人類は食糧危機を打開できるのか?
食の未来を変える3つの方法

3 Ways We Could Transform the Future of Food

WHO(世界保健機関)が2018年に発表した統計によると、世界の人口は約74億3,026万人に達しました。その一方で、8億2,100万人が飢えに苦しんでいるという国連の報告書が出されています。この重大な問題に対して、科学者たちは手をこまねいているわけではありません。今回のYouTubeのサイエンス動画チャンネル「SciShow」では、人類を食糧不足から救うことになるかもしれない、3つの革新的技術を紹介します。

糸状菌で作られた人工肉「マイコプロテイン」

オリビア・ゴードン(以下、オリビア):すでに世界中の多くの人々は食料を手に入れるのが困難な状況にありますが、人口がさらに増えると、食料もさらに多く必要になってきいます。このままですと、すべての人に行き渡るのに十分な食料を作るのに十分なスペース、エネルギー、水がなくなってしまう日が来るかもしれないのです。

ステファン・チン(以下、ステファン):科学者たちはすでにその日に備えているのは良いニュースです。今日は食料の将来を変えるかもしれない、開発中の3つの革新的技術をご紹介いたしましょう。

オリビア:まず初めに、肉を食べるのが好きな人は多いですが、動物を育てるのには、広大な敷地とエネルギーが必要になります。将来、そのような特定のタンパク質をみなに提供できるほどの十分な資源がなくなってしまうかもしれないのです。1960年代、ある会社がこの問題に取り組み、肉の代替食品を開発しました。それは「マイコプロテイン」と呼ばれ、これはベジバーガーなどに見られるようなジャックフルーツや豆で作られたプロテインではなく、菌でできています。

特に、一番よく見られるものはフザリウム・ベネナタム株から作られます。これを作るのに、真菌は酸、温度、そして栄養の量を細心の注意を払ってコントロールされた装置の中で発酵させられます。それから、肉のような硬さになるまで結着剤と混ぜ合わせます。それを実際に食べて見た人によれば、なかなか美味しいようです。

「マイコプロテイン」を作るのは、通常の食肉を作るのと比べて、ずっと小さい規模とエネルギーで済みますし、二酸化炭素の排出量も90パーセント少なくなります。それに「マイコプロテイン」は豆腐よりも多くのタンパク質を含有しています。

残念なのは、ある人たちにとっては重症なアレルギーを引き起こす原因となり、1,000人を対象に取ったあるアンケートによれば、「マイコプロテイン」へのアレルギー反応は、よく見られる貝類やピーナッツアレルギーよりも多いことがわかっています。

ですから、これらの問題を解決するのには長期の時間を要するようです。そのアレルギーをテストする何らかの方法を開発するか、違う菌株を使う必要があるでしょう。すでに研究者たちは何千種類も試してきましたので、ちょっと難しいかもしれません。

養殖と水耕栽培を組み合わせる「アクアポニックス」

ステファン:ありがたいことに、菌を育てるのにはあまりスペースを必要としませんが、将来「マイコプロテイン」以外のものを食べたいのであれば、もっと土地が必要となります。現在、地球上の40パーセント以上の土地が農業に用いられていて、肥沃な土地はもうそんなに残っていません。そこで考えられたもう一つのアイデアは、「アクアポニックス」です。

これは水耕栽培の一つの形で、水耕栽培とは、土の代わりに水とミネラルの中で植物を育てる方法のことです。「アクアポニックス」は水耕栽培ですが、市販の肥料を使わずに養魚場から出た廃棄物を肥料として利用します。

まず、比較的小さなエリアにたくさんの魚を育てます。毒素を取り除くため、継続的に水を浄水し続けます。魚は呼吸をし、排泄しますので、水の中は有効なミネラルや窒素などの養分でいっぱいになります。その水を別の入れ物に流し、植物によって浄化します。

いくつかの試験場では植物が水の上に置かれ、その根っこが水に浸かるようになっています。

最終的に、養分を得て植物は元気になり、浄化された綺麗な水はまた魚のいる水槽へ戻されるという仕組みになっています。このシステムの主な利点は、室内でできるので「アクアポニックス」はどこにでも設置することができるという点です。しかし、そこにも私たちが解決しなければならないいくつかの問題点があります。

例えば、魚は植物が必要な養分をすべて補うことができますが、ちょうど良いバランスを取ることは難しくなります。害虫駆除もかなり難しくなります。なぜなら、水中に農薬を混ぜると魚が死んでしまうからです。それにこの方法にはたくさんの魚が必要となり、高額となります。特に砂漠地帯でこのシステムを設置しようとすれば、さらに費用がかかります。

それでもいくつかの農家では、小規模ではありますが、すでにこの技法で成功しているので、もし引き続き研究を続けていくならば、いつか魚から得た養分で育った植物をみんなが食べる時代が来るかもしれません。

30階建ての高層ビルを農場にする「垂直農法」

オリビア:「アクアポニックス」の他にも、将来の農地の不足に対処する方法があります。外に広がる代わりに、上へ高くしていく方法があります。このアイデアは「垂直農法」と呼ばれ、棚や各フロアへと積み重ねたコンテナの中で植物を育てるという方法です。

超高層ビルを農場へ変えるというのです。このコンセプトは初めて2009年頃に発表され、テスト段階では成功を収めています。

それに、この方法は水耕栽培などの他の技術と合わせて行うことができます。この技法の1番の利点は、より少ない土地で行えるという点です。もし町の一角で30階建てのこのような農場を立てると、同じサイズの伝統的な農場と比べて約100倍の植物を育てることができるのです。この農場は室内で行われるため、天気や多くの害虫の心配をする必要もありません。

もし汚水を浄化して作物にあげるようにすれば、完璧な街の農場を作ることができるのです。しかし、この場合も、巨大なカスタムメイドのビルを建てる必要が生じますので、多くの費用がかかります。それに、植物に十分な太陽光が当たるようにしなければなりません。人工のライトを当てるもの一つの方法で、現在行われている水耕栽培においても人工の太陽光は有効に用いられています。

天窓や窓のそばに置く植物をローテーションすることによって、すべての作物に均等に光が当たるようにすることもできるかもしれません。一番大きな課題は、今の段階で「垂直農法」はあまり環境に優しい農法ではないということでしょう。

2015年に小さな農場で行われたある分析によれば、「垂直農法」により作られたレタスは、通常の農地のレタス栽培よりも2倍~5倍も多くの二酸化炭素を排出したことがわかりました。これは多分、ビルに電気を供給するのと関係があると思われます。

人工の光と作物に水を注ぐのに大量の電気が使われるからです。環境に優しいエネルギーを用いることにより、この技術を改善することもできるはずですが、それだけが問題なわけではないので、このような農場が街に見られるようになるまで時間がかかるでしょう。

ステファン:現状では、これらの技術は完全とは言えませんし、そのために私たちには将来の革新者とエンジニアが必要と言えるでしょう。

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SciShow

Hank Green(ハンク・グリーン)たちがサイエンスに関する話題をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。

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