ビッグデータの民主化を--月間"2兆PV"のヤフーが目指す究極のパーソナライズとは?

宮坂学・2000年越しの課題解決 #2/2

Softbank World 2014
に開催

「これからのヤフーは"ビッグデータカンパニー"として飛躍していく」--同社CEOの宮坂学氏が、535億PV/日を誇るヤフーグループが手にする日本最大級のビッグデータを基に、主に広告のパーソナライズについて予測される未来を語った。

パーソナライズされた広告が可能になった

宮坂学氏(以下、宮坂):次に、今度はタイミング。

どんなに優れた広告の表現の仕方も、結局お客様にとってその情報を知りたいタイミングで、また興味のあるお客様にだけターゲットにして届けないと、残念ながらノイズになってしまいます。これも最近新しいテクノロジーで、どんどん新たにお客さんにピッタリのタイミングで広告を出すということが出来るようになりましたので、少しご紹介をします。

これまでは、ターゲティング、お客様にピッタリの広告を届けるためにどういうことを考えていたかといいますと、インターネット以前は、例えば車の広告を出したいのであれば、車の雑誌を読んでる人で出すとか、若い人向けの商品であれば、若い方がたくさん観ているであろうテレビ番組に出稿する。そういった、コンテンツによってセグメントをして、そこに広告を出すというのが主流でありました。

それが今後はどんどん進化しております。ターゲティングによって出すという形。ターゲットの仕方がどんどん変わってまいりました。

これからは、お客様の行動履歴をインターネットで、ヤフー上、そして皆様のWebサイトでお客様の行動履歴を取得して、車に興味のある人にだけは車の広告をずっと出していくと。仮にその方が車以外のコンテンツを見ていても、車の広告を出す。そういったコンテンツによるターゲティングではなく、人によるターゲティング。こういったものが始まるようになってまいりました。

ビッグデータを広告に活用するために必要な3つのポイント

いわゆるビッグデータ。今日何度も出てまいりましたけれども、我々はインターネット、スマートフォンによって膨大な数のデータを手にするように出来ましたので、ビッグデータによって、お客様の人に合った、人にピッタリな広告を出すということが出来るようになりました。このビッグデータでございますけど、三つポイントがあるというふうに言われております。

ボリューム、ベロシティー、そしてバラエティーでございます。この3つを持つことによって、どんどん精度が上がったターゲティングが出来るようになります。まず、最初のボリュームでございます。ヤフージャパン、これヤフーだけに限った話でいいますと、今だいたい、1日に6,700万ユニークブラウザ。

国民にすると2人に1人くらいの方がヤフーに訪れて下さってます。なので、これぐらいの方の行動の履歴。この人はこういう検索をしたとか、こういうコンテンツを見たという情報が今、ヤフーには溜まっております。

そして二つ目、速度でございます。

これも非常に重要でして、今だいたい毎秒5万アクセスぐらい、つまり5万アクセスぐらいが秒間で来ます。なので、日々お客様の履歴が更新されます。やはりデータというのは、ある種生もの、刺身のようなものでございまして、1か月前のデータを使ってターゲティングするよりも、やはり10分前、1秒前のデータを使ってターゲティングするほうが圧倒的に精度がいいんです。なので、こういったデータが更新される速度というのも実はものすごく重要になっています。

そして最後はこのバラエティー、多様性であります。

たくさんの種類のサービスがあること。このサービスを使うことというのは、お客様から我々へのシグナルです。何らかの自分の意図のシグナルを受け取ることに他なりません。こういったものに、皆様のホームページ、企業の皆様のホームページとか、それからアップルのデータを接合、結合することによって、お客様の行動や意思決定のかすかなシグナルを、我々は一緒になって手にすることが出来る時代になってまいりました。

「マルチビッグデータ」の底知れないチカラ

いわゆるビッグデータなのですが、我々これをマルチビッグデータと呼んでおります。たくさんのビッグデータを組み合わせる事によって、マルチビッグデータをすることによって、お客様の事をより、たくさん理解することが出来る。そういった意味を込めて、マルチビッグデータの時代が来たという言い方をしております。

そしてこのマルチビッグデータというと、データの塊、コンピューターがたくさん動いていると、そういうイメージを持たれると思います。

実際にその通りでありますけど、もう一つ、お客様視点で見ると、例えばヤフージャパンは毎日575億回のページビューがあります。575億ページビューあるということは、575億回のクリック、またはタップがされているわけです。このクリックやタップというのはお客様のそれぞれの意思決定の積み重ねです。お客様はたくさんあるリンクの中から、一つだけクリックを選び、タップを選びます。

