1,000日間、毎日手紙を書き続けたことで自信が生まれた
ファクトリエ・山田氏の圧倒的な行動力の源泉とは

基調講演 「メイドインジャパン」で世界を変える、 業界を覆したひとりの情熱 #2/3

熱狂ブランドサミット2018
に開催

2018年11月5日、品川インターシティホールにて株式会社トライバルメディアハウス主催の「熱狂ブランドサミット 2018」が開催されました。マーケターがどのように顧客を熱狂に導くかをテーマに、経営者やデザイナー、インフルエンサーといった、さまざまな立場の有識者がセッションを行いました。本記事では冒頭に行われた基調講演の内、ファクトリエの山田敏夫氏による講演後半と、トライバルメディアハウスの高橋遼氏との対談序盤の模様をお送りします。

提供:株式会社トライバルメディアハウス

どこの誰がつくっているのか、連絡先まですべてオープンに

山田敏夫氏(以下、山田):僕ら「ファクトリエ」は、メンズ、レディース、ベビーなどの洋服全部をインターネットで売っています。

野菜の産直って言いましたけど、僕は月の半分以上、工場を回っているんですね。会社を作って6年ですけど、これまでに600工場くらい回っていて、一戸一戸訪問して、選んでということをやっています。

「工場ってどうやって探すの?」ってよく聞かれるんですが、現地に行って、近くの急行とか快速が止まる駅に行って公衆電話を探して、タウンページの上から電話をかけていくんです。これが一番効率的なんですね。

去年か一昨年、『カンブリア宮殿』というTV番組にファクトリエが取り上げられたときに、そのシーンが一瞬映ったんですね。そうしたら、NTTタウンページ株式会社のかたが直接会社にいらっしゃったんです(笑)。会社を作ってから一番うれしかったことの一つです。 (会場笑)

まだまかないきれていない地域がけっこうあるので、結局は行かざるを得ないんですけど、うれしかったですね。

僕らは作り手が主役だと考えているので、誰がどこで作ったのか、連絡先も全部オープンにしています。

ファッション業界で工場情報をオープンにするというのはタブー中のタブーでした。理由はほかのブランドに取られてしまうとか、新商品の情報が漏れてしまうとか、いろいろあるんですけど。例えば、LACOSTEを作っているポロシャツの工場が、Ralph Laurenに取られてしまうとか。工場の生産キャパは決まっていますからね。

あとは、理想と現実のギャップですよね。ファッションモデルが華やかなパーティーで着ている服が日本製だったらまだいいですけど、バングラデシュの児童労働で作られていることがわかったら、イメージが悪いじゃないですか。

こういった理想と現実のギャップがあるので、作り手の情報を表に出すというのはアパレル業界のタブー中のタブーだった。なので、僕がこれをやったときには強烈な逆風が吹きました。

希望小売価格ではなく、希望「工場」価格での販売

山田:いまは北海道から沖縄まで55個の工場と提携して、生産しています。何が工場にとってのイノベーションになったかと言うと、2つあります。

1つが工場の名前を全面に出したということ。これが大きなイノベーションだったんですね。イノベーションがなにかと言うと、僕は潜在的課題の解決だと思っていまして。

工場に「なにを解決すればいいですか?」と聞いても、「工賃を10円上げてほしい」「パターンをデータでほしい」ということしか言ってくれなかったんですね。

これって結局「改善」でしかなくて。先進国の僕らにとっては、改善って意味がないんですよね。先進国で時給も高いので、僕らがやるべきことっていうのは改善じゃなくてイノベーションなんです。

工場の情報を表に出すことって、すごく些細なことなのに、イノベーションだったんです。なぜかと言うと、工場は自分たちが表に出られるなんて思わなかったので。工場の名前をオープンにしたことで、彼らは誇りを持ってものを作れるようになったんですね。

いままでは、FAXが届いたらそれに従って「いつまでに何着、何円で作れ」ってことでしかなかったのが、自分たちの名前が出るので、自分たちで考えて作って、作ったものを胸を張って表に出していける。

これと同時に渡さなきゃいけなかったのが、希望小売価格を捨てて「希望工場価格」にするってことだったんですね。僕がいま着ている服も、このジーンズも、このスニーカーも、ソックスも、全部工場の言い値で買っているんですね。

普通だったら希望小売価格を決めて、そこから原価率を設定してやっていくわけですね。僕らは全部工場の言い値で買っていると。

僕らの工場は55個あるんですけど、かなり新卒採用が多いんですね。なぜかと言うと、最高の商品を作れるからなんです。そしてちゃんと儲かるかたちなんですね。僕らは彼らの言い値で買っていますし。

