白馬村副村長が地方創生の全容を説明

藤本元太氏:みなさん、こんにちは。先ほど紹介いただきました、白馬村で副村長をしております藤本でございます。私は、総務省の地方創生の取り組みの一環として、出向期間である2年間、こちらに来させていただいております。

先ほどKDDIさんと白馬村との間で、協定を結ばせていただきました。地方の課題はさまざまあるかと思いますけれども、その地域課題を解決していく手法の1つとして、これからはICTの活用が重要になってくるのではないかと思っております。今後はKDDIさんと一緒に、観光をはじめ、白馬村の地域課題を解決していければと思っております。

それでは私から簡単に、白馬村の紹介も兼ねましてプレゼンをさせていただきます。これから取り組む連携事業の詳細につきましては、のちほどKDDIさん、あるいはナビタイムジャパンさんから紹介があるかと思いますので、私からは地方創生の全体的な内容についてお話をさせていただきたいと思います。

まず、白馬村の概要でございます。面積は約190平方キロメートルで、90パーセントぐらいは山林・山岳になっております。標高でいきますと、みなさんがおられるこの場所は、だいたい700メートルぐらいですけれども、一番高いところでは白馬岳(はくばたけ)……正確には「しろうまだけ」といいますが、北アルプスで2,932メートルの山があります。

人口は約9,000人です。のちほど説明させていただきますけれども、まさにいま、インバウンドのお客さまがたくさん入ってきておられます。この冬の間に関しましては、相当数の外国人の方々が住民登録されているという状況であります。

本日は、東京から来られた方が多いかと思います。東京からのアクセスとしましては、北陸新幹線、またはバスで2時間半と、首都圏からのアクセスも非常によいマウンテンリゾートです。

実は日本海までも近く、車で1時間ほど行きますと新潟県糸魚川市にも行けます。例えば冬ですとシーフードシャトルも運転しており、そういったものもお客さまに楽しんでいただけるという環境になっております。

冬季五輪開催などの歴史を歩んできた

白馬村の歴史でございますけれども、みなさんもご存知のとおり、スキーが一番有名なところです。そのスキーと山岳観光の2本立てで発展してきた村でございます。山岳観光につきましては、先ほどご紹介しました白馬岳、あるいはその周りの山々に登るお客さまを、山小屋や山案内人……いまでいう山岳ガイドの方々がおもてなしするといったことが、明治時代から始まっていたということです。スライドの一番左上は、これは山荘の山小屋……昔の山荘の写真です。

スキーに関しましては、日本にスキーが入ってきたのが1911年といわれておりますけれども、その2年後には白馬の八方の山でスキーをする人が出てきたといわれております。

1998年には、みなさんもご存知のとおり、長野オリンピック・パラリンピックが、この白馬の地で開催されております。今年の記憶にも新しいところですけれども、(スライドを指して)この写真にありますように、スキージャンプの団体の金メダルは、まさに白馬のジャンプ台で生まれたというところでございます。

そのほかにもアルペンスキーやノルディックスキー、クロスカントリーといった競技が白馬村で開催されてきました。そういった歴史があります。

昨今、国際化も非常に盛んになっており、いわゆるインバウンド、外国人観光客のお客さまにもたくさん来ていただいております。良質なパウダースノー、アクセスのよさということから、オーストラリアを中心に外国人観光客が増えており、また観光客だけでなく、ホテルや飲食店を経営する、定住の外国人の方々も増えてきております。外国人住民の割合は、去年で7.38パーセントと、県内で第1位の数字となっております。

この下のグラフを見ていただきますと、昨年、外国人観光客の延べ宿泊者数が約10万泊ということですけれども、実数はもっと多いのではないかといわれております。スキー場の入れ込みでいうと、30万人ぐらいが外国人といわれております。

今年も既に、外国人の住民登録の数は800人を突破しておりまして、このままでいくと、住民登録をする外国人の方が去年を上回ることになるのかなと思っております。こうした中で、受け入れ環境を整えていくという意味で、教育にも、外部人材を活用するとともに、誰もが住みやすい多文化共生の村づくりに取り組んでいるところでございます。

ビジュアルで見る銀世界の美しさ

ここからは、いくつかビジュアルでお見せしようと思います。これは、アジア屈指の国際山岳観光地ということで、白馬岳の一番上にある日本最大規模、そして日本最古といわれている山小屋になります。