なので、この事は何を意味するかというと、575億回の意思決定が日々会社のサーバーに貯まっている訳です。これ、皆様のWebサーバーもまったく同じことが起きていると思います。皆様のWebサーバーのアクセスの回数、イコールお客様の意思決定のシグナルです。

これを我々のデータを組み合わせることによって、非常にお客様が今何を考えているのかと、今後何をしようとしているのかということを、手がかりを我々は手にすることが出来るようになってきました。

ヤフージャパンは「ビッグデータカンパニー」へ

それによってピッタリなタイミングでもっと広告を出そうということが出来るようになっています。これまでは、枠から人へということをやっていましたけど、これからは未来のテクノロジーとして、もっとピンポイントにタイミング良くお客様に広告を出せるようになります。

枠から人へ、人から時間へと日々キーワードで言っていました。もともとインターネット以前は、枠で広告をターゲティングすると。そしてインターネットになってからは枠ではなく、人にターゲティングして広告を出そうと。

そして今、ビッグデータの時代、マルチビッグデータの時代になって、新たに人にターゲットするんだけど、人によって人のその購買の状況、非常に購買直前にあるのか、まだまだ迷ってらっしゃるのか、そうしたタイミングに応じて出すメッセージの内容も出しわけていこうと。そういうタイミングという要素も今新しくテクノロジーとして入ってまいりました。ではプロモーションビデオのようなものがありますので、そちらを少しご覧下さい。

(ビデオ開始)

(ナレーション)1秒の人の動作。

1秒。30コマの画像にすると、0.2秒と僅かにこれだけの動きに過ぎない。

その時間はとても短いように見えて、世界ではたくさんのことが起きている。地球は93メートル自転し、0.842人が生まれ、携帯電話は5.4台売れる。平均463回ツイートされ、1.6人新たなネットユーザーが誕生している。そして人の最短反応速度もまた0.2秒。最近の研究では、0.2秒で恋に落ちることもあるという。

人は0.2秒で何かを好きになる。そのスピードにいかに対応するか。情報をリアルタイムに届けることで世界を変える。0.2秒、その一瞬でヤフージャパンには新しいデータがどんどん集まってくる。そのデータとターゲットのアクションがリンクした瞬間に新しい価値が提供される。ターゲットにとっての0.2秒は一瞬でも、ヤフージャパンにとっての0.2秒は濃密だ。

集まった新鮮なデータを瞬時に解析し、提供する役割がある。例えばユーザーがコンビニに入店するその瞬間にターゲットのIDや購入履歴を解析し、在庫確認まで行う。そして在庫の有無に応じておすすめの商品のクーポンを瞬時に発行するなど、ピッタリの情報を提供する。

さらに、年代のステージが上がり、価値観の変容が起こる瞬間も見逃さない。例えば普段購読していたファッション誌のブランドスイッチが起こった瞬間に、店頭での新規雑誌の購入データから、そのライフスタイルに合わせて毎日の情報接触も一新される。

また、未だ価値を見出してないターゲットにビッグデータが作用すると、何気なく観ている映画の視聴ターゲットの解析とユーザーのライフステイタスを照合して興味を喚起。以後、さまざまなコンテンツと接触するごとにその価値に気づくプロセスを瞬時に設計する。膨大なユーザーエクスペリエンスデータをリアルタイムで解析し、それぞれが保有するオフラインのデータとも整合する。それがヤフージャパンだけが提供できるソリューション。

近い未来、知ること、遊ぶこと、買うことには境がなくなっていくだろう。もちろん情報と広告も。ユーザーにとって関係のある情報だけが集まってくる。その制度を使うたびにユーザーにとって、より意味のあるものに進化していく。ナンバーワンのスピードと、量、質で、オンリーワンのマーケティングサポートを実現する。それがマルチビッグデータカンパニー、ヤフージャパンの真の姿だ。

(ビデオ了)

宮坂:はい。最新のテクノロジーで、どのぐらいの反応速度で広告表現を出しわけれるのか、というコンセプトを少しお話させてもらいました。もちろんこれ、まだ100パーセント出来ている訳ではありません。ヤフーだけでなく、いろんな世界中のインターネットの広告技術を使っている会社が、こういった新しい広告で企業の皆様の作ったプロダクトの製品をピッタリに届けていこう、という今努力をやっている訳であります。

広告は「会話」になっていく

最終的に行きつく先は、やはり広告が会話になっていくんだろう、というふうに思っております。もし0.2秒でお客様とコミュニケーションしながら、お客様のことをつかみながらピッタリのものを勧めると。これはもう広告というよりも、かなり会話に近いというふうに思います。

