データリテラシーをどう教育していくか

備前光隆氏(以下、備前):ありがとうございます。お三方に共通してデータの民主化や環境という話が出ました。数字が出ているだけだと、(人によっては)数字の見方がわからなかったり、リテラシーが低さから間違った解釈をしたりする可能性はあるじゃないですか。

そのあたりの社員教育というか、社内・組織教育ってどういうことを取り組みとしてやられていますか?

牟田博和氏(以下、牟田):難しそうですね。

備前:どんどん(マイクを)回していいですよ。しゃべれる方でぜんぜん大丈夫です。

樫田光氏(以下、樫田):データリテラシーってすごく難しい問題かなと思っていて。さっき牟田さんもおっしゃったとおり、民主化って範囲をどこまで含めるかという問題が1つあるかと思います。

実は僕が今運営しているBIチームのなかには、『レ班』と『デ班』というものがつくられています。デ班とは何かと言うと、”Democratize班”の略称です。レ班というのは、”Reinforce班” です。

住み分けとして、レ班は “BIチーム自体をどうやったら強くできるか” ということを考えるチームで、デ班というのは “BIチームの外に分析をどうやって伝播していくか” ということを考えるチームです。ある程度人数を振って、オーナーシップを持ってやってもらっています。

実は今日、デモクラタイズ班のオーナーの松田(メルカリBIチームの 松田慎太郎氏)を連れてきているので、もし興味がある方は懇親会で話しかけてみていただければ、いろいろな話をしてくれるんじゃないかと思います。

階層構造で考えるデータリテラシー教育

さっきの話に戻ると、教育するといっても、ありとあらゆる社員のデータリテラシーを一気に上げようとすることではなくて。まずBIチームがあって、その周りに準BIみたいな人たちがいて、さらにその外側にはあまりデータリテラシーのない人がいる、といった階層構造をつくることかなと思っています。

外側の世界のタスクや依頼が、BIチームにぜんぶ集まるとけっこうキツいんです。僕らがやっていることというのは、すでにそれなりにデータリテラシーがあったりとか、分析したい欲求がすごく強くて、かつセンスがありそうな方々を優先的に教育していって。その方々が、さらにその外の世界にいる、あまりデータが得意じゃない人の依頼や相談を聞くというような形をとると。

(彼らのことを)僕らは「ゆるふわBI 」と呼んでいます。僕らBIチームが地球としたら、その周りにゆるふわBIをオゾン層のようなかたちでまとって、外からの依頼が来るのを防ぎつつ、自分たちの力でオゾン層をなるべく育てていく、ということをいま頑張ってやっています。

ですので、全社員のデータリテラシーを一気にガッと上げるというよりは、準BIというのを鍛えていって、その人たちから伝播していくかたちで全社員に広がればいいかな、というステップ・バイ・ステップで考えている状況です。

いろんな人が見るものだからこそ、データの定義が必要

備前:社員教育について、ほかにもなにかありますか?

鉄本環氏(以下、鉄本):さっき「ゆるふわBI」ってお話があったと思うんですけど、うちの場合は、他チームのデータに興味がある人を「BIチームから派遣しているメンバー」ということにしてしまって、@bi-allというSlackのグループメンションをつくったりしています。

やっぱりデータに興味がある人って、勝手に入ってきてくれるんですよね。ですので、その人たちに1回権限を与えたり、一緒にペアワークしたりというところで、私たちの知見を渡していって、そこから伝搬させていくというのをやっています。

あとは組織的にデータの重要性を押し出すということもやっていますね。チームだけじゃなくて、例えば経営層とかも巻き込んで、どれくらい定量的に数字を見ることが大事なのか、というところは節目節目で押し出してやっています。

もう1つやっていることとして、データの定義がわからないと、すごくハードルが高くなってしまうと思うので、そこの定義や、何を重要視しているのかを明確に示すということをやっています。

そうすると、ハードルが1段下がって、定義についても深掘りして聞いてくれたり、何か作業をしようと思ったときに、この指標を見ていれば施策を進めていいんだというイメージが、具体的に湧いていくので。そこをとっかかりにまたBIチームに入ってきて、@bi-allのメンバーになっていくという流れが増えるかもと思っています。

備前:おっしゃるように、データの定義ってむちゃくちゃ大事ですよね。そこがふわふわしていると、出ている数字もまずもって定義の解釈が違うし、出ている数字の解釈自体がもう間違ってくるし。数字って、いろんな人が見るので、定義をしっかりするというのは、本当に大事なことですよね。

それから、ビジネスマンである以上、数字ってつきものじゃないですか。そんなに難しい話をしているわけではなくて、それはもうベーススキルとして身につけようよという感覚は、我々としてはつくっておきたいですよね。

データという機密情報の扱い方の啓発

備前:牟田さんのところは何かありますか?

牟田:私はちょっと違う視点でお話しするんですけど、弊社に特殊な事情として、ユーザーさんの機微な情報を扱っているんですよね。

なので、「機微情報を正しく取り扱う」「そもそも法律に触れない」という話は、めちゃくちゃ重要です。だから、その辺の啓発はすごく重視してやっているし、これからもやろうと思っています。

このあとの話は、先ほどの鉄本さんと似たような話ですが、我々はデータを広く使ってもらうための環境(yanagishima, OASISなど)を自社開発をしています。そういうものを使って、会社のデータ民主化を進めようとしています。

評価としてわかりやすいのは、ユーザーに与えたインパクトの大きさ

備前:ありがとうございます。話題を少しだけ変えて、今日いらっしゃっているみなさまも、なにかしらの組織に所属していると思いますし、その組織また経営しているみなさまからの評価もあると思います。僕らって、なにをしたら評価してもらえるんですかね?

牟田:すごく難しい話ですよね。

備前:これは僕もマネジメントでけっこう難しいなと思うところがあって。事業に直結するような意思決定を促すデータを整理提示して、動かすことはできますよね。実際に事業成果が出ましたっていうのは、出るケースも出ないケースももちろんあると。

そういうときに、なにを評価してもらったらいいんだろうっていうのが、ちょっとした話題なんですけど。そこって各社さんはどうですか? これは牟田さんから戻っていきましょうか。

牟田:チームとして、例えば会社の経営陣とかにどう評価されたいかという話ですよね。はっきり言って、私たちの会社も整備されているわけでもなくて、視点がちゃんと共有されているわけでもありません。

ただ、そういう状況でも今の経営陣からは、機械学習チームとかData Labsの他の組織も含めて、データってすごく重要で、うまく活用してくれてるから、今も評価しているしこれからも頑張ってほしいんですよって話はしてもらっていて。じゃあどうやって評価しましょうかって話になると、やっぱり一番わかりやすいのはユーザーにどれだけインパクトを与えたかですよね。

売上を増やすだったり、アクティブユーザーを増やすだったりなんですけど、それだけだと測れない部分もすごくいっぱいあるので。私がメンバーに対して言っているのは、人をどれだけ動かしたか、というところを心がけて仕事をしてねということです。

人というのをユーザーとして見ると、アクティブユーザーや売上になります。社員、例えば同じプロジェクトのエンジニアや企画者として見ると、その人たちの意識変容をどれぐらいのインパクトで、何人ぐらいに対してできたか、というところで私はメンバー評価をしています。組織としての評価もそういったイメージにしたいなとは思っているのですが、それを定量化するのは難しく、やっぱり課題ではあります。