日本の工場に来る仕事って、結局は中国と同じ値段でやる仕事ってよく言われるんですね。中国と日本ではどれくらい時給が違うかと言うと、だいたい10分の1くらいです。日本が1,000円としたら、中国は100円くらいです。

じゃあバングラデシュがいくらかと言うと、だいたい20円くらいですね。日本にバングラデシュと同じものづくりをさせるんだったら、意味がないですね。

僕はすべての産業のものづくりに対して同じことを思っているんですね。バングラデシュと同じことを日本人にやらせて、日本製品を守ろうなんて僕は思っていません。

自分で考えてパターンを引いて、素材を選んでその人に合わせてものを作っていくということについて、日本人はすごく優れていて。彼らが優れているんだったら、彼らの値段を極限まで高めていい仕事をしてもらわないと、それは引き出せないんですね。

単純に「日本製だから」ってマーケティング的に安く作らせてたら、(途上国で作る洋服と)なにも変わらないものができちゃうんですね。僕は日本から世界ブランドを作りたいので、こういうことをやっています。

お客さまと工場がステークホルダー

山田:実は就活もかなり手伝っていまして、来週も「工場サミット」というイベントをやります。学生とお客さまを100人くらい集めて、なかなか新卒採用ができていない工場に集まってもらうという、ボランティアでやっているものです。

今回が第5回で、4年前から始めたんですね。4年前と言うと、社員は僕とあと1人だったんです。それで、「工場で働きたい」とか「興味がある」と言って参加してくれた子たちが、実際に工場に入ったということもあります。

9時から17時まで自分の好きなものづくりをやって、週末は温泉に入ってみんなとバーベキューをやってという生活の話を聞くと、けっこう楽しそうだなと思います。

いまではその「工場サミット」に、当たり前(のよう)に東大生も来てしまうんですけど、4年前はこういう「山っ気があるけど、こだわる分にはとことんこだわる」っていう、エネルギーのでかいメンバーが来てくれていました。

僕らが工場のイノベーションに向けてどういうことをやっているかと言うと、下請けを直売に変えて、赤字だったのを儲かるかたちに変えて、若手不在の状況を採用につなげて、やる気をアップさせるということ。これが僕らの工場に対するイノベーションです。

僕らのステークホルダーでも、とくに大切にしていることが2つあります。両方ともお客さまなんですけど、1つは工場で、もう1つがお客さまなんですね。これが僕らの考え方です。

お客さまはもはや、ファクトリエの革命の同志

山田:次は消費者に対しての僕らの考え方を、今日のテーマに沿ってお話ししたいなと思います。みなさんもプロだと思うので、釈迦に説法のようで恐縮なんですが。よくフィリップ・コトラーさんが言っているように、いまの日本には、マズローの欲求5段階説で言うところの「自己実現」と「承認」しかなくて。

さっきの高橋さんの言葉で言うと、製品中心から消費者志向の価値主導って、宗教的な信仰みたいなものですよね。

価値がないと信仰するべきものがないので、価値で主導していくというのがいまの時代だと思っていまして。

僕らはお客さまを、まさしく「熱狂的な仲間」だと定義づけています。さっき言ったように僕は、2年半くらいバイトをしながら1人でこの仕事をやってきました。熱狂的な仲間を作っていくのに、最低限必要なことって3つあると思っています。

1つが使命です。「語れるもので日々を豊かに」とさっき言ったように、「従来のファッション性や経済性ではなく、作り手の想いで買う。コスト削減ではなく、世界一の価値を創造する」っていうのが僕らの使命です。

何かと言うと、お客さまは僕らの革命の同志なんですね。だから「ファクトリエがおしゃれだよね」という話よりも、ファストファッションやデザイナーのそういったものに対するアンチテーゼとして、お客さまが革命の同志の仲間になってくれているというのが、僕らの使命です。

2つ目は、「語れる商品」ということです。僕はよく5段階で言っていて。5が「誰かに言ってくれる(勧めてくれる)」、4が「好きで買い続けているけど人には勧めない」、3が「普通」となったときに、顧客満足でいけるのはリピート率の向上までだと思っていまして。

うちの会社みたいに、宣伝広告費をほぼなしで成長していくのに、唯一無二の方法はクチコミだけなんですね。クチコミしてもらうって、めちゃくちゃ難しかったです! クーポンを配っても、誰もクチコミなんかしてくれないですから。

