなようなことをすべてなくす、リアルタイムに情報を伝達する仕組みです。

次世代IoT「VANTIQ」のしかけ

今井:これは、先ほどご覧いただきましたソフトバンクのプラットフォームであります。そこの一番上のアプリ開発基盤では、「VANTIQ」という会社と我々はタイアップしました。一昨日はプレス発表もしました。世界の中でリアルタイムに情報をやりとりする、そんなしかけができる唯一の会社であります。いちいちプログラムを組んだり、そんなことも必要ありません。

今日はそのCEOが来ています。我々はタイアップして、このリアルタイムのサービスを提供していきます。このあと詳細を説明しますので、そのようなことがやりたいという企業のみなさまがいらっしゃいましたら、ぜひお伝えください。

どんな事例があるかですが、これはオフィスだけではなく、例えば商業施設のところが「あるパーセンテージを超えて、そろそろ満員になるぞ」ということがデータで出るとするならば、例えばインフラでも「水位が5センチ上がったぞ」、あと「土砂が流出したぞ」「電車が3分遅れるぞ」、そんなことがリアルに情報として我々のスマートフォンにリアルタイムで情報が来るならば、いろんなアクションが取れます。

この次世代IoT「VANTIQ」の動画を作りましたので、ご覧ください。

(映像が流れる)

昨日、孫(正義氏)は、AIを使って何ができるか、それは予測であると。そういう講演をしました。まさにこういった予測ができる。そしてリアルタイムに情報を出す。

我々は今取りに行っています。自分で取りに行って情報を取ってる。それが意識しなくても、このVANTIQのしかけで、こういうときにはこういう情報をくれというコードを入れておくだけで、我々のアプリにその情報が来るというしかけであります。

サービスを提供する「意義」はどこにあるのか?

今井:先ほど交通アプリの話が出ました。もう1つ、事例を言いましょう。ここに劇団四季の施設ができます。そして劇団四季の公演内容が実はもうオープンになっているんですね。オープンになった段階で「この公演だと女性のお客さんが多いな」というようなことも、実は情報として取れる。

そうすると、それが公演が終わった時間に女性向きのデータによって広告を流すこともできるし、女性向けのレストランがその情報をスマートフォンに送ることもできる。こういった複合的な情報を合わせてユーザーさんに提供していくことができる。このようなことが、この仕組みでリアルの情報で提供することができます。

もうこれも全部プログラムして、一つひとつSEが作って……なんていうのはもう時代遅れです。それを簡単に並び替えて、ルールを決めることだけやればいい。そのルールを決めることだけでできる。そんなようなことが、我々この仕組みではできる。

でも、これはなんでか? このサービスを提供する意義はなにか? 岡田副社長がおっしゃってました。この竹芝で過ごす人々に価値のある情報を提供して、笑って働け、笑って生活できる。そのためにこういった情報は提供されていくということであります。

監視する。そんなようなことのために情報があるのではなくて、やはりそこに住む方、働く方のために情報は提供されていくべきであるということであります。

その世界をソフトバンクはこのインフラづくりにかけていきたいと思っております。みなさまとご一緒にそれを作り上げていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。本日はありがとうございました。

(会場拍手)