いつの日か、先ほど「pepper」というのがありました。もしpepperが店頭で使われるとすると、たぶん広告を会話のように話す時代になるんではないかと。pepperの後ろにあります膨大なビッグデータ、クラウドにあるビッグデータに接続され、

そしてお客様一人一人に応じたその前のWebのアクセス記録。ヤフージャパン、それから並びにクライアントの皆様のWebサイトのアクセス履歴、購買履歴を瞬時に解析して会話をしながら、ピッタリなものをピッタリな表現手法でお伝えする。そういった時代がまもなく来るんではないかと。そういう日をぜひ作っていきたいと思います。

そして、ヤフージャパンの課題解決エンジン。世の中の課題、不平不満、課題、叶ってない夢、これを情報技術を使って何とか実現していこうということを志している会社でありますが、そのもう一つ大きな軸として、今日いろいろお話させてもらった最先端の技術、こういったものをすべて誰もがやっぱり使えるようにしたいというふうに思っています。

一部の選ばれた人だけ、ものすごくお金があるとか、ものすごい特別な権利を持ってる人だけが使えるのではなく、やはりインターネットという技術はPower to the peopleであると。あらゆる人に分け隔てなく万人が平等に使えるものでありたいと、そういう思想の技術だと思います。

なので、今日お話ししたような広告テクノロジーを、ごく一部の方だけではなく、ここにいらっしゃる皆様、そしてここに残念ながら来れなかった、例えば非常に遠くの地方に住んでいる方とか、そういった方も自由に使えるような、そんな時代にしていきたいというふうに思っております。

「広告の民主化」はすでに始まっている

例えばの事例であります。ヤフージャパンというのは現在売上の6割ぐらいが広告の事業から生まれている訳でありますが、その大部分は大きな企業の方からの執行も多いんですけど、もう一方で非常に小さなクライアントの方が、最先端のテクノロジーをどんどん使いこなして大きな成果を生み出していらっしゃいます。

例えば、5年前から比べて広告主の数は実に約1.5倍。これは先ほど、クラウドやスマートフォン、タブレットを使いこなしたほうが得ですよという話があったと思いますけど、最先端の広告テクノロジーを使いこなしている会社が、どんどんどんどん増えてるということを意味します。例えばの例でございます。

東京のある下町の業務用ユニフォームメーカーさん。こちらのほうも、バジェットとしてはたくさん出している訳ではないんですけど、インターネットの広告を徹底的に駆使されて、3年間で売上が約2倍になると、こういった事例が生まれてます。そして今度は地域のeコマースに関連する話でありますが、

千葉県の落花生の専門店さんもインターネットの広告を徹底的に駆使した結果、約2倍に販売数を伸ばすことが出来ました。そして、こちらは今度サービス業のほうです。熱海の老舗の高級温泉旅館さんも、

インターネットのテクノロジー、広告を使いこなすことによって、2年間でホームページ系の紹介がやっぱり100倍ぐらいになったと。もちろんすべてがバラ色の結果が生まれる訳ではありませんけど、インターネットテクノロジーというのは、誰もが使いやすいという性質を持っています。なので、使いこなせば企業規模に関係なく大きな成果を先んじていることが出来ると。そういった性格のものであります。

我々はこういったことを、広告の民主化という言い方をする事もあります。

例えば、これまで日本全国、または全世界に自社のサービスを宣伝したいと思えばものすごいお金がかかったわけですね。なぜならばターゲティング出来なかったからです。しかしながら今インターネットというテクノロジーを使う事によって、そしてビッグデータを使うことによって、小さな地域の企業の皆様も全世界に広告を打てます。なぜならば、ピンポイントで必要な人に必要な人にだけ、無駄な広告を打つ必要がないからです。

こういった性質をやっぱりインターネットの広告は持っていまして、こういったグローバルに、または日本全国にあらゆる企業の皆様がこのインターネットさえ使いこなせば、広告技術を最先端の技術を手にして、事業拡大するチャンスがいよいよ訪れたというふうに思っております。

ヤフージャパンは、これからもインターネット広告の未来をどんどん推進していきたいと思います。そのベクトルとしては、やはりビッグデータというものが中心になりますが、このビッグデータの恩恵を、ITに詳しい企業の方、またはあまり詳しくない方、企業規模の大きな方、あんまり大きくない方、分け隔てなくあらゆる人が使えるように、民主化していきたいというふうに思っております。ぜひとも今後ともよろしくお願します。

制作協力:VoXT

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