いまはInstagram、Facebookの自分のタイムラインが神格化していて、そこに投稿するハードルってめちゃくちゃ高いんですよね。単純に「こうやってあげます」くらいじゃ無理で、結局その人たちを熱狂させなきいけないというところがあります。

熱狂については、4から5に上げる工程を僕らはできているので、宣伝広告費もなく急成長できているんだろうなと思っています。そのときに僕が肝だと思っているのは、物質じゃなく精神性だと思っています。

「語れる商品」以外は商品開発しない

山田:例えば、温泉に行きたい人って「あそこの温泉は泉質が良くて、硫黄が何パーセント入っているから」って理由で行くというよりは、家族との時間とか自分が集中したいからとかリラックスとか、そういった感情を買うために行くわけですよね。

なので、大切なのは物質ではなくて精神だと思っていて。4から5にいくためには精神性はすごく重要だと思っています。同時に、僕らの語れる商品について、例えばどういうものを僕たちががんばって作っているかをイメージとしてお伝えします。

僕って、白いジーンズを履いたときに限って醤油とかをこぼしてしまうんですね。そういうときに限ってミートソースをこぼしたり、急に雨が降ったりするじゃないですか。買った初日に泥水を跳ねさせて汚したりしていたんですね。

それが嫌だったので、絶対に汚れないっていう白いジーンズを作ったんです。汚れを全部弾くんです。でも、普通の肌触りなんですよ。

これはジーンズの聖地である岡山の工場で作っているんですけど、最後に(ジーンズを)焼くんです。構想を入れると1年かかったんですけど、3つの工場でいままでやったことのないものづくりを一緒にやったんですね。

ジーンズ工場って、これまで加工するとなったら、汚すことしかやってこなかったんです。汚さない加工なんてしてこなかったんですね。でも、焼くことによって(弾く成分を)固着することで、100回洗ってもその効果が落ちなくなるんです。

たぶん「ファクトリエ 白いジーンズ」とかで検索すると出てきます。これは『ワールドビジネスサテライト』や『スーパーJチャンネル』、『羽鳥慎一モーニングショー』、『王様のブランチ』、『スッキリ』、明石家さんまさんの『ホンマでっか!?TV』といった、いろいろなテレビ番組で紹介されたんです。

僕らはそういう「自分たちがワクワクすることで、なにかを解決する」という、語れる商品しか作らないんですね。

ファストファッションのレベルがあまりにも上がっていて、工業製品としてはユニクロが一番いいと思っています。もし服を経済性や工業製品として買おうとするなら、ユニクロが一番だと思います。

今日はスーツ姿の方も多いですけど、日本でネクタイが一番売れているところってダイソーなんですね。ダイソーって年間200万本のネクタイを売るんです。全売上本数の2割はダイソーさんなんですね。100円で買えるんですよ。

ファストファッションのレベルが非常に高いので、僕らは圧倒的価値を出せる「語れる商品」を作れないなら、商品開発しないと決めています。

クチコミだけで営業は1人もいない

山田:最後ですが、僕らはこうやって毎週のようにイベントをやっています。基本的にはお客さまたちも、「お客さま」というより「友だち」というか、「仲間」だと思っています。工場ツアーがあれば、実際に各地へお客さまも一緒に行ってもらいます。

今週末も岩手でイベントをやります。工場ツアーがあるので、もし興味のある人がいたら見てみてください。あと1枠か2枠くらい空いていると思うので。

また、これは「ものづくりカレッジ」といって、先ほどの企業版です。「感性を磨きたい」「ものづくりについて知りたい」という会社さんへ、実際にうちのメンバーが行って、ものづくりとかこだわりについて話すということをやっています。

僕は基本工場を回っていることが多いのであまり出てないんですが、ちょうどこの間、愛知に行ってきました。愛知にはトヨタ自動車さんがあって、課長以上の方が集まる「幹の会」というのがあります。その「幹の会」で400人の課長さん向けに、「ものづくりカレッジ」についてのイベントをやったりしました。

(ちなみに、)うちの会社は営業がいないんですね。単純に社員の人たちが自社のファンなので、うちはクチコミだけなんです。クチコミだけなので、営業なんて1人もいない。それに課題解決すれば自ら人が来てくれると思っています。そうやってファンを連れてきてくれているので。