また、みなさんもご承知のとおり、国内最大級のゲレンデ・パウダースノー。

そして民宿、ペンション、ホテル、コテージなど多様な宿泊施設がございまして、村内には登録されている宿泊施設が約500件あるといわれております。

一方で、伝統的な、いわゆる日本古来の風景も残っております。これは北アルプスを眺める反対の山から(の景色で)、棚田百選、伝統的建造物群として青鬼地区が選ばれております。ここは、とくに春先にはたくさんのお客さまが来られるところでもあります。

多様性を村で育んできた

今までお見せしたような多様性が、白馬の1つの価値なのかなと考えております。白馬村の基本理念は、このスライドにありますような、多様であることから交流し、学び合い、そして成長する村を目指しております。

とくに観光ですけれども、産業における白馬村のビジョンとしましては、世界水準の滞在型観光地として、この地位をしっかり確立していきたいというところが、村として目指している方向性でございます。

それに向けた具体的な取り組みとして、いま実際に進めているものでは、観光ですと、例えばオールシーズン、そして滞在型への転換があります。冬だけではなく、グリーンシーズンの観光にもしっかり取り組んでいくということが1つです。

滞在型は、週末の土日だけではなく、比較的長期間に渡ってリゾートとして滞在を楽しんでいただこうという方向性です。

例えば、この一番右上の写真ですけれども、HAKUBA VALLEYとして、この白馬エリアにある10のスキー場を1つのブランドとして売り出そうと取り組んでおり、共通のリフト券(の発行)といった取り組みもしております。

(スライドの)左下にありますのはシャトルバスですけれども、(長期間)滞在していただくためには、この白馬エリアの中でしっかりと周遊していただく環境を整える、2次交通の整備が必要であるということで、こうしたシャトルバスを運行するという取り組みも進めております。

そして、サイクルツーリズムです。最近は、グリーンシーズンのテコ入れとして、自転車観光に力を入れておりまして、平地でのサイクリングもあれば、スキー場でマウンテンバイク(を楽しむといったもの)もあります。こうしたところにしっかり取り組み、インバウンド需要、あるいは国内でもこれまで取り込んでいなかった需要を、しっかりと取り込んでいこうということで進めております。

今後のさらなる活性化に向けて

産業としましては、伝統文化の継承、特産品のブランド化というところで、例えばそば粉を使ったHAKUBAガレットといったもののブランド化もしております。暮らしの面では、多文化共生というところで、外国人のみなさま方の意見を聞きながら、この多文化(共生)への取り組みもしっかり進めるところでございます。

今後ですけれども、「ICTを活用してこんなことをやっていきたい」というものがあります。想像の世界のものもありますが、ぜひこういったものをやっていきたいと思っております。

例えば観光では、これから発表があるかと思いますけれども、アプリ等を活用した滞在環境の整備。それから、ドローンを活用した山岳観光と書かせていただいております。こちらに関しましては、先日、国交省の実証実験の事業を白馬で行いました。

何をしたのかといいますと、これまではヘリで山小屋に荷上げをしていたものがあるのですが、ヘリや人手の不足であったり、天候が悪かったりして飛べないということが非常に多くなってきました。ヘリにかかるコストがかなりの負担になってきており、その部分をドローンで代替できないかというところで、実験をしております。

実用化に向けてドローンを飛ばしていくにしても、IT技術は必須になってきますので、そういったところをしっかり取り組んでいければと思っております。

また、観光地ですから電子決済への対応(も重要ですし)、暮らしの面ではICTを活用して、例えば水道や橋梁などのインフラ管理(も重要です)。それから、白馬村もテレワークに取り組んでおりますけれども、そういった仕事の創出(にも取り組みます)。

行政の面では、ICT技術を活用した働き方改革や、(ICT技術の)教育分野への活用ということで、現在すでに小中学校にタブレットを導入していますが、今後はそのあたりの発展も見込まれるのではないかと思っております。

KDDIさんとは、今後ICTを活用して、いろいろな地域課題の解決に取り組んでいきたいと思っております。ぜひ白馬の地方創生に向けてがんばっていきたいと思っております。

私からの発表は以上とさせていただきます。ありがとうございました。