台湾に店を構えられたのは、熱狂的なファンのおかげ

山田:うちはEC事業をやっているんですが、いまは世界からのアクセスが非常に多くて。海外100ヶ国から毎月アクセスいただいていて発送しています。去年は台湾にお店を出しました。台北に2つ出しまして、「made in japan fashion」と検索するとファクトリエが一番上に出てくるんですね。

台湾にも熱狂的な400人のファンというか、濃い仲間たちがいて、その人たちから「台湾にお店を作ってほしい」という話がありまして。僕らは台湾となにもつながりがないので「物件を探してほしい」と逆に言ったんですね。そうしたら、400人のお客さまたちが一斉に動き始めたんです。テナントを探し始めてくれて。

なんのつながりもない僕らから行くと、けっこう足元を見られるんですけど、向こうの人がつないでくれたから、僕らもちゃんと交渉できたんですね。それで去年の1月に、統一時代百貨台北店のTSUTAYA BOOKSTOREの中に僕らの店ができまして。

そのお店がオープンするときには、たくさんのお客さまがいらっしゃいました。いまも台湾のお店は非常に人気です。一番アクセスが多いのはアメリカなので、僕らはアメリカにもショールームをおいて、iPadで注文して日本から送るっていうかたちでやっていこうと思っています。

ということで、ちょうど時間になりました。僕からは以上となります。ありがとうございます。

(会場拍手)

熱中できるものを見つけること。それが仕事をする理由

高橋遼氏(以下、高橋):ありがとうございました。それではちょっと(席に)お掛けいただいて、もう少し詳しいお話などをおうかがいしていきたいと思っています。

山田:ありがとうございます。

高橋:山田さんのプレゼンをおうかがいすると、いつもすごく熱くなって興奮してしまいます(笑)。さっきも控え室でお話ししていて、盛り上がってちょっと時間が過ぎそうな感じだったんですけれども。

まずおうかがいしたいのは、先ほどのお話にもあったとおり、山田さんって1,000日の間、お一人でやられていたんですよね? ご自身が創業したからということもあると思うんですけれども、社員が増えるまで1,000日間やり続けられた。

考えたことについて、それをやってみるということはできるかもしれませんが、それを1,000日も続けられる行動力が本当にすごいなと思っています。

その行動力を支えてくれていたものと言いますか、背景にあったものってどういったものなんでしょうか。そこからおうかがいしたいと思います。

山田:わかりました、ありがとうございます。と言っても、別にたいしたことはなくて。仕事ってなんのためにするのかと言うと、お金のためって言う人もいればスキルを身に付けたいためって言う人もいる。僕はたぶん3つ目で、熱中できるものを見つけるということ。それが幸せだと思っているんですね。

僕はそれが見つかってよかったなと思っているんです。日本のものづくりを世界ブランドにするっていう、それが見つかってよかったなと。だから、熱中できるものが見つかってよかったなっていうのが大前提で。

1,000日間、毎日欠かさず手紙を書き続けた

山田:ただやっぱり毎日行商をするので。公園でタバコを吸っている人たちのところへ歩いて行って、「シャツ買ってください」って言うわけですね。もう怪しすぎますよね。でもそのおじさんは「シャツいくら?」って優しく聞いてくれて。でも「1万円です」って言ったら「高ぇ!」みたいな(笑)。

(会場笑)

行商をするのが個人ではしんどかったので、会社に電話して訪問していたんですよ。例えばタクシー会社とかホテルとか、シャツをユニフォームにしていそうなところに連絡して営業に行くんですけど、高すぎてダメで。

僕は1万円でも安いって思うんですけど、世の中はなかなか受け入れてくれなくて。結論から言うと、僕は「行動が自分の心を強くする」ということと「自分ぐらいは自分を褒めてあげる」っていう、この2つが大事だと思っていて。僕って、マインドが変わってから行動が変わる人じゃないので。

行商をしていたときにやっていたことがいくつかあるんですけど、1つは1,000日間欠かさず手紙を書いていたんですね。二日酔いでも風邪を引いていても、僕は手紙を書いていたんです。

それをCHANELの社長のリシャール・コラスさんだったり、虎屋の社長の黒川(光博)さんだったり、浅田真央ちゃんだったり福士蒼汰くんだったり、岡田准一くんだったり、いろいろな人たちがファクトリエのお客さまとして広げてくれているんです。

その人たちに手紙を毎日書き続けて、1,000通書いたっていうのが自分の心を強くしたんですね。なんでもいいと思うんです。「ジムに毎週通う」「英会話をやる」といった、なにか自分に課したことをきちんとやっている人は、根拠のない自信が心に生まれてくると思うんです。僕にとっては1,000日間で1,000通の手紙を書いたっていうことが、自分の心を支えていたんですね。

それと同時に、いまもそうなんですけど、夜寝るときに「今日よかった3つのこと」を自分に言い聞かせるんです。「今日はうちのメンバーがこういうことをやって、すごくみんなが喜んでくれていた」「こういうことがあって、工場から手紙が届いてうれしかった」とかって言うんですよ。

僕はけっこう自分に厳しくなりがちなんですけど、自分ぐらいは自分を認めてあげるっていうことも重要だと思っていて。なので、行動から心が変わっていくパターンで、自分が決めたことをやっていることと、自分を褒めてあげるということを1,000日間やっていましたね。

世の中、10通も手紙を出せばだいたい会える

高橋:なるほど。そのお手紙って急に送られるんですか?

山田:急にですよ。熊本から急に送られてくるんです。

高橋:それを1,000日間ずっと。要は1,000人に送られたってことですよね。

山田:10通送った人もいます。

高橋:なるほど、お一人に対して10通。

山田:世の中、10通も手紙を送ればだいたい会えますよ。

高橋:そんな法則あります?(笑)。

山田:本当に。なので、人脈は1,000円以内で収まるんですよ。人脈っていう言い方は変ですけどね。

高橋:1,000円以内。

山田:切手は82円なので。いまちょっと値上がりしちゃいましたけど。82円切手で10通分だから、1,000円以内です。会いたい人って目の前にいるんですよ。手を伸ばすかどうかじゃないですか。あ、ちょっと大丈夫ですか? みなさんポカンとしちゃってる。僕は過激派かもしれないですけど。

高橋:いえいえ(笑)。

山田:CHANELの社長のリシャール・コラスさんに手紙を書いたときは、「パリコレ、こんな感じでしたね」とかって調べて連絡して。次は「(お店の)ウィンドウ、こうでしたね」とか言って。なにかに取ってつけて連絡するわけですね。

でもぜんぜん連絡が来ないから、どうせ秘書が破り捨てているんだろうなと思ったので、フランス語で書いてみて。秘書をこれで通過しようと勝手に自分の中で妄想するわけですね。でもなかなか返信が来なくて。

最後は、リシャール・コラスさんが本を出していることがわかったので、日本語訳されていた本をブックオフで全部買って、ザーッと全部読んで読書感想文を送ったら、翌日返信が来たんです。

高橋:え~そうなんですね!

山田:「そこか!」みたいな。「読書感想文だったのか、スイッチは!」みたいな。

高橋:なるほど。

山田:でも、返信が来たらうれしいじゃないですか。虎屋の黒川さんからも返信が来て、でも「会えません」って話だったんです。でも返信が来て、それを開けるときのワクワク感ってすごいんです。「来た!」みたいな。結果がダメだったとしても、返信してくれたってことは、認識してはくれている、みたいな感じです。

高橋:チャンスと捉えられているわけですよね。

山田:そうですね。

高橋:それで2通目を出されるということを繰り返してやられていたということですか。

山田:はい、やっていました。

熱狂は半径1メートルからしか生まれない

高橋:お一人で1,000日くらいやられていて、だんだん共感してくれる工場の方だったり、お客さまのなかにも共感してくれる方がどんどん増えてきたと思うんですけれども。「変わってきたな」って実感したタイミングというか、どういった兆しがあったんですか?

山田:2つあって、1つは僕らの商品が本当に良かったので、リピートしてくださる方がまずは増えた。さっき言った、4番目が増えたんですね。

同時に僕は、熱狂って半径1メートルからしか生まれないと思っているので。行商で1対1で話しているうちに、そのなかの1人がSNSに書いてくれたりし始めたんですね。リピートとSNSというのがあったんです。

2つ目が、時代の波に乗っていると思っていることで。それはなにかと言うと、東京オリンピックが決まったことによって、日本人が初めて日本というものを意識するようになったということです。

日本人って、となりに外国人がいないので、自分が日本人であることとか、使っているものが日本製であるということをなかなか意識しづらいんですよね。ヨーロッパにいたら全部違うし、アメリカに行ってもそうなので、海外に行けば自分が日本人であることを意識するでしょうけど。

オリンピックや地方創生みたいな文脈の中で「やっぱり日本製って大事なんじゃない?」みたいな空気が少し生まれたというのはあるかもしれないですね。

高橋:それがSNSなどの反応によって感じられたということですね。

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